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円満離婚に向けた養育費交渉のポイントとは?養育費の相場も解説

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リーガライフラボ

「円満に離婚したい」というのは誰もが当然に思う気持ちでしょう。

しかし、実際は、子どものことやお金のことなど、離婚時に夫婦が揉めてしまうことも多いのが実情です。実際、離婚で夫婦が揉めたというケースを友人や知人から聞いたことがある人もいらっしゃるでしょう。

ただ、円満離婚は難しいことではありません。

円満離婚に向けた交渉のポイントを押さえておくことで、円満離婚をしやすくなります。特に、子どもに関する養育費のことは夫婦が揉めやすい要因の一つですので、円満離婚しやすくなるポイントを押さえておくことが重要です。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 円満離婚のメリットと気をつけるべきこと
  • 円満離婚を目指すときの養育費交渉のポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

円満離婚とは

「円満離婚」とは、一般的に、夫婦がお互いに納得のいく条件で協議離婚を成立させることです。

円満離婚をするにあたっては、夫婦で揉めないということも大事ですが、どちらか一方に不満が残る形にはしないということも重要になります。

(1)円満離婚を目指すべき4つのメリット

離婚をするには、「円満離婚」を行うことがおすすめです。

なぜなら、円満離婚には、次の4つのメリットがあるからです。

  1. 離婚成立までのスピードが速い
  2. 離婚にかかる費用を抑えられる
  3. 後悔のない離婚条件を決めることができる
  4. 離婚後も良好な関係でいられる可能性が高く、子どもに与える影響も少ない

それぞれ説明します。

(1-1)離婚成立までのスピードが速い

円満離婚のメリットとしては、離婚成立までのスピードが速いということが挙げられます。

離婚で揉めた場合には、裁判になり、離婚までに1年以上かかるケースも多くあります。しかし、円満離婚の場合には、夫婦間の合意がまとまれば、離婚届を役所に提出することで離婚ができるため、裁判などを通じて離婚する場合に比べて、短い期間で離婚することができます。

(1-2)離婚にかかる費用を抑えられる

円満離婚の場合には、基本的に離婚にかかる費用はありません。

一方、離婚で揉め調停や裁判になった場合には、裁判所に支払う費用や(弁護士に依頼した場合)弁護士費用が必要となります。

離婚によって、夫婦それぞれ新たな生活がはじまります。新たな生活のためにはお金が必要となる人もいるでしょう。少しでも離婚にかかる費用は抑えましょう。

(1-3)後悔のない離婚条件を決めることができる

円満離婚の場合には、夫婦の話し合いで離婚をしているので、財産分与や養育費など、金銭面においてもお互いに納得している場合が多いのが特徴です。

そのため、離婚後に「もっと養育費をもらうべきだった」「財産分与の方法に納得ができない」など後悔することはあまりありません。

このように、双方にとって納得のできる離婚条件は、後で決めたことがきちんと実行されやすいため、例えば、養育費の不払いといった後々のトラブルを防止できる可能性が高いといえます。

(1-4)離婚後も良好な関係でいられる可能性が高く、子どもへの影響が少ない

円満離婚の場合には、離婚後も相手と連絡を取り合えるような関係でいられることがあり、子どもとも定期的に交流できるなど良好な親子関係を続けられる可能性が高いといえます。

一方、相手と裁判などで争った末に離婚する場合には、離婚成立後に良好な関係を築くことは難しく、子どもに会うことも難しいケースも少なくありません。

離婚後も子どもにとっては父母であることに変わりありません。そのため、離婚後も夫婦がある程度良好な関係を継続している場合には、子どもへの影響も少なくてすむでしょう。

(2)円満離婚のために離婚条件を妥協するのは禁物!

