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免責不許可事由に該当?自己破産できない場合の対処法 

作成日:
kawahara_LA

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

自己破産を考えているけれど、「免責不許可事由に該当するから、自己破産できないかもしれない」と不安に感じている方も多いでしょう。 

しかし、実際には免責不許可事由に該当しても、免責が許可されるケースがあります。 

この記事では、免責不許可事由に当たる行為や免責不許可されても自己破産できるケース、免責不許可となった場合の対処法まで解説しています。 

これを読めば、自己破産への不安を解消するための第一歩を踏み出せるはずです。自己破産へ不安がある方、ぜひご一読ください。 

この記事を読んでわかること 

  • 免責不許可事由に当たる11の行為 
  • 免責不許可事由に当たらなくても自己破産できないケース 
  • 免責不許可事由に当たっても自己破産ができるケース
  • 自己破産をしても免責にならないお金 
  • 免責不許可事由に該当した場合の対処法 

ここを押さえればOK!

免責不許可事由とは、借金の返済義務を免除されない可能性がある行為を指します。
具体的には、(1)財産の不当な減少や(2)債務の不当な負担、(3)特定の債権者への優先的返済、(4)浪費やギャンブルによる借金、(5)虚偽の信用取引、(6)帳簿の隠蔽や改ざん、(7)虚偽の債権者名簿の提出、(8)裁判所の調査拒否、(9)管財業務の妨害、(10)過去7年以内の免責、(11)破産法上の義務違反行為です。

免責不許可事由に該当しても、裁判所の裁量で免責が許可される「裁量免責」という制度もあります。免責不許可事由があっても裁量免責によって免責許可が下りるケースも多いです。

万が一、免責不許可の決定が出た場合には、「即時抗告」や、その他の債務整理の手続き(任意整理や個人再生)を検討することをおすすめします。
任意整理は債権者との直接交渉で返済条件を見直す方法で、個人再生は裁判所を通じて債務を大幅に減額する方法です。

自己破産に不安がある場合には、一度弁護士へご相談ください。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

免責不許可事由とは?

「免責不許可事由」とは、裁判所が原則として免責を認めない要件のことです。 

個人の自己破産手続における最終的な目標は、借金の返済義務を免除してもらうことです。このことを法律上「免責(許可)」と呼びます。 

免責不許可事由があると、借金の返済義務を免除してもらえない可能性があります。 

免責不許可事由に当たる行為とは?

免責不許可事由は、破産法第252条1項に定められています。 

ここでは、免責不許可事由に当たる行為について見ていきましょう。 

(1)財産を不当に減少させる行為

財産を不当に減少させる行為は、免責不許可事由の1つです。 

例えば、自己破産をする直前に、債務者(お金を借りている人)の不動産や車を安く売却したり、贈与したりする行為が当たります。 

自己破産では、債務者の保有する財産を現金に換え、債権者(お金を貸している人)に分配します。自己破産をする直前に不当に財産を減らす行為は、債権者へ分配する金額を減らす行為となり、許されません。 

(2)不当に債務を負担する行為

不当に債務を負担する行為とは、破産手続きの開始を遅らせる目的で、返済能力を超えた借入れなどを行う行為です。 

例えば、一般的な金融機関からの借入限度額に達した後に、ヤミ金からお金を借りたり、クレジットカードのショッピング枠で金券などを購入し、換金したりすることです。 

(3)特定の債権者に優先的に返済をする行為

特定の債権者(お金を貸している人)に対して優先的に返済をすることも免責不許可事由の1つです。この行為のことを法律上「偏頗弁済」といいます。 

例えば、弁護士に自己破産を依頼したあとに、他にも借金があるにもかかわらず、お金を貸してくれていた知人Aさん(仮名)にだけ借金を返す行為です。これは、他の債権者に対して不公平となりますので、免責が認められない可能性があります。 

(4)浪費やギャンブルによる借金をする行為 

浪費やギャンブルによる借金をする行為も免責不許可事由の1つです。 

例えば、収入に見合わない高額な買い物や、日常的にギャンブルや投資を行い多額の借金をする行為が当たります。 

(5)相手をだまして信用取引を行う行為

相手をだまして信用取引を行うことも免責不許可事由の1つです。 

例えば、収入を偽ったり、借金があることを隠したりしてクレジットカードを取得する行為です。これらの行為から1年以内に自己破産の申し立てを行うと、免責が認められない可能性があります。 

