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離婚の調停調書とは?公正証書との違いや確認すべきポイントを解説

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夫婦間の話し合いによって離婚する場合を協議離婚と呼びますが、話し合いで合意できない場合には、調停離婚の手続きへ移ることになります。この手続きの中で、家庭裁判所の調停室で、夫婦双方と、調停委員で話し合いを行うことを、離婚調停と呼んでいます。
この離婚調停で、当事者間に合意が成立し、調停機関がその合意を相当と認めて、これを調書に記載したときは、原則として調停が成立したものとされます。この調書が、調停調書と呼ばれています。
そして、その記載は、訴訟事項については確定判決と同一の効力を有することとなります。
このように、調停調書は、非常に重要な書面になります。
今回は、その内容、書き方などについて、解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

調停調書とは?

まず調停調書(離婚調停調書)とはどのような文書か、以下で解説します。

(1)調停調書は調停での合意内容をまとめた文書

調停調書は、調停成立時に作成されるもので、当事者同士が話し合って合意した内容が記載されています。
離婚調停の成立時には、原則として(DV等のおそれがない場合)、申立人・相手方・調停委員会が一堂に会して、調停調書に記載する合意内容を確認することになります。
合意内容が読み上げられ、当事者がその内容に間違いがないかを確認し、異論がなければ離婚調停が成立し、後日裁判所で調停調書が完成して、当事者へ郵送されるという流れになります。

(2)調停調書の効力

調停調書には、判決と同じ効力があります。
調停調書作成後には不服を申立てることはできず、内容の変更も簡単ではないので、調停調書の内容に誤りや記入漏れがないかしっかり確認する必要があります。したがって、内容に納得できないなら合意すべきではありません。

調停調書に記載されている合意内容が守られない場合には、権利者側が申立てることで、調停調書に執行文を付けて強制執行を行うことが可能です。

強制執行とは、勝訴判決を得たり、相手方との間で和解が成立したにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれなかったり、建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に、相手方に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。

執行文とは、強制執行を行うことができる効力(執行力)があることを公的に証明する文書のことをいいます。
この執行文をもらうためには、家庭裁判所に対し、執行文付与の申立てという手続きを行うことになります。

調停調書と混同されやすい文書

調停調書と間違えられやすい文書に、公正証書と和解文書があります。
それぞれの違いを、下記で解説します。

(1)公正証書

公正証書とは、公証役場の公証人が作成する公文書のことをいいます。
一方、調停調書は、裁判所が作成するものになります。

公証人とは、公証役場で事実や行為などの証明・認証を行う公務員のことです。
公証役場は、全国に約300ヶ所ある、法務局の管轄する公の機関です。

協議離婚(調停や裁判によらない、話し合いによる離婚)の際には、2人で決めた離婚条件を記した「離婚協議書」を作り、それを公正証書にすることができます。
それに対して、調停調書は、離婚調停で離婚する際に作成するものになります。

調停離婚は、家庭裁判所が関与して当事者間で離婚の合意がまとまると離婚が成立する手続きをいいます。これに対し、裁判上の離婚は、夫婦一方からの離婚請求によって裁判所が離婚を認める手続きになります。

(2)和解調書

和解調書とは、離婚裁判となり、裁判上の和解が成立したときに作成されるものです。
それに対して、調停調書は、離婚調停で離婚する際に作成するものです。

離婚の条件が夫婦間の協議でも解決できなかったとき、裁判で離婚するかどうかや離婚条件を決めることができます。

離婚裁判では、裁判所の判決を受けることもできますが、裁判の途中で双方が歩み寄って和解をすることも可能です。このときに和解調書が作られます。

調停調書と、和解調書は、ほぼ同じ効力を有しています。

調停調書の内容で特に確認すべき6つのポイント

調停調書には、当事者同士が話し合って合意した内容がそのまま記載されていますが、絶対に間違いがない内容であるとは限りません。

調停調書の内容はどの箇所もしっかり確認すべきですが、特に慎重に確認すべきポイント6つを以下で解説します。

(1)離婚の形態

調停離婚なのか、離婚届提出なのかという事実を記載します。
調停離婚は、調停が成立した瞬間に離婚が成立し、あとで役所に戸籍上の届出(報告的届出)をします。調停調書には、「申立人と相手方は、本日、調停離婚をする」と記載されます。
離婚届提出は、調停の場で離婚届を作成し、申立人または相手方がその離婚届を役所に届け出るという形になります。離婚届が役所に受理されるまでは離婚が成立しません。この場合、調停で離婚したという記録が戸籍に残りません。

(2)離婚届出義務者

離婚届の提出で離婚を成立させる場合、申立人と相手方のうちどちらに離婚届を提出する義務があるかということを記載します。
一般的には、「姓の変更」や「本籍地」を決める妻側が離婚届を提出するケースが多いです。夫が提出する場合、妻へその都度問い合わせなければならないからです。
この離婚届出提出義務者がきちんと離婚届を提出しなければ、いつまで経っても離婚が成立しません。
相手方が離婚届を提出してくれないおそれがあるときは、相手方に離婚届を委ねないことが大切です。

(3)財産分与について

離婚調停で財産分与について取り決めた場合は、金額や支払い方法などがきちんと記載されているか、間違いがないかなどを確認しておきましょう。
金額の支払いを受ける場合、一番確実なのは、調停の席で一括してお金を受け取る方法です。
あとで受け取る場合や分割で受け取る場合、約束通り支払わなかった場合には強制執行することになります。
約束通り支払わなかった場合のペナルティ(遅延損害金など)を定めておくことも検討しておきましょう。

