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自己破産したら官報に掲載される?載る期間、タイミング、調べ方を解説

作成日:
a.aihara

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

自己破産を考えている方、または既に手続きを始めた方にとって、「官報掲載」という言葉は不安を感じさせるかもしれません。「私の情報が公開されてしまうの?」「これからの生活にどんな影響があるの?」そんな疑問や不安を抱えていませんか?

官報は誰でも手に入れることができるので、破産したら周囲の人間にバレてしまう可能性はあります。

一方で、そもそも官報の存在を知っている人は少ないため、官報から破産したことがバレてしまうケースは少ないといえるでしょう。

この記事では、自己破産したときに官報に掲載される内容やタイミング、官報の閲覧方法などについてわかりやすく解説していきます。

この記事を読んでわかること

  • 官報とは
  • 自己破産の情報が官報に掲載される期間、タイミング
  • 官報に掲載される情報の内容
  • 自己破産と官報掲載のよくある疑問

ここを押さえればOK!

自己破産すると、破産者の一定の情報が必ず官報に掲載されます。これは法律で定められた手続きの一部であり、回避することはできません。

官報掲載のタイミングは主に3回ありますが、多くのケースでは1と2は同時に行われますので、2回あると考えるとよいでしょう。

・破産手続開始決定時
・破産手続終結決定時
・免責許可決定時

掲載される情報には、破産者の氏名、住所、事件番号、決定の日時などが含まれます。

官報は紙媒体で購入するか、インターネットで閲覧できます。ただし、一般の人が日常的に官報を見ることはほとんどないため、自己破産の情報が周囲に知られる可能性は低いと言えます。官報掲載は避けられませんが、その影響は限定的です。

官報掲載を過剰に心配するよりも、適切に自己破産手続きを行って免責許可を得ること、自己破産後の生活再建に焦点を当て、計画的な家計管理や安定した収入の確保に努めることが重要です。自己破産は新たな人生の始まりとして前向きに捉えるとよいでしょう。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

自己破産したら官報に掲載される

自己破産を申し立てると、手続きの中で、破産者の一定の情報が必ず官報に掲載されます。これは自己破産手続きの一つであり、回避することはできません。

(1)官報とは

官報は、国が発行する機関紙のことです。政府などが、法律、政令、条約など、国民に周知するために発表する情報が掲載されます。

自己破産をすると、破産者の一定の情報が官報に掲載されます。

(2)なぜ官報に掲載されるのか

自己破産の情報が官報に掲載される主な理由は、債権者への周知にあります。

債務者が意図せずとも忘れている債権者がいるかもしれません。官報に自己破産の情報について公開することで、全ての債権者に破産手続きの開始を知らせ、手続きに参加することのできる機会を提供するのです。

ただし、この公開は破産者のプライバシーと債権者の利益のバランスを取る必要があるため、掲載される情報は法律に定められている事項に限られます。

(3)官報はどこで見られる?調べ方は?

官報は主に2つの方法で閲覧できます。紙媒体の官報の購入とインターネット閲覧です。

(3-1)紙の官報を購入する

官報の購入は、通常の書店ではできません。国立印刷局の官報販売所や、各都道府県にある官報販売所でしか購入できません。

主な特徴は以下の通りです。

  • 価格:定期購読(1ケ月)1641円(税込)、部売り143円(税込)
  • 発行:平日毎日

また、購入しなくても、国立国会図書館など一部の図書館では紙の官報の閲覧が可能なようです。

入札情報なども掲載されるので、仕事で定期購入している人は一定数いるかと思われます。また、国家試験合格者は、褒章を受けた人の氏名が掲載されることがあるので、記念として特定の号のみ購入されることがあります。しかし、一般の人が、日常的に官報に目を通すという事態は考えにくいです。

もし、ご自身の自己破産の情報を確認したい場合、掲載日がわかっていれば該当日の官報のみを購入します。

(3ー2)インターネット版官報

インターネット版官報は、国立印刷局が運営する公式サイトで、一定期間内の官報を無料で閲覧できるサービスです。主な特徴は以下の通りです。

  • 閲覧可能期間:直近90日間の情報を無料で閲覧できる
  • 更新頻度:平日毎日
  • 検索機能(会員制有料サービス):過去の記事も含めて記事や日付での検索が可能

