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調停離婚した後の養育費が未払いに!対処法と回収のポイントを解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「調停離婚した後、元夫が取り決めた養育費を支払わない!」
このような場合、どのような対処方法をとることができるのか、お困りではないでしょうか。

調停離婚の際に養育費について取り決めした場合には、未払いの養育費について強制執行、履行勧告、履行命令など様々な法的手段をとることができます。

どの手段をとるべきなのかは、それぞれの効果やメリットを比較した上で検討することをおすすめします。

この記事を読んでわかること
  • 養育費の意味
  • 養育費未払いの場合の対処法
  • 未払いの養育費を回収するためのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

養育費とは?

ここで、まず、簡単に養育費について説明します。

「養育費」ってなんですか?

親が離婚した場合、子どもを育てる親(監護親)は、子どもと離れて暮らす親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができます。この費用が「養育費」というものです。
離婚をしたとしても親として当然支払ってもらうべき費用ということになります。

「生活に余裕がなく払えない」といわれた場合にはどうすればいいんですか?

養育費は、「生活が苦しい」と言えば支払わずに済むものではなく、非監護親が自分の生活水準を落としてでも支払わなければなりません。

調停離婚の養育費未払いに対処する方法

調停離婚の養育費未払いに対処する方法としては、次のような方法が考えられます。

1.相手に連絡する
2.家庭裁判所の「履行勧告」「履行命令」の制度を利用する
3.「強制執行」の手続きをとる

詳しく説明します。

(1)相手に連絡する

まずは、直接相手に連絡して支払うように督促しましょう。
電話でも、書面でも構いません。
相手に未払いの悪意はなく、不注意で忘れていたり、仕事が忙しくて振り込む時間が取れなかったりして支払いが遅れた、というケースもあります。

直接の連絡が難しい場合や、連絡しても返事がなかったり支払いを拒否されたりした場合には、他の手段を検討します。

(2)家庭裁判所の「履行勧告」「履行命令」の制度を利用する

履行勧告は、家庭裁判所により、履行状況(養育費の未払いがあるかどうか)を調査し、取り決め通りに支払うよう相手に履行を勧告・支払を促してもらう制度です(家事事件手続法289条)。

履行勧告に強制力はありませんが、相手は裁判所から直接、取り決めを守るよう勧告を受けることになるので、一定の効果が期待できるというメリットがあります。

一方、履行勧告によっても支払われない場合、家庭裁判所が相当と認めると、一定の時期までに支払うよう命令を発してもらうこともできます。これを履行命令といいます(家事事件手続法290条)。

この命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられます。
ここで、「履行勧告」「履行命令」を使うべき場合、メリットについて簡単に説明します。

「履行勧告」「履行命令」はどのような場面に使うのがよいのでしょうか。

履行勧告・履行命令は、あくまで裁判所から相手方に対して、自主的に支払うよう促す制度なので、少なくとも相手方の自主的な支払が期待できる場合の利用をおすすめします。
履行勧告・履行命令は、次に説明する強制執行と異なり、手続き費用もかからず、手続き自体も簡単で、家庭裁判所への口頭での申立ても受け付けてもらえる、というメリットがありますので、相手方が自主的に支払う姿勢がある場合には、強制執行の前に利用を検討してみてもよいでしょう。

家庭裁判所の履行勧告・履行命令の制度は、家庭裁判所の調停、審判、判決などで養育費の取り決めがなされた場合にのみ利用できます。養育費に関する公正証書を作成しただけの場合には利用できませんので注意しましょう。

(3)「強制執行」の手続きをとる

養育費が未払いになっている場合において、強制執行とは、相手の給料や預貯金などを差し押さえて、そこから未払い分のお金を受け取ることができる手続きのことをいうのが一般的です。

養育費について強制執行力のある書面(債務名義)がある場合には、地方裁判所に対して強制執行の申立てをすることで、(相手に財産があれば)相手の財産から強制的に支払いを確保することができます。
債務名義としては、次のようなものがあります。

  • 確定判決
  • 和解調書
  • 調停調書
  • 審判調書
  • 公正証書(執行認諾文言有)など

調停離婚で離婚した際に養育費について調停調書が作成されていれば、その調停調書を債務名義として強制執行を申し立てることが可能です。

養育費について強制執行手続を行った場合、どのような効果が得られますか。

強制執行手続では、相手の預金や給与を対象とする場面が多いと思われます。

  • 預金については、未払い分のお金が預金口座に入っている限りで、未払い額に応じて、差し押さえることができます。
    ただし、預金にいくら入っているか外からはわかりません。口座に預金がない場合には空振りに終わる可能性もあります。
  • 一方、給与を差し押さえる場合には、相手方の生活もありますので、基本的に税金などを控除した残額(手取り額)の2分の1まで差押えができるとされています(※給料が高額な場合には2分の1を超えて差押えが可能です。例えば、月給の場合には手取り額が66万円を超える時は33万円を超える部分を全額差押え可能です。)
    また、養育費の未払いを原因とする給与等の差押さえは、一度手続きを行えば、来月以降の給与も継続的に差し押さえることができます(民事執行法151条の2第1項3号)。

