離婚後の生活費への不安は、子どもとの新しい生活を始める上での最大の壁です。
この漠然とした不安を解消するには、事前に、シングルマザーの生活にかかる支出と収入などの数字を把握したうえで、具体的な「計画」をすることが重要です。
この記事を参考に、不安を力に変えて、子どもと幸せな未来を築くためのロードマップを描きましょう。
ここを押さえればOK!
働いている母子世帯の平均実収入は月約26万円(このうち仕事による収入は約20万円)で、生活費を差し引くと黒字はわずかです。安定した生活の基盤を確保するため、養育費の取り決めが不可欠であり、確実に受け取るための法改正(2026年4月施行)にも注目が必要です。
また、生活を支えるセーフティネットとして、所得に応じた児童扶養手当(子ども一人で全額支給月4万5500円など)、ひとり親家庭住宅手当(自治体独自)、医療費助成制度などの公的支援制度を積極的に活用すべきです。
長期的な安定のため、公的支援に依存せず自立を目指し、高等職業訓練促進給付金を活用した専門資格取得や、マザーズハローワークなどを利用した正社員化を目指すキャリア戦略が必要です。教育費については、高等学校等就学支援金制度の活用や、児童手当・児童扶養手当の計画的な貯蓄が重要です。
家計が逼迫したり手続きに困ったりした場合は、役所の福祉窓口やハローワークなどの専門機関に相談することが大切です。
離婚交渉や養育費、借金問題については、弁護士へのご相談をお勧めします。お悩みの方は一度アディーレ法律事務所にご相談ください。
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統計で見るシングルマザー世帯の家計実態
生活費の不安を解消する第一歩は、漠然とした不安を具体的な「数字」に置き換えることです。母子家庭の家計の実態を正確に把握することで、どこに課題があり、何を優先して対策すべきかが見えてきます。
(1)母子家庭の生活費「月額平均19万6000円」の内訳
母子家庭(母親と18歳未満の未婚の子どもの世帯、以下同じ)の生活費の月額平均は、約19万6000円です(2019年全国家計構造調査より)。平均世帯人数は2.44人なので、母一人子一人の世帯が多いです。
この調査によれば、母子世帯の消費支出(生活費)は月19万6379円で、夫婦と未婚の子がいる世帯(長子が高校生まで、以下同じ)の消費支出28万6764円に比べて約7割となっています。
また、母子世帯は、夫婦と未婚の子どもの世帯と比べて、住居費、光熱・水道費、交通・通信費の支出割合が高くなっています。
一方で、教育、教養娯楽、外食の支出割合が低くなっています。
参考:2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果 結果の概要|総務省統計局
(2)家計を圧迫する固定費(通信費・家賃・光熱水道費)
家計管理において、削減効果が高いのは、一度見直せば永続的に効果が続く固定費です。特に母子世帯の支出で注目すべきは、消費支出の16%を占める交通・通信費であり、月額約3万1421円と高額な固定費となっています。
格安SIMや安価なインターネットプロバイダへの切り替え、キャンペーンの利用により、月々の負担を軽減できますので、最優先で取り組むべきポイントです。
また、住居にかかる費用の月額平均は統計上約2万8671円 となっており、低く見えます。しかし、実家暮らしや公営住宅利用者を含むため、新たに賃貸契約を結ぶ場合の実際の負担は、この平均より重くなることに注意が必要です。
光熱・水道費用は7.7%で平均月額約1万1221円です。季節や住んでいる地域によって上下がありますが、電化製品は省エネタイプを選ぶなど、日々の節約がポイントです
(3)働いている母子世帯の収入は月約26万円で夫婦世帯の半分
働いている母子の実収入の平均は月26万1587円で、このうち仕事による収入は20万447円です。税金などを除いた実収入は月23万2626円です。
先ほどの月の生活費19万6379円を差し引くと、3万6247円が黒字分で預貯金に回せる金額となります。
ただし、仕事による収入だけを見ると、ほぼ収入(20万447円)と生活費(19万6379円)は同額となり、黒字はほとんどありません。貯金は困難となるでしょう。
一方で、夫婦と未婚の子どもの世帯の月平均の実収入は、54万3373円(このうち仕事による収入は50万8796円)で、母子世帯の2倍以上です。世帯人数平均は3.79人なので4人が多くなっています。
また、月の生活費は28万6764円となっており、生活費を差し引くと黒字分は15万9782円で、黒字分は母子世帯の4倍以上になります。
働き手が1人であるシングルマザーと、働き手が二人いる夫婦世帯とでは、収入の差は2倍以上と歴然としています。また、シングルマザーは夫がいないため世帯人数が少ないですが、生活費は夫婦と子どものいる世帯に7割にとどまり、そこまで低額になるわけではありません。
収入が少なく、生活費もある程度かかってしまうので、月単位の黒字も夫婦と子どもがいる世帯に比べて、かなり低額となってしまうのが実情です。
