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もし給料や預金が差し押さえられたら…差押えはいつまで続く?

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借金の返済や納税のお金のやり繰りが厳しくて、「払えなくなったら差押えを受けてしまうのでは?」と不安になったことはありませんか。

また、既に滞納してしまっている場合には、この不安は一層大きくなるのではないでしょうか。

この記事では、

  • 滞納から差押えに至るまでの流れ
  • 差押えを受ける可能性のある財産
  • 差押えを阻止する方法

について解説します。

滞納してから差押えに至るまでには、段階がある

差押えとは、貸主や役所といった債権者に債権を回収させるために、債務者の所有物や預金等の債権の自由な処分を禁じる法的手続です。

借金や養育費など、民法上の義務の不履行の場合には強制執行の一種として、公租公課の滞納の場合には滞納処分の一種としてなされます。

差押えが起こりうる場面ごとに、差押えまでの流れを説明します。

(1)借金の返済が滞っている場合

借金の返済が遅れ、差押えを受けるに至るまでの流れは一般的に次のようになります。

  • 催促や督促
    支払期日を過ぎてしまうと、まずは金融業者から早く支払うようにとの連絡が電話やハガキ等で来ます。

    また、返済が遅れると遅延損害金が発生します。この遅延損害金は、貸付契約において利息よりも高い金利に設定されていることが通常です。

  • 事故情報の登録
    催促等を受けても返済ができないまま日数が経過すると、金融業者は「延滞」の情報を信用情報機関に登録します(いわゆる事故情報)。

事故情報が登録されている間は、ローンを含む借入れや新しくクレジットカードを作る申込みや、第三者の保証人になること、持っているクレジットカードの更新が認められない可能性が高くなります。

カード等の申込みを受けた金融業者は、審査のために信用情報機関に申込者の信用情報を照会します。その際、事故情報があることで審査を通りにくくなってしまうためです。

事故情報や信用情報機関の仕組みについて、詳しくはこちらをご覧ください。

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  • 一括請求
    返済できない状況が続くと、「期限の利益」を喪失し、貸主である金融業者(場合によっては保証会社や債権回収業者)から一括請求を受けることとなります。 期限の利益とは、返済の期限を定めた場合、その期限になるまでは返済しなくてよい、というものです。分割払いをすることが定められていると、毎回の支払いについて、それぞれ返済期日になるまでは、返済しなくてよいということになります。そして、貸付の契約においては、契約の内容にもよりますが、一定の返済の遅れが生じたときには、期限の利益を喪失すると定められていることが多いため、返済が遅れていれば、期限の利益を喪失して、まだ期限になっていないものも含めて、一括請求を受けることとなってしまうのです。

  • 裁判所からの通知、差押え
    支払の催促や一括請求を受けても何も対応をしないでいると、借主からの任意の返済を期待できなくなった債権者は、差押え等の強制執行による債権回収を目指して裁判所での手続を開始します。

強制執行を行うためには「債務名義」というものが必要となりますが(民事執行法第22条)、「債務名義」の例として、確定判決や仮執行宣言付支払督促がありますので、強制執行を行いたい債権者は、これらを取得するために訴訟を提起したり、支払督促の申立てを行ったりすることになります。

通常の訴訟の場合、まず訴状が届きます。
そして、借主が答弁書を提出するなどの対応を何もしないでいると、裁判所は、債権者の主張する額の支払い義務があるものと認める判決が出ます。
債権者は、この判決に基づいて、裁判所に強制執行の申立てを行い、差押え等に至ります。

一方、支払督促とは通常の訴訟よりも簡便な手続で、期間内に異議を述べなければ訴訟よりも早期に差押えとなる可能性が高いものです。「支払督促」の送達を受けた日から2週間以内に異議を出さなければ、「仮執行宣言付支払督促」という書面が届きます。これを受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、「仮執行宣言付支払督促」が確定し、差押え等ができるようになります。

参照:簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか?|政府広報オンライン

なお、確定判決や仮執行宣言付支払督促などのような裁判の手続を経るもの以外であっても、強制執行を受ける可能性はあります。

たとえば、公正証書で養育費を支払う合意をし、かつ、養育費を支払わなかったときに強制執行を受けても異議はない、というような定めを置いている場合は、この公正証書によって、別途訴訟提起等を行わずに、強制執行を行うことができます(強制執行認諾文言付公正証書といい、強制執行を行うことができる「債務名義」とされています)。

