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性的不能を理由に離婚はできる?判例とともに解説!

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リーガライフラボ

法律上、性交渉は夫婦関係において必須のものとはされていません。
多様な価値観が尊重される現代においては、いろいろな理由で結婚しますし、性交渉のない夫婦もいます。

とはいえ、従来通りの価値観としては、性交渉は夫婦の重要な要素のひとつです。
子どもをもうけ、家庭を作るということを何よりも重要視する人もいます。

そのような夫婦にとって、配偶者の『性的不能』は大きな問題となってきます。
配偶者の性的不能を理由に離婚をすることはできるのでしょうか。

性的不能とは?

『性的不能』とはどのような状態をいうのでしょうか。

ED(勃起不全)や性機能障害など、本人の意思にかかわらず性交渉ができない状態をいいます。
一言で性的不能といっても、原因はさまざまなケースが考えられます。
高齢になって自然に性的な能力を失ってゆく場合もありますが、若い方であってもストレスなどの心因的なものから、生活習慣によるもの、身体的疾患そのものや、その治療薬が起因する場合などさまざまです。

性的不能は離婚事由として認められる?

婚姻に求めるものは夫婦によって違いますから、結婚する前から配偶者の性的不能を承知していたのであれば問題にはならなかったかも知れません。
しかし結婚してから配偶者の性的不能を知った場合、結婚を維持することでは自分の求める夫婦像や家族像の実現ができなくなることもあります。
性的不能によって性交渉が全くできなかったり、医学的な治療によっても回復が不能であることや、治療を拒否するような事情がある場合には、離婚を考えることにもなるでしょう。

性的不能は、離婚の事由として民法770条第1項5号に定められている「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、正当な離婚事由として認められることがあります。
特に、性的不能により性交渉を行うことが継続的に不能であり、今後も性交渉を行うことが期待できない場合に離婚事由として認められる傾向があるようです。

性的不能を理由とした離婚に関する判例について見てみましょう。

  • 判例1:

性的不能が離婚事由として認められた判例(最高裁判決昭和37年2月6日民集第16巻2号206頁)

この判例では、夫の性的不能について、約一年半の同居期間中改善しなかったことや、妻が夫は睾丸を切除したけれど夫婦生活には大して影響がないとの医師の言を信じて結婚したこと、夫婦の性生活が婚姻の基本となるべき重要事項であることなどを理由として、民法770条第1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるものと判断されています。

参考:最高裁判所判例集|裁判所 – Courts in Japan

  • 判例2:

婚姻前に性的不能であることを知りながら、それを隠して婚姻し、離婚に至った場合に慰謝料請求を認めた事案(京都地裁判決昭和62・5・12判時1259号92頁)

本件では、原告(妻)は結納のとき子どもが欲しいという話をしており、被告(夫)もこれを聞いて知っていましたが、被告は、原告との交際中から原告に性交渉を求めてきたことが全くありませんでした。
本判決において「被告としては夫婦に置いて性交渉をすることに思いが及ばなかったか、もともと性交渉をする気がなかったか、あるいは被告に性的能力について問題があるのではないかと疑わざるを得ない」として、性的不能を離婚に至った理由として考慮しています。

性的不能以外に離婚事由となりうる性的問題

司法統計によると、男女とも2019年の離婚申立て理由の上位10位以内に「性的不調和」が入っています。

年次申立て件数に対する割合(%)
総数(件)総数性格があわない異性関係暴力を振るう酒を飲みすぎる性的不調和浪費する病気精神的に虐待する家庭を捨てて省みない家族親族と折り合いが悪い同居に応じない生活費を渡さないその他不詳
201348,479100.044.419.524.76.68.112.13.424.99.97.82.727.511.12.6
201447,529100.040.918.723.26.57.911.33.124.39.27.42.628.511.54.3
201547,908100.040.518.022.76.47.611.32.825.69.07.62.428.312.44.8
201648,359100.039.317.321.66.27.210.61.725.68.56.92.129.111.25.1
201747,807100.039.416.721.66.27.310.51.925.38.36.81.828.910.85.7
201846,756100.039.115.820.85.97.010.01.825.27.76.81.829.411.16.0
201944,040100.039.215.420.56.36.69.81.825.27.36.51.729.410.56.4
2019順位15410863792
201318,345100.063.515.58.12.413.012.35.217.46.914.99.54.220.12.4
201418,009100.061.415.38.22.313.612.05.317.56.814.710.24.020.63.1
201517,776100.061.314.88.52.413.112.45.118.76.314.99.94.421.23.1
201618,135100.061.414.38.52.313.312.54.419.86.114.89.53.820.43.3
201717,918100.061.614.28.42.412.912.43.920.25.613.78.84.019.83.7
201817,146100.060.913.88.82.212.511.83.819.75.213.49.34.320.63.7
201916,502100.060.313.49.12.411.912.14.020.25.513.18.94.320.24.2
2019順位13765294810

注記1. 2013年1月より、家事事件手続きに運用されていた法律が「家事審判法」から「家事事件手続法」に変更された。
注記2. 申立人の言う申立ての動機。
注記3. なお、申立ての動機は、1件につき3個まで重複計上してあるので、各動機ごとの割合は、動機延べ数に対してではなく、申立ての総数に対する比率である。
注記4. 調査は毎年行われる。

このことからも、性的な合致を婚姻関係において重視している夫婦が多いことがうかがわれます。

『性的不能』は、司法統計の『性的不調和』のひとつです。
『性的不調和』にはほかに、セックスレスや性的嗜好の不一致などがあり、離婚事由として認められるケースがあります。

