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【弁護士監修】面会交流を拒否された場合の4つの対処法について

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「離婚して離れて暮らすことになった我が子に会わせてもらえない…元配偶者に面会交流を拒否されたら、どうすればいい?」

配偶者と離婚することになったとしても、親と子の関係が切れるわけではありません。
例えあなたが監護権(親権)を持つことができず、子どもと一緒に暮らすことができなかったとしても、親として子どもの成長を見守り、親としての役割を果たしたいと願うことは当然の事であり、親としての責任でもあります。

この親としての責任を果たすため、離婚により監護権を持たなかった側には『面会交流』が認められています。

ところが面会交流を行うためには、監護権を持つ側の親の協力が不可欠です。

ではもし、監護権を持つ側の親の協力が得られずに面会交流を拒否されてしまったら……。

そんなときの対処法についてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

面会交流は、基本的に拒否できない

まず、一番大切なことは『面会交流は、基本的に拒否できない』ということです。

なぜなら、面会交流は実親の権利義務であるであること以上に、子どもの権利としての側面が強いからです。
離婚後も子どもが実親と定期的継続的に会ったり交流したりすることは、子どもの健全な人格形成に重要な要素とされています。
ですから、親の事情で両親が別れることになったとしても、そのために子どもが実の親と交流する機会を奪われることがあってはならないのです。

そのため面会交流で最優先されるべきは「子どもの福祉」です。

(1)面会交流は、基本的に拒否できない

面会交流は、基本的に子どもが成人するまで長期的に続く実親と子どもの権利であるとされています。
法もまた、面会交流の頻度や方法等について、父母が「子の利益を最も優先して」「協議で定める」(民法766条1項)こととされています。

面会交流には、直接会う「直接的面会交流」と、電話や手紙といった間接的なやり取りに限定する「間接的面会交流」があります。
こういった面会交流の方法や、どれくらいの頻度で行われるかといったことを協議で決めるにあたり、最も優先されるのは「子の利益」なのです。

そのため、子どもの利益となる面会交流の機会を、例え監護者であったとしても勝手に放棄することは許されません。
ですから、原則として、面会交流の実施を拒否できないとされています。

(2)面会交流の拒否や制限が認められるケースとは?

原則として面会交流は拒否できません。
しかし、面会交流があくまでも子どものために実施されるものである以上、面会交流をすることで「子どもの福祉」が害されると裁判所が判断した場合は、面会交流の拒否や制限が認められるケースもあります。

代表的なケースとして、次の3つが挙げられます。

  1. 子どもが自分の意思で面会交流を拒否していると客観的に認められる場合

    子どもが面会交流を拒否している場合には、基本的にその意思が尊重されます。
    もっとも、監護親に言い含められたり、監護親の顔色を気にしたりして面会交流を拒否することもあるため「客観的」に、子ども自身の意思であるかどうかの判断は重要です。

  2. 非監護者(面会交流をする親)が子どもや監護者に暴力を振るう可能性がある場合

    例えばDVなどが原因で両親が離婚した場合などです。
    面会交流をする側の親が、同居していた頃から子どもや監護親に暴力を振るっていたようなケースでは、離婚後であっても暴力が振るわれる可能性があります。

    DVの対象がもっぱら配偶者であり、仮に子どもに直接暴力を振るっていない場合であっても、配偶者に対する暴力による脅威を子どもに与え、間接的な暴力を振るっていたものと考えられます。
    そのような非監護親との面会交流は子どもの福祉を害すると裁判所が判断する可能性が高くなります。

  3. 非監護者が子どもを連れ去る危険性が高い場合

    子どもの親権(監護権)を得られなかった非監護親が、強引に子どもを連れ去る可能性もあります。
    例えば過去の面会交流の際にそのような暴挙に出ていたような場合には、その非監護親が再度子どもを連れ去る危険性が高いものと判断される傾向があります。

子どもと面会交流したい!正当な理由なく拒否されたときの対処法

子どもと面会交流したいのに、上記のような面会交流の認められない事情もなく拒否された場合にはどうしたら良いのでしょうか。
面会交流させてもらえないからといって養育費を滞納する人もいますが、養育費を払う責任がありながら払わずにいることは決して良いとは言えません。

