「弁護士費用特約を使用すると、自動車保険の等級が下がったり、翌年の保険料が上がったりしてしまうのでは?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
実は、弁護士費用特約のみを使用しても、自動車保険の等級が下がることはなく、翌年の保険料にも影響はありません。
この記事を読んでわかること
- 弁護士費用特約の概要
- 弁護士費用特約を利用できるケースと利用できないケース
- 事故後の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
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弁護士費用特約とは
「弁護士費用特約」とは、交通事故に遭って、弁護士に相談や依頼をした際に発生する弁護士費用を、保険会社が負担するという内容の特約をいいます(※ただし、保険会社が負担する金額には上限があります。また、特約の利用にあたり、一定の条件を満たす必要がある場合が多いです。)。
なお、「弁護士費用特約」は、自動車保険に付帯していることが多いですが、火災保険や傷害保険、生命保険などに付帯している弁護士費用特約が交通事故に利用できる場合もありますので、契約内容を確認してみることをおすすめします。
弁護士費用特約を使うと保険等級・保険料に影響はある?
弁護士費用特約を利用しても、基本的に、保険の等級が下がり、保険料が上がってしまうということはありませんので、ご安心ください。
ただし、弁護士費用特約とともに対物保険や車両保険を使用した場合は、保険等級が下がり、保険料が上がってしまうケースもあります。
弁護士費用特約が利用できるケース
自動車同士の交通事故はもちろん、「自動車対自転車」や「自動車対歩行者」の交通事故であっても、弁護士費用特約を利用することができます。
損害は自動車の修理費用のみという物損事故では、損害額よりも弁護士費用の方が高額になることもありますが、このようなケースでも特約を利用することができます。
また、交通事故は、一方に100%の責任があるケースよりも、双方に一定程度の責任があるケースが圧倒的に多いです。
このように、自分に一定程度の責任がある場合でも、酒気帯び運転をしていた等、特に弁護士費用特約が利用できない事情が存在しなければ、弁護士費用特約を利用することができます。
なお、加入している保険によっては、自動車事故に限らず、自転車事故や日常生活の事故についても弁護士費用特約が利用できる場合もあります。
弁護士費用特約が利用できないケース
弁護士費用特約は付帯していたけれども、残念ながら、保険の約款によりその弁護士費用特約を利用できないケースもあります。
例えば、約款には、弁護士費用特約が利用できないケースとして次のような記載があることが多いです。
- 地震、台風、津波といった自然災害によって発生した損害
- 被保険者の無免許運転、酒気帯び運転、薬物などの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転していたときに発生した事故による損害
- 被保険者の自殺行為、犯罪行為、闘争行為によって発生した事故による損害
- 被保険者や保険金を受け取るべき方の故意または重大な過失によって発生した事故の損害
- 事故の加害者が被保険者の配偶者、父母や子である場合(父母や子については同居している場合) など
弁護士費用特約は誰が利用できる?
家族が被保険者となっている保険に弁護士費用特約が付帯しているときには、その弁護士費用特約が利用できるケースがあります。
保険によって異なりますが、弁護士費用特約を利用することのできる人は、次のような範囲であることが多いです。
- 被保険者本人
- 被保険者の配偶者(同居別居問わず)
- 被保険者の同居の親族
- 被保険者又はその配偶者の別居の未婚の子
- 保険をかけた車に乗っていた人(同居していなくても利用可)
- 保険をかけた車の所有者(同居していなくても利用可)
ご自身が加入している保険に弁護士費用特約がついていなくても、ご家族が加入している保険などに弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用特約が利用できる場合があります。
弁護士費用特約の補償範囲は?
保険会社が支払う弁護士費用には次のような限度額が定められていることが一般的です。
弁護士費用 | 上限額300万円 |
法律相談料 | 上限額10万円程度 |
しかし、死亡事故や重い後遺障害が残ったなど、請求する損害賠償額が数千万~1億円を超えるような場合でない限り、通常は、弁護士費用が上限額の300万円を超えることは、あまりありません。
なお、弁護士費用は弁護士によって異なりますので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
示談交渉を弁護士に依頼する2つのメリット
専門知識のある保険会社の担当者を相手に、自分で適切な額の損害賠償額を計算し、反論し、交渉するというのは、簡単ではありません。そこで、示談交渉は弁護士への依頼を検討してみると良いでしょう。
示談交渉を弁護士に依頼するメリットは、次の2つです。
- 賠償金を増額できる可能性がある
- 示談交渉を任せることができる
それぞれ説明します。
(1)賠償金を増額できる可能性がある
弁護士に依頼することで、加害者側の保険会社が提示してくる賠償金の金額よりも増額できる可能性があります。
実は、交通事故による損害賠償、中でも慰謝料(=精神的損害に対する賠償)や休業損害の金額を算出する際の基準は3つあります。
算定基準 | 基準の内容 |
自賠責の基準 | 自賠責保険により定められている賠償基準です。必要最低限の救済を行うことを目的としており、一般的に支払額は3つの基準の中でもっとも低く設定されています(※)。 |
任意保険の基準 | 各損害保険会社が定めている自社独自の支払基準です。公表されておらず、一般的に自賠責の基準以上ではありますが、弁護士の基準と比べると、低めに設定されています。 |
弁護士の基準(裁判所の基準) | これまでの裁判所の判断の積み重ねにより認められてきた賠償額を目安として基準化したものです。裁判所の基準とも呼ばれます。一般的に、自賠責の基準や任意保険の基準と比べて高額になります。 |
上でご紹介した3つの基準を金額の順に並べると、基本的には次のようになります(一部例外もあります)。

(※)ただし、自賠責保険は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合などは、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。
加害者側の保険会社は、弁護士の基準よりも金額が低い任意保険の基準や自賠責の基準を提示してくることがあります。
これに対し、被害者に代わって弁護士が示談交渉や裁判を行う場合は、通常最も高額な弁護士の基準が用いられることが一般的です。
そのため、弁護士へ依頼することで賠償金を増額できる可能性があるのです。
(2)示談交渉を任せることができる
交通事故に関する豊富な知識がある弁護士に示談交渉を依頼することで、基本的に被害者本人が保険会社と応対する必要もないですし、示談金を交渉するにあたって必要となる資料の収集もサポートしますので、精神的・肉体的な負担を減らすことができます。
また、後遺障害認定にあたっては、必要な資料の内容についても弁護士がチェックし、後遺障害等級が認定される可能性を高めることができます。
弁護士の選び方についてはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】弁護士費用特約を利用しても、原則として保険の等級が下がることはない
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 「弁護士費用特約」とは、交通事故に遭った場合に、弁護士に相談や依頼をした場合に、その弁護士費用を保険会社が負担するもののことをいう(ただし、保険会社が負担する金額には上限がある)。
- 弁護士費用特約のみを利用しても、保険の等級が下がり、保険料が上がってしまうことはない(一部例外あり)。
- 保険会社が支払う弁護士費用の上限額は300万円、法律相談料の上限額は10万円程度とされていることが一般的。
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を取り扱っている弁護士への相談をおすすめします。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年9月時点)
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。