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偽装離婚とは?夫婦関係を偽る理由や想定されるリスクとは

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「偽装離婚」という言葉をニュースなどで聞いたことがあるかもしれません。
法律上離婚した夫婦が、離婚を偽装するとは、どういう意味なのでしょうか。
偽装離婚とは、何らかの目的で、法律上は離婚届を提出して離婚するけれども、夫婦関係は継続することをいいます。
今回の記事では、偽装離婚の詳しい意味、どのような理由で偽装離婚をするのか、偽装離婚のリスクなどについて詳しく説明します。

偽装離婚とは?

偽装離婚とは、法律上の定義はありませんが、一般的に、真実は夫婦としての実態を将来に向かって解消する意思がないのに、借金の取り立てから免れたりするなどの目的で、離婚届を提出して法律上の離婚をすることをいいます。
偽装離婚は、何らかの目的を達成するために離婚するものですので、夫婦の実態(夫婦仲や同居状態、生計が同一であるなどの状況)は、離婚後も変わらずに継続していたり、一定期間は解消するけれども後で復活させたりします。

夫婦関係は良好なのに偽装離婚を選ぶ理由

夫婦関係が良好であれば離婚の必要性はないと思われますが、なぜ偽装離婚をする人がいるのでしょうか。偽装離婚を選ぶ理由について詳しく解説します。

(1)生活保護費や児童扶養手当(母子手当)を受給するための偽装離婚

婚姻世帯よりも、離婚して独身となった方が、社会保障給付が得られやすい場合があります。
例えば、生活保護は、婚姻世帯だと夫婦それぞれの就労能力などを審査しますので、一方が働くのに支障がないのに働かないような場合には、一方が病気で働くことができなくても、世帯として生活保護を受け取ることができない可能性があります。
また、婚姻世帯で不動産などの資産を所有している場合にも、生活保護は受給できません。
夫婦の一方が働いていても一定の収入以下であれば、生活保護が受給できることがありますが、その場合、収入分は差し引かれて、差額を受給することになります。

したがって、法律上離婚して、独身となった方が、生活保護費の受給条件を満たしやすい場合があります。
また、子どもがいて離婚すると、子どもを養育している親は、児童扶養手当(母子手当)を受給することができます。また、母子家庭に対しては、就労支援など様々な公的な支援がありますので、そのような支援も利用することができます。

(2)財産を隠すための偽装離婚

多額の借金を抱えており自己破産をする場合や、債権者からの取り立てから免れたい場合などで、今保有している財産を隠すために偽装離婚をするケースがあります。
法律上離婚すれば、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分与することができますので、その財産分与制度を利用して、隠したい財産を一方の配偶者に移動するのです。

自己破産については、破産法について定められています。
自己破産は、債務者の債務を返済する義務を免責し、債権者にいわば「泣いてもらう」制度ですので、債務者の財産の有無や収入の使用方法などは厳格に審査されます。
また、債権者を害する目的で、財産を隠匿したりした場合には、免責不許可事由になりますので、免責が認められない可能性がありますし(破産法252条)、詐欺破産罪という犯罪に問われる可能性もあります(265条1項)。罰則は大変重く、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はこれらの罰則を共に課されることになります。

したがって、自己破産において、財産を隠すことを目的として偽装離婚することは大きなリスクを伴います。

(3)子どもを保育園に入れるための偽装離婚

ひとり親家庭には、自治体によって様々な公的支援があります。
ひとり親家庭の子が、より保育の必要性が高いものとして、認可保育園へ優先的に入れるようになっているのも、公的支援の一つです。
婚姻世帯であっても、夫婦共働きでなければ生計の維持が困難な家庭も多くあります。
しかしながら、待機児童の問題から、地域によっては子どもを預ける先がなく、あったとしても極めて高額の費用がかかったりして、子どもを預けられず、働きたくても働けない親がいます。
経済的な問題やキャリアの継続という観点から、子どもを預けて仕事をするために、偽装離婚をしてひとり親家庭となり、子どもの預け先を確保するという方がいます。

