「国民年金を滞納していたら、『特別催告状』が届いたけど、これはどういうものなんだろう?」
国民年金保険料を滞納していると、日本年金機構から「特別催告状」が届きます。
さらに、特別催告状が届いても年金保険料を滞納したまま放置していると、いずれ預金や給料などの財産を差押えられてしまう可能性があります。
しかし、特別催告状が届いてからでもきちんと対処することで、差押えを回避できる可能性はあります。
国民年金保険料の納付は、免除や猶予の制度を利用できる場合もあります。
また、免除や猶予の制度を利用できない場合でも、分納(分割払)にできる可能性があります。
年金が支払えずに滞納しているという方は、そのままにせず、何かできることはないかご確認ください。
この記事を読んでわかること
- 特別催告状とは?
- 支払わないまま放置はダメ!差押えに至るまでの流れ
- 国民年金保険料を滞納するデメリット
- 国民年金保険料が支払えないときの対処法
ここを押さえればOK!
免除や猶予の制度を利用できる場合もありますし、分割払いの相談に応じてもらえるかもしれません。
借金があるケースでは、債務整理すれば借金の負担を軽減できる可能性もあります。特別催告状を放置せずに早めに対処することが重要です。
債務整理に関するご相談は何度でも無料!

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意
国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
特別催告状とは?
特別催告状とは、国民年金保険料を滞納していると、日本年金機構から届く封書の請求書です。
2022年度は、特別催告状が約972万7000件も発送されています。
滞納すると突然特別催告状が送られてくるわけではありません。滞納していると、まずは未納となっている保険料の支払いを求める圧着はがきが届きます。
それでも支払わないで、未納期間が4ヶ月以上になると、特別催告状が届きます。それでも放置していると、2回目3回目と複数回、特別催告状が届きます。特別催告状封筒の色は、信号のように「青→黄→赤」と変化していきます。封筒の色で、緊急性が分かるようになっているのです。
赤色の封筒で届いた特別催告状には、「このまま滞納が続くと財産の差押え準備に入る」という内容が記載されています。
この赤色の特別催告状を放置してしまうと、実際に差押えを受けるおそれがあります。年金を滞納して特別催告状が届いた場合、早急に支払うか、支払えないのであれば免除などを受けられないか検討する必要があります。

支払わないまま放置はダメ!差押えに至るまでの流れ
特別催告状が届いたからって、本当に差押えされることはないのでは?
日本年金機構は、国民年金保険料の滞納については厳しい姿勢をとっています。控除後所得300万円以上で未納期間が7ヶ月を超えると、原則として差押えの対象としていますので、当てはまる方は、支払わずに放置していると差押えの可能性が高いです。
特別催告状を放置して年金を滞納し続けた場合、差押えに至るまでは次のような流れになります。
最終催告状が届く
督促状が届く
差押予告通知書が届く
差押え
(1)最終催告状が届く
赤色の特別催告状が届いた後も支払わずに放置していると、「最終催告状」と書かれた封書が届きます。
2022年は、約18万9000件送付されています。
最終催告状には、納付書が同封されており、主に次のようなことが書かれています。
- 滞納分全額を指定期日までに納付すること
- 納付されなかった場合、差し押さえに移ること など
(2)督促状が届く
最終催告状で指定された期日までに対処せずにいると、「督促状」が届きます。
2022年は、約13万3000件送付されています。
督促状で指定された期日までに納付しないと、遅れた日数分(※)の延滞金が発生します。
延滞金の年利は、基本的に3ヶ月以上遅れると上がるようになっています。
※遅れた日数は、「もともとの年金保険料の納付期限の翌日から、実際に納付した日の前日まで」の日数です。
(3)差押予告通知書が届く
督促状が届いても何ら対処せずにいると、日本年金機構は財産調査を行い、「差押予告通知書」を送付します。
差押予告通知書は、差押え前の最後の通知です。これ以降、差押えに関する予告はありません。
差押予告通知書で指定された期日までに対処しないと、差押えに至ります。
(4)差押えが実行される
差押えは、具体的な日時を事前に通知されることなく行われます。
2022年度に実施された差押えは、1万2784件です。
2020年度、2021年度は新型コロナウィルスの影響が考慮され、差押えは50件未満でしたが、2022年度からは徴収が強化されています。
差押えの対象となるのは、年金を未納した本人の財産だけではなく、本人の配偶者や世帯主の財産も含まれますので(国民年金法88条2項、3項)、注意が必要です。
国民年金保険料を滞納するデメリット
国民年金保険料を滞納していると、差押えを受けるほかにもデメリットがあります。
(1)将来の年金受給への影響
国民年金を受給するためには、保険料を納付していた期間や加入者であった期間などの合計が、一定年数以上あることを要します(受給資格期間、基本的には10年間)。
そのため、保険料を滞納している期間が長いと、将来年金を受け取れなくなってしまう可能性があります。
受給資格期間の要件を充たしていて、受給自体はできる場合でも、年金を滞納していると、未納期間の分だけ将来受け取れる年金の額が減ってしまいます。
(2)年金以外の補償を受けられないことも
「国民年金」で受け取ることのできる年金は、主に次の3つです。
- 老齢基礎年金
国民年金保険料を10年以上納付した方が、65歳から受け取ることのできる年金 - 障害基礎年金
一定のケガや病気が原因で障害が残った場合のための年金 - 遺族基礎年金
国民年金に加入していた人や受給資格期間が25年以上ある人が亡くなった際の、遺族のための年金。原則として子のある配偶者と子(子とは、18歳になった年度の3月31日まで)が支給対象です。
未納期間が長いと、将来もらえる年金に影響するだけではなく、困ったときに生活を助けてくれる障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れなくなってしまう可能性があるのです。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
参考:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
国民年金保険料が支払えないときの対処法