円満離婚をしたいからといって離婚条件を妥協してしまうのは禁物です。

なぜなら、離婚条件を曖昧にしたり、納得のできないまま合意したりしてしまうと、後々トラブルの元になる可能性が高いからです。

【具体例】
  • 養育費の金額を決めずにいたら、毎月数千円の振込しかない
  • 財産分与について十分な話し合いをしなかったため、家財道具や車を相手に持っていかれて、離婚後の生活が困った
  • 慰謝料の金額に決めずにいたら、支払いがない
  • 面会交流について十分に話し合わなかったため、子どもと会わせてもらえない など

特に、財産分与、慰謝料といった金銭面の条件や養育費、面会交流といった子供に関する条件はきっちり決めておくべきでしょう。

円満離婚への養育費交渉の4つのポイント

円満離婚の場合であっても、養育費といったお金は離婚後の生活の支えになりますから、しっかりと決めておくのがおすすめです。

ただ、お金の話はなかなか相手も折れてくれず、揉める要因ともなりがちです。

養育費交渉を円満に終わらせるためには、あなたの思いや希望を通すだけではなく、相手の意思も尊重することが重要になります。

円満離婚に向けた養育費交渉では、次の4つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

  1. 相手の収入を把握する
  2. 子どもの成長に応じた経済的支出の見通しを立てる
  3. 面会交流に協力的な姿勢を見せる
  4. 養育費の合意は「公正証書」で行う

それぞれのポイントについて説明します。

(1)相手の収入を把握する

相手の収入を把握したうえで、相手が支払えそうな金額の範囲内で養育費を決めるようにしましょう。

そもそも、養育費の金額は法律で決まっているわけではなく、父母で自由に養育費の金額を決めることができます。ただ、相手が支払えない金額を請求しても、相手から反発を招き、相手と揉めやすくなります。

相手と揉めない円満離婚を実現するためには、相手の収入を把握し、相手の生活費も鑑みた上で、相手が支払える範囲内の養育費を設定することが必要です。このようにすることで、相手も納得しやすく、話合いも円満に終わる可能性を高めることができます。

なお、養育費の金額を家庭裁判所で決める場合には、父母双方の年収や子どもの数・年齢によって養育費の基準額が定められている「養育費算定表」を目安に決めることがあります。養育費の金額を決める話し合いの際にも「養育費算定表」を参考にしてみるとよいでしょう。

参考:養育費・婚姻費用算定表|裁判所 – Courts in Japan

相手が収入を少なめに申し出てくることもあり得ます。そのため、相手の収入を把握する際には、給与明細や源泉徴収票等できちんとチェックしておくとよいでしょう。

(2)子どもの成長に応じた経済的支出の見通しを立てる

子どもの成長に応じた経済的支出の見通しを立てて、養育費の金額を決めるようにしましょう。

例えば、保育園の期間、小学校や中学校、高校、大学に行くとなると、いくら必要になるかをイメージして養育費を決めるということです。

なぜなら、養育費だけでは足らずに、お金が必要となった時点で養育費の増額と請求しても、相手からは一度決めた養育費の増額が渋られるケースも多いからです。

そこで、現時点で見込んでいる子どもの成長に応じた経済的支出を計画化し、その支出計画をベースに話し合いを行なうことをおすすめします。

保育園の間は〇万円、小学校の入学時には〇万円など、子どもの成長に応じた金額を決めておいてもよいかもしれません。

なお、母が私立小学校や中学校に通わせたいと思っていても、父が公立でいいと思っている場合などには、父母で想定する養育費の感覚にずれが生じているケースもあります。この場合、話し合いがまとまらず、揉めてしまうケースも多くあります。養育費の話し合いでは父母教育観のすり合わせも行っておくのもよいでしょう。

(3)面会交流に協力的な姿勢を見せる

円満に養育費の話し合いをすすめるためには、面会交流(※)に協力的な姿勢を見せるようにしましょう。

※面会交流とは、子どもと一緒に暮らさない親が子ども会ったり、交流したりすることをいいます。

そもそも、養育費を支払う側としては、養育費を支払うのであれば、子どもの成長を見たい、子どもと定期的に会いたいと考える人が多くいます。

そのため、養育費の支払いを求めながらも、面会交流については拒絶的な姿勢を見せると、養育費を払う側の親から反発を招くことがあります(例:子どもに会えないなら、養育費は払いたくないなど)。

そこで、円満に養育費の話し合いをすすめたいのであれば、面会交流については協力的な姿勢を見せるのがよいでしょう。

なお、定期的かつ継続的な面会交流は、養育費を支払う側が子どもの成長を肌で感じる機会となり、親としての自覚から養育費を払い続けるようになるという効果(養育費の不払いを防ぐ効果)も期待できます。