不動産や自動車などを受け取る場合、通常は調停調書だけで名義変更できますが、内容によっては相手方の協力がないと名義を変えられないこともあるため、この点も確認しておきましょう。

生命保険や学資保険を受け取る場合、通常は調停調書だけでは契約者を切り替えてもらえないので、「名義変更の手続きに協力する」などの条項を入れる方がよいでしょう。
なお、調停の席や期日間に保険の名義変更書類を作成してもらう方法もあります。

弁護士が代理人になっていると、スムーズにやり取りしやすいです。

(4)慰謝料について

財産分与と同様に、金額や支払い方法をしっかり確認しておきましょう。
約束通り支払わなかった場合のペナルティを記載しておくことも有効です。

(5)養育費について

子どもがいる場合には、養育費も重要な項目です。
養育費については、金額、支払い方法、いつまで支払ってもらうかなどを確認しておくべきです。
養育費は、未払いや滞納も多いお金です。調停調書の内容が強制執行の内容に重要になりますので、子どもの未来のためにも、特に慎重にチェックしておきましょう。

(6)親権や面会交流について

「どちらを親権者とするのか」が間違っていないか、面会交流の内容は取り決めたどおりになっているか、しっかりと確認しておきましょう。
面会交流の約束が守られなかった場合には、「間接強制」という対処法を取ることがあります。これは、相手方に制裁金を課す方法です。
この対処法を可能にするには、面会交流の日時や頻度などを詳しく決めておかなければなりません。

調停が成立し、調停調書が作成されたあとの流れ

調停調書が作成されたあとの流れを、下記で解説します。

(1)調停調書の謄本を請求する

調停調書の謄本(または省略謄本)を請求して交付してもらいます。
※これは、この謄本を添えて離婚届を提出する必要があるためです。
調停証書の謄本の申請方法には、郵送で申請する方法(郵送申請)と、裁判所に足を運んで申請する方法(来庁申請)があります。

調停が成立したら、引き続いて書記官室に行って謄本申請するのが通常です。帰宅前に申請書を提出して帰れば、2、3日で郵送してもらえます。
こうしておけば、わざわざ後日に裁判所へ出向いたりホームページからダウンロードして郵送したりする必要がありません。

(2)調停証書の謄本と併せて離婚届を提出

調停調書の謄本と離婚届を役所に提出します。
この際には、夫婦の本籍地または所在地の市区町村役場に提出することになります。
本籍地以外の役場に提出する場合には、戸籍謄本も提出します。

離婚届は、離婚調停の成立した日を含めて10日以内に提出します。
10日を過ぎると、5万円以下の過料が課されてしまいます。

こんなときどうする?調停調書に関してよくある困りごと

調停調書に関連した困りごとのうち、よくあるものを下記で解説します。

(1)調停調書の謄本が届かない

調停調書の謄本の交付を郵送で申請した場合、通常は申請してから2、3日で届けられます。
5日ほど待っても届かない場合は、申請先の家庭裁判所に問い合わせるほうがよいでしょう。このようなケースでは、離婚届の提出期限を過ぎても過料に処せられる可能性が低いです。

(2)調停調書の内容を相手が守ってくれない

調停で取り決めて調停調書に記載した約束を相手方が守らない場合、対処の選択肢として、「履行勧告」と「強制執行」という方法があります。
履行勧告とは、裁判所が調停調書の内容を守るよう無料で相手に注意してくれるもので、金銭問題以外にもつかえますが、強制力はありません。
履行勧告でも相手が約束を守らない場合は、強制執行に踏み切ることになります。
強制執行には、相手の給与や銀行口座を差し押さえる直接強制と、制裁金を課して警告する間接強制があります。
直接強制するケースは、お金や不動産といったケースです。
間接強制するケースは、面会などになります。

(3)調停調書の内容を変更してほしい

「計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるとき」(家事事件手続法269条1項)に限って、家庭裁判所の更正決定によって調停調書の内容を変更することが可能となります。
調停調書の内容の変更は非常に困難なので、よく確認をしてから合意することが大切です。
ただし、調停で決めた内容について双方が話し合って合意し、変更内容を公正証書に記載することで、たとえば養育費などの条件を変更することが可能となります。
話し合いがまとまらない場合は、再び調停を利用することも1つの手段です。

(4)DVの不安があり、調停調書に現住所を載せたくない

相手がDV加害者である場合などに現住所などの情報が知られることを防ぐため、家庭裁判所に「秘匿申出」をすることができます。
また、家庭裁判所に提出する書面は、事件記録に綴じられ、相手はこの記録を閲覧謄写できるので、提出する書類に住所などの隠したい情報を記載しないように気をつけましょう。

(5)調停調書を再発行してほしい

以下の文書は再発行が可能です。

  • 調停で合意が成立した場合の合意の内容を記載した調書の正本、謄本または抄本
  • 調停が不成立だった場合の、事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本または抄本

また、取下げにより終了した事件の記録の閲覧または謄写、その正本・謄本・抄本の交付については、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

正本とは、原本(文書の作成名義人が作成したオリジナルの文書)の写しのうち、公証権限のある者が作成したものをいいます。法令によって、原本と同じ効力を与えられています。
謄本とは、原本の記載内容の全部の写しのことをいいます。
抄本とは、原本の記載内容の一部の写しのことをいいます。

【まとめ】調停調書については弁護士へのご相談をすすめします

調停調書は判決と同じ効力を持つ重要な文書であり、あとから内容を変更することが難しいので、きちんと内容を確認することが大切です。

適切な内容になっているかを確認するには専門知識が必要です。また、専門家に依頼すれば調停を有利に進められることになります。

調停調書については、弁護士に相談しましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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