離婚事由として認められるかどうかは、性的不調和そのものというよりも、夫婦の婚姻関係を維持することが困難となるかどうかという点が判断のポイントとなっているようです。

(1)セックスレス

『セックスレス』とは、カップルにおいて特殊な事情なくお互いの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期に渡り性交あるいはセクシュアル・コンタクトがないことが予想されること、と言われています。

この目安となる『月に1回』程度の性交渉や性的接触があれば、セックスレスとはいえないと考えられています。
また、セックスがほとんど行われない夫婦もいますので、離婚の原因となるのは、セックスレスの期間やセックス頻度の他『拒む』回数や頻度が高い場合といえます。

セックスレスの場合、夫婦のどちらか一方が性交渉を求めているにもかかわらず、もう一方が特段の理由なく拒否し続けたケースなどは、「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があります。

ただし、セックスレスになった原因が自分にある場合、婚姻を継続し難い重大な事由にはならない可能性が高くなります。
例えば、セックスレスの原因が、自分が乱暴なセックスを望んだため相手が嫌がっている場合や、自分が浮気をしたことが原因で相手が嫌悪感を抱いてしまった場合、その他、家事育児などの負担を相手の過剰に負わせてしまった結果、相手が疲れてセックスに応じることが困難になってしまった場合などです。

(2)性的嗜好の不一致など

性的嗜好の不一致や性的異常、不本意な性交渉の強要なども離婚事由として認められる場合があります。

過去の判例では「性行為の際に必ず靴を履くことを強要された」という理由で離婚が認められています(大阪地判昭和35年6月23日判時237号27頁)。

また、夫婦どちらか一方の性欲が強すぎてもう一方が断ると暴力を振るったり、SM行為を強要したりした場合などもあります。
なお、性交渉を強要した場合はDVとなり、その度合によっては夫婦間であっても刑法上の強制性交罪が成立する場合もあるのです。

その他判例としては、夫が妻の性交渉を拒否し、ポルノビデオを見て自慰行為にふけっていたケースで、婚姻を継続し難い重大な事由に当たるとして離婚が認められたものがあります(福岡高裁判決平成5年3月18日判タ827.270)。

性的不能や性的不調和を理由に離婚したいときのポイント

性的不能や性的不調和が離婚事由として認められるかどうかは「夫婦の婚姻関係を維持することが困難となるかどうかという点」から具体的な事案に照らしてケースバイケースで判断されることになります。

離婚が認められやすくなるポイントや慰謝料請求できるケースについて解説します。

(1)証拠を準備する

性的不能や性的不調和を理由として離婚をするにしても、性生活は極めてプライベートなことですので、なかなか客観的な証拠を用意するのは難しく、証明するのは大変です。

性的不能や性的不調和を理由とした慰謝料請求が認められるためには、性的不能・性的不調和自体の証拠の他、それが婚姻関係が継続できないと認められるほどの「重大な事由」にあたると推認できる証拠が必要となります。

証拠となるものとしては例えば、配偶者の性的不能を知った日や知ったときの状況を記録すること、性交渉を求めた日やそのときの状況、相手が拒否したかどうか、性交渉を求めなかった日との比較などを日記に記しておくと良いでしょう。

夫婦それぞれの帰宅時間や就寝時間、起床時間などはできる限り毎日記録しておくと証拠として使える可能性があります。
また、どの時期から性行為をしていないのか記録をつけておいた 場合なども、セックスレスの証拠となると考えられています。

他にも、性的不能等をめぐる夫婦間の言い争いについての録音記録など。
また、性的不調和の原因が不倫の可能性がある場合、不倫の証拠を集めるのも良いでしょう。

不倫の証拠として使えるものについては、以下の記事が詳しいのでご参照ください。

(2)慰謝料請求ができるか検討する

民法709条は故意または過失により他人の権利利益を侵害した場合に、その賠償を求めることを認めています。
そして民法710条は、財産以外の損害、つまり精神的損害に対しても損害賠償を認める旨を規定しています。
これを一般的に『慰謝料』と呼んでいます。

性交渉を継続的に拒否された場合や、性的不調和で性交渉をしない期間が長期にわたる場合などは、慰謝料を請求することができるケースもあります。
慰謝料を請求するには『精神的な苦痛(損害)』を被ったといえるかどうかが問題となります。

とくに性的不調和から配偶者が不貞行為に及んでいる場合は、慰謝料請求ができる可能性は高くなります。
慰謝料請求ができる場合にあたるかどうかについては、いろいろな事情を考慮することになるため、弁護士に相談した方が良いと言えます。

特に、相手が離婚を拒否し、裁判による離婚を求める場合などは離婚事由および慰謝料請求の要件を、証拠により立証する必要があります。
訴訟の手続きには、法的な根拠に基づく主張・立証が必要となるため、ご自身で進めるのは少々ハードルが高いと言えますので、弁護士に相談することをおすすめします。

【まとめ】性的不能を理由に離婚を検討している方は弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 性的不能とは、ED(勃起不全)や性機能障害など、本人の意思にかかわらず性交渉ができない状態
  • 性的不能は、離婚の事由として民法770条第1項5号に定められている「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚事由として認められることがある
  • 性的不能は『性的不調和』のひとつであり、ほかに、セックスレスや性的嗜好の不一致などが離婚事由として認められる場合がある
  • 性的不能などを理由に離婚したいのであれば、証拠を準備する必要がある
  • 離婚を検討するとともに、慰謝料請求ができるかも調べておきたい

性的不能や性的不調和は、具体的な内容により離婚事由として認められるケースとそうでないケースがあり、なかなかご自身では判断できない場合も多いかと思います。
ご自身のケースが離婚事由にあたるかどうか不安な場合や少しでも有利に離婚したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

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