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決めておくべき3つの離婚条件は?後悔しない離婚のために必要なこと

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

耐えられない婚姻生活に終止符を打ち残りの人生を充実させたいと願うことは、とても前向きで素晴らしいことです。

とはいえ、離婚を焦るあまり大切なポイントを見過ごしてしまうと、離婚によって後悔することにもなりかねません。

離婚はゴールではなく、新たな人生への第一歩です。

新たな人生を悔いなく迎えるためも3つの離婚条件をきちんと決めておきましょう。

この記事では、決めておくべき次の離婚条件について弁護士がくわしく解説します。

  • 子供に関する条件
  • 財産や家計に関する条件
  • 慰謝料に関する条件
  • 離婚協議書の書き方
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚をする3つの方法(協議・調停・裁判)

離婚をする方法には、主に次の3つの方法があります。

  • 話し合いで離婚をする「協議離婚」
  • 裁判所での調停を通じて離婚する「調停離婚」
  • 裁判を通じて離婚をする「裁判離婚」

離婚をする夫婦の多くが話し合いによる「協議離婚」の方法で離婚をします。

しかし、配偶者との間で離婚や離婚条件に折り合いがつかない場合や配偶者と話し合うことが難しい場合は、裁判を通じて離婚をする「調停離婚」や「裁判離婚」の方法で離婚することになります。

あなたが離婚をする際に、どのような形で離婚をすることになるのかについて、あらかじめ見通しを立てておくと良いでしょう。

離婚の方法と種類、離婚までの流れについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

離婚方法の種類とは?調停・裁判離婚の手続きと離婚成立までの流れ

裁判離婚をするために必要となる離婚理由

離婚は、双方の合意ですることができます。

しかし、離婚に相手の同意が得られない場合でも、次の5つの離婚理由があると認められた場合には、相手が離婚を拒んでいても裁判離婚することができます(民法第770条1項各号)。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
    (例)配偶者に性的関係や肉体関係が伴う不倫をされたとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    (例)生活費を払ってくれない、理由なく家出を繰り返すなど
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    (例)配偶者が3年以上行方不明である(連絡も一切できない)
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    (例)配偶者がうつ病などの精神病にかかり、離婚後の配偶者の生活の見通しが立っている
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
    (例)別居期間が長期にわたる、暴行を受けている、長期間セックスレスなど

相手との同意による離婚の場合は、どんな離婚理由でも離婚することができます。

しかし、相手から離婚の同意を得ることが難しい場合には、裁判によって離婚することも見据えて、これらの離婚理由があるかどうかを確認し、証拠を集めておきましょう。

離婚条件をしっかり決めておく理由とは?

これまで紹介した3つの離婚方法のうち、どの方法で離婚する場合であっても、離婚条件をしっかり決めておくことは重要です。

なぜなら、「とにかく早く離婚したい」「裁判で争うのはイヤ」といった気持ちから離婚条件の取り決めをあいまいにしてしまったり、配偶者に対して負い目があるからと納得いかない合意を受けいれてしまった場合には、例えば次のような後悔をするかもしれないからです。

  1. 養育費を支払ってもらえない
  2. 子どもと会えない
  3. 夫婦の財産だったはずなのに分けてもらえない
  4. 慰謝料を支払ってもらえない

特に、養育費やお金のことは、きちんと話し合って決めておかないと、離婚後払ってくれなくなることが多いのが実情です。

また、子どもの面会交流についても最初は会わせてくれていても、途中から会わせなくなるケースも多くあります。

一度、納得できない条件で合意してしまうと、離婚後に話し合いをやり直して、覆すことは難しいです。後悔しない離婚のためには、離婚する際に、きっちりと離婚条件を話し合って決めておくことが重要です。

定めておくべき離婚条件|子ども

しっかりと決めておくべき離婚条件の一つ目は『子ども』についてです。

子どもについて話し合って決めておくべきことは次の3つです。

  1. 親権
  2. 養育費
  3. 面会交流

子どもの将来のために、この離婚条件はしっかり決めておく必要があります。

(1)親権

「親権」とは、未成年者の子どもを監護・養育し、子どもの財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことです。

離婚するまでは、夫婦が共同で親権を持つとされていました。しかし、離婚することで夫婦どちらが親権を持つのかを決めなければなりません。
夫婦の間に未成年の子どもがいる場合には、離婚の届出時に父母のどちらか一方を親権者として指定します。

離婚の際に役所に提出する離婚届には子供の親権者を記載する欄があり、夫婦に子供がいる場合はこの欄が埋まっていなければ届を受理してもらうことができません。

一度決めてしまった親権を覆すことはとても難しいといえます。将来的には親権を取り返すつもりで親権を一度相手に手渡してしまうと、親権を取り返すことができずに後悔してしまうこともあります。