参考:保育所の入所等の選考の際における母子家庭等の取扱いについて|厚生労働省

(4)ロンダリング目的の偽装離婚

クレジットカードや消費者金融など複数の金融業者からお金を借りている多重債務者が、信用情報についての経歴をロンダリングするために偽装離婚をする場合があります。

マネー・ロンダリングという言葉は一般的に知られています。
これは「資金洗浄」という意味であり、不当な手段や犯罪により入手したお金を移動させることで、そのお金の入手手段をわからなくする(洗浄する)ことを指します。
多重債務においてロンダリングというときには、その債務を負った経歴を詐称するという意味合いで利用されています。

例えば、婚姻で姓を変えた妻が、信用情報からしてさらなる借入ができない場合に、偽装離婚をして姓を旧姓に戻した後、別人を装ってお金を借りるというようなケースが考えられます。

返済する意思も能力もなく借り入れをしたり、借り入れの際に重要な事実について虚偽の情報を伝えたりして、そのために金融業者が錯誤に陥って、金銭の貸し付けを行った場合には、刑法上の詐欺罪が成立する可能性があります(刑法246条1項)。詐欺罪の罰則は10年以下の懲役です。

偽装離婚がばれるきっかけは?

偽装離婚は、何らかの不正な目的を達成するための手段として利用されることが多いです。
したがって、通常、当事者は偽装離婚であることを第三者に把握されないように、夫婦の実体がないことを装いますが、次のようなことがきっかけとなり、第三者が偽装離婚であることに気づくことがあります。

(1)ケースワーカーや福祉関係の担当者の訪問や監視

偽装離婚後、生活保護を受給している場合、定期的に担当のケースワーカーが自宅を訪問し、生活状況などについて確認することになります。
ケースワーカーが、訪問時に洗濯物や生活用品などを見て、同居している人物がいることを把握し、調査を経て夫婦の実体があることに気づき、偽装離婚が発覚する場合があります。

また、偽装離婚後、児童扶養手当を受給している場合、公務員による調査や、元配偶者の自宅への出入りを不審に思った近隣住民の情報提供などから偽装離婚が発覚する場合があります。

(2)身近な人からの通報で偽装離婚が発覚

偽装離婚について、友人やママ友、パパ友、同僚などに話し、その人が役場に情報提供して発覚するケースもあります。
ある程度子供が大きくなると、子ども自身が、自分の家庭の状況について第三者に伝えることができますので、その情報が役場に提供されることもあります。
偽装離婚後ひとり親として、保育園入園申請し、入園した場合には、偽装離婚を疑った保育士や保護者から、役場に情報提供されることもあります。

偽装離婚を選択した場合に考えられるリスクとは

離婚は、形式的にでもいったん夫婦としての実体を解消するという意思が双方にあれば成立しますので、例えば不正に生活保護費を受給する目的で離婚届を提出しても、離婚自体は有効に成立します。
しかし、偽装離婚を利用して、何らかの公的な給付を受けたり、財産を隠したりすると、次のような様々なリスクがありますので、偽装離婚を利用して不正な目的を達成しようとするのは、厳に回避すべきといえます。

(1)不正受給がばれて生活保護や児童扶養手当(母子手当)を打ち切られる

同居して生計が同一であるという実態を隠して、不正に生活保護費や児童扶養手当を受給していた場合には、受給条件を満たしていないことになりますので、当然給付は打ち切られることになります。
また、過去受給していた生活保護費や児童扶養手当も、受給条件を満たしていなかったのに不正に受け取ったことになりますので、自治体からは返還を求められることになります(生活保護法63条・78条、児童扶養手当法23条)。
さらに、一度不正受給した経歴があると、その後本当に離婚して困窮した場合であっても、生活保護費などの公的援助の審査が事実上厳しくなる可能性があります。

