夫源病(ふげんびょう)という言葉をテレビや雑誌で聞いたことがあるかもしれません。
「夫が帰ってくる音がすると、身がすくむ」
「夫が家にいると、動悸息切れがしてうまく話せない」
こんな症状を感じていたら、もしかしたらそれは夫源病かもしれません。
夫源病は、夫の存在や行動が原因で妻が精神的・身体的に不調をきたすことをいいます。
この記事では、夫源病の症状やチェックシート、夫源病を引き起こす夫の特徴、改善のための対処法、そして離婚できるかどうかまで、包括的に解説します。
自分が夫源病かどうか確認したい方、夫婦関係を改善したい方、そして心身の健康を取り戻したい方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読んでわかること
- 夫源病とは?
- 夫源病セルフチェックシート
- 夫源病を引き起こす夫の特徴
- 夫源病改善のためのアプローチ
- 離婚したい方へ
ここを押さえればOK!
夫源病を引き起こす夫の特徴には、コミュニケーション不足、経済的圧迫、精神的支配、家事育児放棄、不貞行為などがあります。
改善のためのアプローチとしては、自分を大事にする、夫に伝えたいことを伝える、夫婦間の役割分担の見直し、カウンセリングの活用、プチ別居が挙げられます。
もし夫源病を理由として離婚を考える場合、夫が同意すれば協議離婚が可能ですが、同意が得られない場合は調停や裁判が必要です。モラハラや長期間の別居がある場合、法定離婚事由として離婚が認められる可能性があります。
離婚を考えている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
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慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。
夫源病とは?
夫源病は、夫の存在や行動が原因で妻が精神的・身体的に不調をきたす状態を指します。主な症状には、次のようなものがあります。
- 頭痛
- 食欲不振、胃痛
- 不眠
- 動機、息切れ など
夫がいない場合には、症状を感じないケースも多いようです。
夫源病という病気はありませんが、例えば胃痛が続くなど身体の不調があれば、医師の診断を受けるようにしましょう。
夫源病セルフチェックシート:10の質問で簡単チェック
「夫がいると動機や息切れがする」
「夫と話をすると胃が痛い」
それは夫源病かもしれません。
夫源病かどうか、次のセルフチェックシートを利用して確認してみてください。
- 夫の存在がストレスに感じることがあるか?
- 例:夫が家にいると緊張する、夫の行動や言動が気になる。
- 夫との会話が減っていると感じるか?
- 例:最近、夫と話す機会が少なくなった、会話が続かない。
- 夫が家計を一方的に管理し、経済的な自由がないと感じるか?
- 例:夫がすべての支出を決める、自分の収入も自由に使えない。
- 夫が精神的に支配していると感じるか?
- 例:夫が自分の行動を細かく監視する、自由に行動できない。
- 夫が家事や育児に協力しないと感じるか?
- 例:夫が全く家事や育児に参加しない、すべてを自分に任せる。
- 夫が浮気や不倫をしていると疑ったことがあるか?
- 例:夫の行動が怪しい、浮気の証拠を見つけたことがある。
- 夫の言動が原因で身体的な不調(頭痛、胃痛、不眠など)を感じることがあるか?
- 例:夫と話すと頭痛がする、夫の行動が原因で眠れない。
- 夫との関係が原因で精神的な不調(うつ状態、不安感、イライラなど)を感じることがあるか?
- 例:夫の言動が原因で気分が落ち込む、夫といるとイライラする。
- 夫との関係が原因で社会生活に支障をきたしていると感じるか?
- 例:夫の束縛がひどく友人関係が悪化した、仕事に集中できない。
- 夫との関係を改善するための努力が報われないと感じるか?
