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自己破産のデメリットが不安な方へ|リスクと家族への影響を弁護士が解説

弁護士 谷崎 翔

監修弁護士:谷崎 翔

(アディーレ法律事務所)

特に力を入れている分野:債務整理

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

借金の返済に追われる日々の中で、「もう自己破産しかない」と思い詰めてはいませんか?

しかし、いざ自己破産を考えると、「すべての財産を失うのでは」「家族に迷惑がかかるのでは」といった不安がよぎり、なかなか一歩を踏み出せない方も多いでしょう。

そこでこのコラムでは、自己破産の具体的なデメリットや家族への影響、よくある誤解について詳しく解説します。

自己破産は決して「人生の終わり」ではありません。正しい知識を身につけ、借金のお悩みから解放されるための最適な解決策を一緒に探していきましょう。

ここを押さえればOK!

<自己破産の主なデメリット>
1.信用情報機関への登録(ブラックリスト): 約5~7年間、新規の借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。
2.財産の処分: 99万円を超える現金や、持ち家、車などの高価な財産は処分されますが、生活に必要な最低限の財産(99万円以下の現金、生活必需品など)は手元に残すことができます。
3.職業の制限: 自己破産の手続期間中(数か月目安)は、警備員や士業など一部の職業に一時的に就けなくなります。
4.家族への影響: 家族名義の財産は原則処分されませんが、家族が保証人・連帯保証人である場合は、その家族が借金を肩代わりすることになります。

自己破産は「人生の終わり」ではありません。事実、戸籍や住民票に記載されることはなく、選挙権や年金受給資格も失われません。正しい知識を持って弁護士に相談することが、借金問題を解決して生活を再スタートするための道を見つけるきっかけになるでしょう。一人で悩まず、早期の相談が大切です。

自己破産をしたい!6つのデメリットとは

自己破産は、多額の借金を原則ゼロにできるという最大のメリットがある一方で、再スタートを切るために受け入れなければならないデメリットも存在します。ここでは、自己破産のデメリットについて紹介していきましょう。

(1)事故情報(いわゆるブラックリスト)が5~7年間登録される

自己破産の手続きを行うと信用情報機関(JICC、CIC、KSCなど)に自己破産をしたこと(事故情報)が記録されます(いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です)。

この事故情報が登録される期間は、借金の支払義務の免除された日からおよそ5年から7年間が目安とされています。この期間中は、新たにクレジットカードを作ったり、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンを組んだりすることが原則として難しくなります。

この期間が終了すれば、自己破産後であっても、クレジットカードや住宅ローン、自動車ローンの審査を申し込むことができるようになります。

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(2)高価な財産(持ち家・車など)が処分される

自己破産では、高価な財産は処分され、借金への返済に充てるというのが原則です。そのため、99万円を超える現金や破産開始決定前からあった高価な財産(持ち家や車など)は処分されるのが基本となります。

しかし、次の財産は自己破産をしても処分されないルールとなっています。自己破産をしたからといって、全財産何もかもなくなってしまうというわけではありません。

【自己破産をしても処分されない財産】

  • 99万円以下の現金
  • 自己破産手続開始決定後に取得した財産
  • 差押禁止財産
    • 生活に不可欠な衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
    • 1ヶ月の生活に必要な食糧や燃料
    • 職業上、業務に欠くことができない器具
    • 実印
    • 仏像、位牌 など
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(3)一部の職業に一時的に就けない

自己破産の手続期間中は、一部の職業につき働くことが一時的に制限されます。

制限を受ける期間は「手続期間中」だけです。期間の長さは、自己破産の申立てをしてから、4~8ヶ月ほどが一つの目安といえるでしょう。

【法律上資格の制限を受ける職種】

  • 宅地建物取引士、公認会計士や税理士など士業
  • 警備員
  • 公証人
  • 交通事故相談員
  • 固定資産評価員

数ヶ月とはいえ、仕事ができなくなるとその期間に顧客を失ってしまうなど、影響が大きい方も多いでしょう。そのような方は、 自己破産ではなく制限される職種のない個人再生を検討されることをおすすめします。

