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50代で熟年離婚した慰謝料相場はいくら?請求できる条件と増額ポイント

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

人生経験を重ねた50代での熟年離婚は、新たな人生を歩むための大きな決断です。
離婚を考える際、特に気になるのが「慰謝料」のことではないでしょうか。離婚慰謝料は、離婚によって受けた精神的苦痛を償うために支払われるお金であり、その金額は離婚原因や夫婦の状況によって異なります。

この記事では、50代の熟年離婚における慰謝料の具体的な相場や、慰謝料請求が認められる条件、さらには増額が見込める要素について、弁護士の視点から詳しく解説します。この記事が、あなたの離婚後の生活設計の一助となり、不安解消につながれば幸いです。

ここを押さえればOK!

50代での熟年離婚における慰謝料は、離婚原因や婚姻期間の長さによって異なり、明確な相場はありませんが、婚姻期間が長いことから高額になる傾向にあります。
不貞行為が原因の場合、慰謝料相場は100万円から300万円程度、DVや悪意の遺棄が原因の場合は数十万円から300万円程度が目安です。慰謝料は、相手の有責行為(不貞行為、DV、悪意の遺棄など)があった場合に請求できますが、性格の不一致のみでは認められないのが原則です。
慰謝料以外にも、財産分与、年金分割、養育費(子どもが未成熟の場合)、婚姻費用(別居中の生活費など)を請求できる場合があります。これらを適切に請求することで、離婚後の経済的な安定を図れます。

熟年離婚は婚姻期間が長いことから交渉がうまくいかないこともあり、弁護士に相談し、適切な知識と準備をもって臨むことが、適正な慰謝料獲得と新たな人生のスタートに繋がります。離婚をお考えの方は、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

50代熟年離婚における慰謝料の相場

50代の熟年離婚における慰謝料の相場は、離婚原因や個別的な事情によって異なり、明確な一律の基準はありません。
慰謝料は、離婚原因となった行為の悪質性、婚姻期間の長さ、幼い子どもの有無など、様々な要素を総合的に考慮して決定されます。
特に熟年離婚の場合、婚姻期間が長いため、精神的苦痛の程度も大きいと判断され、慰謝料が高額になる傾向があります。

(1)不貞行為が原因|100万円~300万円

配偶者の不貞行為(肉体関係を伴う不倫)が離婚原因である場合、裁判上の慰謝料の相場は一般的に100万円から300万円程度とされています。
不貞行為の期間が長い、回数が多い、不貞相手との間に子どもがいる、など悪質性が高い場合には、慰謝料増額の考慮要素となります。

(2)DVが原因|数十万円~300万円

DV(ドメスティック・バイオレンス)が離婚原因の場合も、慰謝料の相場は数十万円から300万円程度です。
DVには身体的暴力だけでなく、精神的暴力(モラルハラスメント)も含まれますが、一般的にモラルハラスメントは証拠で証明することが難しいです。

DVの期間、頻度、内容、被害の程度(精神疾患の発症など)によって慰謝料の金額は大きく変動します。特に、
長期にわたる身体的DVにより心身に深刻な影響が生じた場合には、慰謝料の増額事由として考慮されるでしょう。
証拠の有無が慰謝料請求の成否を分ける重要なポイントとなります。

DVが原因の離婚で、高額請求が認められた裁判例など、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

DVで離婚する場合、慰謝料の相場は?高額請求が認められた裁判例も紹介

(3)悪意の遺棄が原因|数十万円~300万円

悪意の遺棄とは、正当な理由なく同居・協力・扶助義務(民法第752条)を怠る行為を指します。例えば、家出をして戻らないし生活費も渡さない、重い病気の配偶者の面倒を見ない、などの行為がこれにあたります。
悪意の遺棄が離婚原因となる場合、数十万円から300万円程度の慰謝料が認められることがあります。

婚姻期間が長く、経済的に相手に依存していた配偶者が生活困窮に陥ったようなケースでは、慰謝料の増額事由として考慮されることがあります。
こちらも、具体的な行為の内容や期間、それによって生じた損害の程度を立証することが重要です。

ただし、悪意の遺棄は単なる別居とは異なり、条件が厳しいので認められることはあまりありません。

悪意の遺棄の条件について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

悪意の遺棄とは?離婚や慰謝料請求の可否についても解説

熟年離婚で、配偶者に慰謝料を請求できるのはどんなケース?