- 例:夫に対して改善を求めても変わらない、努力が無駄に感じる。
これらの質問に対して「はい」が多いほど、夫源病の可能性が高いと考えられます。
ただし頭痛や胃痛など身体的な症状があるときは、胃炎などの病気の可能性もありますので、医師の診断を受けるようにしましょう。
夫源病を引き起こす夫の5つの特徴
夫源病を引き起こす夫にあることの多い、5つの特徴を紹介します。
(1)コミュニケーション不足型
妻が、夫を気遣って話しかけたり、自分の話を聞いてほしくて話しかけたりしているのに、その度に夫から、「疲れているからあとで」「今忙しい」などとコミュニケーションを拒否されることはないでしょうか。
コミュニケーション不足型の夫は、会話が少なく、意思疎通が図れないことが特徴です。
これにより、妻は孤独感や疎外感を感じ、精神的なストレスが増大します。
(2)経済的圧迫型
夫から過度な節約を強いられたり、出費を一つ一つチェックされたり、渡される生活費が足りなかったりすることはありませんか。
このような経済的圧迫型の夫は、家計を一方的に管理し、妻に経済的な自由を与えないことが特徴です。
妻はこのような経済的圧迫を受け、不安やストレスを感じ、夫源病を引き起こす可能性が高くなるのです。
(3)精神的支配型
夫からの束縛が強かったり、自己否定されたり、不機嫌を当たり散らされたりして、夫の機嫌を伺う日常ではありませんか。
このような精神的支配型の夫は、妻を精神的にコントロールしようとすることが特徴です。
これにより、妻は自己肯定感や自信を失い、精神的なストレスが増大します。
(4)家事育児放棄型
共働きなのに、「大黒柱だから働くのが仕事だ」「そっちの方が給料が少ないのだから家事育児をやるべきだ」などと言って、夫が家事育児を全く負担しない、という事はありませんか。
このような家事育児放棄型の夫は、家事や育児に協力しないことが特徴です。
これにより、妻は家事育児の負担が増え、本来夫と分かち合うべき家事育児を一人で担うことになります。
夫婦話し合って、納得の上で役割分担できていればよいのですが、妻に不満がある場合、夫の家事育児放棄による妻が受けるストレスや身体的負担は相当なものでしょう。
(5)不貞行為型
不貞行為をする夫は、1回だけで反省して家族を大事にするかもしれませんし、複数回繰り返して開き直る人います。
夫の不貞行為により、妻は信頼を裏切られ、多大なる精神的なショックを受けます。
妻は仕事や家事や育児に忙しく、家計のために節約して過ごす毎日なのに、夫が不貞相手とお金や時間を自由に使っていたことを知ったらどう思うでしょうか。妻が感じる絶望ははかりしれません。
夫源病改善のための5つの実践的アプローチ
夫源病を改善するためには、以下のアプローチが有効な場合がありますので、参考にしてください。
(1)自分を大事にする
自分を大事にしてケアすることは、夫源病の改善において非常に重要です。
自己肯定感を維持することは、幸せな毎日を送るために必要だからです。
自分自身の健康を優先し、プライベートな時間、リラックスする時間を確保することで、ストレスを軽減し、心身のバランスを保つ助けとなるでしょう。
家事や育児でそんな時間はないかもしれませんが、あなたには必要な時間です。
外部サービスや実家の協力を得るなどして、自分のための時間を確保してみてください。
例えば、趣味を楽しむ、友人と過ごす時間を増やす、好きな食事をとる、リラクゼーション法を取り入れるなどが効果的です。
(2)夫に伝えたいことを伝える
夫をあきらめてしまい、夫に対いて言いたいことを言えないでいる妻は多いです。
夫は、「妻が不満を抱えている」などとは夢にも思っていないかもしれません。
「浮気もしないし仕事もしている、なんていい夫だ」と思っているかもしれません。
しかし、夫婦は育ってきた環境も価値観も異なります。
話さなければ、伝わらないのです。
嫌なことや、辞めてほしいこと、してほしいこと、夫婦の問題点などがあれば、しっかりと明確に伝えるようにしましょう。相手の意見も聞いたうえで、自分の意見も伝えるようにしましょう。
直接話しにくい場合には、手紙などを残してもよいでしょう。
夫とのコミュニケーションをあきらめる前に、もう一度本音でぶつかってみましょう。
(3)夫婦間の役割分担の見直し
夫婦間の役割分担の見直しも、夫源病の改善に効果的です。
