お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

離婚協議書の書き方は?慰謝料など具体的な項目を記載例とともに紹介

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「夫婦で話し合って離婚をしようと考えている。離婚協議書を作成した方がいいと聞いたのだけれど、書き方や、どんなことを書けばいいのかが分からない。」


しかし、財産分与、慰謝料など、離婚条件についてきちんと取り決めをして、書面で残しておかないと、後々、トラブルとなる可能性があります。


そのため、離婚の際には、離婚条件について話し合いをし、離婚協議書を作成するようにしましょう。
この記事が、後悔しない離婚に役立てば幸いです。

この記事を読んでわかること
  • 離婚協議書に書くべきこと
  • 離婚協議書の書き方(記載例付き)
  • 離婚協議書を公正証書で作成するメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

協議離婚する際は離婚協議書に離婚条件をまとめよう

離婚協議書とは、協議離婚をする際に、夫婦間で取り決めたことを記載した契約書をいいます。
例えば、離婚協議書では、次のようなことを記載します(詳しくは後述します)。

  • 離婚すること
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 子どもの親権
  • 養育費など

離婚をするにあたり、財産分与や慰謝料、養育費などについてきちんと取り決めをしておかないと、後々、支払い金額や支払い方法などを巡ってトラブルとなることがあります。
そのため、協議離婚をする際は、離婚条件について夫婦間で話し合いをし、離婚協議書を作成するようにしましょう。

(1)離婚協議書はいつ作成する?

協議離婚書を作成する時期について法律的な定めはないため、離婚届を提出する前後にかかわらず、離婚協議書を作成することは可能です。
ただし、夫婦間で離婚条件を取り決めてから離婚をした方が、後々のトラブル回避を期待できます。
そのため、離婚届の提出前に離婚協議書を作成しておいた方がよいでしょう。

なお、財産分与の内容を協議で決めることができなかった場合、家庭裁判所を通して財産分与の請求をすることができます。もっとも、これには離婚成立の日から2年以内に行わなければならないという制限があります(民法768条2項ただし書)。

また、離婚に伴う慰謝料(離婚慰謝料)、離婚成立の日から3年以内に請求する必要があります(同法724条1号)。

離婚成立後だと、元配偶者が話し合いに応じてくれなくなったり、連絡が取れなくなったりして、これらの期限が経過してしまうリスクがあります。
そのため、離婚成立後に離婚協議書を作成しようと考えている方は、この点に注意が必要です。

(2)離婚協議書の書式は?

離婚協議書は、離婚届のような決まった様式の書式があるわけではありません。
インターネットで「協議離婚書 書式」「協議離婚書 サンプル」などで検索すると、法律事務所などが公開している協議離婚書の書式例を見ることができますので、参考にするとよいでしょう。

ただし、書式例はあくまで一般的なものです。協議離婚書にいかなる事項を定めるべきなのかは、個々の夫婦によって異なります。
そのため、公開されている書式例を使う場合には、自分のケースにあった内容に修正するようにしましょう。

どのような内容にしたらよいか分からないという方は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

後悔しない離婚協議書の書き方!離婚条件として定めるべき主な条件

離婚の際には、財産分与や慰謝料などについて話し合いを決めておかなければ、トラブルとなる可能性があることは前述のとおりです。
離婚するときにしっかりと話し合っておけばよかったと後悔をしないように、離婚協議書に定めるべき離婚条件について事前に把握をしておきましょう。

次では、離婚協議書に書くべき離婚条件とその記載例について解説します。

(1)離婚の合意・離婚届の提出

離婚条件ではありませんが、その前提として、夫婦間で離婚の合意がなされたことを離婚協議書に記載しておくのが通常です。また、離婚届をどちらが提出するかも同時に定めておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。


【記載例】

甲及び乙は、○○年△△月××日、協議離婚すること及び甲がその届出を行うことを合意する。

(2)子どもに関すること

未成年の子どもがいる夫婦では、子どもに関することを決めておかなければなりません。
特に、協議離婚をする場合、夫婦で話し合いをして、夫婦の内どちらが親権を持つか必ず決める必要があります(民法819条1項)。

なお、親権には、子どもの教育や世話をする権利と子どもの財産上の管理処分権が含まれています。このうち、子どもの教育や世話をする権利を監護権といいます。

協議離婚をするにあたり、親権から監護権を分離して、夫婦の一方が親権者で、他方を監護権者とすることも可能です(同法766条1項)。
しかし、親権者と監護権者を別々に定めることが子どもの利益となることは少ないため、実務上は、相応の理由がある場合を除き、親権者と監護権者を一致させるのが通常となっています。

また、未成年の子どもがいる場合には、養育費及び面会交流についても詳しく定めておきましょう
特に、養育費については、将来トラブルの原因となることが多いため、様々な場面を想定して、詳細な取り決めをしておくのがよいでしょう。

なお、養育費については、裁判所が公表している算定表が実務上大きな影響を持っています。そのため、夫婦間で養育費の額を決める際は、この算定表をもとにして話し合いをするのがよいでしょう。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所- Courts in Japan

【記載例】

  • 親権・監護権について
    甲乙間の子□□(平成○○年△△月××日生。以下、「丙」という)の親権者及び監護権者を甲と定めて、甲において監護養育することとする。
  • 養育費について
    乙は、甲に対して、丙の養育費として平成○○年△△月××日から丙が成年に達する日の属する月まで、毎月末日に、毎月~円を支払う。
    ※養育費については、このほかにも、病気や事故などで特別な出費が必要になった場合や進学の際の費用などについて、双方の負担をどうするか決めておくのがよい
  • 面会交流について
    甲は、乙に対して、乙が月に1回、丙と面会交流することを認める。面会交流の日時、場所、方法は丙の利益を配慮して、甲及び乙が協議して定める。

