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離婚時夫が親権を獲得するためのポイントを解説

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親権とは、未成年の子が独立した社会人になれるように監護教育する「身上監護権」と、財産を維持管理するために父母に認められた「財産管理権」の、2つの権利義務のことを言います。
また、親権の行使に関しては、民法818条3項が規定しています。

親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

引用:民法818条3項

そこで、離婚後は、夫婦のどちらかが親権を与えられるかが決められなければならないことになります。

やはり、母親の方に親権を与えられるケースが多いのですが、父親側に親権が与えられるケースもないわけではありません。

父親が親権を得るにはどうすべきか、そうしたところを今回は解説していきます。

夫が親権を獲得しにくい理由

上記で述べたように、親権とは、「身上監護権」と、「財産管理権」の2つの権利義務から成り立っています。
身上監護権とは、子の監護及び教育をする権利のことです。

民法820条では、

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

引用:民法820条

と規定されています。

「監護」とは、身体上の監督保護をすることであり、「教育」とは、心の育成を図る教育を指します。
監護する上で欠かせないのが、子どもに関する身分上の行為を、子どもに代理して手続きを行うという行為です。

これらを特別な手続きなしで行える権利を、「身分行為の代理権」と呼びます。
また、未成年者が婚姻するときは親権者による同意が必須となりますが、同意する権利である「身分行為の同意権」も付随します。

また、財産管理権とは、子の財産の管理、その他の法律行為の代理及び同意する権利義務をいいます。

民法824条には、以下のような規定があります。

親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

引用:民法824条

つまり、財産管理権とは、子どもの財産について、財産の保存・利用・改良・処分といった管理を行う権利義務になります。
財産に関する契約など、法律行為を代理することができます。
子ども自身が財産を持っているケースは多くはありませんが、祖父母等からの贈与・相続により得られた財産などが、ここで想定されている「子の財産」にあたります。

これについて、親権者が代理人となって管理できるような定めができています。
ただし、その子どもの行為を目的とする債務が生じる場合は、本人の同意を得る必要があります。

さて、親権獲得の問題ですが、下記に挙げるような理由から、やはり、離婚時には母親の方が親権獲得に有利であるというイメージがあります。

(1)母性優先の原則

子どもにとって母親は不可欠であり、特に乳幼児の場合はそれが顕著であるという考え方があります。

それが、子の監護養育に関する考え方の一つであって、母性優先の原則というものになります。

これは、乳幼児については、母性によるきめ細やかな監護養育が不可欠であることから、特段の事情がない限り、母の監護養育にゆだねることが子の福祉に合致するという考え方です。

これまでは、父親は家の外で仕事をし、母親は家で子育てをする、という家庭が多かったことから、ほとんどの場合、母親が親権者とされていました。

現在でも、主として母親が子を監護している家庭は多いですが、価値観の多様化と共に、家庭のあり方も多様化しており、母性的な役割を持つ主たる監護者が父親である家庭も増えてきています。

そのため、親権者を父母のいずれとすべきかについては、必ずしも生物学上の母親を優先するのではなく、子の具体的な監護状況や子との精神的・情緒的な結びつきの程度などから、慎重に判断すべきであるとされています。

母性優先の原則とは、子の福祉の観点から、子どもは父親よりも母親と暮らした方が望ましいという一般原則です。

特に子どもが小さければ小さいほど、この原則が重視される傾向にあります。乳児(0歳)や幼児(1~5歳)であれば、なおさらです。

この判断基準によって、親権争いでは、一般的には母親よりも父親の方が不利になります。
しかし、親権争いに有利な母親であっても、常に親権が得られるとは限りません。

例えば、母親が何らかの理由で(病気、愛情の欠落、性格の問題等)子どもに対しこれまで母性的な関わりをしてこなかったのであれば、母親より母性的な関わりをしてきた父親が有利になるということもあります。

これ以外の原則は、父親だから有利、母親だから有利ということはありません。

(2)労働環境

男性の多くがフルタイムで働いており、労働時間が長いために、女性より育児に割ける時間が短い傾向があります。

参考:男女労働者それぞれの職業生活の動向│厚生労働省

(3)前例主義

判例の拘束力など、日本では前例に倣う風習があるため、母親を親権者とするケースが多いということになります。

夫が親権を獲得するためのポイント

昨今では、ライフワークバランスの考え方が広まったことから、子育てに主体的に参加する父親が増えたことや、長時間労働を行う女性が増えたことから、夫側が親権を獲得できるケースも以前と比較して増えてきています。

実際に親権を獲得するのに必要なのは、親権の適格性になってきます。

(1)監護能力及び実績

育児に積極的に関わってきた実績と、今後とも養育にしっかり関わっていく意欲及び能力が考慮されることになります。

日本では「育児は母親が行う」という先入観が強いため、夫側が育児に積極的に関わってきたことの立証が必要になっていきます。

子ども本人の意思の他、子育てに割ける時間、親族の協力、子どもの病気の時に柔軟に対応できることなどが考慮されます。

監護実績を証明する資料

以下のような資料が、監護状況の証拠となり得ます。
実際の育児を主体的に行うと同時に、これらの証拠を保全しておくと良いでしょう。

  • 母子健康手帳
    同居中の監護者がちゃんと予防接種等を受けさせていたか、月齢に応じた健診をちゃんと受けているか、その健診時に問題がなかったか、問題を指摘されていたなら、それに対応していたか等を確認するために提出します。

  • 診断書、お薬手帳
    子供の健康状態の確認、及び子供の健康状態が良くないのであれば適した医療を受けさせていたかの確認が可能です。

  • 保育園・幼稚園などとの連絡帳
  • 学校の成績通知表
    出席日数、休んだ場合の理由、子どもに関して気になるような内容の記載がないかの確認を行うことができます。
    連絡帳に関しては、送迎をどちらが行うかについても通常は記入欄があります。

  • 源泉徴収票、課税証明書
    経済面を中心として子どもとの生活状況を証明するものになります。監護実績以外にも、子どもを養う十分な経済力があるという証明にもつながることがあります。

  • 写真、動画、音声記録
  • 手紙、メール、SNSメッセージ記録
  • 子の監護に関する陳述書
    子どもの1日のスケジュール、そのスケジュールの中で誰がどう関わり合いを持っていたのか等を通じて、子の生活状況を把握することが可能です。親の生活状況(仕事をしているなら、子どもの監護が必要な時間帯に帰宅しているか等)、監護補助者が継続的に補助できるかなどの把握にも有効です。
    また、子どもとともに過ごした様子の記録や、子どもとの交信記録なども、子どもの監護を日ごろから多く受け持っていた事実の証拠となりえます。そうした事実に関する自分の思いを添えて記した陳述書も、有利な証拠となることがあります。

(2)子どもの意思

家事事件手続法152条2項により、子どもが15歳以上の場合は子どもの意向を聞くことが義務となっています。

1項 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
2項 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。

引用:家事事件手続法152条

1項 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
2項 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。

引用:家事事件手続法68条(陳述の聴取)

また、15歳未満の場合でも、子どもの意思表示がある場合は尊重されるケースがあります。

子どもが幼少であれば本人の意思より監護実績の方が重視される傾向にあるので、具体的に育児を主体的に行うと同時に、前項の証拠を確保しておくと良いでしょう。

(3)継続性の原則

子どもの生活環境がコロコロ変動してしまうのを避けるため、子どもの生活が落ち着いている場合は、同居している方が有利となります。

同居の他、引っ越しが不要など、子どもにとってこれまでと変わらない生活環境を用意できることが重要です。

継続性の原則の観点からとるべき行動

下記で挙げる面会交流権も、継続性の原則に関連してきます、

子どもが一緒に暮らさない方の親と面会し続ける権利が重視される

相手方との面会に協力的であったことで親権獲得に優位に働いた判例(仙台高裁:平成15年2月27日)もあります。

(4)経済的安定

経済的に豊かに生活ができることが、子どもの幸せにつながっていきます。

そのため、養育費や児童手当などの福祉的給付もふまえて、親権は考慮されることになります。

(5)面会交流圏への積極性

面会交流権は子どもにとっても重要な権利であり、それに協力的であることが有利に働くことになります。

親権獲得時に考慮されないポイント

親権獲得の決定の際には、判断のポイントになりそうな事柄でも直接考慮されない項目があります。

それが養育環境へ与える影響を立証することで、初めて考慮されることになります。

(1)離婚原因の有責性

不貞行為や暴力などが原因で離婚に至った場合でも、その行為自体は直接考慮されません。

不貞行為のために子どもを外出させたのか、子どもが出かけている時に外出したのか、子どもの見ている前で暴力があったのか、子どもがいない時に暴力があったのかなど、子どもへの影響が考慮されることになります。

子どもが暴力の被害を受けている場合や、DV加害者への拒否感を抱いている場合は、養育環境への影響があるとして直接的に不利になってしまいます。

(2)家事の実績

世間では「家事」と「育児」を一緒くたに考えることが多いですが、親権の判断では明確に分けられることになります。

料理や掃除などの家事放棄と、食事や身の回りの世話などの育児放棄は別物として扱われます。

ただし、子どもの食器を洗わない、不衛生な環境で生活させるなど、子どもの生活環境が脅かされるような状況の場合は、不利な要素となります。

【まとめ】親権トラブルでお悩みの方は弁護士にご相談ください

親権を夫側が獲得するケースも増えてきたとはいえ、母子優先の原則や社会全体の固定概念などの影響で、現在も親権獲得において母親に親権が認められるケースが多いです。

親権トラブルでお悩みの方は弁護士にご相談ください。

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