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離婚したいのにできない場合とは?その理由と解決策を紹介

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リーガライフラボ

「離婚したくても離婚できない!」

離婚をしようと思ったら、すぐにできると思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
さまざまな事情によっては、離婚したくてもできないというケースが出てきます。
最終的には裁判にもつれ込むケースもありますが、その際も、離婚するためには一定の条件が必要となってきます。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 離婚したくてもできないケース
  • 離婚できないときの解決策
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚できない理由と例外、その対処法

離婚したくてもできないケースには、次のようなものがあります。

(1)配偶者の合意がない場合

配偶者の合意がない場合は、協議離婚や調停離婚ができません。
そのような場合の解決方法としては、まず弁護士を入れて話し合うことが考えられます。
それでも合意できない場合には、調停や裁判に進んでいくことになりますが、調停を成立させるには、やはり当事者同士が合意しなければなりません。
調停でも合意が得られない場合には、法律(民法770条)に定められている次のような条件を満たすことで、裁判による離婚が可能になります。

(1-1)配偶者の不貞行為(1号)

不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思で配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。
いわゆる不倫のことです。
あるいは、肉体関係がなくても親密な関係がある場合もこれにあたることがあります。
夫婦の一方が不貞行為をした場合には、原則として離婚が可能になります。
これは、不貞行為が一時的なものか、継続的なものであるかを問いません。

しかし、配偶者が離婚を拒否した場合、離婚を求める側が裁判で不貞行為の存在を証明する必要があります。
そのため、不倫相手と配偶者が2人で親密にしている写真・動画や、ラブホテルに出入りしている写真・動画などの証拠を集めておくと良いでしょう。
不貞行為の証拠集めについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

不貞行為の慰謝料を請求するにはどんな証拠が必要?証拠集めの秘訣をアディーレの弁護士が解説

(1-2)悪意の遺棄(2号)

悪意の遺棄とは、正当な理由なく、民法752条に定められている、夫婦間の同居・協力・扶助業務を果たさないことを指します。
悪意の遺棄に該当するには、「夫婦関係の破綻をもくろんだり、破綻してもかまわないという思いで同居・協力・扶助といった夫婦の義務を怠ったりすること」が必要だと考えられています。

具体的には、理由なく配偶者や子どもを放置したり、ギャンブルをやってばかりで働かなかったり、生活費を入れない、自宅を出て別居を続ける、などのケースです。
こうした場合、そのような事実を証明する証拠を集めるようにしましょう。
夫婦が同居し、協力して生活するといった、本来の婚姻倫理に反する行為といえるか否かが、悪意の遺棄に該当するかどうかの判断のポイントになります。

(1-3)3年以上の生死不明(3号)

3年以上生死不明の状態が現在も継続しているケースがこれにあたります。
これは、単に連絡が取れないとか、行方不明であるだけではなく、死亡の可能性が相当程度あるような場合が該当します。

(1-4)強度の精神病(4号)

強度の精神病で、夫婦間の精神的な交流ができない場合がこれにあたります。
ただし、強度で、回復の見込みがないということが条件になります。
「強度の」精神病とは、「婚姻の本質ともいうべき夫婦の相互協力義務に他方の配偶者の精神的生活に対する協力義務を十分に果たし得ない程度」の精神障害に達している場合、と考えられています。
「回復の見込み」の判断には、判例によれば、ある程度の継続的治療が必要とされています。
また、判例は「強度で回復の見込みがない」という要件について厳格に解しているととされています。

次の最高裁判例は、統合失調症で離婚が認容されたケースでしたが、精神病の種類は問われません。単純に精神病を患っているだけでは足りず、離婚後に相手が生活に困らない状況があることなどが必要になります。

参考:最高裁判所第三小法廷判決昭和45年11月24日|裁判所 – Courts in Japan

(1-5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)

上記のいずれかに該当しない場合でも、総合的に見て円満な夫婦関係を継続できないと判断されるような場合には、離婚事由にあたる可能性があります。
具体的には、勤労意欲がない、ギャンブルにのめり込んでしまう、お金の浪費癖が激しい、不要不急の借金をしてしまう、育児放棄、長期間の別居、暴力や虐待、病気などの理由でも離婚が認められるケースがあります。
このような場合に、婚姻関係を継続できるかできないかは、上記のようなさまざまな事情を総合的に考慮して、家庭裁判所が判断することになります。
その結果、家庭裁判所に、婚姻の継続が相当と認められ、離婚の請求を認めてもらえないこともあります。

(2)有責者の場合

有責配偶者(たとえば先ほど説明した、民法770条1項に挙げる不貞行為、悪意の遺棄など、自分に落ち度がある、不法行為をした側)から離婚を求めて裁判を起こしても、離婚判決を出してもらうことは原則としてできません。
しかし、有責配偶者からの請求でも離婚が認められた判例は存在します。

有責者の離婚請求が認められた判例

次の条件を満たした場合に、有責配偶者(不貞行為をした側)からの離婚請求が認められた判例があるため、同様のケースでは離婚が認められる可能性が高いでしょう。

  1. 長期の別居
    別居期間が、夫婦の年齢及び同居期間と比べて、相当の長期間に及ぶことが必要です。
  2. 未成熟の子が存在しない
    未成熟の子がいる場合は、その子の福祉を中心に考える必要があり、離婚は避けた方がよいと考えられることになるため、未成熟の子がいないことが条件になります。
  3. 離婚請求をされている側の配偶者が苛酷な状態にない
    離婚後に相手方が精神的・社会的・経済的にきわめて苛酷な状態に置かれるなど、離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言える事情が認められないことが必要になります。

