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苗字を変える方法を徹底解説|必要な手続きと要件を弁護士が詳しく説明

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kawahara_LA

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

結婚や離婚、家庭の事情など、さまざまな理由で「苗字を変えたい」と思うことがあるかもしれません。 

しかし、苗字を変更するための具体的な手続きや必要な書類、費用についてはあまり知られていないのが現実です。 

本コラムでは、苗字を変えられるのかどうか、苗字を変える要件、手続きの流れ、注意点などについてわかりやすく解説します。 

この記事を読んでわかること 

  • 苗字は変えられるのか 
  • 苗字を変えるのに必要な「やむを得ない事由」とは 
  • 苗字を変える手続きの流れ 
  • 苗字を変える注意点 

ここを押さえればOK!

苗字を変えるのは、結婚や離婚などで自動的に行われる場合と、自らの意思で行う場合があります。後者のケースの内、特に問題になるのが裁判所へ変更を希望する申立てをして「やむを得ない事由」があるときに変更が認められるケースです。
「やむを得ない事由」とは、真にやむを得ない事情があり、それが社会的客観的にも納得できる必要があります。主観的な好き嫌いでは苗字変更は認められません。
具体的には、長年使用している通称がある場合や、珍奇・難読な苗字で日常生活に支障がある場合などで苗字変更が認められる可能性があります。

苗字を変える手続きの流れは、まず必要書類(申立書、戸籍謄本、理由を示す資料など)を準備し、裁判所に申立てを行います。申立てには費用もかかります。裁判所の審査を経て許可が下りれば、市区町村役場に届出を行い、正式に苗字が変更されます。

苗字変更には慎重な検討が必要であり、理由を明確にし、変更後の影響も考慮することが重要です。
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

苗字は変えられるのか

結婚や養子縁組、離婚など、法律上、一定の場合には当然に苗字が変更されます。 

これを、「氏の変動」と言います。 

一方、自分の意思で「苗字を変えたい」と思い、苗字を変更することが可能なケースもあります。 

例えば、外国人と結婚して配偶者の苗字に変更したいときは、結婚から6ケ月以内であれば、届出により苗字を変更することができます。 

また、結婚して苗字が変わった者は、離婚により当然旧姓に戻りますが、本人の意思により、婚姻時に称していた苗字に変更して、離婚後も継続して称することができます(婚氏俗称)。 

さらに、法律が定めた具体的な事象がなくても、「やむを得ない事由」があれば、家庭裁判所の許可を経て苗字を変更することができます。 

これらを、「氏の変更」といいます。 

ここで特に問題になるのは、「やむを得ない事由」とは何か、という点です。 

苗字を変えるための「やむを得ない事由」とは

家庭裁判所が苗字の変更を許可するためには、「やむを得ない事由」が必要です。 

戸籍法107条 

やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。 

やむを得ない事由とは、本人にとって社会生活上苗字を変更しなければならない、真にやむを得ない事情があることともに、その事情が社会的客観的にみても是認されるものであることが必要だと考えられています(大阪高等裁判所判決昭和30年10月15日参考)。 

苗字はその人の血族婚族関係のつながりを示すものであり、他の人と識別するものとして社会生活上きわめて重要なものです。そのため、軽々に苗字の変更を許すべきではないと考えられていられているため、「やむを得ない事由」は上記のように、厳しく考えられています。 

例えば、単なる個人的な好き嫌いが理由で苗字を変えたいと思っても、やむを得ない事由には当たらず、裁判所の許可は下りないでしょう。 

以下に「やむを得ない事由」が認められる可能性がある代表的な事例を挙げます。 

(1)長年使用している(永年使用)ケース

長年にわたり、戸籍上の苗字とは異なる苗字を使用している場合、その苗字に変更することが認められる可能性があります。 

長年使い続けていただけでなく、通称の苗字で、友人、仕事、親戚その他社会的に認識されており、戸籍上の苗字では逆に社会的にその人として認識されにくくなっているなど、苗字を変えることで社会的な混乱を生じさせないことが必要と考えられています。 

