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お金の問題で離婚できる?離婚理由が「お金」のときの注意点

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

配偶者が生活費を入れてくれない、勝手に借金をする、家計をギャンブルにつぎ込んでしまうなど、夫婦関係において、お金でお悩みの方は少なくありません。
夫婦で話し合ってお金の問題を解決できればよいのですが、残念ながら、もはや離婚やむなしという段階に至ってしまう夫婦もいます。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • お金の問題で離婚できるのか
  • 離婚理由がお金にまつわる場合の注意点
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚理由で多いのはお金?それとも性格?

実際に離婚を選択する人は、どのような原因で離婚しているのでしょうか。
裁判所の司法統計「令和2年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所(第19表)」によると、離婚原因として多いものは次の表のとおりです。

男性女性
1位性格が合わない性格が合わない
2位精神的に虐待する生活費を渡さない
3位異性関係精神的に虐待する
4位家族親族と折り合いが悪い暴力を振るう
5位浪費する異性関係
6位性的不調和浪費する
7位暴力を振るう家族を捨てて省みない
8位同居に応じない性的不調和
9位家族を捨てて省みない家族親族と折り合いが悪い
10位生活費を渡さない酒を飲み過ぎる

統計からは、男女ともに「性格が合わない」という理由が1位であることがわかります。
また、女性側の2位の離婚理由である「生活費を渡さない」や、男性5位、女性6位の「浪費する」といったお金に関する離婚理由もそれなりに多いことがわかります。

お金の問題を理由に離婚できる?

それでは、お金の問題を理由に離婚することができるのでしょうか。
夫婦が離婚に合意すれば、離婚の理由は問われませんので、お金の問題を理由に離婚をすることができます。

しかしながら、離婚の種類によっては、「お金の問題」の存在を主張するだけでは離婚できないケースがあることには注意が必要です。

(1)離婚の種類

離婚には、主に「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があります。協議離婚とは、夫婦が離婚に合意し、離婚届を提出して離婚が成立する離婚です。離婚自体に合意ができれば、離婚理由は問われません。離婚する大半の夫婦は、協議離婚で離婚を成立させています。

話し合っても離婚自体に合意できなかったりすると、家庭裁判所に調停を申立てて、裁判所仲介の下、離婚自体や離婚条件などについて話し合うことになります。

調停で離婚が成立することを、調停離婚といいます。調停離婚でも、協議離婚と同様に、離婚自体に合意ができれば、離婚理由は問われません。

しかしながら、協議離婚も調停離婚も成立しない場合、離婚を希望する側は、離婚するためには裁判所に対して離婚訴訟を提起しなければなりません。

裁判所は、法で定められた5つの離婚事由が存在する場合に限り離婚を認めますので(これを裁判離婚といいます)、離婚訴訟の場合には、法定の離婚事由が存在するか否かが重要なポイントとなります。

(2)裁判離婚に必要な法定離婚事由

法定の離婚事由は次の5つです(民法770条1項各号)。

  1. 不貞行為(1号)
  2. 悪意の遺棄(2号)
  3. 3年以上の生死不明(3号)
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと(4号)
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)

生活費を支払わない、浪費するなどのお金の問題については、直接的には法定の離婚事由に定められていません。

そのため、裁判所も、お金の問題が直ちに離婚原因になるとは考えていません。離婚を希望する側は、お金の問題が、上の5つの法定の離婚事由のいずれかに該当することを主張・立証する必要があります。

法定の離婚事由について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

民法770条が定める裁判離婚に必要な5つの離婚原因とは?弁護士が解説

「お金の問題」が法定離婚事由に該当するケース

具体的に、お金の問題が法定離婚事由に該当する可能性があるケースについて説明します。

(1)生活費を渡さない

女性側の離婚理由第2位の「生活費を渡さない」は、法定離婚事由の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。

民法上、夫婦は同居して互いに協力し、扶助する義務があるので(民法752条)、正当な理由なく、夫婦がこの同居義務や協力扶助義務をはたさなければ、悪意の遺棄となる可能性があるのです。

単身赴任や、親の介護や子どもの通学のための別居、夫婦同意の別居などは、夫婦は同居していませんが、正当な理由がありますので、通常は同居義務・協力扶助義務違反にはなりません。

具体的に、「悪意の遺棄」とは、社会的倫理的非難に値するような、婚姻共同生活を廃絶する意図を有して(又はそれを容認して)、正当な理由なく同居協力扶助義務を継続的に履行せず、共同生活の維持を拒否することを指します。

したがって、配偶者が一方的に別居して、残された配偶者が困窮することを知りながら、生活費を全く入れなかったりする場合には、「悪意の遺棄」に該当して、離婚が認められる可能性があります。

裁判所では、悪意の遺棄がなかなか認められない傾向があるのですが、悪意の遺棄に該当しないとされた場合でも、夫婦が努力しても婚姻関係が修復不能なまでに破綻していると認められれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして、離婚が認められる可能性があります。