離婚慰謝料は、不貞行為など離婚の原因を作った側(有責配偶者)が、精神的苦痛を与えられた側に対して支払う損害賠償です。
そのため、慰謝料を請求できるのは、相手方に不貞行為などの有責行為が存在する場合に限られます。
具体的には、以下のようなケースで慰謝料を請求できる可能性があります。

  • 不貞行為(不倫): 配偶者が貞操義務に違反し、配偶者以外の第三者と肉体関係を持った場合。
  • 悪意の遺棄: 配偶者が正当な理由なく、同居・協力・扶助義務を怠り、家庭生活を顧みない場合。
  • DV(ドメスティック・バイオレンス): 配偶者からの身体的暴力や精神的暴力(モラルハラスメント)により、心身に苦痛を受けた場合。
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由: 上記以外にも、長期にわたるセックスレス、特定の宗教への過度な傾倒、浪費癖など、個別の事情によって慰謝料が認められることもあります。
    ただし、性格の不一致のみを理由とする離婚は、通常双方に原因があるので、有責行為とはされず慰謝料は認められません。

慰謝料で考慮される要素

慰謝料の金額は、画一的に決められるものではなく、次のような様々な要素を総合的に判断して決定されます。特に熟年離婚においては、一般的に結婚から年月が立っていることから、婚姻期間の長さがポイントになるでしょう。

(1)婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、夫婦としての共同生活が長く、相手の不法行為によって受けた精神的苦痛も大きいと判断される傾向があります。
例えば、20年以上の婚姻期間がある熟年夫婦の場合、数年の婚姻期間の夫婦に比べて、同じ不貞行為であっても高額な慰謝料が認められる可能性があります。
これは、長年かけて築き上げた平穏な夫婦関係を傷つけられた精神的苦痛が大きいと評価されるためです。

(2)未成熟の子の有無

夫婦間に未成熟の子どもがいる場合、慰謝料が増額される要因となることがあります。
熟年離婚だと、子どもがいたとしても既に成人していることが多いので、この点の増額要素はない方が多いでしょう。

(3)不貞行為の期間や回数

不貞行為が原因で慰謝料を請求する場合、その期間の長さや回数が慰謝料額に大きく影響します。
一度きりの過ちと、数年にわたる継続的な不貞行為では、与える精神的苦痛の程度が全く異なるためです。また、複数の相手と不貞行為を繰り返していた場合や、不貞行為の結果、不貞相手との間に子どもが生まれたようなケースでは、その悪質性が高いと判断され、慰謝料が増額される可能性があります。
不貞行為の期間や回数を証明できる具体的な証拠(LINEの履歴、ホテルの領収書、写真など)を確保することが重要になります。

その他不貞慰謝料の算定で増額が見込めるケースについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

不倫慰謝料の相場を徹底解説!増額が期待できる6つのケースとは? 

熟年離婚で慰謝料請求が難しいケースと注意点

すべての離婚で慰謝料が請求できるわけではありません。特に以下のケースでは、慰謝料請求が難しい、あるいは認められない可能性が高いです。

(1)性格の不一致のみが原因で離婚するケース

性格の不一致は、夫婦間のすれ違いや価値観の違いから生じるものであり、どちらか一方に明確な有責性があるとは言えません。そのため、性格の不一致のみを理由とした離婚では、原則として慰謝料は発生しません。

(2)自分にも離婚原因があるケース

離婚の原因が双方にある場合(双方に有責性がある場合)や、請求する側にも離婚原因と同程度の非がある場合には、慰謝料請求できたとしても、「お互い請求しない」という形で合意することもあります。
例えば、相手の不貞行為が原因で離婚するにもかかわらず、請求する側も別の相手と不貞行為をしていたようなケースがこれにあたります。