また、子どもなど戸籍が同じ者も苗字が変更されますので、同籍者の意向も考慮されるでしょう。 

(2)珍奇・難読なケース 

現在の苗字が非常に珍奇で当人の人格が傷つけられるような場合や、難読である場合、日常生活に支障をきたすことがあります。 

このような場合も、苗字の変更が認められることがあります。 

子どもなど戸籍が同じ者も苗字が変更されますので、同籍者の意向も考慮されるでしょう。

 (3)離婚時に婚氏続称したが旧氏に戻るケース

離婚後も元配偶者の苗字を使用していたが、後に旧姓に戻りたいと希望する場合も、「やむを得ない事由」ありとして、苗字の変更が認められることがあります。 

婚氏俗称の理由、旧姓に戻りたい理由、同籍者の意向なども考慮されるでしょう。 

苗字を変える手続きの流れ

苗字変更にやむを得ない事由が必要な場合、苗字を変えるための手続きは以下の流れで進めます。 

(1)必要書類を準備

まず、苗字の変更を裁判所に求めるために必要な書類を準備します。 

具体的には、下記の通りです。 

  • 申立書(氏の変更許可審判) 
  • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書) 
  • 氏の変更の理由が分かる資料 
  • 同一戸籍内にある15歳以上の者の同意書 

別途、裁判所が必要だと判断した場合に、追加書類の提出が求められることがあります。 

特に「やむを得ない事由」については具体的に記載し、資料を添付します。事前に必要な書類を確認し、漏れなく準備するようにしましょう。 

参考:氏の変更許可|裁判所 

(2)費用を準備

裁判所に申立てをするに伴い、以下の費用がかかります。 

  • 収入印紙800円分 
  • 連絡用の郵便切手(申立てをする裁判所によって異なるので問い合わせる) 

また、必要書類である戸籍謄本を取得するにも、市区町村によって異なりますが、数百円かかります。 

弁護士に対応を依頼する場合には、弁護士費用も必要になります。 

(3)管轄の家庭裁判所に申し立て

必要書類と費用を準備したら、申し立てる者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、苗字変更の申し立てを行います。 

窓口への提出、郵送による提出が可能です。 

(4)裁判所の許可

家庭裁判所が申請内容を審査し、変更許可の審判が出て確定すると、苗字の変更が可能です。審判が出るまでの期間はケースバイケースです。 

却下されて苗字の変更が認められなかった場合、その旨告知されてから2週間以内であれば即時抗告をして争うことができます。 

(5)市区町村役場で届出

変更許可の審判が確定したら、市区町村役場で苗字変更の届出を行います。 

通常、下記が必要になりますが、事前に届出をする役所で必要書類を確認しましょう。 

  • 氏の変更届 
  • 家庭裁判所による氏変更許可の審判書の謄本と確定証明書 

これにより、正式に戸籍上の苗字が変更されます。 

苗字を変える際の注意点

苗字を変える際に特に注意すべきことについて、2つ説明します。 

(1)苗字を変えたい理由を明確に

法律上定められた特定の事情がないのに、自分の意思で苗字を変えるためには、「やむを得ない事由」が必要です。 

単なる個人的な好みや気まぐれでは、裁判所の変更許可は出ないでしょう。 

主観的な内容(この苗字が嫌い)では不十分で、客観的社会的にも、真に苗字の変更がやむを得ないといえる必要があります。 

現在の苗字を名乗ることで、どのような社会生活上の不便や不具合があるのか、具体的にどのような場面で精神的苦痛を受けるのかなどを、その証拠となる資料とともにしっかり準備しましょう。 

(2)手続き後の影響を考えておく

苗字を変えることは、生活にさまざまな影響を与える可能性があります。 

例えば、銀行口座やクレジットカード、運転免許証などの名義変更が必要になります。また、職場や学校、友人関係への説明も必要になるかもしれません。 

手続き後の影響を事前に考慮し、必要な対応を計画しておくことが重要です。 

誤字の訂正は裁判所の許可不要

戸籍上表示されている文字が、誤字や俗字、旧字であって、それを正しい字や通用字体に訂正したい場合、一定の範囲内であれば、申出により市区町村の職権による更生が可能です。 

したがって、裁判所の許可を得る必要はありません。 

【まとめ】

法律上決められた特定の事情がなくても、「やむを得ない事由」があれば、裁判所の許可を得て苗字を変更することが可能です。 

しかし、苗字の変更は簡単には認められません。 

事前に、自分が苗字を変える理由が「やむを得ない事由」に当たるのかしっかり検討したうえで、申立てをするようにしましょう。 

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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