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悪意の遺棄とは?離婚や慰謝料請求の可否についても解説

作成日:
a.aihara

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「夫が突然家出したまま帰宅しなくなり、生活費も入れてくれなくて困窮している…」

このような場合、悪意の遺棄に該当し、離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。

しかし、具体的にどのような状況が悪意の遺棄と認められるのか、またそれに対してどのような法的手段が取れるのか、詳しく知っている方は少ないかもしれません。

この記事では、悪意の遺棄の定義や具体例、離婚や慰謝料請求について解説します。あなたの大切な権利を守るために、必要な知識を身につけましょう。

この記事が、あなたの未来をよりよいものにするためのヒントになれば幸いです。

この記事を読んでわかること

  • 悪意の遺棄とは
  • 悪意の遺棄の具体例
  • 離婚や慰謝料請求の可否

ここを押さえればOK!

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の義務を果たさない行為のことです。具体的には「同居義務」や「協力扶助義務」を怠ることが該当します。民法第770条では、悪意の遺棄は離婚の法定事由の一つとされています。

そして、「悪意」とは単なる無関心ではなく、意図的に相手を見捨てる意思を指し、たとえば長期間家を空けることや生活費を提供しないことなどが該当します。

悪意の遺棄が認められるには、扶養義務を故意に放棄し、継続的に義務を果たさないことが必要と考えられます。具体例としては、家庭を顧みずに長期間家を空ける、生活費を提供しない、病気の配偶者を無視するなどがあります。

悪意の遺棄が認められると、離婚や慰謝料請求の根拠となり得ます。裁判で離婚を請求する際には、悪意の遺棄が継続的であることを証明する必要があり、証拠の収集も重要になるでしょう。慰謝料請求も可能で、金額はケースによって異なります。
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

悪意の遺棄とは

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の義務を履行しないことです。

夫婦間の義務には、「同居義務」や「協力扶助義務」などがあります。

つまり、基本的に夫婦は同居し、協力して助け合って生活しなければならないと定められているのです。

そして、民法第770条では、法定離婚事由の一つとして「配偶者から悪意で遺棄されたとき」が挙げられています。

ここでいう「悪意」とは、単なる無関心ではなく、意図的に相手を見捨てたりして、積極的に婚姻関係の破壊しようとするか、それを認容する意思のことです。たとえば、家庭を顧みずに長期間家を空けることや、生活費を一切提供しないなどの場合、悪意の遺棄が認められる可能性があります。

悪意の遺棄は、婚姻関係の破綻を招く重大な行為であり、離婚や慰謝料請求の根拠となることがあります。

悪意の遺棄が認められる条件

悪意の遺棄が認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、配偶者間の扶養義務を故意に放棄する行為が求められます。

これは、単なる不注意や怠慢ではなく、積極的に婚姻生活の維持を拒絶する意思があることが必要です。たとえば、配偶者が困窮することがわかっているのに生活費を提供しない、家庭を顧みずに長期間家を空けるなどの行為が該当します。

次に、悪意の遺棄が継続的であることも必要になるでしょう。

一時的な行動ではなく、長期間にわたって義務を果たさない状態が続いているかどうかがポイントです。このような行為が確認されれば、法律上、悪意の遺棄として認められる可能性が高まります。

ただし、悪意の遺棄が認められるかどうかは、具体的な状況や証拠に基づいて判断されるため、簡単に、そして画一的に悪意の遺棄かどうかを判断することはできません。証拠の収集や専門家の意見を求めることが重要になるため、「悪意の遺棄ではないか?」と感じたら弁護士に相談することをおすすめします。

悪意の遺棄の具体例

悪意の遺棄は、さまざまな具体例を通じて理解することができます。

まず、典型的な例として、配偶者が家庭を顧みずに長期間家を空けるケースがあります。たとえば、仕事や趣味を理由に家を出たまま、生活費を一切提供せず、連絡も取らない状況が続く場合です。このような行動は、配偶者を意図的に放置しており、悪意の遺棄であると判断される可能性があります。

