交通事故のトラブル解決に向けて裁判が進む中で、裁判所から「和解」を提案されて戸惑っていませんか?
「自分にとって納得できない内容でも、裁判所の提案には応じるべき?」
「断ってしまったら、裁判官の心証が悪くなって不利になるのでは?」
そんなふうに不安を感じてしまうのも無理はありません。 実は、裁判上の「和解」には、トラブルを早期に解決できるといった大きなメリットがある一方で、本来受け取れるかもしれない賠償額が減ってしまうなどのデメリットも存在します。
そこでこのコラムでは、交通事故裁判における「和解」がどのような仕組みなのか、そして裁判で和解を選ぶことのメリット・デメリットについて、専門用語をできるだけ使わずに詳しく解説します。
今のあなたの状況において、「和解」を選ぶべきか、それとも「判決」を待つべきか。後悔のない選択をするためのヒントがきっと見つかるはずです。
ここを押さえればOK!
和解のメリットは、敗訴により賠償金がゼロになるリスクを避けられる点や、長引く裁判を早期に解決できる点です。また、本人尋問の負担がなくなり、相手からの任意の支払も期待しやすくなります。一方、デメリットとしては、互いに譲歩するため請求額が満額認められないことや、遅延損害金・弁護士費用の請求が難しくなる点が挙げられます。
裁判所から提示される和解案は必ずしも応じる必要はありません。拒否して判決を求めることも可能です。和解案を受け入れるか、判決まで争うかは、証拠の状況や勝訴の見込み、解決までの時間を総合的に考慮し、弁護士と相談して慎重に判断することが重要です。
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交通事故に関する4種類の「和解」の機会
「和解」とは、当事者双方がお互いに譲歩することで合意し、紛争を終わらせることをいいます。
裁判で裁判官に判断してもらう判決によるのではなく、当事者どうしの話合いで自主的に紛争を解決する方法です。
交通事故の損害賠償金に関しては、次の4つの場面で和解の機会があります。
(1)示談
当事者どうしの話合いのみで合意することをいいます。
交通事故が起きた時、まずは当事者どうしで示談交渉が行われます。
(2)交通事故紛争処理センター等での和解
当事者だけの話合いでは解決が難しい場合に、交通事故紛争処理センターという民間団体などに和解案を提示してもらいながら合意を目指す方法(いわゆる「ADR」)です。
(3)簡易裁判所での調停
簡易裁判所という公的な機関に調停案を提示してもらいながら合意を目指す方法です。
調停は、当事者が合意して紛争を終わらせるという点で和解とほぼ同じです。
参考:民事調停手続|裁判所 – Courts in Japan
(4)裁判上の和解
紛争が訴訟にまで進んだ場合に、裁判手続の中で当事者どうしが話合いをして合意に至る方法です。
交通事故で裁判をしている人の中でも多くが「判決」ではなく「和解」という形で解決しています。
実際、2019年度に全国の地方裁判所に提起された交通事故訴訟(1万4506件)のうち、判決により終了した事件は2680件(18.4%)、和解により終了した事件は1万0609件(73.1%)と、和解で終了する割合は判決よりもかなり高くなっています。

参考:裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)資料2-1-1|裁判所 – Courts in Japan
いずれの機会においても、和解の成立には「当事者双方の譲歩」と「当事者間の権利関係に関する争いをやめる約束」が必要です(民法695条・696条)。要するに、和解とは、当事者双方がお互いに折り合いを付けながら、合意に至るイメージです。
今説明した4つのうち、「3.簡易裁判所での調停」と「4.裁判上の和解」には、強制執行力があります。つまり、相手方が和解で合意した約束を守らず、賠償金の支払いをしない場合、裁判所を通じて財産や給料の差押えを行うことによって強制的に賠償金を支払わせることができます。
強制執行力がないとどうなるのですか?
相手方が賠償金を支払わなくても、相手方の財産の差押えはできません。
相手方の財産を差し押さえるには、裁判を起こして判決を得るなどが必要になります。
交通事故の裁判での和解タイミングとは
民事裁判では、和解に向けた話合いは、裁判の審理と並行しつつ判決が出るまでの間であればいつでも行うことができます。つまり、裁判の途中でもお互いの話合いが付けば判決を求めずに和解をすることができます。
裁判官は、当事者双方の主張や証拠を検討した上で、これくらいの金額なら妥当だろうという和解案を提示してきます。
これを受けた各当事者は、それを受けるか拒否するかを決めることができます。裁判官の提案だからと言って、拒否できないわけではありません。和解はしたいけれど金額に納得できないという場合には、裁判官を通じて金額について相手方と話合い、金額に折合いがつけば合意した金額で和解をすることもできます。
裁判上の和解がなされると「和解調書」が作成されます。和解調書には、強制執行力がありますので、和解後、相手方が和解で決められた賠償金を支払わない場合には、相手方の財産を差し押さえることができます。
なお、裁判中に裁判所を介さずに当事者どうしで和解することもできますが(これを「裁判外の和解」といいます)、そこで作成された合意書(和解書)には強制執行力はないので注意が必要です。
和解に強制執行力を持たせるためには、必ず裁判上での和解が必要です。
交通事故の裁判で和解するメリット・デメリットとは
次に、交通事故の裁判で和解するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
(1)和解をするメリット
判決ではなく、和解により紛争を終わらせることには、メリット・デメリットの両方があります。まず、メリットから見ていきましょう。
(1-1)敗訴するリスクを避けられる
