お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

家族がギャンブル依存症かも? 3つの対処法と借金の解決方法を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

「家族がギャンブルにはまって、借金もしているみたい……もしかして、依存症?」

依存症は、本人の生活や健康、人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられなくなっている(コントロールできない)状態です。

ギャンブル依存症の人は、リスクについて判断する脳の機能が弱まってしまっているという研究結果もあります。 依存症は、治療が必要な病気の一つで、本人の意思の弱さだけの問題ではありません。

家族が適切に対処し、ギャンブル依存症の治療を行っている専門機関の受診を勧めることで、治療できる可能性があります。
また、 本人がギャンブル依存症が原因で借金を抱えている場合でも、「債務整理」をすることで、返済の負担を減らしたり無くしたりできる可能性もあります。

この記事では、次のことについて、弁護士が解説します。

  • ギャンブル依存症の概要
  • ギャンブル依存症の4つの症状
  • ギャンブル依存症のチェック項目
  • ギャンブル依存症の人の家族にできる3つの対処法
  • ギャンブル依存症の治療ができる3つの専門機関
  • ギャンブルで抱えた借金の返済負担を軽減するための「債務整理」
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

債務整理に関するご相談は何度でも無料

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意

国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応

ギャンブル依存症とは?

ギャンブル依存症とは、「ギャンブル等(中略)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」のことです(ギャンブル等依存症対策基本法2条)。

この法律において「ギャンブル等依存症」とは、ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。

引用:ギャンブル等依存症対策基本法2条

参考:依存症対策|厚生労働省

薬物依存やアルコール依存が薬物やアルコールといったモノに執着するのに対し、ギャンブル依存症はギャンブルをするという行動に執着します。

ギャンブル依存症となると、リスク判断をするための脳の機能が弱まってしまい、自分自身の欲求をもはや自らコントロールすることができません。単純に「自己責任」として片づけ、努力だけでは克服することが難しいため、1970年代後半にWHO(世界保健機関)により「病的賭博」という名称で正式に病気として認められました。
カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備が進められている日本においても、ギャンブル依存症の人が増えると見込まれています。

こうした状況を受け、2020年度の診療報酬改定により、ギャンブル依存症の治療方法のうち一定のものにも、公的保険が利用できるようになりました。

参考:ギャンブル依存症の神経メカニズム―前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害―|国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
参考:令和2年度診療報酬改定について 個別改定項目について 177~180頁|厚生労働省

ギャンブル依存症の4つの症状

ギャンブル依存症の症状として、起きる可能性の高い症状は主に次の4つです。

  1. 自分でコントロールができない
  2. 適切な対処をしなければ、悪化してしまう
  3. 考え方が極端になり、借金などをしてまでギャンブルをする
  4. 自分の問題を直視できず、問題を認めない

それぞれについてご説明します。

(1)自分でコントロールができない

ギャンブル依存症になると、脳に異常があらわれます。
私たちの脳は、ギャンブルでスリルを味わうとドーパミンと呼ばれる快楽物質が放出され、喜びや興奮を感じます。そのうち快楽を味わう行為を続けると、以前と同じようなスリルでは物足りなくなり、さらなる喜びや興奮を求め、より過激な行動をするようになります。
また、以前と同じような行動では満足しないことから、焦燥感や不安、物足りなさばかりが蓄積されていきます。

自らの意思を無視して脳がスリルを求めているため、自分ではコントロールが効かなくなります。そして、朝から晩までギャンブルのことしか考えられなくなってしまうのです。

参考:依存症とは|厚生労働省

(2)適切な対処をしなければ、悪化してしまう

本来、ギャンブルは勝っても負けてもその過程を楽しめるものです。一方、ギャンブル依存症となると、勝利したときのスリルをまた得たいと勝ちにこだわり、ギャンブルによる損失をギャンブルで取り戻そうとします。

しかし、そもそもギャンブルで勝ち続けることは難しいため(店側が利益を出すため)、歯止めが利かなくなるとギャンブルにつぎこむお金がどんどん増えていき、症状も次第に悪化していきます。

(3)考え方が極端になり、借金などをしてまでギャンブルをする

収入等をすべてギャンブルにつぎこみ、お金がなくなると、借金をしてまでギャンブルをするようになり、生活の破綻を招きます。

適切な治療などにより歯止めをかけないと、家族や仕事、将来などに価値をおけなくなり、全てに優先してギャンブルにのめり込むようになる危険があります。

(4)自分の問題を直視できず、問題を認めない

ギャンブル依存症の人の中には、借金が膨れ上がったり、ギャンブルが原因で大切な友人を失ったことがある、大切な家族を泣かせてしまったなどつらい経験をしている人も少なくありません。
ですが、そのような借金や人間関係・家族関係などの問題を直視せず、事態を過小評価したり、問題を認めず、指摘されると攻撃的になったりすることもあります。

「ギャンブル依存症 やめたい」と検索したことのある人や、実際にギャンブル依存症を止める努力をした経験のある人もいます。
しかし、それでも自分の意志だけではどうしてもやめられないのが依存症の恐ろしさなのです。

