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ローン返済中の車は離婚するとどうなる?名義変更の注意点も解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

離婚をする時、夫婦が協力して築きあげた財産は夫婦それぞれで分けることになります。このことを「財産分与」といいます。

この財産には、預貯金や貴金属などのプラスの財産も対象となりますが、生活のための借金やローンといったマイナスの財産も対象となります。そのため、ローン返済中の車も原則的には、財産分与の対象となります。

ただし、車のローンがある場合には、車のローンを誰が払うのか、車や車のローンの名義をどうするのかなど知っておくべき注意点が多くあります。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • ローン返済中の車の財産分与の方法
  • ローン返済中の車の名義変更ができる・できないケース
  • ローン返済中の車の名義変更するにあたって注意すべきこと
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

ローン返済中の車の財産分与とは

ここでは、ローン返済中の車の財産分与について説明します。

財産分与の対象となるケースとならないケース、財産分与の方法について知っておきましょう。

(1)ローン返済中の車は財産分与の対象となるのが原則

「夫婦が婚姻中に形成した財産」が、財産分与の対象となります。

そのため、婚姻中に購入した車については、名義が夫もしくは妻のどちらかになっていても、原則として財産分与の対象となります(※)。

ローン返済中の車についても、もちろん財産分与の対象となるのが原則です。

ローン返済中の車は販売店やローン会社が名義人となっていることがありますが、この場合であっても、変わりません。

(※)夫婦のどちらかが「婚姻前」に購入した車や、親からの贈与や相続で得た車は、夫婦それぞれの個人的な財産(特有財産)であり、財産分与の対象にはなりません。

財産分与の基本についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

(2)ローン返済中の車の財産分与の方法

車は、お金とは違い分けることはできません。
そこで、車を財産分与する場合には、車の価値で分けることになります。

例えば、ローンのない車の場合には、次の2通りの方法で分けることになります。

  • 車を売却し、売却で得たお金を夫婦で分ける
  • 離婚後も車を乗る方が、もう一方の配偶者に対し、代償金を支払う
    (例:車の査定額が100万円の場合、2分の1に当たる50万円を代償金として支払う)

一方、ローン返済中の車は、まずローン残債と、査定などで算出した現在の自動車の価値を比較し、プラス分が出るかどうかを確認します。プラスが出るかどうかで財産分与の方法が変わってきます。

(2-1)ローン残債と査定額を比較し、プラスが出た場合

ローンと査定額を比較し、プラスが出た場合(いわゆるアンダーローンの状態)には、そのプラス価額が、その車の価値ということになり、その価値分を夫婦で分けることになります。

例えば、次の2通りの方法で分けることになります。

  • 車を売却し、売却で得たお金からローンを返済した上で、残ったお金を夫婦で分ける
    (例:200万円で売却、100万円でローン返済、100万円を夫婦で分ける)
  • 離婚後も車に乗る方が、もう一方の配偶者に対し、代償金を支払う
    (例:車の査定額は200万円、ローンは100万円の場合、100万円が車の価値となります。この場合、車を乗り続ける夫が妻に対し100万円のうち2分の1にあたる50万円を代償金として支払う)

なお、自動車にローンが残っている場合、所有者名義が車の販売店やローン会社となっていることが一般的です(法律用語では「所有権留保」といいます)。

そのため、車を売却する場合やどちらかが乗り続ける場合どちらであっても、車の所有名義者である車の販売店やローン会社と相談する必要があります。相談せずに売却した場合には、ローンの一括返済を求められることもありますので、注意が必要です。

(2-2)ローン残債と査定額を比較し、マイナスが出た場合

車の査定額とローン残債を比較し、マイナスが出た場合(いわゆるオーバーローン状態)には、資産価値がないと考えられ財産分与の対象としない扱いをするのが一般的です。

ただし、ローンをなかったことにすることはできません。

ローン残債と査定額を比較し、マイナスが出た場合には、次の2通りの方法で分けることになります。

  • 車を売却し、売却で得たお金でローンの残債を返済し、残ったローンの残債については夫婦で返済する(原則、一括返済する必要があります)(※1)
  • 離婚後も車に乗る方が、ローンを負担する(オーバーローンの車を引き受けた場合、ローンも引き受けた側が負担することになります)(※2)

    (※1)他の財産を考慮しても、車のローンしか残らない(車を売却しても債務しか残らない)場合には、実務では債務のみの財産分与を行うことは消極的に解されているので、通常車のローンの名義人がローンを支払うことになります。

    (※2)なお、車の名義変更については後述のとおり、名義変更ができないケースもありますので、注意が必要です。

ローンの債務者や連帯保証人の変更できるのか?

ローンが残っている場合、夫婦の双方がローンの債務者となっている場合(ペアローン)やどちらかがローン契約者で他方が連帯保証をしていることがあります。

この場合、一方が離婚後に車を乗り続けることを選んだ場合に、もう一方がローンの債務者や連帯保証人から外れるには、お金を貸している側であるローン会社や銀行に確認する必要があります。

しかし、お金を貸している側としては夫婦二人が債務者になっている(もう一方が連帯保証人になっている)ことを前提としてローンを組んだのですから、債務者や連帯保証人を外すためには、債務者や連帯保証人を外してもローンの残債を払ってくれるという保証がない限り外してもらうことは難しい可能性があります。

そのため、債権者と話し合いをしながら進めていく必要があり、財産分与が複雑となるため、弁護士などの専門家に相談した方が良い場面と言えます。

ローン返済中の車は名義変更できるのか?