妻の負担が一方的に大きい、家事や育児の負担を夫と分担することで、妻にかかる労力やストレスを軽減し、夫婦関係の改善のきっかけになるでしょう。
家事育児には目に見えないものが本当に沢山あります。
夫は、このような目に見えない家事育児を妻が負担していることに気づいていないかもしれません。
家事リストを作成し、実際に妻がどれだけのことを負担しているのか可視化したうえで、夫と分担について話し合うとよいでしょう。
(4)カウンセリングの活用
信頼できる第三者や、カウンセラーへ相談すると、自分の感情を整理することで、抱えていた重荷が軽くなり、ストレス解消に役立つことがあります。
1人で悩まず、信頼できる友人や家族、夫婦カウンセラーなどへ相談してみるとよいでしょう。
(5)プチ別居
お互い離れて冷静に問題を把握するために、短期間の別居を検討することも一つの選択肢です。
ただし、法律上、夫婦には「同居」「協力」「扶助」の義務がありますので(民法第752条)、別居する際には夫の同意を得るようにしましょう。また、別居していても、収入のある方は相手に婚姻費用(生活費)を支払う義務があります。
また、別居により物理的に離れることで、夫婦として関係が破綻してしまい、離婚やむなしという状況になる可能性があることに注意が必要です。
実際に、離婚前に別居する夫婦は多いです。
あなたに不倫などの有責行為があったケースを除き、一定期間別居をすると、夫が離婚を拒否したとしても、裁判で「婚関関係は破綻している」として離婚が認められる可能性が高まるためです。
夫源病と離婚:離婚を考えている女性へ
「もう夫に我慢ができず離婚したい」という方もいると思います。
夫源病が原因で離婚できるのかどうか、説明します。
(1)夫が同意すれば離婚できる
話し合いによる離婚の場合は、離婚の理由は問われません。妻と離婚について合意できれば、離婚することができます。
これを協議離婚といい、離婚するほとんどの方が協議離婚です。
夫が離婚を拒否する場合には、協議離婚できません。
この場合、離婚調停を申し立てて、再度離婚について話し合います。調停では、調停委員を交えて話し合います。それでも離婚に合意できなかった場合には、裁判所に訴えて裁判離婚を目指すことになります。
裁判で離婚するためには、法律上の法定離婚事由(不貞行為など)が必要です。
(2)モラハラや長期間別居があれば離婚できる可能性あり
夫のモラハラ(モラルハラスメント)により、夫源病を引き起こす妻は少なくありません。
モラハラとは、言動などにより相手を精神的に傷つける行為です。
具体的には、次のような行為が例として挙げられます。
- 大きな声で怒鳴る
- 人格を否定する
- 実家や友人との付き合いを制限する
- 仕事や外出を制限する
- 知り合いの前でバカにしたりうそをついたりして貶める
- 生活費を渡さずに経済的に苦しめる
- 大切なものを壊したり捨てたりする
- 存在自体を無視する
程度の重いモラハラは、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」として法定離婚事由にあたる可能性があります。
「これってモラハラでは?」と感じる方は、録音や録画などで夫のモラハラと感じる言動を証拠として残しておくとよいでしょう。
また、夫婦仲が悪化して長期間別居していて夫婦中が破綻しているような場合にも、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」として法定離婚事由にあたる可能性があります。
【まとめ】
夫源病は、夫の行動や態度が原因で妻が精神的・身体的に不調をきたす状態です。
「夫が家にいるとなんだか調子が悪い」という方は、夫源病かもしれません。
セルフチェックシートを使って自分の状態を確認してみましょう。
夫源病の可能性がある場合、ご紹介した対処法を試してみてください。夫婦仲をあきらめずに、ぜひ改善できないかトライしてみましょう。
もし離婚を考えている場合には、弁護士に相談すると、ご自身の具体的状況に応じて、離婚できるかどうか、離婚の話し合いをする際のアドバイスなどを受けることができます。
1人で悩まず、一度弁護士に相談してみてもいいかもしれません。
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