ギャンブル依存症のチェック項目

チェックリスト

SOGS(The South Oaks Gambling Screen)という、世界的に広く用いられているギャンブル依存症のチェックリストがあります。

次のような項目についてチェックをして、当てはまる項目が複数ある方はギャンブル依存症になってしまっている可能性があります。

<SOGS ギャンブル依存症チェック>
  • ギャンブルで負けた時、取り返そうとして別の日にギャンブルをした頻度
  • ギャンブルで負けても勝っていると嘘をついたことの有無
  • ギャンブルが原因で問題が生じたことの有無
  • 自分がしようと思った以上にギャンブルにはまってしまった経験の有無
  • ギャンブルが原因で人から非難を受けたことの有無
  • ギャンブル癖やその結果生じた事柄について罪悪感を持ったことの有無
  • ギャンブルをやめようと思っても不可能だと感じたことの有無
  • ギャンブルの証拠を家族に見つからないよう隠したことの有無
  • ギャンブルに使うお金について家族と口論になったことの有無
  • 借りたお金をギャンブルに使ってしまい返せなくなったことの有無
  • ギャンブルのために仕事や学業を怠けたことの有無
  • ギャンブルに使うお金の調達方法(借入先の数)

参考:ギャンブル等依存症スクリーニングテスト(SOGS)|神奈川県

「家族がギャンブル依存症かもしれない……」と思ってもご自身を責めたり、過剰に心配する必要はありません。適切な治療を受ければ、ギャンブル依存症を克服できる可能性はあります。

ギャンブル依存症の人を抱える家族にできる3つの対処法

依存症は本人の心の弱さではなく病気の1つですから、ギャンブル依存症の人が自力で立ち直ることは、ほとんど期待できません。

家族をはじめ身近な人のサポートが、ギャンブル依存症の解決のため役立ちます。家族にできる対処法は、主に次の3つです。

  • 家族がお金を貸したり、借金を肩代わりしたりしない
  • 今後の対策を家族が一緒になって考える
  • ギャンブル依存症の人となるべく多くコミュニケーションを取る

それぞれについて説明します。

<家族まで苦しむことがないよう注意!>
ギャンブル依存症に苦しむ人を思うあまり、家族も「ギャンブル依存症の人を支えること」に過度にのめり込んでしまうことがあります(いわゆる「共依存」)。

家族からのサポートは、ギャンブル依存症の治療に大きく役立ちます。しかし、必要以上にギャンブル依存症の人に振り回されないよう、適度な距離を保つことも大切です。

また、ギャンブル依存症になっている本人が全く克服のための努力をしない場合には、突き放すことが必要な場面もあります。

(1)家族がお金を貸したり、借金を肩代わりしたりしない

ギャンブル依存症の人が孤独を感じないように、そばで支えてあげることは効果的です。しかし、ギャンブル依存症の人にお金を貸したり、借金を肩代わりしたりすると、再びギャンブルでお金を使いこんでしまうリスクがあるため、逆効果です。

ギャンブル依存症の人の中には、ギャンブル依存症であることを隠したがる人や自分でギャンブル依存症だと認められない人もいます。家族がギャンブル依存症の人の尻拭いをしてしまうと、本人が治療を必要とする病気なのだと気づくタイミングが遅れてしまいかねません。 家族はお金を渡す以外の方法でサポートするのがいいでしょう。

なお 原則として、保証人になっていない限り、家族には借金を返済する義務はありません。

(2)今後の対策を家族が一緒になって考える

ギャンブル依存症になってしまった原因よりも先に、今後の対策を一緒に考えることが大切です。

もちろん、再びギャンブル依存症にならないようにするためには、原因へのアプローチもいずれ必要となります。

しかし、「ギャンブル依存症になってしまうなんて、私はダメだ」「私の教育がよくなかったから、子供がギャンブル依存症になってしまった」などと、原因についてあれこれ思案し、自分を責めても問題は解決しません。

原因よりも先に、「対策」を考えましょう。

(3)ギャンブル依存症の人となるべく多くコミュニケーションを取る

ギャンブル依存症の人を孤立させると、事態はいっそう悪化するかもしれません。そこで、円滑なコミュニケーションを図り、素直に話し合いのできる環境を作ることが大切です。

そうすることで、家族ともどもギャンブル依存症克服に向けて対応することができる可能性が高まります。

たとえば、 本人が悩んでいることを一緒に考え、解決を手助けしたいと示すことで、本人にも自分自身や家族のためにギャンブルをやめようとする意思が芽生える可能性があります。

ギャンブル依存症の治療は専門機関へ

繰り返しになりますが、ギャンブル依存症は自力での克服が難しいものです。

そこで、専門家によるサポートを受けることが大切です。

ギャンブル依存症について相談することができるのは、主に次の3つです。

  • 病院、保健所や精神保健福祉センター
  • 自助グループや回復支援施設
  • 社会福祉協議会

それぞれについて説明します。

本人が最初から行く必要はなく、家族からの相談も受け付けてくれるところが多いので、あらかじめ相談機関に確認してみるとよいでしょう。

また、本人に「あなたはギャンブル依存症だから病院に行きなさい」などとストレートに言っても、反発されるだけで終わってしまうおそれもあります。専門機関に行くことを勧める際には、心配しているというスタンスでそれとなく伝えるとよいでしょう。

