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DV夫と離婚するために取るべき行動とは?慰謝料についても解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「夫からDVを受けているので、離婚したい…」

配偶者からのDV(ドメスティック・バイオレンス)に悩み、離婚を検討している方はいませんか?
近年においても、DVに関する相談件数は増加しています。
内閣府の男女共同参画局によると、全国の配偶者暴力相談支援センター等に寄せられた相談件数は、2020年度は19万30件で、前年度比で約1.6倍になっています。

DVは、民法で定められた離婚事由に該当する可能性があるだけでなく、慰謝料請求が可能な場合があります。

今回の記事では次のことについて弁護士が解説します。

  • DVをする人の特徴やDV被害を相談できる場所
  • DVが離婚事由となるか
  • 離婚する場合の慰謝料の相場
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

DV(ドメスティック・バイオレンス)の基礎知識

配偶者や交際相手からふるわれる暴力であるDV(ドメスティック・バイオレンス)に関する相談は、全体的に増加傾向にあります。
配偶者からの暴力の防止や被害者を保護するために都道府県が設置している「配偶者暴力相談支援センター」が調査した配偶者からの暴力に関するデータ(2019年度分)では、2015~2017年度にかけていったん減少したものの、その前後は毎年増加しています。

参考:配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数等(令和元年度分)│内閣府 男女共同参画局
参考:パートナーや恋人からの暴力に悩んでいませんか。一人で悩まずお近くの相談窓口に相談を。|政府広報オンライン

(1)DVとは

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、domestic violence=家庭内の暴力のことですが、一般的には「配偶者や交際相手からふるわれる暴力(離婚後または交際関係がなくなってからふるわれた暴力も含む)」という意味で使われることが多いです。
DVには身体的なものだけでなく、経済的・精神的・性的なものも含まれます。

被害者は、暴力による身体的な影響だけでなく、精神的な影響も受けることになります。
また、親のDVを子どもが目撃することは心理的虐待のひとつと考えられ、子どもの心身の成長の過程において、さまざまな影響が出ることもあります。

(2)DVをする人の特徴

DVの加害者の属性として一定の傾向はなく、年齢、学歴、職種、年収などともあまり関係が無いようです。
一方で、DVの加害者には「感情の起伏が激しい」「飲酒をして暴れる」「相手を支配下に置きたがる」などといった傾向があるようです。
その中には、人当たりが良く社会的信用もある人もいます。

(3)なぜDVから逃げることができないのか

DV被害者が逃げることができない理由はいくつかあります。

恐怖感:逃げたらもっとひどい暴力をふるわれるかもしれないという強い恐怖が生じてしまうことがあります。

無力感:暴力をふるわれ続けることで「誰も助けてくれてくれない」「仕方がない」と考えることもあります。

経済的理由:配偶者に経済的に依存している場合には、なかなかDVからも逃げづらい状況になってしまいます。

子どものこと:子どもの安全や学校の問題、家族を奪ってしまうことの罪悪感などの関係から、なかなか別居や離婚には踏み切りづらいということがあります。

その他には、被害者であることが自覚できないなどのケースがあります。

参考:ドメスティック・バイオレンス(DV)とは 暴力の特徴│内閣府 男女共同参画局

DVを理由に離婚できる?

DVを理由に離婚したくても、必ず離婚できるわけではありません。
相手が離婚に応じない場合には、離婚調停や離婚訴訟を提起した上で、DVが「婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると判断され、裁判所に離婚を認めてもらわなければいけません。
この場合には、 DVの程度や頻度、けがの有無などが重要となってきます。
証拠になるものとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 怪我をしていることを写した写真
  • 医師の診断書
  • 暴言を吐いている録音データ
  • 散乱した部屋の様子の写真・動画
  • 脅迫メール、脅迫状(手紙)
  • 暴力を受けていることを知っている知人がいればその人の供述書
  • 日記

DV加害者である配偶者と安全に離婚する方法

DVをするような配偶者と安全に離婚するためには注意が必要です。

(1)公的機関に相談する

実家の両親や親族だけでなく、 都道府県が設置する配偶者暴力相談支援センターや婦人相談所などに相談するようにしましょう。
配偶者暴力相談支援センターは、都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、その機能を果たしています。
また市町村も、自らが設置する適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすよう努めています。

配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、相談機関の紹介やカウンセリング、被害者に対する情報提供など、さまざまな援助を行っています。
また、 内閣府の「DV相談ナビ」または「DV相談+(プラス)」であれば全国どこからでも、相談することができます。

参考:DV相談について│内閣府 男女共同参画局
参考:相談機関一覧 配偶者暴力相談支援センター│内閣府 男女共同参画局

また、緊急の場合は、警察への相談も検討することが必要です。
一時的に避難できるDVシェルターもあります。
これは、民間団体によって運営されているため、 「民間シェルター」とも呼ばれています。
「民間シェルター」とは、民間団体によって運営されている暴力を受けた被害者が、一時的に避難できる施設です。
現在、民間シェルターでは、被害者の一時保護だけに止まらず、相談への対応、被害者の自立へ向けたサポートなど、被害者に対するさまざまな援助を行っています。

