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母子家庭で生活費が苦しいときに検討すべき2つのポイント

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母子家庭の貧困は、現代において、大きな社会問題の1つとなっています。

「子どもにはできる限りのことをしてあげたい」とはすべての親が思うところでしょう。
しかし、母子家庭で、生活費が苦しい場合には、子どもの健全な成長を支えることのできる最低限の環境づくりさえできなくなってしまうことがあります。

そうした苦しい状況を抜け出す、あるいは状況を少しでも改善させるための方法が、まったくないというわけではありません。

母子家庭の貧困問題を解決、改善するにはどうしたらいいか、どこに着目してどういう方法を取るのがより効果的なのか。今回はそうした点について、2つのポイントを中心に解説していきます。

経済的余裕がない母子家庭は少なくない

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」の「調査時点における親の就業状況」によると、母子家庭の母親の平均年収は243万円となっています。これは、養育費や児童手当等も含めた総額で計算されています。
母親の就労年収に限ると200万円です。

一方で、同年の父子家庭の平均年収は420万円です。

子持ち世帯の平均所得が約707万円であることを踏まえると、母子家庭は、相対的に経済的な余裕がないことが窺えます。

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告│厚生労働省
参考:平成28年国民生活基礎調査 各種世帯の所得等の状況│厚生労働省

(1)母子家庭になった理由の89%は、「離婚」か「未婚の母」

2015年のデータでは、母子家庭のうち79.9%(1464分の1170)は、離婚を理由に母子家庭になっており、母の平均年間就労収入は200万円となっています。

参考:平成27年の母子家庭の年間収入状況(P.1)│厚生労働省

また、母子家庭のうち9.1%(1464分の133)は、いわゆる「未婚の母」で母子家庭になっており、母の平均年間就労年収(母子世帯の母自身の年間就労収入)は177万円となっています。

参考:母子世帯の母の年間就労収入の構成割合(P.2)│厚生労働省

(2)経済的余裕がない母子家庭が多い理由

経済的余裕がない母子家庭が多い代表的な理由としては、次の3点が挙げられます。

  • 母親が1人で生計を担っているケースが多い
  • 母親が就労可能な時間に限界があり、従事できる仕事の選択肢が狭まってしまう
  • 養育費が支払われていない母子家庭が多い(そもそも養育費の取り決めをしていないケース、養育費の取り決めをしても支払いが継続されていないケースの両方があります)

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

シングルマザーの貧困化|母子世帯の現状や受けられる支援について

母子家庭で生活費が苦しいときに検討すべきこと(1)養育費の請求

母子家庭になった理由が「離婚」や「未婚の母」である場合、子どもの実父が生きていれば、子どもを監護養育している母親は、実父に対して、監護養育にかかる費用としての養育費を請求することができます。

しかし、厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」の「養育費の状況」によると、「離婚」や「未婚の母」による母子家庭の54.2%は、養育費の取り決めをしていません。

また、「現在も養育費を受けている」と回答しているのは24.3%、養育費の取り決めをしている世帯であっても53.3%にとどまっており、取り決めをしていても支払われていない家庭も多いのが現状です。

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告│厚生労働省

養育費の具体的な請求手続きについては、スムーズかつ確実に対応できるように、弁護士に相談や依頼をして、具体的なアドバイスを受けることをおすすめします。

(1)養育費を支払うのは、親の義務

離婚によって親権や監護権を失ったとしても、子どもの親であることに変わりはない以上、法律上の扶養義務は継続します。
民法877条1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定していますから、親権者でなくなったとしても、親は、子どもに対する扶養義務を依然として負っているのです。

「未婚の母」として母子家庭となったケースでも、父が、自分の子であると認知すれば(民法779条)、子どもとの間には法律上の親子関係が生じます。したがって、その場合は、「未婚の父」も、親として自らの子どもを扶養する義務を当然に負うこととなります。

子どもを養育するには相応の費用がかかります。子供を養育していない父親も、子どもに対する扶養義務を母親と同順位で負っている以上、子どもの養育にかかる費用を負担する義務があります。
その義務を果たすために、父親から実際に養育している母親に対して支払われるのが、養育費ということになります。

すなわち、養育費の支払いは、その子どもの親である以上、当然に果たすべき義務なのです。

なお、親が子どもに対して負う扶養義務は、子どもが生きていくための最低限度の生活を保障する「生活扶助義務」ではなく、自分と同程度の生活水準で未成年の子どもに保障する「生活保持義務」であると言われています。

この点に関して、大阪高裁判決平成6年4月19日は、「親の未成熟子に対する扶養義務は、親に存する余力の範囲内で行えば足りるようないわゆる生活扶助義務ではなく、いわば一椀の飯も分かち合うという性質のものであり、親は子に対して自己と同程度の生活を常にさせるべきいわゆる生活保持義務なのである。」と述べています。

(2)まずは父親に連絡し、養育費の支払い義務があることを伝える

まずは父親に、養育費を支払うことは親としての義務であることを伝えましょう。

父親が養育費の支払いに応じない場合は、弁護士に相談するのもおすすめです。

未婚で父親が子どもを認知していない場合、法律上父子関係が認められないため裁判所を通した養育費の請求はできません。ただし、父親が子どもを自分の子であると認めているものの様々な事情から認知ができない場合には、父親が養育費の支払いに応じてくれるケースもあります。

(3)養育費を請求する(養育費について公正証書を作成している場合)

