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離婚後に年金分割をしたい!年金分割調停の手続きや請求の方法を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

年金を老後の生活の頼りにしたいものの、ずっと専業主婦だったのであれば、自己名義の厚生年金がないことがほとんどです。

そこで離婚するにあたって、会社勤めの夫の年金分割を考えるところですが、
「年金分割は相手の同意がなくてもできるのか」
「既に離婚をしてしまった場合も、後から年金分割はできるのか」
といった疑問が浮かんでくるのではないでしょうか?

結論から言うと、離婚後でも年金分割は可能です。

また、年金分割制度には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、「3号分割」なら原則として離婚した元配偶者の同意は必要ありません。

ただし、年金分割は原則として離婚が成立した日の翌日から2年が経過すると請求することができなくなってしまいますのでご注意ください。

この記事を読んでわかること
  • 年金分割の方法
  • 年金分割調停を申立てる方法
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

年金分割調停とは?

家事労働は、そのままでは年金に反映されません。
そのため、以前は離婚した専業主婦は満足な年金を受けられませんでした。

しかしその後、年金保険料の納付額が乏しい専業主婦を守ることを目的とした年金分割制度が設けられました。

年金分割制度とは、「結婚している期間に支払った保険料は夫婦が共同で納めたものとみなして、将来の年金額を計算する」というものです。

年金分割制度には「合意分割」「3号分割」の2種類があり、分割方法が異なります。
合意分割の際に、年金の按(あん)分割合(分割割合)等が、当事者間の話し合いがまとまらない場合や、話し合いができない場合に家庭裁判所に対して申立てることができるのが『年金分割調停』です。

(1)年金分割制度について

年金分割制度は、離婚の際に、夫婦の婚姻期間中の厚生年金または共済年金を分割して、それぞれを自分の年金として受け取ることができる制度です。

この制度は「厚生年金保険および共済年金の部分」に限られており、「国民年金」や「厚生年金基金・国民年金基金」等は対象になりません。

年金分割の方法には「合意分割」と「3号分割」があり、分割の方法はそれぞれ次のとおりです。

• 合意分割

合意分割は、当事者間の話し合いによって分割割合を決定する制度です。そのため、当事者が合意さえすれば、柔軟に分割割合を決めることができます。

話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。
実務上、原則として、2分の1の分割割合となっています。分割割合が決まれば、年金事務所に年金分割の請求をする必要があります。

• 3号分割

3号分割は、結婚していた期間に応じて、その期間の厚生年金の標準報酬を最大2分の1まで分割できる制度です。
例えば、夫がサラリーマン・公務員であった場合は、夫は年金第2号被保険者となります。夫が年金第2号被保険者である場合、その妻は勤務先の事業所を通じて手続きを行うことで第3号被保険者となることができます。この「3号分割制度」とは、3号被保険者であった妻から請求することで、2008年4月1日以後の婚姻期間中の夫の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度です。
離婚した元夫との合意などは必要なく、第3号被保険者が単独で請求できます

第3号被保険者について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

第3号被保険者とは?加入・脱退手続きと被保険者として知っておきたいことを解説

(2)年金分割調停について

離婚した日の翌日から2年以内であれば、年金の按分割合について夫婦間の合意ができなかったり、話し合いができなかったりした場合に、家庭裁判所に対して按分割合を定める審判または調停の申立てをすることができます。

年金分割はした方が良いのか?

年金分割をすると得をするのか損をするのかわからない場合は、次のポイントを踏まえて判断してみてください。

(1)年金分割ができるかどうかを確認する

年金分割ができるのは、婚姻期間中に厚生年金または共済年金に加入していた場合のみです。
厚生年金または共済年金に加入していた期間があるかどうかを、給与明細や日本年金機構の照会サービスを使用して確認すると良いでしょう。

参考:ねんきんネット|日本年金機構

(2)年金分割が自分にとって有利かどうかを確認する

婚姻期間中を通して相手方の扶養(国民年金第3号被保険者)になっていた場合は、相手方の合意を必要としない『3号分割』が可能となります。

ただし、3号分割が可能なのは2008年4月1日以降の婚姻期間のみですので、ご注意ください。

2008年4月1日以前から3号被保険者期間が存在する場合に、同年4月1日以前の婚姻期間中の厚生年金記録も年金分割の対象とするためには、合意分割制度も併せて利用する必要があります。

このとき、婚姻期間中に自身が厚生年金や共済年金に加入していた期間がある場合、年金分割が有利になるとは限らないので注意が必要です。
とくに婚姻期間中を通して自身が厚生年金や共済年金に加入していて、かつ配偶者も厚生年金や共済年金に加入していた場合は、加入期間や標準報酬額の差によっては不利になる可能性もあります。

年金の分割に際し、婚姻期間中の標準報酬額を知るためには「年金分割のための情報通知書」で調べる方法があります。

参考:離婚時に年金分割をするとき|日本年金機構

『年金分割のための情報通知書』とは、年金分割に必要な情報が記載されている書類で、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出することで交付してもらうことができます。

ただし、離婚後に「年金分割のための情報通知書」を取得した場合、相手方にも「年金分割のための情報通知書」が交付され、相手方にも結果を知られることになります。

そのため、自身にとって不利だった場合は、相手方にとって有利だということが明確になってしまうので、慎重におこなった方が良い場合もあります。

年金分割調停を申立てる方法

年金分割調停を申立てる先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

もっとも、相手方との合意があれば管轄合意書の提出によって別の家庭裁判所に申立てることもできます。

(1)年金分割調停の申立てに必要な書類等

  1. 申立書およびその写し1通
  2. 標準的な申立て添付書類「年金分割のための情報通知書」(離婚後に交付されたもの)

最寄りの年金事務所や共済組合などに問い合わせると良いでしょう。

参考:年金分割の割合を定める審判又は調停|裁判所 – Courts in Japan
参考:年金分割の割合を定める調停の申立書|裁判所 – Courts in Japan

(2)年金分割調停の申立てに必要な費用

  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手(申立てをする家庭裁判所に確認してください)
  • 申立てを専門家に依頼した場合はその費用

相談する事務所によって費用は異なりますので、ご確認ください。

(3)年金分割請求の手続き

年金分割調停が成立し按分割合が決定しても、自動的に年金が分割されるわけではないのでご注意ください。
年金分割調停が成立してから一定の期限内に、当事者のいずれか一方から、年金事務所や共済組合などに年金分割請求の手続きをおこなう必要があります

(4)年金分割調停の申立て期限

年金分割は、離婚が成立した日の翌日から2年が経過すると請求することができなくなります

離婚成立から2年が経過する前に年金分割調停を申立て、かつ、調停成立により按分割合が決定した場合は、調停が成立した日の翌日から起算して6ヶ月が請求期限となります(厚生年金保険法施行規則第78条の3第2項)。

【まとめ】年金分割の請求期限は、原則として離婚後2年以内!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 年金分割制度には「合意分割」と「3号分割」の2種類がある
  • 3号分割の場合、元配偶者の同意は不要で、単独で請求することができる
  • 合意分割の際に、年金の分割割合について、当事者間の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所に対して「年金分割調停または審判」を申立てることができる
  • 年金分割は、原則として離婚が成立した日の翌日から2年が経過すると請求できない

原則として離婚から2年以内であれば、家庭裁判所に『年金分割調停』を申立てることができます。

もっとも、年金分割は必ずしも自身にとって有利になるとは限らないため、事前に標準報酬額などを確認すると良いでしょう。

離婚後、年金は重要な生活の糧になるものです。

年金分割調停や審判を申立てたい場合は、弁護士に相談してみてください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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