生活の基盤を確保するためにできること|養育費をもらう
前述の通り、一般的な働いているシングルマザーの生活は、ギリギリではありますが、給料で支出をカバーすることができます。
しかし、何らかの理由で仕事ができなかったり、仕事をしていても非正規など短時間労働である場合には、支出をカバーできるほどの給料を確保できないケースもあります。
そのような場合には、元夫からもらう養育費や、国から給付される児童手当・児童扶養手当などを考慮にいれて、生活費を計算する必要があります。
養育費を確実に受け取るために話し合う
養育費は子どもの生活と福祉のために元配偶者支払う責任を負います。
母子世帯の安定した収入を支えますので、離婚する際には、必ず話し合って金額の合意をするようにしましょう。離婚後も話し合いはできますが、転居して物理的に離れてしまったり、音信不通になってしまったりして話し合いが困難になることもあるので、離婚前に話し合うのがベストです。
養育費は、法的な上限や下限はありませんので、話し合いで決まった金額とすることができます。ただし、利害が対立し、基準がなければ合意が難しいことも多いので、実務では、裁判所が公表している基準を目安に話し合います。双方の収入、子どもの人数と年齢で、養育費を算定します。
例えば、妻の給与収入が年150万円、夫の給与収入が年500万円、子一人(0~14歳)の場合、月々の養育費は4~6万円です。
養育費の合意ができずに、養育費を受け取ることができないシングルマザーが多くいます。そのため、民法が改正され、養育費の合意がなくても一定の養育費(法定養育費)を請求することができるようになりました。
また、養育費の支払いが滞るリスクがあるので、強制執行認諾文言付きの公正証書を作るなどする手間がありましたが、民法改正により、養育費には先取特権が付与されますので、公正証書や勝訴判決(債務名義)がなくても、元夫の財産に強制執行して養育費を回収することが可能となります。
この改正民法は、2026年4月1日に施行されます。いずれもシングルマザーに有利な改正ですので、情報として把握しておくとよいでしょう。
参考: 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕|法務省
ひとり親家庭が利用できる主要な手当・助成金を受ける
ひとり親家庭が利用できる公的支援制度は、生活の維持に不可欠なセーフティネットです。
主要な制度には、ひとり親家庭の自立促進を目的とした児童扶養手当、すべての子育て世帯に支給される児童手当があります。また、医療費の負担を軽減するひとり親家庭医療費助成制度や、住居費の負担軽減に特化したひとり親家庭住宅手当などがあります。
これらの制度は生活費のギャップを埋める重要な収入源となりうるため、積極的に活用すべきです。まずは自身がどの制度の対象となるのかを確認することが手続きの第一歩となります。
(1)ひとり親家庭向けの「児童扶養手当」
児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活の安定と自立を支援する国の制度です。
この手当の支給を受けるためには所得制限があり、収入水準によって「全額支給」または「一部支給」の区分が定められています。
子ども一人当たり、全額支給は月額4万5500円 で、所得が増えるにつれて段階的に減額される仕組みです。第2子以降も全額支給で1万750円が加算されます。
ご自身の年間所得が、所得制限のどのラインに位置するかを正確に把握し、手当と就労収入のバランスを戦略的に管理することが家計計画では重要です。
児童扶養手当について、実家で暮らす場合はどうなるのか等、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
参考:ひとり親家庭等のみなさまへ「児童扶養手当」に関する大切なお知らせ|子ども家庭庁
(2)住居費の不安を軽減する「ひとり親家庭住宅手当」
住居費は最大の固定費であり、生活の安定に直結するため、その負担軽減策は極めて重要です。
自治体によっては、ひとり親で子どもを育てている人に対して、家賃の補助などの手当を支給しているところがあります。自治体独自の支援なので、全員が受けられるわけではなく、自治体によって条件や金額も異なります。
離婚後の引っ越しが視野に入ってきたら、転居先の自治体のホームページを確認したり、問い合わせたりするとよいでしょう。住居手当の有無、具体的な支給条件、および金額を事前に確認することが大切です。
(3)医療費をサポートする「ひとり親家庭等医療費助成制度」
子どもについては、子ども医療費助成制度により、医療保険の適用となる医療費が助成されます。助成内容や年齢は、字自体によって異なりますので確認しましょう。
それに加えて、ひとり親家庭では、保護者についても、保険診療に係る自己負担分が助成されます(所得制限あり)。
受給できる対象者や、受給するための手続については、お住まいの市区町村役場の窓口で相談しましょう。
他にも、シングルマザーが得られる支援は様々です。市区町村役場の担当窓口で相談してみましょう!