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(4)官報に氏名などが掲載される

自己破産の手続きが始まった際や免責の決定が確定した事実は、国の機関紙である「官報」に氏名や住所などとともに載ります(2025年4月1日から官報は電子化されています)。

しかし、官報の存在を知る人や官報を確認する人は少なく、そこから「破産した」ということが周囲にバレてしまうことはまれといえます。

また、2025年4月1日から自己破産などプライバシーに配慮が必要な記事については、公開期間は90日間に限定されるようになりました。そのため、自己破産をしたことが周囲にバレてしまうリスクはより下がったといえるでしょう。

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(5)引っ越しや長期の旅行が一時的に制限される

自己破産手続が「管財事件(※)」として進められる場合、引っ越し・長期の旅行が一時的に制限されます。

この制限は、破産手続中の数ヵ月間に限定されるものであり、手続が完了すれば手続開始前と同様に自由に引っ越したり、長期の旅行もできるようになります。

※ 管財事件は、破産者に配当できる財産がある場合や、借金の経緯に問題(免責不許可事由)がある場合に適用されます。この手続きでは、裁判所が「破産管財人」という弁護士を選任し、破産者の財産調査や管理、処分、免責の許可に関する調査を行います。

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(6)郵便物の受け取りが一時的に制限される

自己破産手続きが「管財事件」として進められる場合、郵便物が一時的に破産管財人へ転送されることになります。

これは、隠れた財産や、連絡漏れの債権者がいないかなどを、管財人がしっかりと確認するために行われます。プライベートな手紙なども開封されることになりますが、手続きに関係のない郵便物については、確認後、ご本人にきちんと返却されますのでご安心ください。

自己破産をすると家族はどうなる?家族への4つの影響とは

確かに、場合によっては自己破産をすることで家族に影響が生じることも否定はできません。しかし、自己破産の手続きは、あくまで自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)が対象です。

そのため、自己破産をしても、家族名義の財産は原則として処分されません。ただし、自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)の財産だと判断されてしまうと財産処分の対象となってしまうおそれがあります。

ここでは、自己破産をすることで生じる家族への4つの影響を紹介します。

(1)家族で共有している財産(持ち家、車など)がなくなる可能性がある

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)名義の持ち家や車などの高価な財産が、処分の対象となる可能性があります。

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)名義でなくても、あなたの収入や借金から工面されたものである場合、実質的にあなたの財産だとみなされて処分の対象になることがあります。

(2)家族が保証人だった場合、保証人が借金を肩代わりする

銀行からのローン契約や奨学金などを借り入れる際、ご家族を保証人や連帯保証人として立てることがよくあります。しかし、借金をした本人(あなた)が自己破産をすると、あなたが抱えていた借金の支払義務は、その(連帯)保証人の方が肩代わりすることになります。

もし家族があなたの借金の(連帯)保証人になっている場合、自己破産によって家族に迷惑がかかるおそれがあります。自己破産をする前に任意整理など他の方法で借金の負担を軽減できないか、早めに検討されることをおすすめします。

(3)家族のクレジットカード(家族カード)が使えなくなる

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)名義のクレジットカードに付帯している家族カードも自己破産の手続きにより使用できなくなります。

一方で、ご家族名義で独自に発行されたカードは影響を受けず、自己破産後もそのまま利用することができます。

(4)保険が解約となる可能性がある

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)名義の保険は、解約した時に戻ってくるお金(解約返戻金)の金額次第で解約される可能性があります。

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)名義の保険でなくでも、あなたが保険料を支払っている保険であれば、裁判所の判断によっては、実質的にあなたの財産だとにみなされ、解約されるおそれがあります(例:子どもの学資保険など)

