借金の返済に追われ、「このままでは生活が成り立たない」と不安を抱えていませんか?
そのお悩みを解決する正当な手段が債務整理ですが、専門的な内容が多いため、何から調べればよいかわからない方も多いはずです。
このコラムでは「債務整理とは何か」という基本的な知識から、具体的な3つの手続(任意整理・個人再生・自己破産)の内容、そして手続によって期待できるメリットと、信用情報や財産に与えるデメリットまでを網羅的に解説します。
この記事が、ご自身の状況に合った解決策を見つける一助となれば幸いです。
債務整理とは
債務整理とは、法律で認められた借金問題の解決方法です。法的な手続や私的な交渉を通じて、借金の返済負担の軽減または免除を図り、生活の再建を目指すための正当な手段といえます。
返済が困難になった場合に、弁護士が債権者(貸金業者など)と交渉したり、裁判所を介した手続を利用したりして問題の解決を図ります。
具体的には、債務整理には以下の内容が含まれることがあります。
- 将来発生する利息のカット
- 借金の元本そのものの減額
- 支払い義務の免除
これらは借金問題で苦しんでいる方の救済を図り、新たな一歩を踏み出すための制度です。
債務整理の3つの種類
債務整理には、ご自身の借金の総額、収入、守りたい財産などの状況に応じて選択できる、主に「任意整理」・「個人再生」・「自己破産」という3つの手続があります。
それぞれの手続で、借金の減額幅や手続後の生活への影響が大きく異なります。ご自身の希望や状況にもっとも適した方法を選ぶことが、生活再建への重要な第一歩です。
以下で、それぞれの手続の具体的な内容を解説します。
任意整理
任意整理は、裁判所を利用せず、弁護士が貸金業者と直接交渉を行い、将来利息のカットなどを目指し、元本を分割で返済していく和解を成立させる手続です。
交渉が成立すると、元本を原則として3~5年程度の期間で無理のない範囲で返済していくことになります。
この手続の大きな特徴は、整理する対象の借金を自分で選べる点です。そのため、保証人がついている借金や、住宅・自動車ローンなどを除外して手続を進めることで、家や車といった財産を手元に残しながらほかの借金の負担軽減を図れる可能性があります。
個人再生
個人再生は、裁判所に申立てを行い、再生計画の認可を得ることで、借金を元本から大幅に減額してもらう手続です。減額された借金は、原則3年間で分割して返済していきます。
この手続の大きなメリットは、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用できる点です。この制度を使えば、住宅ローンは返済を続けることを条件に、マイホームを手放すことなくほかの借金だけを大幅に圧縮できる可能性があります。
安定した収入があることが条件となりますが、家を守りながら生活の再建を目指したい方に適した手続といえるでしょう。
自己破産
自己破産は、裁判所に支払い不能であることを申立て、免責許可決定を得る手続です。
税金や養育費など一部の支払い義務(非免責債権)を除き、原則としてすべての借金の支払い義務が免除(免責)されます。返済の目途がまったく立たない状況にある方にとって、人生をゼロからリセットし、再スタートを切るための法的な救済措置です。
破産法に基づき、生活に最低限必要な財産や一定額以下の財産を除き、不動産や自動車といった高価な財産は処分されますが、その後の収入はご自身の生活のために自由に使えるようになります。
債務整理のメリット
債務整理を行うことで期待できる主なメリットは、日々の厳しい督促による精神的なプレッシャーから解放され、返済の負担を具体的に軽くできる点にあります。
これにより、追い詰められた状況から抜け出し、落ち着いてご自身の生活と向き合い、再建への道を歩み始めることが可能になります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、特に重要な2つの点について詳しく見ていきましょう。
弁護士への依頼で督促が止まる
弁護士に債務整理を依頼すると、まず貸金業者に対して「受任通知」という書面が送付されます。この通知が業者に届いた時点で、貸金業法などの規定によって、債務者本人への直接の電話や訪問、手紙による取立て行為が法的に禁止されます。
これまで鳴り止まなかった督促の連絡が来なくなることで、精神的な平穏を取り戻せるでしょう。この精神的な負担の軽減は、冷静に今後の生活再建を考えるための第一歩となり、手続を進めるうえで非常に大きなメリットといえます。
※弁護士に依頼した場合でも裁判上の請求(支払督促、民事訴訟など)は停止されませんので、ご注意ください。
返済の負担が軽くなる
債務整理の直接的な効果は、月々の返済負担が目に見えて軽くなることです。手続によって、以下のような効果が期待できます。
- 任意整理:将来利息がカットされ元本を着実に減らせる
- 個人再生:借金そのものが大幅に減額される
- 自己破産:原則として返済義務が免除される
これにより、今まで返済に充てていたお金を生活費などに充てることが可能となり、家計状況の健全化を目指せます。苦しい資金繰りから解放され、生活を根本から立て直すための経済的基盤を築くことが期待できるでしょう。
債務整理のデメリットと生活への影響
債務整理は借金問題を解決する有効な手段ですが、メリットばかりではありません。手続を行うことで、その後の生活に一定の制約が生じるデメリットも存在します。
特に信用情報や財産、そして周囲との関係にどのような影響が出るのかを正しく理解し、納得したうえで手続を選択することが、後悔のない再スタートのために極めて重要といえるでしょう。
具体的にどのようなデメリットがあるのかを解説します。
信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト)
債務整理を行うと、その情報が信用情報機関に事故情報として登録されます。これが、いわゆる「ブラックリストに載る」といわれる状態です。
登録されている一定期間(手続の種類や機関により異なりますが、一般的に5~10年程度が目安です)は、以下の借入などが原則として困難になります。
- 新たなクレジットカードの作成
- 住宅や自動車などのローン契約
- キャッシング
ただし、これは金融取引上の制約であり、戸籍や住民票に記載されたり、選挙権がなくなったりするわけではありません。
財産(家・車)を失う可能性がある
選択する債務整理の方法によっては、ご自身の財産を維持できない場合があります。特に自己破産では、生活に最低限必要な一定の範囲を超える財産は、原則として処分され、債権者への返済に充てられます。
そのため、持ち家や自家用車を手放すことになる可能性が高いです。
一方で、個人再生の住宅ローン特則を利用すれば家を守ることができ、任意整理であればローンを完完済した車を残すことも可能です。どの財産をどれだけ守りたいかによって、最適な手続は大きく変わってきます。
家族や会社に知られる可能性がある
債務整理をすることで、家族や勤務先にその事実が知られる可能性はありますが、手続次第でリスクの度合いは大きく異なります。
裁判所を介さない任意整理は、弁護士と貸金業者との直接交渉で進むため、比較的周囲に知られにくい方法といえるでしょう。
一方で、個人再生や自己破産は裁判所の手続であり、官報に氏名が掲載されますが、官報を日常的に確認している人はまれです。ただし、退職金見込額証明書など、会社に発行を依頼する書類が必要になる場合や、家族が保証人になっている場合は、知られる可能性が高まります。
まとめ
本コラムでは、債務整理の基本から任意整理・個人再生・自己破産という3つの手続、そして督促停止や返済負担軽減といったメリットと、信用情報や財産への影響というデメリットを解説しました。
どの手続がご自身にとって最適なのかは、守りたいものや借金の状況によって大きく異なります。
専門的な判断が必要となるため、一人で悩まずに弁護士へ相談することが解決への第一歩です。
アディーレ法律事務所では、債務整理に関するご相談を承っております。あなたの状況に合わせたよりよい解決策を一緒に探しますので、まずはお気軽にお問合せください。



