インターネット版官報は、無料閲覧は直近90日のみです。掲載から90日過ぎれば、無料では閲覧できないので、アクセスする人は少なくなるでしょう。

また、過去にわたって記事を検索することもできますが、過去の官報を閲覧し、検索サービスを利用することは有料ですので、利用者は非常に限られると考えられます。

もし、ご自身の自己破産の情報を調べる場合には、過去90日であれば官報掲載日が分かれば該当日の号を確認します。過去の情報については、会員制有料サービスを利用して、官報に掲載された日付や氏名や住所などをキーワードとして検索することで、該当の情報を見つけることができるでしょう。

(4)官報に掲載される期間

官報への掲載は、特定の日付の号に対して行われますで、官報が毎日発行されることを考慮すると、官報に掲載される期間は非常に短いです。ただし、官報に掲載された情報は、過去のも含めて一定期間アクセス可能です。

具体的にアクセス可能な期間は以下の通りです。

  • 紙の官報
    • 在庫は過去1年分確保されるので、過去1年以内の官報であれば(売り切れていなければ)購入可能。
  • インターネット版官報
    • 無料で見られるのは最新90日分のみ。
    • 有料サービスの会員となることで、昭和22年5月3日から当日までの官報も閲覧可能となる。

参考:インターネット版官報|国立印刷局(https://kanpou.npb.go.jp/)

官報に掲載されるタイミングは3つ

自己破産者の情報が官報に掲載される回数は、破産手続きの流れによって異なりますが、大きく分けて3つあります。

  1. 破産手続開始決定時
    • 自己破産の申立を裁判所に申し立てた後、裁判所が申立ての内容を審理します。その後、裁判所が破産手続きの開始の決定をしたときが、1回目の官報掲載のタイミングです。
    • 裁判所が破産手続きの開始決定をした後、裁判所が官報掲載の手続きを行いますので、実際に掲載されるのは1~2週間後になります(裁判所によって異なります)。
  2. 破産手続終結決定時
    • 破産手続きでは、破産者の財産を調査して、債権者に分配します。その後、裁判所が破産手続終結の決定をした時が、2回目の官報掲載のタイミングです
    • 多くのケースでは、破産手続開始決定と破産手続終結決定が同時に行われますが、その場合は同じタイミングで官報に掲載されます。
  3. 免責許可決定時
    • 自己破産は、免責許可を得ること=原則として借金をゼロにしてもらうこと(税金など一部債務は免責されません)、を目的に行います。
    • 裁判所の審査により、自己破産者に残った支払い義務を免除する、ということになれば、免責許可が得られます。その免責許可決定の時が、3回目の官報掲載のタイミングです。

破産者本人には、官報掲載の具体的な日付は通知されません。しかし、破産管財人や弁護士に確認することで、おおよその掲載時期を把握することは可能です。

官報に掲載される破産者の情報

官報に掲載される破産者に関する情報は、法律で定められています。

具体的には主に以下の情報が掲載されます。

  • 事件番号
  • 破産者の氏名
  • 破産者の住所
  • 破産管財人の氏名
  • 決定が出たこと、その日時
  • 決定の主文 など

自己破産の官報掲載が及ぼす影響|身バレする?

官報は、国が毎日発行する機関紙ですが、新聞のように定期購読する人は極めて限られています。

また1部の官報には大量の情報が掲載されており、文字も大変小さいです。

破産者の身近な人が、官報を閲覧していて自己破産したことを知る、という事態は、可能性はゼロではないですが、ほとんど考えられません。官報は一般の人々の目に触れる機会が少ないため、身バレのリスクは限定的といえるでしょう。

自己破産マップとは?

「自己破産マップ」や「破産者マップ」は、官報に掲載された自己破産情報を基に作成されたウェブサイトやデータベースを指します。

これらの運営には重大な問題があります。

まず、個人のプライバシー権や名誉権を侵害している可能性が高いです。それに、自己破産は法的に認められた債務整理の手段であり、それを選択した個人をこのように公表し、不当に扱うべきではありません。

過去に「破産者マップ」というサイトが、官報から得た情報とグーグルマップとを組み合わせて情報を公開したため、大きな社会問題になりましたが、様々な批判を受けて閉鎖されました。

その後、「新・破産者マップ」という類似のサイトが確認されているようです。個人情報保護委員会は、令和4年7月20日、サイト運営者に対して個人データの提供を直ちに停止するよう勧告しました。

日本弁護士連合会も、このようなサイトを非難し、抜本的な対策をとることを国に対して求めています。

このような悪質なケースに対しては、社会全体で対応していく必要があると考えられます。

参考:破産者等の個人情報を違法に取り扱っている事業者に対する 個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220720_houdou.pdf)

自己破産と官報掲載:よくある疑問

次に、自己破産と官報掲載についてよくある質問を見ていきましょう。

(1)自己破産して官報に載らない方法はある?