養育費の支払いは、親の責任です。
父母はその資力に応じて子どもに対して自分と同じ生活程度を保障する義務があります。
養育費は面会交流の対価ではありません。

養育費の支払いを取り決めたにもかかわらず支払わない場合、強制執行によって財産の差押えをされる可能性があります。
また、今後『親権者変更』を申立てた場合にも、養育費支払い義務を履行しない無責任な親であると評価され、不利に働くことになります。

では、正当な理由なく面会交流が拒否されたときの適切な対処法はどのようなものでしょうか。
ここから4ステップで解説します。

面会交流のルール策定についてはこちらの記事をご覧ください。

後悔しないために!面会交流のルール策定のポイント

(1)面会交流の拒否は「不法行為」にあたる可能性があることを相手に伝える

まずは、面会交流が子どもの権利であり、子どもが両親に愛されているという実感を得る大切な機会であることを説明しましょう。

そして、正当な理由なく面会交流を拒否することは、その子どもの大切な機会を奪うことになるのであって、「不法行為」(民法709条)にあたる可能性がある旨を相手に伝えてみると良いでしょう。

確かに監護親にしれみれば、子どもの体調やスケジュールの兼ね合いもあり、面会交流が実施できない場合もあるでしょう。
しかし、例えば再三にわたって面会交流を拒否されたり、手紙等を交付することすら拒絶されたりするといったように、不法行為の程度が強度な場合には慰謝料を請求する可能性があることを相手に伝えるといったことも考えられます。

ただ、不法行為にあたること、慰謝料請求の可能性もあること、それらを伝えることは、それだけで相手にとっては脅迫的な意味としてとらえられ警戒され態度を硬化させてしまう危険性があります。
そのため、伝え方には最大限の配慮が必要となります。

面会交流を実施できなかったことについて、相手の事情を十分に配慮し、子どものことを第一に考えているという気持ちを伝えつつ、相手に理解を求めるように心掛けてください。

相手が面会交流に応じない場合は、弁護士に相談するのもおすすめです。
伝え方についての良いアドバイスが得られるかも知れません。

(2)家庭裁判所に「面会交流調停」を申立てる

離婚の際に、あらかじめ面会交流のルール(日時や頻度、交流内容、連絡方法や引き渡し方法等)を強制執行認諾文言付きの公正証書で定めている場合には、そのルールに従って面会交流を求めることになるのですが、そのようなものがない場合にはどうしたら良いでしょうか。

相手が説得に応じず、面会交流を再三拒否されているのであれば、家庭裁判所に「面会交流調停」を申立てると良いでしょう。

面会交流調停も不成立の場合は、「面会交流審判」で裁判官が面会交流の方法を決定するという流れになります。

調停や審判で面会交流のルールが決まれば、そのルールに相手が従わない場合には、家庭裁判所に「履行勧告」を申立てることができます。

「履行勧告」とは、裁判所が「義務を履行してください」と促す手続きです。
強制力はありませんが、裁判所から自宅へと勧告書類が届くため、相手にプレッシャーを与えることができます。

(3)「間接強制」を申立てる

面会交流のルールを強制執行認諾文言付きの公正証書で定めている場合や、履行勧告をもってしても相手が面会交流に応じない場合は、家庭裁判所に「間接強制」の申立てをするという手段があります。

間接強制とは、裁判所で決まったことを守らせるために「1回違反するごとに数万円支払うこと」といった方法で、支払を強制させる手続きです。

「面会交流の日時や頻度」「面会交流の内容(交流時間)」「連絡方法や引き渡し方法」等が具体的に取り決められている場合、間接強制が認められやすいようです(最高裁判決平成25年3月28日民集第67巻3号864頁)。
面会交流のルールを決める際には、参考にしてみてください。

もっとも、間接強制したからといって必ず面会交流できるとは限りません。
ですが、金銭ペナルティが積み重なることは内心穏やかではいられませんから、面会交流の実施を促すことが期待できるでしょう。