(1)病院、保健所や精神保健福祉センター

ギャンブル依存症の治療を行っている精神科などの病院は少なくありません。お近くにギャンブル依存症に対処可能な病院があるか、インターネット等で調べてみましょう。

また、病院以外にも医師など専門家に相談できる機関があります。保健所、精神保健福祉センターでは、医師や保健師などがアルコールやギャンブル、薬物などの依存症について幅広く無料で相談に乗ってくれます。

電話や対面による相談のほか、希望を出せば、訪問してくれることもあります。

(2)自助グループや回復支援施設

自助グループや回復支援施設とは、アルコールやギャンブル、薬物などの依存の問題等を抱えている人が同じ問題を抱えている人と自発的につながり、悩みを共有する場です。

ギャンブル依存症になっている本人のミーティングだけでなく、家族のためのミーティングもあります。同じ悩みをかつて抱えていた人や、現に同じ悩みを抱えている人がどのように日々を過ごしているかを聞くだけでも、心の支えになるはずです。

(3)社会福祉協議会

社会福祉協議会とは、各種の相談活動やボランティアなど、あらゆる場面で地域の福祉増進に取り組む団体で、生活を再建するための相談に乗ってもらえます。

参考:ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点|厚生労働省

ギャンブル依存症で抱えてしまった借金は「債務整理」で減らせる可能性も

ギャンブル依存症で作ってしまった借金は多額に上ることが多く、本人が自力で返済するのはなかなか難しいかもしれません(繰り返しになりますが、保証人になっていなければ、基本的に家族に返済義務はありません)。

しかし、 「債務整理」をすることで、返済の負担を減らしたり無くしたりできる可能性があります。

債務整理には、主に次の3つがあります。

  • 任意整理

支払い過ぎた利息がないか、負債を再計算

→残った負債について、返済期間を長くすることで毎月の返済額を減らせないか、今後発生するはずだった利息を無しにできないか、個々の債権者と交渉

  • 個人再生

負債を返済できなくなってしまうおそれがある

→基本的に減額された金額を、裁判所の認可を得たうえで、原則3年間で分割払

  • 自己破産

負債を返済できない

→一定の財産を処分することとなる可能性がある代わりに、原則全ての支払義務が免除される(免責許可決定)

※どの債務整理でも、税金など一部の支払義務は無くなりません。

ギャンブル依存症が原因の借金だと、自己破産は無理?

ギャンブルでできた借金の総額があまりに多い場合には、免責不許可事由(借金の返済義務を免除できない事情)に該当し、自己破産の手続きをしても免責許可決定が出ないおそれがあります。

もっとも、そのような場合でも一度弁護士に状況を説明して、適切な方針を立ててもらうのがいいでしょう。 免責不許可事由に該当する場合であっても、本人の反省の態度などさまざまな事情から「裁量免責」が出て、借金の返済義務が免除される可能性もあります。

ギャンブル依存症が原因で借金を抱えてしまい、自己破産を検討する際の注意点について詳しくはこちらをご覧ください。

ギャンブル依存症でも自己破産は可能?無事手続きを終えるための注意点

【まとめ】ギャンブル依存症の治療は、専門機関を積極的に利用するのがおすすめ

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • ギャンブル依存症とは、ギャンブルにのめり込んで、日常生活や仕事、学業などに支障が生じている状態。脳のリスク判断の機能が弱まってしまっているため、努力だけでは克服することが難しい。

  • ギャンブル依存症になると、次の4つの症状が出ることが多い。
    1. 自分でコントロールができない
    2. 適切な対処をしなければ、悪化してしまう
    3. 考え方が極端になり、借金などをしてまでギャンブルをする
    4. 自分の問題を直視できず、問題を認めない

  • ギャンブル依存症になっているかどうかは、SOGSなどのチェックリストで見当をつけることができる。

  • ギャンブル依存症の人を抱えた家族にできる対処法は、主に次の3つ。
    • 家族がお金を貸したり、借金を肩代わりしたりしない
    • 今後の対策を家族が一緒になって考える
    • ギャンブル依存症の人となるべく多くコミュニケーションを取る

  • ギャンブル依存症の治療には、積極的に専門機関を利用することがおすすめ。主な専門機関は次の3つ。
    • 病院、保健所や精神保健福祉センター
    • 自助グループや回復支援施設
    • 社会福祉協議会

  • ギャンブルで抱えてしまった借金でも、債務整理をすることで返済の負担を減らしたり無くしたりできる可能性がある。

ギャンブル依存症の治療については、上で出てきた専門機関へご相談ください。

また、ギャンブル依存症で借金を抱えてしまった場合には、治療と並行して借金への対処にも向き合う必要があります。

アディーレ法律事務所では、自己破産、個人再生、任意整理の債務整理を取り扱っております。アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。

また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません(2022年8月時点)。

債務整理についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。