「子どもは会いたがっているのに、会わせてくれない」
「面会交流(親子交流)に子どもの意思(気持ち)は反映されないのか」
など、離れて暮らすお子さまとの面会交流(親子交流)についてお悩みはありませんか。
2026年4月の民法改正により、法律上の名称が「面会交流」から「親子交流」に変更されました。本記事では、2026年4月の民法改正のポイントや、子どもの意思が反映される年齢の目安、子どもが拒否した場合の対処法を弁護士がわかりやすく解説します。
ここを押さえればOK!
・2026年民法改正に伴う面会交流(親子交流)の変更ポイント
・面会交流(親子交流)は原則18歳(成人になる)まで。子どもの意思が法的に重要視されるのは「15歳以上」、実務上尊重されるのは「10歳前後」から。
・子どもの「会いたくない」は、同居親への気遣いである可能性も。
・元配偶者が不当に面会交流(親子交流)を拒否する場合は、調停の申立てや履行勧告を検討しましょう。
親子交流(面会交流)とは?2026年4月施行の民法改正のポイント
「親子交流(面会交流)」とは、子どもと離れて暮らしている親(別居親)が、子どもと定期的・継続的に会って話したり、一緒に遊んだり、電話や手紙などで交流することをいいます。
今回の民法改正により、子どもにとって「安全・安心な親子交流(面会交流)」を実現するための新たなルールが整備されました。これまで曖昧だった部分が見直され、「子どもの利益を最優先にする」ことが法律で明確にルール化されたのが最大の特徴です。
【押さえておきたい主な変更点】
- 「お試し面会(試行的面会交流)」の制度化:裁判所での手続中に、子どもの様子を見ながら試験的に面会交流(親子交流)を行うルールができました。
- 「離婚前の別居中」の制度化:これまで規定がなかった別居中の面会交流(親子交流)も、子どもを最優先にして決めることがルール化されました。
- 祖父母など「親以外の親族」との交流ルールの新設:条件付きで、祖父母などからも交流を申し立てられるようになりました。
これまでも「お試し面会(試行的面会交流)」や「離婚前の別居中の親子交流(面会交流)」などは行われていました。しかし、あくまでも実務上の運用に委ねられており、法律上に明確なルールはありませんでした。
面会交流(親子交流)は何歳まで?子どもの意思が反映される年齢の目安
面会交流は原則として「子どもが成人に達する18歳まで」となります。また、子どもの意思が法的に重要視されるのは「15歳以上」、実務上尊重されるのは「10歳前後」からです。
ただし、10歳未満であっても無視されるということはありません。親とのやり取りや日常の様子などを通して、裁判所や調査官が子どもの意思を推測し、子どもの意思が考慮されることがあります。
(1)面会交流(親子交流)は何歳まで続く?
面会交流(親子交流)が「何歳まで」という明確な法律上の規定はありませんが、親権がおよぶのが成人までであることから、一般的には「18歳まで」と考えられています。
もっとも、中学生や高校生になれば部活動や友人と過ごす時間が増えるため、成長に合わせて会う頻度を柔軟に見直していくのが自然です。
(2)子どもの意思が反映される年齢の目安
家庭裁判所が面会交流(親子交流)の審判を行うにあたって、必ず子どもの意見を聞かなければならない年齢は「15歳以上」とされています(家事事件手続法第152条第2項)。
しかし、実際の調停や審判では、自分の意思を明確に伝えられる「10歳前後」から、子どもの意思が重要な判断基準として尊重される傾向にあります。ただし、同居している親の影響を受けているおそれもあるため、慎重な見極めが必要です。
| 子どもの年齢 | 意思反映の度合い | 裁判所・調査官の具体的な対応方法 |
|---|---|---|
| 15歳以上 | 高い | 裁判所が子どもの意見を聞くことが義務付けられている。 |
| 10歳以上 | 高い | 調査官との面接を通じて、同居する親の影響を受けていない「本当の気持ち」を確認する。 |
| 10歳未満 | 年齢や発達段階に応じて考慮される | プレイルーム(児童室)などでの行動観察(試行的親子交流)や、親とのやり取りから気持ちを推測する。 |
子どもが面会交流(親子交流)で「会いたくない」と拒否する理由とその対処法
子どもが面会を拒否する主な理由は、同居親への気遣い(忠誠葛藤)や、親同士の対立を感じ取ったストレスです。
言葉をそのまま鵜呑みにせず、背景にある本当の気持ちを慎重に見極める必要があります。
(1)「同居親への気遣い」の可能性
お子さまが一緒に暮らしている親(同居親)に対して、とても気を使っているケースは決して珍しくありません。
「離れて暮らすお父さん(お母さん)に会いたいと言ったら、今一緒にいるお母さん(お父さん)が悲しむかもしれない」と気を揉んでしまい、本心とは裏腹に「会いたくない」と言ってしまうことがあります。
親権や面会交流(親子交流)を決める際には、お子さまの言葉が純粋な本心なのか、それとも同居親への思いやりなのかを慎重に判断する必要があります。
(2)子どもの体調不良やストレス
交流の日が近づいたり、交流が終わったりしたあとに、お子さまが熱を出したり、極端に元気がなくなったりする場合は、無理に会わせることはおすすめできません。
親同士のピリピリした雰囲気を感じ取り、「自分のせいで、お父さんとお母さんが喧嘩している」と交流の日が近づくこと自体が恐怖や苦痛になってしまっている可能性があります。
直接会うことがお子さまにとって心の負担になっているようであれば、たとえばお手紙のやり取りや、LINEなどのビデオ通話を使って短い時間だけお話しする方法に切り替えてみるのも一つの有効な方法です。
元配偶者が自身の都合で面会交流(親子交流)を拒否する場合の対処法