なお、強制執行には「間接強制」という方法もあります。
間接強制とは、裁判所が債務を履行しない相手に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告(決定)することで心理的圧迫を加え、自発的な支払を促す方法のことです。
金銭の支払を目的とする債権については、間接強制の手続をとることはできないのが原則ですが、養育費の支払いを求める権利など、扶養に関する権利については、間接強制の方法による強制執行をすることもできます(※ただし、相手に支払能力がない場合には、裁判所は決定をしないこともあります)。

養育費が未払いの場合の回収のポイント

養育費が未払いの場合の回収のポイントは次のとおりです。

1.滞納があればすぐに対処する
2.相手の住所や連絡先を把握しておく
3.相手の財産状況(預金口座、仕事先)を把握しておく

詳しく説明します。

(1)滞納があればすぐに対処する

滞納があれば放っておかずに、すぐに対処するようにしましょう。相手に「支払わなくてもよいかもしれない」と思わせてしまう可能性があります。
さらに、長く放っておくことで、請求ができなくなってしまう場合もあるのです。

養育費の未払いを長く放っておくと請求できなくなるとはどういうことなのか、簡単にご説明します。

未払い養育費を放っておくと、請求できなくなる場合があると聞きました。どういうことでしょうか。

養育費を請求することのできる権利は、一定期間放っておくと、請求できなくなってしまいます。このような法律のきまりを、消滅時効といいます。
養育費の取り決めの方法によって、消滅時効の期間は次のように定められています。原則として、この期間を過ぎてしまうと、請求できなくなってしまう可能性があります。

  • 離婚協議書や公正証書で合意した場合 支払期日から5年(民法166条1項1号)
  • 判決、調停・審判調書による場合 支払期日から10年(民法169条1項)(※ただし、判決等の後に支払日の来る養育費に関しては、支払期日から5年)

期間を過ぎてしまうと請求できなくなるとは、どういうことでしょうか。

消滅時効期間を過ぎてしまっても、請求すること自体は不可能ではないため、相手方が自主的に支払うと約束したり、実際に支払ったりすれば(債務承認があれば)、養育費を請求し受領することができます。
しかし、相手方から「消滅時効にかかっているから払わない、時効を援用する」と反論されてしまうと、それ以上請求することはできないということです。

(2)相手の住所や連絡先を把握しておく

強制執行手続きを行うには、相手の現住所を管轄する地方裁判所に申し立てる必要があります。そのため、強制執行手続きを行うには、相手の現住所や連絡先を把握しておく必要があるのです(申立書には、相手の住所地を記載する必要があります。)。

(3)相手の財産状況(預金口座、勤務先)を把握しておく

強制執行を申し立てる際は、まず、相手の財産を特定する必要があります。
例えば、預金口座であれば、基本的に銀行名と支店名まで必要です。また、給与の差押えをするためには、勤務先を把握しておく必要があります。

もっとも、以前は、強制執行するためには、未払いで苦しむ側が相手の財産を調べて特定する必要があり、特定できない場合には強制執行することができないという事態が生じていました。

しかし、2020年4月1日から施行されている改正民事執行法により、調査によっても相手の財産を特定できない場合には、一定の要件を満たせば、裁判所の「第三者からの情報取得手続」という制度を利用することで、相手の勤務先や、銀行口座について把握することができるようになりました。

具体的には、養育費の未払い等に関して、勤務先が不明な場合は、裁判所は、市区町村、日本年金機構や国家公務員共済組合などの厚生年金保険の実施機関に問い合わせて、勤務先の情報を取得できる可能性があります。
この改正民事執行法により、法制度上、以前より養育費の回収がしやすくなりましたので、養育費受給世帯の増加につながることが期待されています。

参考:養育費に関する手続|裁判所

【まとめ】調停離婚後の養育費の未払いには法的手段をとることも可能!未払いがあれば即座に対応することがおすすめ!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「養育費」とは、親が離婚した場合に子どもを直接育てる親(監護親)から子どもと離れて暮らす親(非監護親)に対して請求する子どもを育てていくための養育に要する費用のこと
  • 養育費は、「生活が苦しい」と言えば支払わずに済むものではなく、非監護親が生活水準を落としてでも支払わなければならないお金
  • 調停離婚の養育費未払いに対処する方法

1.相手に連絡する
2.家庭裁判所の「履行勧告」「履行命令」の制度を利用する
3.「強制執行」の手続きをとる

  • 履行勧告・履行命令は、次に説明する強制執行と異なり、手続き費用もかからず、手続き自体も簡単で、家庭裁判所への口頭での申立ても受け付けてもらえる、というメリットがあるので、相手が自主的に支払う姿勢がある場合には、強制執行手続きの前に利用を検討してみると良い
  • 強制執行手続きについては、履行勧告・履行命令と比べて手続きが難しいという側面があるものの、相手の預貯金や給料を強制的に差し押さえることができるという強い効果がある
  • 養育費が未払いの場合の回収のポイント

1.滞納があればすぐに対処する
2.相手の住所や連絡先を把握しておく
3.相手の財産状況(預金口座、勤務先)を把握しておく

養育費の未払いについてお困りの方は、養育費についての問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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