自己破産をしたら人生終わり?自己破産に関するよくある4つの誤解とは

「自己破産をしたら人生終わり…」そのようなイメージをお持ちかもしれません。

しかし、個人の力ではどうにもならない借金問題を解決し、人生を再スタートできる制度です。自己破産に対する誤解を解き、正しい知識を身に着けていきましょう。

(1)戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることはない

自己破産の事実は、戸籍謄本や住民票、マイナンバーカードなど公的な書類に記載されることはありません。

そのため、行政手続や子どもの学校関連の書類提出などで、第三者に自己破産の事実を知られることは心配しなくてもいいでしょう。

(2)自己破産を理由に会社を解雇されることはない

自己破産したことだけを理由に、会社から解雇されることは法律上認められていません。もし解雇された場合は不当解雇にあたります。

不当解雇に当たる解雇は、裁判上「無効」になります。裁判で解雇が「無効」と判断されると、会社との雇用関係が継続し、復職や解雇期間中の賃金の支払いを求めることができます。

不当解雇とは?正当な解雇との違いとその対処法を解説

(3)選挙権や年金受給資格が失われることはない

自己破産の手続きをしたとしても、選挙権(投票する権利)や被選挙権(立候補する権利)といった公民権が停止されることはありません。

また、自己破産をしたからといって、公的な年金や生活保護の受給資格が失われたり、制限されたりすることもありません。

(4)自己破産を理由に賃貸住宅から追い出されることはない

自己破産をしたという事実だけで賃貸借契約が解除されたり、更新できなくなったりということはありません。

ただし、家賃の滞納が続いている場合には、家賃を滞納していることを理由に賃貸借契約を解除され賃貸住宅から追い出される可能性あります。

自己破産の手続き前に滞納分を解消しておくことで賃貸住宅から追い出されるリスクを下げることができます。しかし、特定の債権者への支払い(偏頗弁済)は問題となる可能性があるため、事前に弁護士に相談する必要があります。

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自己破産したらどうなるの?自己破産後の生活はどう変わる?

自己破産すると、原則として借金の支払義務が免除され、借金がゼロになります。そして、借入先からの督促もなくなり、生活の再建に向けて人生を再スタートすることになります。

(1)自己破産をすると借金が原則ゼロになる

自己破産の手続きが裁判所で正式に認められれば、原則として、それまでに抱えていた借金(負債)の支払義務はなくなります(これを「免責(めんせき)」といいます)。

ただし、全ての借金(負債)について支払義務がなくなるわけではありません。自己破産の手続きが無事に完了した後でも、例外的に残ってしまう借金(非免責債権)があるのです。

【自己破産後でも残ってしまう借金】

  • 税金や社会保険料
    • 所得税、住民税、年金保険料など
  • 他人を害する積極的な意思による不法行為を理由とした損害賠償金
    • 例:意図的に友人の絵画を壊した場合など
  • 故意または重過失で人の生命や身体を害する不法行為を理由とした損害賠償金
    • 例:暴行による怪我の慰謝料など
  • 婚姻費用(夫婦の生活費)や養育費  など

税金や社会保険料については支払が困難な人のために猶予や分納の制度があります。支払いが困難になった段階で、早めに支払方法について役所窓口に相談しましょう。

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(2)自己破産後に得た財産で生活再建を図ることができる

自己破産の手続が終了した後に新しく手に入れた財産(給与、ボーナスなど)は、すべて自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)のものとなり、生活再建のために自由に管理・使用することができます。

抱えている支払義務の大半が非免責債権である場合などでない限り、自己破産をすれば、毎月の返済のやり繰りで頭を抱えることが無くなります。「給料日が来ても、借金を返済したらほとんど残らない」という生活から解放されれば、その分を貯蓄に回して、今後の急な出費に備えることもできるのです。