(6)帳簿を隠したり、改ざんしたりする行為

帳簿を隠したり、改ざんしたりする行為も免責不許可事由の1つです。 

例えば、財務状況を隠すために帳簿を破棄したり、改ざんしたりする行為が当たります。 

(7)うその債権者名簿を提出する行為

うその債権者名簿を提出する行為も免責不許可事由の1 つです。 

債権者名簿とは、借金の借入先や現在の借金残高、借り入れ時期、借金の使い道などについて記載する書面のことです。そして、この債権者名簿に一部借金を記載しなかったり、嘘の借金残高を書いたりすると、免責が認められない可能性があります。 

(8)裁判所からの調査を拒んだり、うその説明をしたりする行為

裁判所からの調査での説明を拒んだり、うその説明をしたりする行為も免責不許可事由の1つです。 

このような行為は、手続きの妨害とみなされ、免責が認められない可能性があります。 

(9)管財業務を妨害する行為

管財業務を妨害する行為も免責不許可事由の1つです。 

例えば、管財人の指示に従わなかったり、脅迫したりする行為が当たります。 

(10)過去7年以内に免責を受けたこと

過去7年以内に免責を受けたことも免責不許可事由の1つです。 

何度も免責を認めてしまうと、「自己破産をすれば返さなくてもいい」と借金を繰り返してしまうおそれがあるからです。 

(11)破産法上の義務違反行為

破産法上の義務違反行為も免責不許可事由の1つです。 

破産法で定められている、破産者の居住制限(破産法第37条1項)、破産者の説明義務(破産法第40条1項)、重要財産開示義務(破産法第41条)、免責調査協力義務(破産法第250条2項)に違反するなどの行為が当たります。 

例えば、破産申し立て後に、裁判所の許可なく住所を引っ越し、裁判所からの手紙を届かない状態にすると破産手続きの進行の妨げになりますので、免責不許可されてしまう可能性があります。 

免責不許可事由に該当しなくても自己破産ができないケースとは? 

自己破産の手続きを進める際、免責不許可事由に該当しなくても自己破産ができないケースがあります。ここでは、免責不許可事由以外で自己破産できないケースについて説明します。 

(1)支払不能ではない

自己破産が認められるためには、「支払不能」である必要があります。 

支払不能とは、財産や収入が足りず、抱えている全ての支払義務について支払うことができない状態が継続していることをいいます。そして、一般的に支払不能であるかどうかは、借入総額を36ヶ月で割った金額が毎月の返済可能額を上回っているかが一つの判断目安となります。 

支払不能ではない場合には、免責不許可事由に該当しなくも自己破産をすることはできません。 

(2)予納金を用意できない

自己破産手続きには、裁判所に支払う予納金が必要です。 

予納金は、手続きの進行や管財人の報酬などに充てられます。 

【東京地裁の予納金(2023年4月1日時点)】 

  • 同時廃止事件 11,859円 

(中目黒庁舎で現金納付であれば12,000円) 

  • 個人管財事件(自己破産申立事件) 最低20万円及び個人1件につき18,548円 

(中目黒庁舎で現金納付であれば個人1件につき19,000円) 

この予納金などのお金を用意できない場合、自己破産の手続きを進めることができません。 

ただ、予納金などのお金の用意ができないからといって、自己破産を諦めてしまうのは時期尚早です。 

自己破産を弁護士に依頼し、受任通知を送ってもらうと、借金の取り立てが止まります。そして、その間にそれまで返済に充てていた分を積み立てすることで予納金などのお金の準備を行うことができるのです。 

免責不許可事由に該当しても免責が許可される裁量免責とは?