離婚後どちらが親権を持つかは、基本的に父母の話し合いで決めます。しかし、話合いで決まらない場合には、調停や裁判で決めることになります。

親権について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

親権とは?知っておきたい基礎知識と親権者を定める判断基準

(2)養育費

親権を決めた後は、養育費をどうするかについて話し合って決めておくことも必要です。

「養育費」とは「子どもの監護や教育のために必要な費用」のことで、一般的に子どもと離れて暮らす親が子どもと暮らす親に支払うものです。

養育費の金額に決まりはなく、話し合いで自由に決めることができます。

離婚後に夫婦が離れてから話し合うことはとても難しいですので、離婚時にきちとんときめておくことが大事でしょう。

なお、裁判や調停では、「養育費算定表」と呼ばれる養育費の目安金額があります。話し合いでも「養育費算定表」を参考に養育費を決めると、養育費を支払う側にとっても養育費の金額に納得を得やすく、合意が成立しやすくなります。

養育費についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

養育費とは?支払期間や不払いへの対処法などを弁護士が解説

(3)面会交流

「面会交流」とは、子どもと一緒に暮らさない親が子どもに会ったり交流したりすることです。

面会交流の頻度や方法については、父母が子どものことを考えて話し合いで決めることになっています(民法第766条第1項)。

確かに、親権を獲得した側の親の気持ちとしては、相手に面会交流を認めたくないと考える方も当然いらっしゃると思います。

しかし、面会交流を認めることで、養育費を支払う側が子どもの成長を肌で感じる機会となりますし、親としての自覚を強めることにもなります。

一方、養育費をもらう側も養育費の支払いを受ける代わりに、面会交流を認めることで、養育費の支払いを促すことも出来ます。

面会交流は継続的な養育費の支払いを受けるためにもよい効果がありますので、そういった点からも面会交流はきちんと決めておくのがよいでしょう。

面会交流についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

決めておくべき離婚条件|財産や家計

しっかりと決めておく離婚条件の2つ目は『財産や家計に関すること』です。

財産や家計のことに関して話し合って決めておくべきことは次の4つです。

  1. 財産分与
  2. 年金分割
  3. 婚姻費用(婚姻中の生活費)
  4. 借金の清算

特にお金は、離婚後の生活の助けにもなるため、重要です。
離婚後の生活に備えて、しっかりお金は受けとっておきましょう。

(1)財産分与

「財産分与」とは、夫婦でこれまで築いてきた財産を二人で分けることです。

夫婦の共有名義になっている財産だけでなく、夫婦どちらか一方の名義の財産も対象に含まれます(例:夫婦どちらか名義の預貯金も原則分割対象になる)。

また、財産というと、お金をイメージするかもしれませんが、お金以外の次のような財産も対象となります。

  • 土地や建物などの不動産
  • 自動車
  • 家財道具(家具や日用品など)
  • 飼っているペット
  • 投資信託などの有価証券、各種会員権
  • 夫婦の一方の退職金 など

実際にどのくらいの割合で財産を分けるかについては、一般的に夫婦各々2分の1が原則であり、裁判例でも同様に判断されています。

専業主婦や専業主夫の場合でも2分の1ずつ分けるとされています。なぜなら家事労働によってもう一方の労働を支え夫婦の資産形成に貢献したと考えられているためです。

なお、話合いで2分の1ずつに関係なく自由に分けることもできます。

財産分与について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

(2)年金分割

離婚の際に話し合って決めておくべきことで忘れがちなのが「年金分割」です。

「年金分割」とは「結婚している期間に支払った保険料を夫婦が共同で納めたものとみなして、将来の年金額を計算する」というものです。

例えば、あなたが専業主婦だった場合で考えてみましょう。

婚姻期間、専業主婦であったあなた自身は年金の保険料を納めていません。そのため、離婚してしまうと、将来的に、あなたが専業主婦であった期間分の年金を受けとることができません。

しかし、年金分割制度を利用すると、夫が納めていた保険料の半分は専業主婦であるあなたが納めていたものと考えて、あなたが将来受けとる年金受給額を決められることになるのです。