強制執行認諾条項付きの公正証書で養育費の取り決めを行なっていれば、その公正証書を債務名義として、相手の財産の差押命令を申立てることができます。

公正証書とは、公証人(事実や契約行為などの証明や認証を公証役場で行う公務員)が作成する公的な文書のことをいいます。
公正証書は通常の契約書よりも証明力が高く、トラブルになったときには有力な証拠となります。

また、「強制執行認諾条項」とは、「期限内に返済をしなければ、債務者は強制執行を受けることを認諾する」という趣旨の条項のことです。公正証書にこの条項が記載されていれば、時間や費用のかかる訴訟プロセスを経ることなく、いきなり強制執行を申立てることができます。
したがって、公正証書にこの条項を記載することはとても重要です。

強制執行は、勝訴判決を得たり、相手方との間で和解が成立したりしたにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれないなどの場合に、債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。

なお、債務名義とは、当事者間に債権債務があることを証明する公文書をいい、確定判決や、調停調書、和解調書などがあります(民事執行法22条)。
強制執行をする際に、それができる根拠として、必要となる公文書です。
強制執行認諾条項付きの公正証書も、その1つということになります(同条5号)。

差押えは、裁判所が行なう強制執行の一種で、支払義務者が滞納している債務を回収するための法的手段のことをいいます。

差押えをするためには、申立人が差押え対象の財産を特定する必要があるため、相手側の財産の有無を調べるコストがかかりますし、相手側に財産がなかったときは申立てが空振りするリスクがあるなど、注意すべき点もあります。

また、差押えをする際に注意すべきなのは、「差押禁止債権」の規定です。
債権者が債務者の財産を差し押さえることができる場合でも、債務者の必要最低限度の生活を保護する必要があるため、債務者の財産のすべてを何でも差し押さえられるわけではないのです。

例えば、給料や賞与は、給付額の4分の1までしか差し押さえることができません(民事執行法152条1項、2項)。
ただし、養育費の回収などを目的とする債権の差押えでは、義務者の給与等債権の2分の1に相当する部分までの差押えをすることができます(同法同条3項)。

以上のように、いくつか注意すべき点があり、専門的な知識も必要となりますので、差押命令の申立ては、弁護士に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。

(4)養育費を請求する(養育費について公正証書を作成していない場合)

養育費について公正証書を作成していない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申立てることになります。

養育費請求調停では、裁判所において、父親が支払うべき養育費の金額を話し合います。その際、「養育費算定表」をベースに話し合いをすることが一般的です。

「養育費算定表」とは、養育費の算定にあたっては事案ごとの事情を考慮する必要があるため、より簡易迅速に計算できるように作成された算定表です。

算定表は従来から使用されてきたものもありますが、結果として算定される金額は非常に低い傾向にあり、物価や社会情勢の大きな変動などもあって、「現在の生活実態に合っていない」「母子家庭の貧困化の原因になっている」などの問題点が指摘されていました。

そこで2019年12月23日、社会情勢や実際の支出傾向を反映させた改定算定表が発表されています。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について│裁判所 – Courts in Japan

養育費請求調停では、この改定算定表をベースに養育費の金額などを話し合うことになります。

そこでも父親の合意が得られない場合は、裁判官が審判で判断します。

裁判所が父親に養育費の支払い命令を下したにもかかわらず、父親がその審判内容に応じない場合は、前述のように父親の財産の差押え命令を申立てるとよいでしょう。

(5)養育費を請求する(未婚の母で子どもの認知を受けていない場合)

父親が認知に応じてくれるなら、役所に認知届を提出してもらいましょう。
それにより父子関係が発生し、父親も子どもの扶養義務を負うことになります。その結果、未婚の母親による父親に対する養育費の請求が可能になります。

父親が認知に応じてくれない場合は、家庭裁判所に認知調停を申立てることになります。
この調停で、子が父親の子であるという合意が当事者双方の間で成立し、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上でその合意を正当と認めれば、合意に従った審判がされます。

参考:認知調停│裁判所 – Courts in Japan

認知調停でも父親が認知を拒む場合は、認知訴訟を起こす必要があります。
認知訴訟ではDNA鑑定などによって父子関係の有無を判断します。

このような手続きを経て認知がなされれば、認知によって法的な父子関係が生じた後に、上述2〜4の手続きを行ない、養育費を請求していくことになります。

母子家庭で生活費が苦しいときに検討すべきこと(2)公的扶助等の利用

母子家庭で経済状況が厳しい場合は、公的扶助等を利用すると良いでしょう。

代表的な公的扶助には、以下のようなものがあります。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 児童育成手当
  • 特別児童扶養手当
  • 遺族年金
  • 生活保護
  • ひとり親家庭の住宅手当
  • ひとり親家族の医療費助成制度
  • 国民年金や国民健康保険の免除
  • 自治体ごとに設けられている各種制度

自治体によって利用できる制度が異なる場合もありますので、詳しくはお住いの自治体にご相談ください。
その他、子育て・生活支援、就業支援等について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

シングルマザーの貧困化|母子世帯の現状や受けられる支援について

【まとめ】母子家庭で養育費などにお悩みの方は弁護士にご相談ください

離婚の増加に伴って、母子家庭への社会支援の輪は徐々に拡充しています。

養育費を決める基準となる「養育費算定表」が改定されたこともそのあらわれの1つでしょう。双方の年収にもよりますが、この改定によっておおむね月1万〜2万円の増額があったといわれています。

公的扶助制度の利用に加えて、養育費をしっかりと取り決めることができ、それが確実に支払われるようにすることは、母子家庭の生活を支える上でとても重要です。

養育費の支払いについてお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

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