各都道府県・政令指定都市が把握している民間シェルターを運営している団体は全国で124(2020年11月1日現在)であり、 被害者の安全の確保のため、民間シェルターの所在地は非公開になっています。

参考:相談機関一覧 民間シェルター│内閣府 男女共同参画局

(2)DVの証拠を集める

DVで離婚するためには、有効な証拠を集めることが重要です。
先述のとおり、DVが原因の怪我の「診断書」や、ケガの部分の「写真」、暴力行為の「映像」、暴言の「録音」、日付やDVの内容を具体的に記した「日記」などが役立ちます。

(3)別居する

離婚を切り出した際に逆上される恐れもあるため、親族の家に移ったり、自分で賃貸住宅を借りたり、DVシェルターなどを利用したりして、 事前に別居をしておくことをおすすめします。
別居の前には、DVの証拠や、配偶者の財産・収入を証明できる資料を写真にとったりコピーするなどして確保しておくこと
も忘れないようにしましょう。

なぜ、DVの証拠や、財産や収入を証明する資料が必要なのでしょうか。

離婚調停や離婚訴訟の際に、配偶者がDVの事実を否定する可能性があります。その場合、DVの証拠がなければ、DVの事実を証明することが困難になるためです。

また、配偶者の財産や収入を証明できる資料は、財産分与や養育費を決定する際に必要となりますが、 配偶者が自分にとって不利な証拠は破棄したり隠したりしてしまうおそれがあるからです。

(4)離婚調停を申立てる

当事者間では離婚の合意に至らない場合には、 家庭裁判所へ離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停ではDVに配慮し、調停の場や待合室だけでなく、裁判所への行き帰りに配偶者と顔を合わせずにすむように配慮してもらえます。離婚調停でも合意に至らなかった場合には、次で説明するように、離婚訴訟を提起することになります。

離婚調停について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚調停とは?有利に進める方法、手続きの流れ、費用などを徹底解説

(5)離婚訴訟を提起する

調停でも合意ができなかった場合には、 家庭裁判所へ訴状を提出し、離婚訴訟を提起することになります。
裁判で離婚する場合には、民法が定めている離婚事由(770条1項)が必要となりますが、DVは離婚事由のうち、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(同条同項5号)に該当する可能性があります。

DVが理由の離婚でもらえる慰謝料の相場

DVを理由に離婚する際にもらえる慰謝料の相場は、数十万~300万円程度になります。
DVの程度や期間、頻度、けがの有無、婚姻期間、子どもの有無などの要素によって、DVでの離婚の慰謝料額が決定されます。

離婚後の生活はどうなる?

離婚後の生活のためには、さまざまな機関が支援を行っています。
生活拠点の確保には、各自治体の福祉関連窓口に申し込み婦人保護施設や母子生活支援施設などを利用できますし、公営住宅への入居支援もあります。
生活資金の確保には、生活保護制度や生活福祉資金貸付制度、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度、児童手当、児童扶養手当などの支援があります。
職業相談や、就職のための訓練などは、ハローワークに相談するとよいでしょう。

離婚後の生活費について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚後の生活費は請求できる?受け取れるお金と公的支援について解説

【まとめ】DVを理由に離婚する場合には、警察などに相談し、身の安全を確保した上で、裁判所を通じた手続を行うようにしましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • DV被害を受けた場合には、実家の両親や親族に相談してみましょう。また、都道府県が設置する配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所などへ相談することも検討してみましょう。
  • DVの配偶者と安全に離婚するためには、警察などに相談し、DVシェルターに入るなど身の安全を確保した上で、調停や裁判といった裁判所を通じた手続きによって離婚する方法がよいでしょう(調停では、相手と顔を合わすことなく離婚の話し合いをすすめることができます)。
  • DVが理由に離婚した場合、慰謝料も請求することができます。この場合にもらえる慰謝料の相場は、数十万〜300万円程度になります。
  • DVを理由に離婚した場合の生活は、公的機関による支援を受けることができます。生活拠点の確保や生活資金の支援などを受けることができます。

DVには、身体的なDVだけでなく、精神的なものや性的なもの、経済的なものもあります。
そして、DVは、暴行罪や傷害罪ともなりうる許されない行為です。

DVの原因は、社会における男尊女卑の考え方や、妻に収入がない、または少ないといった男女の経済的格差など、個人の問題として片付けられない問題もあるため、その解決策として、公的な支援などを利用することもあります。

DVは、離婚するかしないかに関わらず、身の安全を図り、今後の対応や別居のサポートなどを受けるためにも、配偶者暴力相談支援センターの窓口などにご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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