(1)免除・猶予の制度を利用できないか確認
納付を行うべき本人や配偶者、世帯主の前年所得が一定額以下の場合などには、国民年金保険料の納付の一部又は全部免除を受けられる場合があります。
※免除を受けた割合に応じて、老齢基礎年金の額が減少することにはご注意ください(受給資格期間にはカウントされます)。
他にも、状況に応じた様々な免除・猶予制度があります。詳しくは、年金事務所や、ねんきんダイヤル(日本年金機構の電話相談窓口)に問い合わせて、あなたの支払えない状況を伝えたうえで、利用できる制度があるかどうか相談してみるとよいでしょう。
国民年金保険料の支払が免除される収入や、他の免除・猶予制度について詳しくはこちらの記事をご確認ください。
(2)分納(分割払)できないか相談
免除・猶予の制度が利用できなくても、一括納付が困難な場合には分納(分割払)にできる可能性があります。
特別催告状が届いた段階では、まだ差押えの段階に入っておらず、分割払に応じてもらえる可能性があります。
滞納分の一括納付が難しい場合には、分割払にできないか年金事務所などで相談するとよいでしょう。ただし、必ずしも分割払いに応じてもらえるわけではないことには、注意が必要です。
国民年金保険料の分割払いについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
(3)借金があるケースでは債務整理を検討

国民年金保険料の未納分は、債務整理して減らすことはできません。
しかし、借金を債務整理して、借金返済の負担を軽くすることができれば、国民年金保険料を支払えるようになる可能性があります。
債務整理には、次のように任意整理、個人再生、個人破産の3つの種類がありますが、どの債務整理が最適なのかは、借金額や収入などで人によって異なります。
債務整理に詳しい弁護士に相談して、自身の状況に適した手続を選択することをおすすめします。
(3-1)自己破産
収入や財産からは借金を支払えない場合に、裁判所から免責許可決定を得て原則全ての負債の支払を免除してもらうことを目指す手続きです(税金など、一定の支払義務は免責許可決定が出ても残ります)。
一定の財産は原則として処分されるなど注意点はありますが、3つの手続の中で、最も返済の負担を軽くできる可能性があります。す。
(3-2)任意整理
支払過ぎた利息がないか、負債の額を再計算します。
また、残った負債について数年間での長期分割払や将来利息のカットなどを目指し、個々の債権者と交渉します。
(3-3)個人再生
負債を支払えなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所の認可を得た上で、法律に基づき決まった額を原則として3年間で分割して支払っていく手続きです。
ケースにもよりますが、任意整理よりも大幅に総支払額を減らせることもあります。
また、条件を充たしていれば、住宅ローンの残っている自宅を手放さずに済む可能性があります。

【まとめ】特別催告状を放置すると財産が差押えられるおそれあり!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 「特別催告状」とは、国民年金保険料を納付せずにいると、催告状の次に届くもの。
- 特別催告状に対処せずにいると、財産が差押えられるおそれがある。
- 国民年金保険料を滞納していると、差押えのほか、老齢基礎年金が受け取れない、減額される、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れないというデメリットが生じるおそれがある。
国民年金保険料が支払えないときは、免除・猶予の制度が利用できないか、分納(分割払)できないか、窓口で相談する。借金があるケースでは、債務整理を検討する。
特別催告状が届いてお困りの方は、放置せずに、年金事務所や「ねんきんダイヤル」などの窓口でご相談ください。
また、借金があるケースでは、債務整理をして借金の負担を軽減できないかを検討するとよいでしょう。債務整理をしても、保険料の未納分は減額されませんが、借金の返済負担を軽くすることで、滞納を解消できる場合があるからです。
アディーレ法律事務所では、任意整理、個人再生、自己破産の債務整理についてのご相談は何度でも無料です。
そして、所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払金返還請求の手続きの場合は、原則として過払金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2025年1月時点)
債務整理についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