では、次に、ローン返済中の車の名義変更について説明します。
次の3つのケースに分けて説明します。

  1. ローン残債を一括返済できる場合
  2. 名義人が夫婦のどちらかになっている場合
  3. 名義人が車の販売店やローン会社になっている場合

(1)ローン残債を一括返済できる場合

ローン残債を一括返済することができる場合には、現状の名義人が誰であってもローン完済後に名義変更ができます。

(2)名義人が夫婦のどちらかになっている場合

銀行のマイカーローンなどでローンを組んでいる場合は、車を担保にせずに、車の名義人は夫婦どちらかとなっている可能性が高いです。

この場合には、基本的にはローンの契約者と車の名義人は同じでなければならないとされているため、ローン契約者と車の名義人を変えたい場合には、ローンの借り換え(ローンの契約者の変更)も合わせておこなう必要があります。

ただ、ローン完済前の名義変更や譲渡、売買に関しては、「ローンが残っている間は名義変更をしない」旨の禁止事項が設定されていることもあるため、まずは契約書を確認されることをおすすめします。

また、契約書にそのような旨の禁止事項がない場合でも、ローンの借入先の銀行の承諾が必要ですので、銀行にも相談が必要となります。

(3)名義人が車の販売店やローン会社になっている場合

車の販売店(ディーラー)やローン会社でローンを組んだ場合には、車の名義人が車の販売店(ディーラー)やローン会社になっていることが多いです。

これは、所有者を車の販売店やローン会社にしておくことで、車を担保とすることができるからです(ローンの返済が滞った場合にすぐに車を引き揚げることができます)。

この場合はローンの残りを一括返済できる場合を除き、名義変更することは難しいでしょう。

離婚の際に車を名義変更する場合の方法と注意点

離婚する際、現在の名義人から名義変更をする場合の手続き方法と、その注意点について説明します。

(1)名義変更は運輸支局や軽自動車検査協会にておこなう

車の名義変更は、普通乗用車であれば新たに車を使用する住所を管轄する運輸支局、軽自動車であれば軽自動車検査協会にておこなうことができます。

必要書類は次のものになります。

【名義変更に必要な書類】

  • 自動車検査証
  • 新旧の所有者の印鑑証明と委任状
  • 譲渡証明書
  • 新所有者の車庫証明書

他にも申請書などが必要となり各管轄施設で用意されていますので、ホームページなどで確認してみてください。費用についても各管轄施設のホームページなどで確認してください。

購入したディーラーや中古車販売店に名義変更を代行してもらうというやり方もあります。

参考:自動車 登録手続き|国土交通省

(2)離婚時に車を名義変更する際の注意点

車の名義変更はできれば離婚前におこなっておくと安心です。

なぜなら、車の名義変更をする場合には、現在の名義人と新しい名義人の書類が必要となります。そのため、離婚後に連絡が取りづらくなり、手続きが進まないことがあるようです。

離婚後に、例えば夫名義の車を妻が名義変更せずに乗ることもできますが、税金の通知書などは名義人である夫に届くことになるため、早期に名義変更をおこなったほうが良いでしょう。

財産分与をする場合には、離婚協議書をきちんと作成しておきましょう。
例えば、車をもらうと約束していたのに、離婚後いつになっても車がもらえないといったトラブルが生じることがあります。この場合、口約束だと「そんな約束していない」などと言われてしまうことがありますが、きちんと書面に残しておくとそのような言い訳を防ぐことができます。

離婚協議書について詳しくは、こちらをご覧ください。

離婚協議書を作る時に知っておきたいポイントと公正証書にすべき理由を解説

【まとめ】ローン返済中の車は、ローン残債がいくらかで財産分与の方法が変わる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 婚姻後に購入した車は、財産分与の対象となるのが原則

  • ローン残債と査定額を比較し、プラスが出た場合の分け方
    • 車を売却し、売却で得たお金からローンを返済した上で、残ったお金を夫婦で分ける
    • 離婚後も車に乗る方が、もう一方の配偶者に対し、代償金を支払う
  • ローン残債と査定額を比較し、マイナスが出た場合の分け方
    • 車を売却し、売却で得たお金でローンの残債を返済し、残ったローンの残債については夫婦で返済する(原則、一括返済する必要があります)
    • 離婚後も車に乗る方が、ローンを負担する
  • ローン返済中の車は以下の場合ごとに名義変更できるかどうかが異なる。
    1. ローンを一括返済できる場合⇒名義変更可能
    2. 名義人が夫婦どちらかになっている場合⇒ローンの借り換えが必要
    3. 名義人がディーラーやローン会社になっている場合⇒一括返済できる場合を除き、難しい
  • 名義変更は各地の運輸支局・軽自動車検査協会に問い合わせの上行ってください。

離婚する際には、ローン返済中の車だけではなく、不動産や株式、預金など婚姻中に取得した財産については、基本的に全て財産分与する必要があります。

夫婦二人だけでは感情的になってしまったり、分け方すべてを決めるのは難しいと思いますので、財産分与でお困りの方は、離婚問題を取り扱う弁護士への相談をおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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