つまり、専業主婦であったあなたが離婚したとしても、年金受給額が少なくなることなく、夫婦で納めた分を基礎として年金受給を受けることができるようになります。

年金分割をするためには、どの方法で年金分割をするかにもよりますが、手続きや話し合いが必要になります。

(3)婚姻費用

婚姻費用とは、簡単に言うと、婚姻期間中の生活費のことです。

離婚に関する話し合いや裁判所の手続きを行っている間であっても、法律上は夫婦であることにかわりありませんので、生活費を分担する義務があります。

また、仮に、別居している場合であっても、生活費は分担する義務があります。

そのため、離婚に関する話し合いをする期間(別居期間を含む)に相手が生活費を負担してくれない場合には、生活費の支払いについて求めることができます。

婚姻費用についてさらにくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

(4)借金の清算

財産分与の対象は、原則、借金といったマイナスの財産も含まれます。そのため、借金も2分の1とするのが原則になります。

例えば、夫婦の共同生活を営むために生じた借金である住宅ローンや車のローン、生活費のために借り入れた借金は財産分与の対象となります。

一方、もっぱら自分のために借り入れた個人的な借金であるパチンコやギャンブルのための借金は、財産分与の対象にはなりません。

借金が財産分与の対象になる場合は、プラスの財産(お金、不動産など)からマイナスの財産を差し引いた残額を分割することになります。

なお、住宅の価値よりもローンの残額の方が上回っているいわゆる「オーバーローン」の住宅の財産分与について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

離婚時にオーバーローンの住宅はどうなる?財産分与とそのポイント

決めておくべき離婚条件|慰謝料

しっかりと決めておくべき離婚条件の3つ目は『慰謝料に関すること』です。

そもそも、離婚原因が相手にある場合(例:不倫、DV、生活費を入れないなど)には、離婚慰謝料を請求することができます。

慰謝料とは、相手の加害行為によって生じた精神的苦痛を金銭に換算したもので、不法行為(民法第709条)に基づく賠償金として位置づけられています。

慰謝料金額は法律で決まっているわけではありません。ただ、裁判上では、例えば、不倫が原因で離婚した場合には、大体100万~300万円が相場とされています。

話合いでは、裁判上の相場を参考に、離婚に至った経緯や行為の悪質さなどを考慮して金額を決めることが多いです。

例えば、不倫が原因で離婚する場合には、次に挙げる要素を考慮して、金額を決めることになります。

  • 不倫の交際期間の長さ
  • 肉体関係・性的関係の回数
  • 婚姻期間の長さ
  • 子どもの有無 など

離婚を早くしたいという思いから、慰謝料は請求しないとされる方が多くいらっしゃいます。しかし、配偶者に精神的に傷つけられたまま終わるのでは、離婚後も心に深いキズを残します。離婚を機に心機一転したいと思われるのであれば、慰謝料請求をし、きちんと清算しておくことをおすすめします。

離婚慰謝料についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

離婚慰謝料の相場とは?慰謝料の決まり方と財産分与による解決法

離婚条件を決めることできた場合には離婚協議書の作成を

配偶者と話し合いをし、納得のできる離婚条件になった場合には、「離婚協議書」に話し合った離婚条件をまとめておきましょう。

口頭で合意すると、後から「そんな約束をした覚えはない」などと言い逃れされてしまうこともありますが、きちんと書面に残しておくことで、そのような言い逃れを防ぐことができます。

さらに、離婚協議書を「公正証書」にしておくと、トラブルを回避することができ、おすすめです。

離婚協議書は公正証書で作成するのがおすすめ

公正証書とは、公証役場で公証人により作成される公文書のことをいいます。

公正証書は、公文書として証明力・証拠力を備えた証書となるため、裁判になった場合には証拠として強い証明力を持ちます。

例えば、離婚後、「そんな約束はしていない」「離婚協議書は勝手に作られた(偽造された)」などと言われ、言い逃れしてくることがあります。

しかし、公正証書を作成しておくと、そんな言い逃れは通用しなくなります。

また、公正証書は公正役場で保管されることになりますので、捨てられて、話し合いをなかったことにされるということも防ぐことができます。

離婚協議書や公正証書についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

離婚協議書を作る時に知っておきたいポイントと公正証書にすべき理由を解説
公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

【まとめ】きちんと離婚条件を合意しておくことがトラブル回避の鍵

早く離婚を成立させ新しい人生の一歩を踏み出したい気持ちがあることと思います。
ですが、納得のいく離婚条件を配偶者と合意しておくことは、トラブルを避けるためにも重要です。
安易な妥協をしたり、決めるべき事項を曖昧にしたまま離婚に踏み出すことはリスクが高いと言えます。
離婚の際に決めておくべき離婚条件のチェックポイントに注意し、離婚協議書を作成しましょう。
また、離婚協議書は公正証書にしておくことも大切です。

ただ、離婚条件は相手との合意により決めるものですから、交渉がうまくいかないこともあることと思います。
離婚条件の交渉に不安のある方は離婚を取り扱う弁護士への相談をご検討ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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