もしも相手が間接強制による金銭支払いをしない場合は、相手の財産(給与や預貯金等)の差押えを裁判所に申立てることになります。

(4)「親権者変更」を申立てる

間接強制をもってしても相手が面会交流に応じない場合、子どもが非監護親と交流する機会を監護親により奪われていることにもなります。
このことによって、監護親は「子どもの福祉」を守っていないとされ、親権者には不適任と裁判所に認めてもらえる可能性が出てきます。
そうなれば、「親権者変更」を申立てることにより、変更が認められる可能性もあります。

監護者から非監護者への親権者の変更は、「親権者変更調停」で手続きします。

面会交流拒否に対する慰謝料請求

監護者が面会交流に応じない場合、不法行為になり慰謝料請求を受ける可能性があることについて先ほど説明しました。
この「慰謝料」について、もう少し説明しましょう。
慰謝料とは、相手の不法行為(正当な理由のない面会交流権の侵害)によって生じた精神的苦痛を金銭に換算したものです。
間接強制(強制執行)と慰謝料(損害賠償金)は性格が異なるものです。

(1)裁判所が慰謝料支払いを命じるのは、面会交流の拒否に「強い違法性」が認められるケースのみ

慰謝料を請求するためには、裁判所に「慰謝料請求調停(もしくは訴訟)」を申立てることになります。

もっとも、面会交流の拒否でただちに慰謝料請求が可能になるわけではありません。
面会交流の拒否により慰謝料が発生するには、非監護者や子どもに対して精神的苦痛を与えたといえるだけの強度な違法性が必要になります。

それだけ強度な違法性を有する不法行為と裁判所に認定されるためには、次の2点がポイントになります。

  1. 相手が面会交流の約束に違反していることの立証
    「面会交流の日時や頻度」「面会交流の内容(交流時間)」「連絡方法や引き渡し方法」等の具体的な取り決めがあり、それを相手が破っていることです。

  2. 違反行為の悪質性の立証
    例えば、面会交流が長期にわたって拒否され続けていることや、相手が連絡に応じないこと、拒否の理由が不合理であること、再三にわたって嘘の理由で面会交流を延期していることなどの事情を立証することです。

(2)面会交流拒否の慰謝料の相場は、数十万円程度

裁判所が面会交流拒否の違法性を認めた場合の慰謝料の相場は、多くの場合数十万円程度となっています。

ただ、面会交流の拒否の悪質性が強かった場合は、高額(100万円程度)になる可能性もあります。

(3)面会交流拒否の慰謝料請求は、弁護士に相談しよう

慰謝料の請求が認められればお金を払ってもらえるわけですが、あなたの本当の目的は子どもと面会を果たすことでしょう。
慰謝料請求はあくまでも、相手が心を入れ替えて子どもと会わせてくれるようになるといった効果を期待してのことです。

となれば、交渉や訴訟の進行等でヘタに出てしまうと、その可能性を自ら潰すことにもなりかねません。

そこで、面会交流拒否の慰謝料を請求したい場合は、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。

例えば、慰謝料の請求可否や妥当な請求額についても、しっかり検討し、裁判例や実務経験から適切であるかを判断してもらえます。
また、慰謝料請求に関する手続きや交渉を一任できます。

その際に、面会交流の実現に向けて方針を立ててもらうことにより、面会交流を果たせる可能性を高めることができるでしょう。

【まとめ】面会交流の拒否は原則違法!直接交渉で解決しない場合は、法的手続きを

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 面会交流は、実親と子どもの権利であり、監護者の独断で面会交流権を侵害することはできない
  • 直接交渉しても相手が面会交流に応じてくれない場合は、「面会交流調停」「履行勧告」「間接強制」等の法的手続きをとると良い
  • 面会交流拒否に対する慰謝料請求可否の判断や妥当な請求額は、弁護士に相談することをおすすめする

目的は、子どもとの面会交流を果たすこと、それによって子どもの福祉をはかること。
その点に留意しつつ、これらの手続きを進めるように心掛けると良いでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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