免責不許可事由に該当しても、軽微な場合などには、裁判所の裁量で免責が許可されることがあります。これを法律上「裁量免責」と言います。 

例えば、ギャンブルによる借金があったとしても、その借金額が借金総額全体から見ると少ないような場合には、免責不許可事由に該当しても裁量免責が認められる可能性があります。 

免責不許可事由があっても裁量免責によって免責許可が下りるケースが多いのが実情です。「免責不許可事由に該当するから、自己破産できない」と不安になる前に、一度弁護士にご相談ください。 

免責にならない債権とは?

自己破産をしても全ての債権(借金など)が免除されるわけではありません。 

自己破産をしても免除とならない債権(借金など)は次のとおりです。 

  • 税金や社会保険料などの支払い:所得税や市民税、国民保険料の支払いなど 
  • 不法行為による損害賠償金の支払い:交通事故による慰謝料や治療費の支払いなど 
  • 夫婦や子に対する生活費や養育費の支払い:離婚後の養育費の支払いなど 
  • 雇用関係による賃金などの支払い:従業員に対する賃金の支払いなど 
  • 意図的に債権者名簿に記載しなかった借金などに対する支払い 
  • 罰金などの支払い:交通違反の罰金や刑事罰による罰金など 

免責不許可事由に該当し、免責不許可となった場合の対処法とは? 

免責不許可事由に該当し、免責不許可の決定が出た場合には、次の対処法をとることを検討してみましょう。 

(1)即時抗告をおこなう

免責不許可の決定に対しては、「即時抗告」を行うことができます。 

即時抗告とは、裁判所の決定に対して異議を申し立てる手続きです。 

決定書を受け取った日(送達された日)の翌日から1週間以内に申し立てる必要があります。ただし、明らかな免責不許可事由がある場合は、即時抗告しても決定が覆らない可能性が高いです。 

(2)任意整理をする

任意整理は、債権者と直接交渉して返済条件を見直す手続きです。 

裁判所を通さない手続きになるため、免責不許可事由に該当する行為をした場合でも行うことできます。 

例えば、返済期間の延長や将来発生する利息や遅延損害金のカットし、返済額を抑えることができます。ただし、支払不能になり、自己破産を検討している場合には、任意整理を行うことは難しいでしょう。 

(3)個人再生をする

個人再生は、裁判所の手続きを通じて債務を決められた割合で大幅に減額する方法です。 

免責不許可事由の規定はなく、免責不許可事由に該当する行為をした場合でも行うことができます。 

ただし、個人再生は基本的に減額された借金を原則3年間、場合によっては5年間で返済していく手続なので、返済できるだけの収入がなければ個人再生をすることもできません。 

【まとめ】免責不許可事由に該当しても、免責許可される可能性あり!

この記事をまとめは、次のとおりです。 

免責不許可事由に該当する行為> 

  • 財産を不当に減少させる行為 
  • 不当に債務を負担する行為 
  • 特定の債権者に優先的に返済する行為(偏頗弁済) 
  • 浪費やギャンブルによる借金をする行為 
  • 相手をだまして信用取引を行う行為 
  • 帳簿を隠したり改ざんしたりする行為 
  • うその債権者名簿を提出する行為 
  • 裁判所からの調査を拒んだり、うその説明をする行為 
  • 管財業務を妨害する行為 
  • 過去7年以内に免責を受けたこと 
  • 破産法上の義務違反行為 

免責不許可となった場合の対処法 >

  • 即時抗告を行う 
  • 任意整理をする 
  • 個人再生をする 

「免責不許可事由に当たるから自己破産できない…」と不安に感じる方は多くいます。しかし、実際には免責が許可されるケースも多いです。 

「免責不許可事由に該当するから、自己破産できない」と不安になる前に、一度アディーレ法律事務所の弁護士にご相談ください。 

アディーレ法律事務所では、万が一免責不許可となってしまった場合、当該手続きにあたってお支払いいただいた弁護士費用を原則全額返金しております(2025年1月時点)。 

ただし、免責不許可・再生不認可が、次の場合に起因する場合などは、返金対象外です。 

  • アディーレ法律事務所へ虚偽の事実を申告し、又は事実を正当な理由なく告げなかった場合 
  • 法的整理の受任時に、遵守を約束いただいた禁止事項についての違反があった場合 

個人の自己破産でお悩みの方は、自己破産を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。