自己破産をできない人はいるの?自己破産できないケースとは

借金があれば全員が自己破産をできるわけではありません。自己破産をするためには、ここで紹介する2つの条件を満たす必要があります。

(1)支払い不能であること

自己破産の手続きを進めるためには、まず「支払不能(しはらいふのう)」の状態にあることを裁判所に認めてもらう必要があります。

「支払不能」とは、簡単に言えば、すべての債権者(銀行やクレジットカード会社など)に対し、今後も継続して借金を返済していくことが難しいと判断される状態のことです。

一般的に今の借金総額を3年以内に完済できるかどうかが、「支払不能」であるかを判断する一つの目安となります。

自己破産の手続を始めるための「支払不能」とは?破産法に基づき解説

(2)免責不許可事由(自己破産できない事由)に該当しないこと

自己破産の手続を申し立てた個人(あなた)に「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」と呼ばれる事情があると、抱えていた借金(負債)の支払義務はなくならない(免責が下りない)可能性があります。

【免責不許可事由】

  • 債権者(お金を貸してくれた方)の財産に損害を与える目的で財産を隠す行為
  • 特定の親しい人や業者にだけ借金を返済する行為(偏頗弁済)
  • ギャンブルやショッピング、株式投資やFXなどに多額の資金を費やす行為
  • 自己破産を弁護士に依頼する間際に、新たな借り入れをする行為
  • 裁判所や破産管財人に対して、虚偽の事実を報告する行為
  • 前回の免責許可決定確定の日から、7年以内に免責許可を申立てる行為

ただし、たとえ上記のような免責不許可事由に該当する事情があったとしても、絶対に免責が認められないというわけではありません。例えば、深い反省が見られるか、手続きに誠実に対応しているかなどを総合的に判断し、裁判所の裁量で免責を認めてもよいと判断するケースもあります。

【重要】自己破産で失敗しないために知っておきたい免責不許可事由とは?

自己破産を弁護士に相談・依頼するメリットとは

自己破産の申立は自分だけでも行うことができますが、実際は多くの人が弁護士に相談・依頼しています。ここでは自己破産を弁護士に相談・依頼するメリットを紹介していきましょう。

(1)借金の取り立てや催促がすぐに止まる

弁護士にご依頼いただくと、最初に行う手続きの一つに「受任通知(じゅにんつうち)」の発送があります。この受任通知を弁護士が発送することで、貸金業者からの督促(電話や郵便物など)が一旦ストップします(※ただし、訴訟や差し押さえといった法的な手続は、ストップできませんのでご注意ください。)。

「借金で生活が苦しいのに、弁護士費用を払えるのだろうか…」と不安に思われている方でも、それまで返済に充てていた費用を、弁護士へお支払いいただく費用の積み立てに充てることができるようになります。

(2)依頼者にとって最善の解決策を提案してくれる

借金問題を解決する方法は、自己破産だけではありません。個人再生や任意整理など、他にもいくつかの債務整理の選択肢があります。

弁護士は、相談者の方一人ひとりの資産状況やご家族の状況などを聴き取り、数ある選択肢の中からあなたにとって最適な解決策を提案します。

(3)代理人として債権者との交渉や訴訟手続をしてもらえる

弁護士にご依頼いただくと、弁護士はあなたの「代理人」として手続きを進めます。

自己破産の手続きを進めるうえでは、裁判所や、選任された場合には破産管財人(財産調査などを行う弁護士)との間で、多くの書類の提出や、複雑なやり取りが必要になります。

弁護士が代理人となることで、これらの手続きの窓口の多くを担うことができます。その結果、ご自身で裁判所などと直接やり取りをする場面が大幅に減り、あなたにかかる心理的な負担を大きく軽減することができます。

【まとめ】自己破産のデメリットは過度に恐れる必要なし|前向きな再出発を

自己破産は、借金を原則ゼロにし、生活を立て直すための制度です。 確かにデメリットは存在しますが、誤解も多く、正しく理解すれば必要以上に恐れることはありません。

むしろ、一人で悩んで事態を悪化させる前に、弁護士に相談し、ご自身の状況に合った適切な解決策を見つけることが重要です。借金問題にお困りの場合は、お一人で悩まずに、ぜひアディーレにご相談ください。

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