50代の熟年離婚で慰謝料以外に相手に請求できるお金

50代の熟年離婚を考える際、慰謝料だけでなく、離婚後の生活を安定させるために、慰謝料以外にも相手に請求できるお金があることを知っておくことが非常に重要です。これらを適切に請求することで、離婚後の経済的な不安を大きく軽減し、新しい生活を円滑にスタートさせることが可能になります。

(1)財産分与

財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築き上げた共有財産を、離婚時に清算する制度です。専業主婦(主夫)であったとしても、その協力より資産を築くことができたと判断されますので、財産分与を請求できます。
対象となる財産には、預貯金、不動産、自動車、株式、退職金の一部などが含まれます。
熟年離婚の場合、婚姻期間が長いため、形成された財産が多く、財産分与の金額も高額になる傾向があります。
将来の生活設計を具体的にイメージする上で、財産分与は非常に重要な要素となります。

財産分与について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

(2)年金分割

年金分割は、婚姻期間中に夫婦が共同で納付した厚生年金・共済年金の記録を、離婚時に分割する制度です。将来受け取る年金額に直結するため、特に老後の生活設計において非常に重要な意味を持ちます。
合意分割と3号分割の2種類があり、一般的には婚姻期間中の厚生年金記録を最大1/2まで分割することが可能です。
50代での離婚の場合、年金受給もそうそう遠い未来ではありません。事前に年金事務所などで情報提供を求めましょう。
年金分割は、離婚後の経済的不安を解消し、安定した老後を送るための基盤となります。

年金分割の方法や手続きについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚後に年金分割をしたい!年金分割調停の手続きや請求の方法を解説

(3)養育費

未成熟の子どもがいる場合、子どもを引き取る側は、他方の親に対して、離婚後も子どもが経済的社会的に自立するまでの間、養育費を請求できます。
養育費は、子どもの生活費、教育費、医療費など、養育に必要な費用です。養育費の金額は、父母それぞれの収入、子どもの人数、年齢などに基づいて算定されます。
裁判所が定める「養育費算定表」が目安となりますが、個別の事情(私立学校への進学、特別な医療費など)に応じて増額されることもあります。
養育費は、子どもの健やかな成長を支えるために不可欠なお金であり、親として当然の義務です。公正証書などで確実に取り決めを行うことが重要です。

養育費の相場や決め方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

子供がいる場合の離婚慰謝料・養育費の相場とは?金額の決め方も解説

(4)婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある間に、基本的に収入の多い方が、少ない方に対して支払う生活費のことです。
離婚が成立するまでの間は、別居していても請求が可能です。
特に熟年離婚で別居期間が長引くような場合、婚姻費用は重要な生活資金源となります。
財産分与や慰謝料とは別に請求できるお金であり、別居開始時から請求できるため、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

50代熟年離婚における慰謝料請求の手続きの流れ

慰謝料を請求するプロセスは、感情的になりがちですが、冷静かつ計画的に進めることが重要です。適切な手順を踏むことで、正当な慰謝料を得られる可能性が高まります。

(1)話し合いに必要な証拠を確保

慰謝料請求の成否は、いかに客観的な証拠を揃えられるかにかかっています。
例えば、不貞行為であれば、肉体関係を示す写真、LINEやメールのやり取り、クレジットカードの利用明細、探偵の調査報告書など。
DVであれば、診断書、録音、写真、日記などが有効です。
証拠を集めるのが難しい場合や、相手に気づかれずに集めたい場合は、探偵事務所に依頼するのも一つの方法ですが、もらえるかもしれない慰謝料以上の費用をかけないように注意しましょう。
ある程度の証拠が手元にある場合には、慰謝料請求に十分かどうか弁護士に相談する事をお勧めします。

(2)配偶者と話し合う

証拠が揃ったら、まずは配偶者と直接話し合い、慰謝料の支払いについて合意を目指します。この話し合いは、直接夫婦間で行うことも可能です。しかし、感情的になり冷静に話し合うことが難しいときや、配偶者が話し合いに応じないようなときには、弁護士に依頼して交渉を進めることが望ましいでしょう。
弁護士が代理人となることで、冷静かつ法的な視点から交渉を進め、適正な金額での合意を目指すことができます。
合意に至った場合は、後々のトラブルを防ぐために、必ず合意書面を作成します。