(3)財産に関すること

夫婦が婚姻生活において共同で形成した財産がある場合、離婚時にこれを清算することになります。これを財産分与といいます。
分与すべき財産がある場合には、財産分与についても定めておきましょう。

財産分与について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

また、年金分割に関する取り決めを書くことも検討する必要があります。
年金分割制度は、離婚後に配偶者の年金保険料の納付実績(厚生年金保険および共済年金の納付実績)の一部を分割し、それをもう一方の配偶者が受け取れるという制度です。

夫婦が離婚した場合において、一方の配偶者が婚姻期間中に働いていなかったり、働いていたとしても短期間であったときなどには、受給できる厚生年金(共済年金)給付額がないか、あってももう一方の配偶者に比べて少ないということになります。

年金分割制度により、一方の配偶者の年金保険料の納付実績の分割を受ければ、これに応じた年金を受け取ることができますので、受け取れる年金の増額が期待できます。

【記載例】

  • 財産分与について
    『乙は、甲に対して、本件離婚における財産分与として、金~円の支払義務があることを認め、これを一括して、○○年△△月××日限り、乙名義の□□銀行■■支店の普通預金口座(口座番号:~)に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は甲が負担するものとする。』
  • 年金分割について
    『甲と乙は、甲乙の婚姻期間中における双方の年金分割の割合を0.5とすることに合意した。』

参考:年金分割|法務省
参考:離婚時の年金分割|日本年金機構

(4)慰謝料について

例えば、夫婦の一方が不倫(不貞行為)をして、それが原因となって離婚に至ったような場合には、不貞行為をした配偶者に対して離婚慰謝料を請求することができます。

ただし、専門家を挟まずに夫婦間で離婚慰謝料について取り決めをしてしまうと、必要以上に少額(あるいは多額)の慰謝料の支払いを約束してしまうことになりかねません。
そのため、弁護士などの専門家に一度相談しておくことをお勧めします。

【記載例】

乙は、甲に対して、本件離婚に伴う慰謝料として、金~万円の支払い義務があることを認め、これを一括して、○○年△△月××日限り、乙名義の□□銀行■■支店の普通預金口座(口座番号:~)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙が負担する。

(5)「清算条項」を入れる

離婚協議書には、必ず「清算条項」を入れるようにしましょう。
離婚協議書における清算条項というのは、当該離婚協議書で定めた事項以外に、当事者間に何らの債権債務(=権利や義務)がないことを確認する条項です。

清算条項を入れておかないと、請求が蒸し返されたりするおそれがあるため、後のトラブルを回避するため、必ずいれておくようにしましょう。

【記載例】

  • 清算条項
    甲及び乙は、本件離婚に関し、本合意書で定めるほか何らの債権債務がないことを相互に確認する。

清算条項について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚協議書の清算条項とは?後から不倫が発覚した場合はどうなるの?

後悔しないために!離婚協議書は公正証書にしよう

離婚協議書は私的な文書ですので、約束が守られなかった場合に、それを根拠として、相手方の財産に強制執行をして支払いを強制することはできません(強制執行するためには、別途、裁判をするなどの手続きが必要です)。
慰謝料や養育費の支払いは、約束した通り支払われるのが理想ですが、残念ながら、何らかの理由で支払いが滞るというトラブルが発生するケースも少なくありません。

このようなトラブルに備え、金銭を支払う約束がある場合には、公証役場で強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておく方がよいでしょう。

強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、支払う側に「強制執行されるくらいなら約束通り自主的に支払おう」という意識が働き、未払いを事前に防ぐ効果があります。
また、現実に未払いが生じた際には、速やかに強制執行という手段をとることができます。

【まとめ】離婚協議書には慰謝料などの条件をしっかりと記載し、公正証書にしておくと良い

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 離婚協議書とは、協議離婚をする際に、離婚条件について夫婦間で取り決めたことを記載した契約書をいう
  • 離婚後のトラブル回避のため、協議離婚をする際は、離婚条件について夫婦間で話し合いをし、離婚協議書を作成するようにする
  • 離婚協議書の作成時期について、法律上定めはない。ただし、離婚条件を明確化してから離婚をした方が離婚後のトラブルを回避できる。そのため、離婚届の提出前に作成しておいた方がよい
  • 離婚協議書に決まった様式はない。インターネット等で公開されている書式例を参考にする場合には、自分のケースにあった内容に修正する必要がある
  • 離婚協議書では、離婚の合意、子どもに関すること、財産に関すること、慰謝料に関することなどについて書く
  • 相手方が金銭を支払う約束を任意に履行しない場合に備えて、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するのがよい

本記事でも解説したとおり、離婚の際には、親権や財産分与などのさまざまな離婚条件について夫婦間でしっかりと話し合いをし、取り決めを行う必要があります。

しかし、合意したらそれで終わりではありません。
離婚条件をめぐるトラブルを防止するため、夫婦間で取り決めた内容はしっかりと離婚協議書にまとめておきましょう。

また、離婚条件は、専門家である弁護士にアドバイスを受けたうえで取り決めることをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、離婚条件についての交渉のほか、離婚協議書の作成まで任せることができます。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)
また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません。

(2023年8月時点)

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

されるとよいでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

浮気・不貞による慰謝料のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-783-184
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています