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確定申告における医療費控除とは?対象となる金額や注意点を解説

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s.miyagaki

「確定申告で医療費控除という制度があると聞いたけれど、どんな制度だろう?」

実は、たくさん医療費を払った場合には、その額に応じて税金を減らすことができることがあります。

医療費控除とは、年間を通じて支払った医療費に応じて税金を減らすことができる制度です。このことを知っていれば、確定申告の際に節税ができる可能性があります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 確定申告における医療費控除の概要
  • 医療費控除の対象となる金額やケース
  • 医療費控除の申請方法
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

確定申告における医療費控除とは

医療費控除とは、毎年1月1日~12月31日の間に支払った医療費が一定額を超える場合に、「所得控除」を受けることができる制度のことです。

「所得控除」とは、年間の所得(利益)から一定の金額を差し引くことによって、個人の事情を考慮して税の負担を調整するための制度です。

参考:所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|国税庁

医療費控除の対象となる医療費は、納税者本人や納税者と生計を同じくする配偶者・その他の親族のために支払った医療費です。

医療費控除は、支払った医療費が戻ってくるという制度ではありません。そうではなく、支払った医療費に応じて税金を再計算して税の負担を減らすための制度です。

個人事業主の場合には、医療費控除を受けることにより、納める所得税等の額を減らすことができる可能性があります。また、会社員などの場合には、医療費控除を受けることにより、すでに給与から天引きされている所得税の還付を受けることができる可能性があります。

参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

確定申告について詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告とは?対象者や罰則、節税のポイントなどを詳しく解説

確定申告における医療費控除の対象となる金額

医療費控除の計算方法などについてご説明します。

(1)医療費控除額の計算方法

 確定申告の際に医療費控除を受けることができる目安は、年間の医療費が所得の5%(ただし、上限額は10万円)を超えていることです。具体的には、次の計算式で求めた金額が医療費控除の金額となります。

医療費控除の額=1年間に支払った医療費の総額(※)- 所得の5%(上限額10万円)

※保険金などで補填される金額は除きます。保険金などで補填される金額について、詳しくは後でご説明します。

所得の5%が10万円となるのは、所得金額が200万円のときです。したがって、所得金額が200万円を超えた場合には、一律で10万円が控除されるということになります。

医療費の支払が10万円を超えていないから医療費控除は受けられないと思っていました。

医療費の支払が10万円を超えていなくても、医療費控除ができることはあります。

医療費控除の額は、「1年間に支払った医療費の総額-『所得の5%(上限10万円)』」であって、「1年間に支払った医療費の総額-10万円」ではありません。

なので計算上、所得金額が200万円未満の場合には、医療費の支払が10万円を超えていなくても医療費控除が受けられる可能性はあります。

(2)保険金などで補填される金額とは?

医療費控除の計算上、実際に支払った医療費の総額から保険金などで補填される金額が差し引かれます。保険金などで補填される金額とは、具体的には次のようなものがあります。

  • 生命保険などから支払われる入院給付金
  • 健康保険から支払われる高額療養費(月の医療費が高額になった場合に一部を払い戻してもらえる制度)
  • 健康保険から支払われる家族療養費(子供など被扶養者の医療費に適用される制度)・出産育児一時金(子供が生まれた時にもらえるお金)など

具体例
年間で医療費として実際に100万円を支払ったとします。この場合に、生命保険などから支払われる入院給付金として80万円を受け取った場合には、医療費控除の計算上、医療費として支払った額は次のようになります。
100万円-80万円=20万円

確定申告における医療費控除の対象

医療費控除の対象となる人や、対象となる医療費などについてご説明します。

(1)医療費控除の対象となる人

医療費控除の対象となる人は、先ほどご説明したとおり、次の人です。

  • 納税者本人
  • 納税者と生計を一にする配偶者・その他の親族

このうち、「生計を一にする(生計を同じくする)」とは、同居をしている場合に限りません。

例えば、離れて暮らしている子供に対して仕送りをしている場合にも、その子供は生計を同じくしているものとして対象になることがあります。

これに対して、親が介護施設などに入所していて入居費用を親本人が負担している場合などには、生計を同じくしているものとは認められない可能性があります。

(2)医療費控除の対象となる医療費

医療費控除の対象となる医療費には、次のようなものがあります。

医療費控除の対象控除の対象に含まれるもの(例)
・医師・歯科医師による診療・治療のために支払ったお金

・治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術のために支払ったお金

・助産師による分べんの介助のために支払ったお金

・医師等による一定の特定保健指導のために支払ったお金

・介護福祉士等による喀痰吸引等のために支払ったお金
医師等による診療等を受けるために直接必要なもので、次のようなお金
・通院費
・医師等の送迎費
・入院の対価として支払う部屋代・食事代
・医療用器具の購入費・賃借費
・義手、義足、松葉づえ、義歯や補聴器等の購入費
・身体障害者福祉法などの規定により都道府県・市町村に納付する費用のうち、医師等の診療費用等にあたるもの
・6か月以上寝たきりの人のおむつ代で、その人の治療をしている医師が発行した証明書(「おむつ使用証明書」)のあるもの

介護保険等制度で提供される一定の施設・居宅サービスのために支払ったお金
保健師や看護師、准看護師による療養上の世話のために支払ったお金療養上の世話を受けるために特に依頼した人に支払う療養上の世話の対価としてのお金
治療や療養に必要な医薬品の購入のためのお金・かぜの治療のために使用した一般的な医療品の購入費
・医師等の処方や指示によって購入する医薬品の購入費のうち一定のもの
病院、診療所又は助産所などへ収容されるためのサービスの提供の対価としてのお金病状からみて急を要する場合に病院に収容されるために必要なお金

人間ドックなどの健康診断や特定健康診査の費用は控除の対象となりますか?

原則として、控除の対象となりません。

しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見された場合において、引き続き治療を受けたときなどには、健康診断や特定健康診査の費用は医療費控除の対象となります。

(3)医療費控除の対象とならない医療費

次のようなものなどは、医療費控除の対象とはなりません。

  • 美容目的で行う整形手術費用や、歯のオールセラミック治療
  • 健康診断の費用(異常がみられなかった場合)
  • 通院時のタクシー代(ただし、公共交通機関が利用できない場合には対象となり得ます)、自家用車のガソリン代・駐車料金
  • 治療を受けるために直接必要でない、近視・遠視のための眼鏡購入費用
  • 治療を受けるために直接必要でない、補聴器の購入費用
  • 病気の予防または健康増進のために行う予防接種やサプリメント購入費用

ケース別|医療費控除の注意点

医療費控除において、注意したいポイントをご紹介します。

(1)入院や通院に関わるもの

入院時の食事代は医療費控除の対象となりますか?

入院時の食事代は、医療費控除の対象となります。

入院時の日用品などは医療費控除の対象となりますか?

入院時の日用品などは、医療費控除の対象となりません。

差額ベッド代は、医療費控除の対象となりますか?

差額ベッド代は、ケースにより異なります。自己都合での差額ベッド代は、医療費控除の対象外です。

医師の診療などに直接必要であり、且つ通常必要といえる場合には、医療費控除の対象となります。

通院時の交通費は、医療費控除の対象となりますか?

通院時の交通費は、公共交通機関や、公共交通機関がない場合のタクシー代のみ医療費控除の対象となります。

自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は、対象となりません。

(2)出産に関わるもの

出産に関わる医療費は、医療費控除の対象となりますか?

出産時の医療費は、医療費控除の対象となります。また、妊娠が分かった時からの通院や検査をした際の医療費も対象となります。

里帰り出産をするための帰省にかかった交通費は対象となりますか?

里帰り出産をするための帰省にかかった交通費は、医療費控除の対象となりません。

(3)歯の治療に関わるもの

歯の治療に関わる医療費は、医療費控除の対象となりますか?金やセラミックなどの材料費はどうですか?

歯の治療に関わる医療費は、医療費控除の対象となります。また、金やセラミックなどの材料費も、原則として医療費控除の対象となります。

歯列矯正は、医療費控除の対象となりますか?

歯列矯正は、子どもの場合で成長に影響する場合や、歯列矯正をしないと健康に影響を及ぼす可能性があるなど、治療として必要であることが認められる場合には、医療費控除の対象となります。

これに対して、美容目的の場合には、対象となりません。

(4)介護に関わるもの

介護に関わる費用は、医療費控除の対象となりますか?

介護に関わる費用は、次のようなものであれば、医療費控除の対象となり得ます。

  • 介護保険等の制度で提供される一定の施設・居宅介護サービスの利用料
  • 介護福祉士等による喀痰吸引等の処置費用
  • 6か月以上にわたり寝たきりの方のおむつ代であって、担当医の「おむつ使用証明書」がある場合

セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。

これは、ドラッグストアなど市販の医薬品のうち対象となる医薬品の購入費用が1万2000円を超えた場合に、医療費控除の対象となる制度です。

2017年1月1日~2026年12月31日の間に、納税者本人や納税者と生計を同じくする配偶者・その他の親族のために、対象となる医薬品(特定一般用医薬品)を購入した場合には、一定の要件を満たす限り、その購入費用が医療費控除の対象となります。

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする場合には、その受けようとする年に、健康の保持増進および疾病の予防に関する一定の取組みを行っていなければなりません。この取組みとしては、具体的には次のようなものなどがあります。

  • 健康保険組合などが実施する健康診断(人間ドック、各種検診など)
  • 市区町村が健康増進事業として行っている健康診断
  • インフルエンザワクチンの予防接種

なお、セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除との選択適用となります。このため、セルフメディケーション税制か通常の医療費控除かのいずれか一方しか受けることができません。

参考:セルフメディケーション税制の概要・手続など:令和3年分 確定申告特集

医療費控除の手続き方法

医療費控除を申請するためには、「医療費控除の明細書」が必要となります。医療費控除の明細書は、国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」で作成することができます。

参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁

医療費控除の明細書で計算した結果については、確定申告書の医療費控除の欄に転記します。

【まとめ】年間を通じて支払った医療費に応じて税金を減らすことができる制度

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 医療費控除とは、年間を通じて支払った医療費に応じて税金を減らすことができる制度。個人事業主の場合には、医療費控除を受けることにより、納める所得税等の額を減らすことができる可能性がある。また、会社員などの場合には、医療費控除を受けることにより、すでに給与から天引きされている所得税の還付を受けることができる可能性がある。
  • 医療費控除を受けることができる目安は、年間の医療費が所得の5%(ただし、上限額は10万円)を超えていること。
  • 医療費控除の額は、具体的には「医療費控除の額=1年間に支払った医療費の総額-所得の5%(上限額10万円)」の式で求めることができる。ただし、医療費の総額から保険金などで補填される金額(生命保険などから支払われる入院給付金など)は除かれる。
  • 所得金額が200万円を超えた場合には、一律で10万円が控除されるということになる。
  • 医療費控除の対象となる人は、納税者本人と、納税者と生計を同じくする配偶者・その他の親族。医療費控除の対象となる医療費には、医師・歯科医師による診療・治療のために支払ったお金などがある。これに対して、美容目的で行う整形手術費用や健康診断の費用(異常が見られなかった場合)などは医療費控除の対象とはならない。
  • セルフメディケーション税制という医療費控除の特例がある。これは、ドラッグストアなど市販の医薬品のうち対象となる医薬品の購入費用が1万2000円を超えた場合に、医療費控除の対象となる制度。
  • 「医療費控除を申請するためには「医療費控除の明細書」が必要となる。医療費控除の明細書は、国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」で作成できる。

医療費をたくさん支払って負担が大きかったときには、その分税金を減らすことができるのであれば減らしたいですよね。医療費控除を受けることで、税金をうまく減らしましょう。

確定申告について分からないことがある場合には、税についての相談窓口などに相談してみてください。

参考:税についての相談窓口|国税庁

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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