面会交流について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

(4)養育費の合意は「公正証書」で行う

離婚後の養育費不払いといったトラブルを防ぐためには、養育費の合意は「公正証書(交渉尺場で公証人に作成される公文書)」で行うことをおすすめします。

なぜなら、公正証書として残しておくことで、次のようなメリットがあるからです。

  • 口頭で合意すると、後から「そんな約束をした覚えはない」などと言い逃れされてしまうこともありますが、きちんと書面に残しておくことで、そのような言い逃れを防ぐことができる。
  • 公正証書は、公文書として証明力・証拠力を備えた証書となるため、離婚後、「そんな約束はしていない」「離婚協議書は勝手に作られた(偽造された)」などと言われても、そのような言い逃れを防ぐことができる。
  • 公正証書は公証役場で保存されるため、公正証書が破棄・紛失するといった事態を防ぐことができる。
  • 公正証書に執行受諾文言が付いていれば、養育費の支払いが滞ったとき、裁判をしなくても強制的に支払いをさせることができる。

特に、最後の「執行受諾文言」をつけておくことは重要です。

そもそも強制執行認諾文言とは、通常、「債務者が本契約の債務を約束通りに履行しなかったときは、直ちに強制執行を服することを承諾する」などという内容で、通常公正証書の最後の条項に記載される文言のことをいいます。

この文言を書いておくことで、本来は裁判をしてからでないとできない強制執行を、裁判をすることなく行うことができます。

残念ながら日本では養育費の未払いを罰する仕組みがなく、離婚後しばらくして養育費の支払いが滞るケースも多いため、「強制執行をしやすくしておく」などある程度の自衛策を備えておくことは重要です。

公正証書の作成方法や作成メリットについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

円満離婚を目指すときも弁護士への相談がおすすめ!

弁護士はトラブルになってから相談するイメージをお持ちかもしれません。

しかし、トラブルになっていない段階であっても、弁護士へ相談されることをおすすめします。

なぜなら、離婚問題を取り扱う弁護士に相談しておくことで、例えば、次のような事態を防ぐことができる可能性があるからです。

  • 養育費の話し合いをすすめたくても、話し合いに応じてもらえない
  • 養育費の話し合いをしたいが、相手が怖くて切り出せない
  • 養育費の話し合いを進めているが、相手も養育費についてインターネットなどで調べているようで、相手にいいくるめられてしまいそう(納得のいかない金額になってしまうおそれ)
  • 相手に弁護士がつき、納得のいかない養育費額を提示されているが、反論できない など

弁護士はあなたに代わり、相手と交渉します。離婚問題を取り扱う弁護士は離婚問題で揉めやすいポイントを知っていますので、離婚問題で揉めやすいポイントを回避しながら、話し合いを進めることができる可能性があります。

【まとめ】円満離婚のためには相手の意思も尊重することがポイント!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 円満離婚を目指すべき4つのメリット
  1. 離婚成立までのスピードが速い
  2. 離婚にかかる費用を抑えられる
  3. 後悔のない離婚条件を決めることができる
  4. 離婚後も良好な関係でいられる可能性が高く、子どもに与える影響も少ない
  • 円満離婚への養育費交渉の4つのポイント
  1. 相手の収入を把握する
  2. 子どもの成長に応じた経済的支出の見通しを立てる
  3. 面会交流に協力的な姿勢を見せる
  4. 養育費の合意は「公正証書」で行う

「離婚は揉めて大変そう…」
など、離婚は相手と揉めてしまうイメージをお持ちかもしれません。

実際、お金のこともシビアに話し合わなければならないこともあるため、揉めてしまうケースも多くあります。

離婚問題を取り扱う弁護士は、離婚問題で揉めやすいポイントを知っています。離婚問題を取り扱う弁護士に事前に相談しておくことで、離婚問題で揉めやすいポイントを回避しながら、話し合いを進めることができるでしょう。

離婚問題で揉めたくない、離婚の話し合いが不安な方は、一度離婚問題を取り扱う弁護士へ相談がおすすめです。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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