(2)刑事罰に問われる可能性がある

偽装離婚を利用して、自己破産時に財産を隠すために配偶者に財産分与の形式で財産を譲渡する行為には、詐欺破産罪が成立する可能性があります。
また、不正に児童扶養手当を受給した場合には、3年以下又は30万円以下の罰金に処せられます(児童扶養手当法35条)。
このように、不正な手段で給付を受けたり、財産を隠したりする行為には、犯罪が成立し刑罰が課されるおそれがあります。

(3)偽装離婚で入園した保育園は退所しなければならない

保育園入所の申請書は、事実を記載しなければならず、虚偽の記載があったことが判明した場合には、事後的に入園許可が取り消されることがあります。
したがって、実態は婚姻世帯であるのに、偽装離婚でひとり親世帯であることを前提に申請書を記載して提出した場合には、不正に入所したものとして、退園せざるをえなくなるおそれがあります。
また、保育園は自宅近隣で選ぶことが多いので、退園の理由がうわさになってしまうなど、居住環境が悪化するおそれもあります。

(4)離婚を無効にはできない場合がある

離婚は、形式的にでも夫婦関係を解消する意思があれば成立しますので、不正な目的を有する偽装離婚であっても、離婚は有効に成立します。
したがって、偽装離婚後に、「離婚はなかったことにしたい」「また再婚するつもりであり夫婦関係を将来にわたって解消する意思はなかった」と思っても、いったんは夫婦関係を解消する意思があったのであれば、離婚は無効とはいえないと考えられます。
また、双方に法律婚を解消して事実婚(内縁関係)とする意思があった場合も、法律婚を解消するという意思は存在したのですから、やはり離婚を無効とすることは難しいでしょう。
ただし、離婚を無効とできなくても、再度同じ人物と再婚することは可能です。
前婚と同じ相手と再婚する場合には、女性側の再婚禁止期間(民法733条)の適用はありませんので、離婚後再婚禁止期間の経過を待たずに再婚することができます。

(5)配偶者に新しいパートナーができることがある

偽装離婚をする際、後に同一人同士で再婚を約束しているケースも多いのですが、確実に再婚できるとは限りません。
夫婦のどちらかが再婚する意思を失ったり、さらには他の者と再婚したりすることがあるためです。
「約束と違う」「前婚の離婚は無効だ」と思ったとしても、その当時双方に法律婚を解消する意思があった以上、前婚の離婚が無効になるとはいえないと考えられます。

(6)元配偶者が死亡すると引き渡した財産は返ってこない

再婚を約束して財産隠しのために偽装離婚し、配偶者に財産を引き渡したものの、再婚前に元夫婦のどちらか一方が死亡してしまう可能性があります。
法律上の婚姻関係にはありませんので、お互いにお互いの相続人となることはなく、相手方の財産を相続することはできません。
したがって、財産を取り戻したくても、引き渡した相手が死亡してしまった場合には、その相手が「財産につき元配偶者に対して遺贈する」旨の遺言を準備していない限り、財産を取り戻すことは困難です。

【まとめ】偽装離婚という選択をしないために!結婚生活の経済的な悩みは抱え込まず相談を

偽装離婚を利用して、財産隠しをしたり、公的な給付を受けたりする行為には、犯罪が成立し、刑事罰が課されるおそれがあります。
また、再婚する予定だったとしても、相手が心変わりして再婚できなくなる可能性もあります。
したがって、何らかの理由があったとしても、将来的にも夫婦関係を継続する意思があるのであれば、離婚を偽装することはやめた方がいいでしょう、
配偶者が多重債務者で生活できない、夫婦とも働けずに経済的に困っているというような場合には、債務整理という手段で借金を整理したり、自己破産で借金を清算する方法がありますし、婚姻世帯であっても生活保護費を受け取れるケースもあります。
借金の整理については弁護士に相談し、生活保護費については役場の担当窓口に相談することをお勧めします。

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