自己破産して官報に載らない方法はありません。

官報に載ったとしても、ご説明した通り、親族や知り合いがそれに気づいて身バレするという可能性は低いと考えられます。

また、自己破産を申し立てて、免責許可を受ければ、原則としてすべての借金の支払い義務から解放されるという大きなメリットがあります(公租公課など一部支払い義務が残るものもあります)。官報に掲載されるという事実を過大評価して、自己破産のメリットを享受できないとなるとたいへんもったいないです。

任意整理は、官報に掲載されることなく、債権者との個別の話し合いで進める債務整理です。どうしても官報掲載が気になるという方は、債務整理を扱っている弁護士に相談し、ご自身の状況で任意整理が可能なのか、聞いてみるとよいでしょう。

(2)自己破産した情報を知り合いが官報から把握することはある?

知人や関係者が、偶然、あなたの破産情報が掲載された特定の号の官報を見る可能性は、極めて低いでしょう。ご説明した通り、一般の人が日常的に官報を見る機会はほとんどないからです。

ただし、インターネット上での情報拡散には注意が必要です。ご自身がSNSやブログで情報発信を行っている場合には、ふとした情報から身バレにつながることがありますので、発信する情報に注意しましょう。

自己破産後の生活再建

官報掲載は、自己破産する場合には避けられません。

より重要で目を向けるべきなのは、自己破産手続きが終了し、免責許可を得られた後にどうやって生活を再建するかです。ポイントは、計画的な家計管理です。

以下の点に注意して行動しましょう。

  • 計画的な家計管理
    • 家計簿をつけ、収支のバランスを把握し、無理のない生活設計を立てる
    • 不要な支出を見直し、貯蓄を習慣化する
  • 安定した収入の確保
    • 現在の仕事を継続するか、新たな職を見つける
    • スキルアップを図り、収入増加の可能性を探る
  • 少額からの貯蓄開始
    • 毎月少額でも定期的に貯蓄を行う
    • 緊急時に慌てないための資金を徐々に蓄える
  • クレジットカードの適切な利用
    • 基本的にクレジットカードは支払いを後延ばしにして使いすぎにつながるので使わない

自己破産後の生活再建は時間がかかるかもしれません。しかし、不安やストレスの元であった借金の返済義務は免除されました。この機会を逃さずに、焦らず、着実に前進していけば、生活再建も決して夢ではありません。

初めの目標は小さくても、その小さな成功を積み重ね、徐々に経済的安定を取り戻していくと、長期的な生活再建につながるでしょう。

【まとめ】自己破産したら官報掲載は避けられないが、影響は限定的

この記事のまとめは、次の通りです。

  • 自己破産すると、その情報は必ず官報に掲載される
  • 自己破産手続きで官報掲載を回避する方法はない
  • 官報に掲載される情報は、氏名、住所、決定の日付・時間、決定の主文など
  • 官報掲載は通常、決定から1〜2週間程度で行われる。
  • 官報は購入またはインターネットで閲覧可能だが、一般人が日常的に見るようなものではない
  • 破産後は新たな債務を負わず、貯蓄を心がけ、安定した収入の確保に努めることが大切
  • 自己破産は人生の終わりではなく、新たな始まりとして前向きに捉えることが重要

自己破産による官報掲載は避けることはできませんが、その影響は一時的・限定的と考えられます。「自分の情報が公表されるなんて」と不安を感じるのは自然ですが、それに囚われすぎないことが大切です。まずは自己破産を扱っている弁護士に相談し、自分の状況に最適な解決策を見つけましょう。

自己破産は借金生活と決別し、新たな人生の始まりです。勇気を持って一歩を踏み出していただければと思います。

まずは、自己破産について、弁護士に相談だけでもしてみませんか。

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また、アディーレ法律事務所では、万が一個人の破産事件で免責不許可となってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2025年1月時点)。

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