お子さま自身は会いたがっており、面会交流(親子交流)を制限するような特別な問題もないにもかかわらず、元配偶者の方が「会わせたくない」「連絡の手間が面倒くさい」といったご自身の都合で面会交流(親子交流)を拒否しているケースがあります。
このような場合は、当事者だけで抱え込まず、次のような法的なステップを踏むことが考えられます。
(1)家庭裁判所への「調停」申立てを行う
当事者同士での直接の話合いが行き詰まってしまったり、感情的になってしまったりして難しい場合は、家庭裁判所の「親子交流調停(面会交流調停)」を利用する方法があります。
これは裁判のように白黒をつけるものではなく、裁判所の「調停委員」といった中立な第三者が間に入り、双方のお話を丁寧に聞きながら、お子さまにとって一番いい形での解決点(妥協点)を一緒に探っていく手続です。
調停手続のなかでは、単なる話合いだけでなく、心理学や教育学の専門家である「家庭裁判所調査官」のサポートを受けることができます。
お子さまに負担をかけずに本当の気持ちをくみ取ってくれるほか、裁判所内の児童室でおもちゃを使って遊ぶ「試行的面会交流(お試し親子交流)」を実施し、別居親と適切に接することができるかを安全に確認してくれます。
参考:面会交流調停|裁判所- Courts in Japan
(2)履行勧告を行う
すでに調停や裁判などで「月に1回会う」といった面会交流(親子交流)のルールがしっかり決まっているにもかかわらず、相手が約束を守ってくれない場合もあります。その際は、まず裁判所から相手に対して「決まった約束は守ってくださいね」と注意を促してもらう「履行勧告(りこうかんこく)」という制度の利用が考えられます。
それでも相手が頑なに拒否し続ける場合は、さらに強い手段として「間接強制(かんせつきょうせい)」という手続をとれる可能性があります。これは、「面会交流(親子交流)させないなら、1回につき〇万円を払いなさい」といったペナルティ(制裁金)を科すことで心理的なプレッシャーを与える手続です。
参考:履行勧告手続等|裁判所
【例外】面会交流(親子交流)をしないほうがいいケース
面会交流(親子交流)は、お子さまの健やかな成長のために原則として行うべきとされています。しかし、何よりも優先されるのは「お子さまの心身の安全と幸せ」です。
そのため、交流がお子さまに悪影響を及ぼす心配があるような特別な事情がある場合には、面会交流(親子交流)が制限されたり、禁止されたりするケースも考えられます。
(1)DVや虐待のおそれがあるケース
離婚や別居の背景に、相手からの激しい暴力(DV)やモラハラ、お子さまへの虐待などがあったケースです。
交流をすることで、お子さまや一緒に暮らしている親が再び怖い思いをしたり、心身の安全が脅かされたりする危険があるため、面会交流(親子交流)は認められにくい傾向にあります。
(2)子どもを無断で連れ去る危険性が高いケース
離れて暮らす親が、過去にお子さまを勝手に連れ去ってしまったことがある場合や、「連れ去るぞ」とほのめかしているようなケースです。
大切なお子さまを安心して会わせるという大前提が崩れてしまうため、面会交流(親子交流)は見合わせるべきだと判断されることが多くなります。
(3)子どもへの精神的な悪影響が著しいケース
交流の日が近づくとお子さまがひどく体調を崩してしまったり、交流を通じて、お子さまと今一緒に暮らしている親との平穏な生活リズムが大きく乱されてしまったりするようなケースです。
お子さまの精神的な負担が大きすぎると判断された場合は、お子さまの心を守るために面会交流(親子交流)が制限される可能性が考えられます。
トラブルを防ぐための面会交流(親子交流)ルールの決め方
面会交流(親子交流)をトラブルなくスムーズに、そして何よりお子さまが心から楽しめる時間にするためには、事前に具体的なルールを話し合っておくことが大切です。父母間で、以下のような項目について取り決めておくと安心です。
- 面会交流(親子交流)の頻度・時間:「月に1回、第2土曜日の10時から16時まで」といった大まかなペース。
- 場所と受け渡し方法:どこで待ち合わせをして、誰がどのようにお子さまをバトンタッチするか(駅の改札やショッピングモールなど)。
- 連絡方法:日程調整は親同士のメールで行うのか、あるいはお子さまが大きければ直接LINEなどでやり取りしていいのか。
- 学校行事などへの参加:運動会や卒業式など、お子さまの大切なイベントへの参加をどうするか。
最初から「絶対にこの日は〇時!」と厳しすぎるルールを設定してしまうと、お子さまが急に熱を出したときなどに予定が狂い、当事者間で新たな言い争いを生む原因になってしまうことがあります。
ルールはあくまでベースとなる目安とし、「お子さまの成長や日々の状況に合わせて、柔軟に見直していく」というおおらかな前提をもっておくことが何よりも重要です。
面会交流(親子交流)を第三者機関にサポートしてもらうことができる
「子どものために面会交流(親子交流)はしたいけれど、元配偶者と直接連絡を取ったり、顔を合わせたりするのは避けたい」と悩まれる方は大変多いです。
そのような場合は、民間の「第三者機関」を利用するのも一つの有効な手段でしょう。費用はかかりますが、日程調整の代行や面会交流(親子交流)の付き添いなど、精神的な負担を減らすための手厚いサポートを受けることができます。
【まとめ】
親子交流(面会交流)においてもっとも大切なのは、「お子さまの利益と心身の安全」を最優先に考えることです。お子さまの年齢や本当の気持ちに深く寄り添い、ご家族の状況に合わせて柔軟なルールを話し合って決めましょう。
当事者同士での話合いが難しかったり、不当に面会を拒否されたりしてしまう場合は、家庭裁判所の調停や第三者機関を利用するのも有効な解決策です。

