参考:最高裁判所大法廷判決昭和62年9月2日|裁判所 – Courts in Japan

離婚できないときの解決策

基本的に、離婚するには、協議離婚、離婚調停、離婚裁判といった形式があります。

(1)協議離婚

当事者双方の話し合いによって成立する離婚のことを、協議離婚といいます。
日本における離婚のうちの約90%がこの方式をとっていますが、本人同士ではまとまらないケースも多いので、本人同士だけでは難しそうだと感じた場合には、弁護士を間に入れると良いでしょう。
双方で合意ができたら、離婚届を役所に提出し、受理されると離婚が成立します。

合意ができた場合には、離婚する具体的な理由、特別な手続きや費用なども必要なく、離婚届が市役所で受理されれば、離婚が成立することになります。
離婚の際には、財産分与や、子どもの養育費などについて合意しておきましょう。
ただし、合意は口約束ではなく、離婚協議書を作成し、合意内容を明記することが大切です。離婚協議書とは、離婚をする際に夫婦で合意した内容を網羅した契約書のことをいいます。
離婚協議書は、養育費や慰謝料の未払いに備えて、公正証書で作成するとより良いでしょう。

(2)離婚調停

当事者同士で合意ができなかった場合は、離婚調停へ進むことになります。
離婚調停は、家庭裁判所の調停室で、調停委員を介して進められます。
夫婦双方と、その間に調停委員が入る形で話し合いを行い、離婚に向けての協議を進めていく形です。

この離婚調停で、当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、原則として調停が成立したものとされます。この調書が、調停調書と呼ばれています。

その記載内容は、基本的に確定判決と同一の効力を有することとなるため、調停調書は、非常に重要な書面になります。
調停を経ても夫婦間の合意が得られない場合は、夫婦の一方から、裁判による離婚を請求することになります。基本的にいきなり裁判を起こすことはできず、まず先に調停を行うこととされています(調停前置主義)。

(3)離婚裁判

相手に離婚事由がある場合には裁判も可能です。
離婚事由は、先ほど説明した民法770条1項が定めています。
こういった事由が認められる場合に、家庭裁判所によって離婚判決が言い渡されることになります。

1号 不貞行為
2号 悪意の遺棄
3号 3年以上の生死不明
4号 回復の見込みがない強度の精神病
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

離婚裁判では、訴えを起こした方を「原告」、訴えられた方を「被告」と呼び、裁判の期日(口頭弁論期日)は第三者が傍聴できる法廷で行いますので、第三者が見ることができます。

離婚に向けて別居する際に気を付けること

別居の実績があると、結婚生活が破綻している証拠として認められるケースがあります。
また、別居は、期間等によっては民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性もあるため、離婚事由がない場合の解決策にもなりえます。
その場合には、悪意の遺棄に該当しないようにするなど、気を付けるべきことがあります。

(1)住民票の移動

住居が変わった場合には、住民票の移動が必要です。
DVがある場合には、移転先の自治体に相談することで、住所を秘匿してもらえる可能性があります。

(2)扶養義務を果たす

別居期間中も、結婚生活の維持の義務は消えません。
生活費の支払いを止められた場合には、調停を申し立てて生活費(婚姻費用)を請求することができます。

(3)共有財産を把握する

離婚成立時に適切な財産分与を行うために、事前に財産を把握しておくことが必要になってきます。
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産(共有財産)を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。
法律でも、離婚の際には、相手方に対し財産の分与を請求することができる(民法768条1項)という決まりがあります。
財産の所有名義が一方の配偶者である場合でも、もう一方の貢献があったとみなされれば、共有財産に該当すると考えられています。

(4)親権がほしい場合

浮気などの離婚事由がない場合には、別居をしなければ離婚の話が進まないケースもあります。

ただし、子どもと共に配偶者の同意なく別居することは、虐待など正当な理由がない限り後でトラブルが生じるおそれがあります。一方で、子どもを置いて別居してしまうと、子どもを実際に世話していない期間が生じますので、離婚時に親権者をどちらにするかの判断で不利な考慮要素となります。

最終的にどうするかは、自分で決断する必要があります。

【まとめ】配偶者から離婚の合意を得られない場合には、離婚したくても離婚できない可能性あり

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 配偶者から離婚の合意を得られない場合やあなた自身が離婚に至った責任がある場合(あなたが有責者である場合)には、離婚したくても離婚できない可能性があります。
  • 配偶者から離婚の合意が得られない場合(離婚の話し合いができない場合)には、家庭裁判所での調停や裁判を通じて離婚することになります。話し合いや調停でも合意できない場合には、(1)配偶者の不貞行為、(2)悪意の遺棄、(3)3年以上の生死不明、(4)強度の精神病、(5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由のいずれかの要件を満たす場合に、裁判で離婚が認められる可能性があります。
  • あなたが有責者の場合には、(1)長期の別居、(2)未成熟の子が存在しない、(3)相手方の配偶者が過酷状態にない、のすべての条件を満たす場合に、裁判で離婚が認められる可能性があります(話し合いや調停で離婚に合意した場合には離婚することは可能)。

今回の記事では、離婚したくても離婚できない理由と離婚する方法についてご説明しました。

離婚できずにお悩みの方は、離婚問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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