これから離婚調停の予定である方は、養育費についてどのようにして決めるのか、不安な気持ちがあるのではないでしょうか。
離婚調停はあくまでも話し合いの手続きですので、養育費の金額が勝手に決められてしまうということはありません。納得がいかない場合には、もちろん拒否することができます。
もっとも、離婚調停で話し合いがうまくまとまらない場合には、裁判(審判)で裁判官が養育費の金額を決めることになりますので、その場合には、目安(相場)の金額となってしまいます。
この記事では、
- 離婚調停の内容
- 養育費の相場
- 離婚調停での養育費の金額の決め方
- 離婚調停後に養育費の増額や減額が認められやすいケース
- 離婚調停後に養育費の不払いがあった場合
について、弁護士が詳しく解説します。
これから離婚調停で養育費について決める予定の方、ぜひ参考にしてください。
慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。
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離婚調停とは?

離婚調停とは、どのような手続きなのでしょうか、簡単に説明します。
離婚は話し合いによって離婚届を提出するだけで成立します。
しかし、離婚について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。これを「離婚調停」といいます。
離婚調停では、調停委員(男女1名ずつの場合が多い)が間にたって、夫婦の双方の話を聞き、夫婦の意見の調整を行いながら話し合いをすすめていくことになります。
夫婦で顔を合わせたくないという場合でも、基本的に夫婦が顔を合わせることはありません。夫婦が個別に調停委員と話す形で話し合いをすすめていきます。
離婚調停では、離婚をするか否かだけでなく、子どもの親権や養育費、面会交流、さらには慰謝料や財産分与など離婚に関して話し合うべき条件についても話し合うことができます。
参考:夫婦関係調整調停(離婚)|裁判所- Courts in Japan
養育費の相場はいくらぐらい?
調停成立もしくは審判によって離婚した場合の(夫から妻に対する)養育費のデータ(2018年度)となります。

参考:平成30年司法統計|裁判所- Courts in Japan
※司法統計平成30年のデータに基づきます。
※また、上記のデータは、「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち母を監護者と定めた場合であり、養育費が月払される場合のデータです。
※%=小数点第二位以下四捨五入。
※1 子どもの数は、母が監護権者となった未成年の子どもの数を指します。
このデータを参考とすると、調停もしくは審判での離婚の場合(子が1~2人)には、養育費として月3万~6万円となるという場合が半分以上を占めるということがわかります。
離婚調停では養育費をどのように決める?
離婚調停で養育費を決める場合には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考にして決められることがあります。
例えば、養育費算定表では、子どもが0~14歳の場合で、夫妻が双方会社員である場合には、夫婦の年収に応じて次のように計算されることになります。

養育費の支払いがどのくらい見込めるのかを知りたい方は、「養育費かんたん自動計算ツール」に夫婦の年収や子供の人数などを入れることで、受取額の目安をチェックすることができます。
もっとも、あくまで離婚調停は話し合いですので、算定表の金額が絶対というわけではありません。
例えば、養育費算定表は、子どもが公立学校を通っていることを前提としていますので、私立学校に通っている場合などには、養育費算定表の金額よりも高い金額とされることがあります。
養育費算定表の金額は、あくまでも話し合いのときに参考とする目安となります。
離婚調停で決めた養育費が変わることはある?
離婚調停で決めた養育費については、事情の変化に応じて増額や減額できる場合があります。
増額や減額は、支払う側の判断で勝手に行うことはできませんが、支払う側と貰う側の話し合いや話し合いが難しい場合には養育費分担変更の調停や審判を通じて増額や減額をすることができます。
参考:養育費に関する手続|裁判所- Courts in Japan
(1)養育費の増額が認められやすいケース
養育費の増額が認められやすいケースとは、たとえば次のような場合です。
次のような場合には、養育費の増額が認められやすいといえます。
- 養育費を決めた時点では、養育費を支払う側が無職やアルバイトであったが、正社員となって収入が大きく増加した
- 子どもの進学などで教育費が増加した
- 子がケガや病気になり、特別な医療費がかかるようになった
- 養育費を貰う側の親が病気やリストラなどで無収入になった
(2)養育費の減額が認められやすいケース
養育費の減額が認められるケースとは、たとえば次のような場合です。
次のような場合には、養育費の減額が認められやすいといえます。
- 予期できない事情で、養育費を支払う側の収入が激減した
- 養育費を支払う側が再婚して子が生まれたなど扶養者ができた
- 養育費を貰う側に経済的な余裕ができた(収入の増加、再婚など)
- 養育費を貰う側が再婚して、子が再婚相手の養子になった
離婚調停後に養育費の不払いがあったらどうすればいい?
養育費が支払われない時、相手に対してとれる対処法について説明します。
養育費不払いの相手に対して、次のような対処法をとることができます。
- 強制執行手続を行う
- 履行勧告・履行命令を行う
詳しく説明します。
(1)履行勧告・履行命令をする
離婚調停の際に養育費について取り決めたにもかかわらず、養育費が支払われない場合には、履行勧告・履行命令をすることができます。
ここで、履行勧告・履行命令とは何か、どういう場合に利用するのがよいのか、について簡単に説明します。


(2)強制執行手続をする

離婚調停の際に養育費について取り決めたにもかかわらず、養育費が支払われない場合には、強制執行手続をとることができます。
ここで、強制執行手続とはどのような手続きなのか、について簡単に説明します。



【まとめ】離婚調停の際には算定表を参考に養育費が決まる
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 「離婚調停」とは、離婚について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合に、家庭裁判所で行う話し合いの手続きになります。
- 調停もしくは審判での離婚の場合(子が1~2人)の養育費の相場は、月3万~6万円となっています。
- 離婚調停で養育費を決める場合には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考にして決められることがあります。もっとも、実際の生活費や教育費に応じて、「養育費算定表」より高額な養育費が決められることもあります。
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