(3)交渉が決裂したら調停

話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停は、調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意形成を促す手続きです。弁護士が同席することで、法的な根拠に基づいた主張を展開し、離婚調停に臨む依頼者のサポートをしますので、精神的な支えとなるでしょう。
調停委員は、双方の意見を聞き、解決策を提案してくれるため、感情的な対立を避け、冷静な話し合いの場となることが期待されます。慰謝料だけでなく、財産分与や年金分割、養育費なども含めて総合的な解決を目指します。

(4)調停でも合意できなければ裁判を起こす

調停でも合意に至らなかった場合、最終的な手段として裁判を起こすことになります。離婚裁判では、裁判官が双方の提出した証拠に基づき、法的な判断を下します。裁判は時間と費用がかかる上、精神的な負担も大きいため、可能な限り調停での解決を目指すのが一般的です。しかし、どうしても合意できない場合は、裁判で白黒をつけるしかありません。
裁判を選択する際には、弁護士に相談して離婚が認められる見込みなどを把握するなど、事前の検討が大切です。

50代の離婚慰謝料に関するよくある質問

(1)慰謝料の時効は何年ですか?熟年離婚でも間に合いますか?

配偶者に対する離婚慰謝料請求権の時効は、離婚が成立した日の翌日から3年です。
ただし、不貞行為などの不法行為に対する慰謝料は、その事実を知った時から3年、または不法行為があった時から20年が時効となります。
したがって、もし不貞相手に慰謝料を請求したい場合、不貞行為の事実と相手方を知ってから3年を経過していれば、不貞相手に慰謝料を請求するのは難しくなります。
また、不貞行為の事実を知らなくても、不貞行為があったときから20年経過していれば、同じく不貞相手に慰謝料を請求するのは難しいです。

熟年離婚の場合、長期間別居していたり、過去の出来事が原因だったりすることもあるため、時効が成立している可能性も考えられます。ご自身のケースで時効が成立していないか不安な場合は、早めに弁護士に相談し、時効完成猶予の手続きや請求の可否を確認することが重要です。

不貞行為の慰謝料請求と時効について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

不貞行為の慰謝料請求には時効がある!重要ポイントを弁護士が解説 

(2)専業主婦の場合でも慰謝料は請求できますか?

はい、専業主婦の方でも慰謝料は請求可能です。慰謝料は、有責配偶者が離婚原因を作ったために離婚せざるをえないことに対する精神的苦痛に対する賠償であるため、収入の有無は請求の可否に直接関係しません。

(3)慰謝料の支払いは一括でなくても良いのでしょうか?分割払いの交渉は可能ですか?

慰謝料の支払いは、必ずしも一括である必要はありません。相手の経済状況によっては、一括での支払いが困難なケースも多いため、分割払いでの交渉も十分可能です。
ただし、分割払いの場合は、支払いの遅延や滞納のリスクが伴います。
そのため、公正証書を作成して強制執行認諾文言を盛り込むなど、万が一の事態に備えた対策を講じることが非常に重要です。
弁護士に依頼して書面を作成することで、遅延や滞納のリスクに配慮した合意を目指すとよいでしょう。

離婚慰謝料の合意で公正証書を作成すべき理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚慰謝料で公正証書を作成するべき理由とは?

【まとめ】50代の熟年離婚は弁護士に相談し適正な慰謝料を獲得しましょう

50代の熟年離婚における慰謝料は、離婚原因や婚姻期間の長さによって相場が異なりますが、婚姻期間が長いことから高額になる傾向があります。ただし、性格の不一致のみが離婚原因だと慰謝料を請求することはできません。
慰謝料の他、分与や年金分割も離婚後の生活設計に重要です。
離婚は、事前に弁護士に相談し、適切な知識と準備をもって臨むことが、適正な慰謝料獲得と新たな人生のスタートに繋がります。

離婚をお考えの方は、1人で悩まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください(事情によっては相談に応じられないこともあります)。

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