生活費の「足りない」を解消する|効果的な固定費・変動費の削減戦略
収入の柱を確保した後は、次に支出構造を恒久的に改善するための戦略を実行します。削減した費用は、そのまま貯蓄や子どもの教育費に回すことが可能です。
(1)最大の削減ポイント「交通・通信費」と「光熱費」の契約見直し術
母子家庭の家計において、高額な固定費となる交通・通信費は、削減の最大のターゲットです。高額なスマートフォンやインターネット回線の契約を見直し、格安SIMや安価なプロバイダサービスに切り替えることで、月数千円から一万円以上の固定費を削減できます。手続きは面倒くさいかもしれませんが、一度行えば、毎月の節約につながります。
次に水道光熱費も無視できません。より安価な料金プランを提供する新電力会社やガス会社への切り替えを検討しましょう。また、季節変動を踏まえた日常的な節水・節電の工夫を家族全員で徹底することが、確実なコストダウンに繋がります。
(2)食費・日用品費を賢く抑えるための予算管理と具体的な工夫
母子世帯の食費は、支出の20.4%を占め、平均月4万61円かかっています。外食費は5.8%で平均月1万1389円です。
基本的な戦略としては、外食費を極力抑え、計画的な自炊を基本とすることが鉄則となります。
また、一週間分の献立を事前に決めてから買い物に行くことで、無駄な衝動買いを防ぐことができるでしょう。
ただしあまり切り詰めると精神的なストレスにもなりますので、楽しみながら節約し、忙しい時には外食に頼るなど、メリハリをつけた生活を送りたいところです。
公的支援に依存しない自立へ|収入を増やすキャリア戦略と教育費計画
短期的な公的支援を受けつつも、最終的には公的支援に過度に依存せず、自身の労働収入で生活を維持し、将来のための預貯金を行うことができる水準を目指すことが長期的な安定には不可欠です。
このためには、戦略的なキャリアアップと子どもの将来設計が求められます。
(1)高収入を目指すための「高等職業訓練促進給付金」の活用
働いている母子世帯の平均である、給与収入月20万447円という水準を目指したり、又は更なる上の収入を目指すためには、専門性の高い資格を取得することが最も効果的です。
国や自治体が提供する高等職業訓練促進給付金制度は、看護師、介護福祉士、保育士などの専門資格を取得するために1年以上の期間で修行する場合、最大4年間、給付金を受け取りながら学習に専念できる支援策です。
この制度を利用することで、訓練期間中の収入減をカバーしつつ、将来的に安定した高収入を目指すキャリアチェンジの道を開くことができます。
この制度の利用可否と条件は、必ず居住地の福祉窓口で確認してください。
(2)仕事と育児を両立するための就職活動支援機関と正社員化の目標
就職活動やキャリアアップを目指す際には、仕事と育児の両立に特化した支援機関を積極的に活用しましょう。
全国23か所にあるマザーズハローワークや、ひとり親家庭等就業・自立支援センターは、子育て中の状況を理解した上で、適切な職業紹介やスキルアップのための情報を提供してくれます。長期的な目標としては、正社員化や昇給を目指すことが重要です。
パートタイムでの時給アップに留まらず、最終的に労働収入だけで生活水準を維持できる具体的な所得目標額を設定し、そこに向かってスキルアップ戦略を立てることが求められます。
参考:マザーズハローワーク事業|厚生労働省
参考:ひとり親家庭等就業・自立支援事業について|こども家庭庁
(3)子どもの将来の選択肢を守る教育費の積立計画と奨学金
子どもの教育費は、特に高校以降、家計に大きな影響を与えます。