(2)公租公課を滞納している場合

税金などの公租公課の支払いが遅れていて、役所が滞納処分として差押えを行う場合には裁判所での手続を経る必要はありません。

納税が遅れていると督促状が届きますが、この送付日から10日経過するまでに支払いがないと滞納処分としての差押えをしなければならないこととされています(国税徴収法第47条1項1号)。

差押えの前に何度か督促や差押予告通知がなされることもありますが、借金の場合よりも早期に差押えに至るリスクが高いことには注意が必要です。

国税以外の公租公課についても、法律により裁判所での手続なしに差押えが可能なことは同様です。

また、支払いが遅れるとその日数に応じて延滞税等も上乗せされ、支払うべき金額が増えます。

差押えを受ける可能性がある主な財産

差押えを受けることとなる財産は、主に

動産
  • 自動車など
不動産
  • 自宅や土地等
債権
  • 給料
  • 預金
  • 保険の解約返戻金等

です。
ここでは、給与と預金口座について差押えを受ける場合を説明します。

(1)給与

毎月の給与のみならず、ボーナスや退職金も差押えの対象となります。
もっとも、給与に対する差押えにおいて、全額を差押えすることを認めてしまうと生活できなくなってしまうため、一定の範囲は差し押さえることができず、債務者が受け取ることができるようになっています。

差し押さえられない範囲は、民間での借金などの通常の債務、養育費、公租公課の場合ごとに異なり、以下のようになっています。

(1-1)民間の借金などの通常の債務の場合

給料の4分の1が原則として差押えの上限で(民事執行法第152条1項)、残りの4分の3の給料は受け取ることができるのが原則です。

ただし、高額の給料を受け取っている人についてはより多く差押えを行っても差し支えないため、公租公課を差し引いた手取りの月給が44万円を超える場合には、33万円をオーバーした部分の金額全てを差し押さえてよいこととなっています(民事執行法施行令第2条1項1号)。

また、手取りの金額が少なく収入の4分の1を差し押さえられては生活が立ち行かなくなる場合には、「差押禁止債権の範囲変更申立」を債権差押命令を出した裁判所に対して行うことができます。

(1-2)養育費の場合

養育費の支払いが滞ったことによる給与差押えの場合、子供の養育のための費用として重視されることから、差押え可能な範囲は借金の場合よりも広く、原則として

  • 手取り金額の2分の1まで

が差押え可能です(民事執行法第152条3項)。
また、手取り金額が66万円を超える場合には33万円を超える部分の全額が差押え可能となります。

(1-3)公租公課の場合

差押え可能な金額は、国税徴収法や地方税法等によって算出されます。
国税の場合、差押え禁止の金額は公租公課や生活保障費等を差し引いて決まるのですが、生活保障費は生計が同じ人の人数から決まるため、一人暮らしの人の場合高額の差押えを受ける可能性があります。

(2)預金口座

預金口座への差押えがなされると、その時点での預金残高のうち、未払いの金額に満つるまでの全額が原則として差押え可能です。

例えば支払うべき金額が30万円で差押えの時口座に20万円あった場合には、20万円全額が差し押さえられることなります。

年金を受給する権利など、債務者の生活保障のために差押えが禁止されている債権であっても、口座に入金されるとそれはあくまで預金債権ということになるため、原則として差押え対象となります。

なお、預金口座への差押えがなされて以降に入金されたものは、差押えの対象とはなりません。

差押えはいつまで続く?

差押えは、強制執行や滞納処分時点で存する財産が対象となるのが原則です。

しかし、給与は将来にわたって継続的に支払われるものなので、例外的に差押えが継続的になされます。
この項目では、差押えがいつまで続くかを説明します。

(1)預金への差押えは、一度の債権差押命令につき一回限り

預金口座への差押えがなされたからといって、以後当然に差押えが継続するわけではありません。
強制執行や滞納処分一回につき差押えが行われるのは一回です。

もっとも、差押えしても完済に至らなかった場合には債権者が再度差押えのための手続を執る可能性があります。

(2)給与への差押えは、完済まで続く

給与など、債務者が継続的に支払いを受けることとなる債権については、差押え時点で滞納している金額全ての支払いが終わるまで差押えが継続することとなります。

また、養育費の場合は差押え時点で未払いとなっている金額のみならず、将来支払うべき金額についても一部差押え可能となっています(民事執行法第167条の16)。

(3)給与の差押えへの対処法?