仮に、こちら側の主張が裁判所に全く認めてもらえずに敗訴してしまった場合、相手方からは1円も支払ってもらえません。判決には、敗訴すると賠償金がゼロになってしまうリスクがあるのです。
これに対し和解は、「勝ちか負けか」を決めることはしません。和解ではお互いが譲歩することが必要なため、こちら側の言い分が100%通ることはありませんが、逆にゼロになることもありません。
話合いを通じて、お互いが納得できる結論を導き、敗訴するリスクを避けるというメリットがあります。
(1-2)具体的な金額を認識した上で協議できる
判決では、自分が請求した金額について認められるか・認められないかの二択しかありません。勝訴を確信していたのに、蓋を開けてみたら敗訴だった、あるいは賠償金のほんの一部しか認められなかったということも当然あり得ます。
これに対し和解は、お互いが納得できる金額を具体的に提示し合いながら協議を進めます。これにより、予想外の結果を避けられるというメリットがあります。
(1-3)判決を待つのに比べて、早期に解決ができる
判決は、全ての審理を尽くした後、裁判の最後の段階で下されます。事件によっては審理が長引き、判決までに2年も3年もかかることが珍しくありません。
これに対して和解は、話合いがまとまれば、そこで紛争は終了となります。
つまり、和解は判決に比べて、解決が早くなるという大きなメリットがあります。
(1-4)本人尋問で裁判所に出廷する必要がなくなる
裁判では、当事者である原告と被告の双方が裁判所に出向いて、お互いの質問に答えることが求められます。
これを本人尋問といい、精神的にも時間的にも非常に大きな負担となります。
この点、本人尋問の前に和解ができれば、本人尋問のためにわざわざ裁判所に出向く必要はなくなります。
(1-5)事故相手からスムーズに損害賠償金が支払われる可能性が高い
和解は、当事者どうしの話合いの結果、お互いが納得して行われるものです。したがって、裁判所から一方的に言い渡される判決に比べ、相手方からスムーズに賠償金が支払われる可能性が高くなります。
仮に和解で合意したとおりに賠償金が支払われなくても、先ほどご説明したとおり、和解調書には強制執行力がありますから、相手の財産に対して強制執行をすることが可能となるのです。
(2)和解するデメリット
他方、和解には次のようなデメリットもあります。
(2-1)こちら側の主張が完全には認められない
メリットのところで述べたように、判決の場合、勝訴すればこちら側が主張した請求額が全額認められる可能性があります。
これに対し和解では、お互いが譲歩して金額を決めていくため、こちら側が主張する請求額が完全には認められないというデメリットがあります。
(2-2)通常、遅延損害金を受け取れない
遅延損害金とは、金銭の支払いが遅れた場合に課されるペナルティです。交通事故で被害者にケガを負わせた場合、加害者は被害者に対して、事故の当日から実際に賠償金を支払うまでの間の遅延損害金を支払わなければなりません。
判決の場合、被害者は加害者に対し、賠償金に加えてこの遅延損害金も請求できます。
しかし、和解の場合は通常、遅延損害金は放棄することが多いです。
ですから、遅延損害金は請求できないか、またはできたとしても少額となります。
(2-3)損害賠償金に弁護士費用を上乗せできない
判決の場合、勝訴すれば裁判のためにかかった弁護士費用の一部(通常は認容された賠償額の10%程度)も相手方に請求できます。これに対し和解では、被害者は加害者に対して弁護士費用の請求はできないか、またはできたとしても少額にとどまります。
ただし、弁護士費用特約が付いている保険に加入している場合には、弁護士費用は保険会社が支払います!
裁判官からの和解案に納得できない!拒否しても大丈夫?

では、裁判所から示された和解案を拒否するとどうなるのでしょうか。
裁判の当事者には、裁判所が示した和解案を拒否する自由がもちろんあります。
もっとも、裁判所の和解案は、裁判官が書こうとしている判決の内容と大差ない傾向があります。したがって、たとえ裁判所の和解案を拒否したとしても、後の判決で、和解案とほぼ同じ内容の判決が出る可能性は高いです。
そこで、どうせ同じような結論になるなら、裁判所の和解案を受け入れて争いを早めに終わらせるという手もあります。
他方、判決では、損害賠償金に加えて遅延損害金や弁護士費用も加算されるというメリットがあります。そのため、判決を待つか、和解を選ぶかは悩ましいところです。
勝訴が微妙な時は、金額については多少妥協しつつ、確実な支払いを受けるため和解を選ぶほうがよい場合もあります。それまでの裁判の経過やこちら側が有している証拠、裁判官の態度などを総合的に見て、どちらを選ぶか慎重に判断するしかありません。
和解に応じるかどうかは、判決の見込みなどから慎重に検討する必要があります。
まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
【まとめ】交通事故の和解は、早期に問題を解決できるというメリットがある
裁判上の和解には、「負けてしまう(敗訴する)」という最大のリスクを回避し、スピーディーに解決できるというメリットがあります。その一方で、判決であれば認められる可能性のある「遅延損害金(事故から解決までの期間に応じた利息のようなもの)」や「弁護士費用(一部)」の受け取りが難しくなる点は、デメリットといえるでしょう。
裁判官から示される和解案は、最終的な判決に近い内容であることが多いですが、必ずしも無理に応じる必要はありません。お手持ちの証拠や、裁判を続けた場合の見通しをふまえて、慎重に判断することが大切です。
もし、「提示された和解案を受け入れるべきか迷っている」「少しでも納得のいく条件で解決したい」とお考えなら、ぜひ一度、アディーレ法律事務所にご相談ください。アディーレの弁護士が、あなたの不安に寄り添い、状況に応じた最適な解決策をご提案できるよう尽力いたします。




