(2)浪費する

男性5位、女性6位の離婚理由となっている「浪費する」は、直接的には法定離婚事由に該当しません。

ただし、配偶者が一方的に別居して、ギャンブルやゲームなどでお金を浪費することでお金がなくなり、かつ残された配偶者が困窮することを知りながら生活費を渡さないといったような場合であれば、「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。

また、ギャンブルや生活費を渡さないことが原因で、夫婦が努力しても婚姻関係が修復不能なまでに破綻していると認められれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして、離婚が認められる可能性があります。

(3)多額の借金

住宅ローンを組んだり、生活費が足りない場合にキャッシングしたりすることは、夫婦の生活のための借金ですので、借金の事実自体が法定離婚事由に該当するとはいえません。

しかしながら、借金の理由が個人的な娯楽、ギャンブル、不貞行為などを理由とする場合には、「不貞行為」「悪意の遺棄」又は「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

(4)その他

  • 働けるにもかかわらず働かない。
  • 配偶者に十分な収入があるのに、家計に必要なお金を渡さない。
  • 過度に節約を強要され十分な食事もとれない。
  • お金の使い道について事細かく管理され、管理能力を否定される。

などの事情がある場合には、精神的DVや経済的DVとして、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

経済的DVについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

経済的DVの実態とは?対処法や離婚をするための方法について解説

お金を理由に離婚する場合のポイント

お金の問題は、直接的な法定離婚事由とはなりませんので、まずは話し合いでの離婚を目指します。
話し合いでの離婚が難しい場合には、調停、裁判での離婚を目指すことになります。
お金を理由に離婚する場合のポイントについてまとめます。

(1)証拠を準備する

話し合いで離婚することができれば、離婚理由は何であってもかまいません。お金の問題についての証拠がなくても、離婚の合意ができれば、離婚は成立します。

しかしながら、話し合いを有利に進めるために、相手方に不利となるようなお金の問題についての証拠は、事前に確保しておいた方がよいでしょう。
具体的には、次のようなものがあります。

  • 生活費が振り込まれなくなったことがわかる通帳、家計簿
  • 悪意の遺棄の状況がわかる日記や家計簿
  • 別居の事実がわかる住民票や賃貸借契約書
  • 一方的な別居の経緯がわかるメールややりとり
  • 夫婦関係の修復を求めたのに拒否された経緯がわかるメールややり取り
  • 離婚を求められたら、それがわかるメールややり取り
  • 別居や浪費の原因が不貞行為であれば、肉体関係がわかる証拠(動画、写真、メールなど)
  • 配偶者の浪費や借金がわかるクレジットカード利用明細やキャッシング明細書など
  • 配偶者の給与明細、源泉徴収票

(2)離婚後の生活の準備を整える

離婚の際には、財産分与を請求することができますし、未成年の子供がおり、親権を取得することになれば、元配偶者に対して養育費を請求することもできます。

しかしながら、離婚後は基本的に、自分の生活に必要な生活費は自分で稼ぐ必要があります。引っ越しが必要であれば、転居にかかる初期費用の準備も必要です。

離婚前に、具体的な離婚条件について考え、離婚後の生活について収入と支出をシミュレーションし、受けられる公的支援の有無など、離婚後の生活について準備するようにしましょう。

離婚後の生活について準備するのに時間が必要であれば、すぐに離婚せずに、配偶者に対して婚姻費用(生活費)の支払いを求めることもできます

【まとめ】離婚理由がお金の場合、離婚が困難なケースも存在する

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • お金の問題が理由で離婚を考える人は少なくない
  • 協議離婚又は調停離婚で離婚に合意できれば、離婚理由は問われない
  • 相手方に離婚を拒否され、裁判離婚となると、法定の離婚事由が必要だが、お金の問題は直接的な法定離婚事由ではない
  • お金の問題を起因とする、5つある法定離婚事由の中のいずれかに該当すると主張する必要がある

夫婦が共同生活を営むにあたり、お金の問題は非常に重要なことといえます。

配偶者が離婚を拒否している場合、お金の問題だけで離婚が認められるには困難なケースがありますが、その他の事情によっては、離婚が認められる可能性があります。

今回の記事では、お金の問題を理由とする離婚についてご説明しましたが、他にも「財産分与はいくらもらえるの?」「慰謝料はいくら請求できるの?」など気になることはないでしょうか。

このように離婚に疑問がある方、離婚に不安がある方は、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所へのご相談をご検討ください。

弁護士に相談することであなたの状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。また、弁護士に相談・依頼をすると、財産分与や慰謝料の交渉もあなたに代わって弁護士が行いますので、あなたにかかる負担やストレスも軽減することができる可能性があります。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年6月時点)。

離婚についてお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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