「早く離婚したかったので養育費なしの合意をした」
「養育費を放棄してでも親権がほしかった」
このような理由で養育費なしの合意をすることは少なくありません。
養育費なしの合意は有効なのでしょうか?
結論から言うと、養育費なしの合意は有効です。もっとも、このような合意をしても、子どもが離れて暮らす親に対して生活費(扶養料)を請求することができる場合があります。
この記事を読んでわかること
- 養育費が支払われる期間
- 養育費なしの合意の効力
- 離婚協議書の内容
ここを押さえればOK!
養育費の支払い期間は、通常請求時から始まり、子どもが経済的・社会的に自立するまで続きます。具体的な終期は当事者間の合意で決められますが、一般的には成人時または大学卒業時までとされることが多いです。
離婚時に養育費なしの合意をすることは原則として有効ですが、将来的な事情の変更により、養育費の請求が認められる場合があります。また、養育費についての合意の有無にかかわらず、子どもには親に対して「扶養料」を請求できる場合があります。
離婚協議書には養育費の取り決めを含め、財産分与、慰謝料、親権者の指定、面会交流(親子交流)などの項目を記載することが重要です。将来のトラブル防止のため、書面での合意が推奨されます。
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養育費とは?
離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、子どもを引き取って直接育てる親(監護親)は、子どもと離れて暮らす親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができます。
この費用が「養育費」というものです。
離婚をしたとしても、子どもの親として当然支払ってもらうべき費用ということになります。
取り決めがなくても請求できる「法定養育費」が新設
これまでの養育費制度では、父母の話し合いや家庭裁判所での手続きによる養育費の取り決めがない限り、養育費を請求することができませんでした。
しかし今回の民法改正によって、夫婦で養育費の取り決めをしていなくても離婚の日から「暫定的な養育費(法定養育費)」として月額2万円を毎月末に請求できる制度が新設されました。
この暫定的な養育費の支払がされないときは、養育費の取り決めがなくても、差押えの手続を申し立てることも可能です。
もし離婚後に養育費を請求するのが遅くなっても、離婚の日から遡って請求することが可能です。この暫定的な養育費(法定養育費)は、正式な養育費の取り決めができるか、子どもが18歳になるまで発生し続けることになります。
ただし、この新しい暫定的な養育費(法定養育費)の制度は、改正法が施行された後に離婚したケースにのみ適用されます。施行前(2026年3月31日まで)に離婚した場合は適用されない点に注意しましょう。
養育費が支払われる期間とは?
養育費がいつまで支払われるのかは、「法定養育費」のままにするか、「夫婦で取り決めた養育費」にするかで、受け取れる期間が大きく変わってきます。
法定養育費は、正式な養育費の取り決めができるか、子どもが18歳になるまで発生し続けることになります。一方で、夫婦で取り決めた養育費であれば、「何歳まで支払うか」を夫婦の合意で自由に設定することができます。大学や専門学校へ進学することを見据えて、「20歳まで」や「大学を卒業する22歳の年の3月まで」と約束することも可能です。
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について 研究報告の概要|裁判所 – Courts in Japan
離婚の際に養育費なしの合意は有効?
離婚の際に養育費なしの合意をすることは原則、有効となります。養育費は必ずもらわなければならないというものではありませんので、夫婦で養育費なしの合意をすることは可能です。
養育費なしの合意をしても、将来的にお金に困ったらどうすればいい?
養育費なしの合意をした時点では経済的に困っていなくても、将来はどうなるのかわかりません。このような場合、養育費なしの合意をしたとしても、非監護親に養育費もしくは扶養料を請求できることがあります。
(1)養育費なしの合意をしたとしても、養育費の請求をできる場合がある
養育費不請求の合意をした場合でも、その後の事情の変更により養育費の請求が認められた裁判例について紹介します。
| 裁判日付 | 内容 |
| 大阪高裁 昭和56年 2月16日 | 父母が離婚の際に、養育費不請求の合意をした場合であっても、未成年の子の成長に伴い養育費が増加したこと等事情に変更が生じた場合には、養育費不請求の合意の変更を求めることができると判断しました。 ※なお、この事例は、父母の経済力に大きな差があった場合でした。 一方、養育費が多少増加したとはいえ、父母の経済力に大きな差がなく、子らも日常生活に困るような場合ではなかった事例については事情の変更があったとはいえないとして養育費不請求の合意の変更を求めることはできないと判断した事例もあります(福島家裁昭和46年4月5日(判例タイムズ279号376頁))。 |
| 大阪家裁 平成元年 9月21日 | 父母が離婚の際に、母から父に対して財産上の請求をしない旨の合意をした場合(離婚の時点では父が無職で、無収入であった)であっても、その後父が仕事を得て、安定した収入を得ることができるようになった一方で、母は最低の生活費を下回るような収入しかない場合には、事情の変更が生じ、養育費不請求の合意の変更を求めることができると判断しました。 |
(2)養育費についての合意の有無にかかわらず、子どもは「扶養料」を請求できる場合がある
夫婦間で養育費なしの合意をしたとしても、子どもには関係ありません。
これは、夫婦間で養育費の不払いの合意をしても、親子の間には生活保持義務があり、親と同等の生活を子どもに与えなければならない、とされているからです。
そのため、親と同等の生活が与えられていない場合、子どもには親に対して「扶養料」を請求できるとされているのです。
これは、非監護親に対しても請求することができます。
「扶養料」の請求については養育費についての合意の有無に左右されません。
そのため、養育費について合意があろうがなかろうが、子が親に対して「扶養料」を請求することはできます。
さらに、民法上、扶養を受ける権利は処分することができないとされているため(民法881条)、「扶養料」を請求しないことを夫婦で合意することもできません。

離婚協議書はどうする?
養育費なしの合意についても、将来的なトラブルを防ぐ観点から、きちんと書面に残しおくことをおすすめします。
離婚協議書を作成しておくと、離婚がスムーズであり、離婚後のトラブルにも対応できます。
離婚協議書の作成時には、養育費以外にも、次のような項目を取り決めておくことが必要となります。
- 夫婦の共有財産の清算(財産分与)
- 慰謝料などの金額、条件
- 親権者の指定
- 子どもの面会交流(親子交流) など
離婚協議書の書き方について詳しくはこちらをご覧ください。
離婚協議書は個人で作成することができますが、弁護士に依頼したり、(金銭の支払いについて取り決めがある場合には)執行力のある公正証書にする方法もあります。
【まとめ】離婚の際養育費なしの合意は原則として有効だが、後から養育費もしくは扶養料を請求できることがある
まだ離婚前で養育費を請求するかお悩みの方や、離婚の際に養育費なしの合意をしてしまってお困りの方は、離婚や養育費を取り扱っている弁護士にご相談ください。
アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)
また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2026年3月時点)。
離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール|0120-554-212)にご相談下さい。



