国公私立に関係なく、所得額などの要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料の一部又は全部にあてるための就学支援金が支給されます。
国公立の高等学校については、年収910万円未満世帯に対して、授業料相当額が支給されます、
私立高校については、年収約590万円未満世帯を対象として、最大39万6000円が支給されます(全日制の場合)。
支給されるかどうかの年収の判断基準となる者は、通常親権者です。
現在離婚する場合には、夫婦どちらかが単独親権者となりますので、シングルマザーとなって子どもの親権者となる場合には、シングルマザーの収入が所得額の基準となるでしょう。
※2026年4月1日の改正民法施行後は、離婚後も共同親権が選べるようになります。
支給には申請が必要ですので、必ず手続きを行うようにしましょう。
参考:高等学校等就学支援金制度に関するQ&A|文部科学省
参考:高等学校等就学支援金制度|文部科学省
大学進学を視野に入れる場合、0歳から貰える児童手当、離婚後貰える可能性のある児童扶養手当を計画的に貯蓄して、教育資金を準備することが重要です。
奨学金制度(特に返済不要のタイプ)の情報収集、生命保険や学資保険の見直し、そして余剰資金がある場合には非課税制度を活用した効率的な資産運用などを検討することで、子どもの将来の選択肢を経済的に守るための確実な準備を始めましょう。
家計が逼迫した時・手続きに困った時の相談先
生活計画を立てていても、予期せぬ出費や不測の事態で家計が逼迫したり、複雑な手続きに困ったりすることはあり得ます。
1人で悩まず、適切な相談先に相談するようにしましょう。
(1)役所に相談するケース
支援制度の詳細な情報や申請手続きについては、居住地の地方自治体が窓口です。
離婚前に、離婚後に受けられる支援について確認しましょう。
離婚後も、支援制度に質問がある場合には、問い合わせて相談するようにしましょう。
支援を受けても困窮してしまう場合には、生活保護を利用することができるかもしれません。
決して1人で悩まず、社会のセーフティネットを頼ることが大切です。
(2)ハローワークなどに相談するケース
就職活動やキャリアアップに関する相談は、ハローワークやマザーズハローワーク、ひとり親家庭等就業・自立支援センターが専門的な支援を提供しています。
「資格を取るために勉強したいがその間の生活費はどうしよう」「キャリアアップのために勉強したい」「もう少し子育てに理解があるところに転職したい」など、悩みは様々です。
相談する事で、解決に向けて一歩踏み出せるかもしれませんので、1人で悩まず相談してみましょう。
各自治体の母子家庭等就業・自立支援センターの一覧は次のリンク先から確認できます。
参考:各自治体の母子家庭等就業・自立支援センター等一覧|こども家庭庁
【まとめ】シングルマザーの生活費は月約19万6000円
離婚後の生活が不安なのは当然です。不安が経済面にあるのであれば、離婚後の収入と支出の見通しを立てることが、不安から抜け出す第一歩です。
夫との離婚交渉や財産分与、養育費の取り決めは、確かにストレスのかかる作業です。弁護士に相談・依頼すれば、具体的な事情に応じて、適切なアドバイスを受けられますし、本人の代わりに相手方と交渉してもらうことができます。
また、離婚後の生活が大変で借金問題を抱えてしまった場合にも、「返せない」と感じたらすぐに弁護士にご相談ください。借金問題を整理して、生活を再建するお手伝いをさせていただきます。
離婚や借金問題は、一人で抱え込まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。






