また、経済的な支援を故意に拒否するケースもあります。たとえば、夫が妻に対して生活費を全く渡さず、妻が生活に困窮する状況を作り出す場合です。これは、扶養義務を果たさない行為として、悪意の遺棄に該当することがあります。

さらに、その他必要な支援を拒否することも具体例の一つです。たとえば、配偶者が病気や精神的な問題を抱えているにもかかわらず、故意に無視し、一切の支援を拒むような行動が挙げられます。このような行為も、悪意の遺棄と認められる可能性があるでしょう。

これらの具体例は、悪意の遺棄がどのように日常生活に現れるかを示しています。

各ケースは状況によって異なるため、具体的な証拠や状況の詳細によっては判断が異なることもあり得ます。弁護士に相談することで、これらの行為が悪意の遺棄に該当するかどうかを判断する手助けになるでしょう。

悪意の遺棄と離婚の関係

悪意の遺棄は、離婚の法定事由の一つとして民法に規定されています。

そのため、悪意の遺棄が認められると、裁判になった場合に離婚を認める判決が出る可能性が高まります。

裁判で離婚を請求する際には、悪意の遺棄が継続的であることを証明する必要があります。単なる一時的な不和では足りません。たとえば、正当な理由なく生活費を提供しない状態が続く、家庭を顧みない行動が長期間にわたるといった事情が必要です。

そのため、悪意の遺棄に該当する事実を証明するために、証拠を集めておきましょう。たとえば、メールやメッセージの記録、銀行の取引履歴、第三者の証言などが証拠として役立つことがあります。

これらの証拠をもとに、裁判所は悪意の遺棄があったかどうかを判断します。

悪意の遺棄による慰謝料請求

悪意の遺棄が認められる場合、被害を受けた配偶者は慰謝料を請求することができます。

慰謝料とは、簡単に言えば精神的苦痛を補填するためのお金です。

そして、裁判で慰謝料請求が認められるには、悪意の遺棄があったことを証明することが必要です。

必要になる具体的な証拠としては、生活費が提供されなかった期間の記録や、配偶者が家庭を放置していた証拠、第三者の証言などが挙げられます。また、別居することについて合意はなく、一方的な別居であったことを示すメールなどのやり取りも、証拠となるかもしれません。

これらの証拠をもとに、裁判所は慰謝料の支払いを命じるかどうかを判断することになります。

慰謝料の金額は、ケースバイケースで異なります。一般的には、悪意の遺棄の期間や程度、被害者の精神的苦痛の度合い、経済的影響などが考慮されるでしょう。相場としては数十万円から300万円程度になることが一般的ですが、具体的な金額は個別の事情によって変化します。

悪意の遺棄に関するよくある質問

最後に、悪意の遺棄に関するよくある質問について見ていきましょう。

(1)悪意の遺棄が認められたら必ず離婚できますか?

悪意の遺棄は法定離婚事由の一つですが、法定離婚事由があれば必ず離婚できるとは限りません。

法定離婚事由があっても、裁判所は「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる」とされています(民法第770条2項)。

(2)配偶者が家を出て行ったまま戻らない場合、悪意の遺棄に該当しますか?

配偶者が理由もなく長期間家を空け、生活費の提供もない場合、悪意の遺棄と認められる可能性があります。

ただし、仕事や健康上の理由がある場合は異なるため、具体的な状況を確認することが重要です。

(3)配偶者が家事・育児にまったく協力しません。これは悪意の遺棄に該当しますか?

単に家事や育児に協力的でないことは、悪意の遺棄には該当しません。

ただし、家事や育児をまったく関与せず、それが婚姻生活の維持に重大な支障をきたしているといえる場合、悪意の遺棄までは認められなくとも、法定離婚事由の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性があります。

離婚を望むのであれば、争いになった場合に備えて具体的な状況を記録しておきましょう。

【まとめ】「悪意の遺棄」は、法定離婚事由の一つである

悪意の遺棄は、法定離婚事由の一つであり、夫婦において深刻な問題を引き起こす行為です。

この記事では、その定義や具体例、離婚や慰謝料請求について解説しました。

悪意の遺棄による離婚や慰謝料請求を望んでいるのであれば、なるべく証拠を集め、弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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