給与の差押えを受けると、手取りの収入が減るため、差押え以前よりも家計のやり繰りが困難になります。

また、弁護士に債務整理を依頼したとしても、破産や民事再生の手続を行い、裁判所が開始決定を出す場合などを除き、既に行われている給与差押えを止めることができるわけではありません。

そのため、給与の差押えを受けるよりも前の段階で、なるべく早く、借金については弁護士に債務整理を相談し、公租公課については猶予や分納等を役所の窓口で相談することをお勧めします。

(4)弁護士に債務整理を依頼すると、借金の滞納が原因での差押えを事前回避できる可能性がある

借金返済については、弁護士に債務整理を依頼すると、次のようなメリットがあります。

  • 返済を求める催促がストップする
  • 債務整理を行うことで生活再建につなげられる

債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあり、借金返済の負担の減免を図ることができます。

それぞれの手続の概要について詳しくはこちらをご覧ください。

債務整理とは?利用したほうがよい状況や種類を解説

(4-1)催促のストップについて

債務整理の依頼を受けると、弁護士等は債権者に対して「受任通知」を送付します。

貸金業者や債権回収業者は、弁護士や司法書士から債務整理を行う旨の受任通知を受け取って以降は債務者への直接の連絡や取立てを正当な理由なく行ってはいけないこととされています(貸金業法第21条1項9号、債権管理回収業に関する特別措置法第18条8項)。

そのため、債務整理を依頼すれば、催促による精神的負担をなくすことができます。

もっとも、債権者は、受任通知を受け取ってからも裁判手続を執ることは可能なので、債務整理を依頼しただけで安心せず、遅れのないよう進めていきましょう。

(4-2)生活再建について

債務整理の手続により、借金返済の負担を軽減できる可能性があります。

そのため、返済のやり繰りが厳しく、利息しか返済できていなかったといった状況からの脱却や、家計の立て直しにつなげることができます。なお、公租公課や養育費の支払義務は、債務整理を行ってもなくすことはできません。

しかし、公租公課等の支払いのほかに借金の返済もあるという場合には、借金返済の負担を債務整理で見直すことによって、これらの支払いもよりしやすくなることを期待できます。

(5)個人再生や自己破産の手続を行う場合、借金の滞納が原因の差押えは、裁判所がこれらの手続開始の決定を出せばストップできる

裁判所が個人再生や自己破産の手続を開始する決定を出すと、それ以降、債権者は強制執行の申立てをすることができなくなり、また、既に給与差押えの手続をされている場合、手続は失効または中止します(破産法42条1・2項、民事再生法39条1項)。

また、個人再生や自己破産の申立て後は、開始決定が出る前でも、裁判所が必要と認めるときは、強制執行の中止命令を出すこともあります(破産法24条1項、民事再生法26条1項)。

すでに差押えが始まってしまっていなかったとしても、中止や失効の効果を得るために早急な申立てを目指すこととなります。

【まとめ】給与や預金への差押えを受けるより前に家計を立て直すことがおすすめ

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 借金返済の滞納の場合、まずは催促が来て、それでも支払えないと一括請求を受け、裁判所からの通知に対応しないでいると差押えという流れになるのが一般的。
    一方、税金や養育費の未払いの場合、借金の以上に早期に差押えが起こる可能性がある。
  • 給与への差押えは、生活のための差押禁止部分があるが、税金や養育費の場合借金の場合よりも差押え可能な金額が高くなる。また、原則として未払い額がなくなるまで差押えが継続する。
  • 預金口座への差押えは未払い額の限度で、口座に入っている全額が差押え対象となる。また、一度につき一回きりで継続しないが、未払い額がなくなるまで繰り返しなされる場合がある。
  • 差押えを回避するためには、早期に債務整理を行い家計を立て直す必要がある。

借金の負担があって、差押えを受けるのではないか不安になるような状況から脱却するには、家計を立て直すため、適切な債務整理を行うことがお勧めです。

借金の返済について不安のある方はアディーレ法律事務所にご相談ください。