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サンキュー事故とは?過失割合と慰謝料について弁護士がくわしく解説

弁護士 南澤 毅吾

監修弁護士:南澤 毅吾

(アディーレ法律事務所)

特に力を入れている分野:交通事故・消費者被害・個人事業のトラブル。累計法律相談実績3000件以上。

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「対向車に道を譲ってもらって右折した瞬間、影から出てきたバイクと衝突してしまった……。」

このような、いわゆる「サンキュー事故」の当事者となってしまい、相手方の保険会社から提示された「過失割合(どちらにどれだけの責任があるか)」にモヤモヤしていませんか?

親切心からの譲り合いがきっかけだっただけに、「本当に自分だけが悪いの?」「避けようがなかったのでは?」と判断に迷ってしまうことも多いはずです。

そこで本コラムでは、「サンキュー事故」における過失割合の目安を、具体的なケースごとにわかりやすく解説します。 また、事故の細かい状況によって責任の割合が変わるポイント(修正要素)や、提示内容に納得できないときの対処法についてもお伝えします。

納得のいく解決を目指すためのヒントとして、ぜひお役立てください。

ここを押さえればOK!

・過失割合は状況で変わる:基本的には直進車が優先されますが、信号の色や一時停止の有無といったによって、過失割合が変わる可能性があります。
・保険会社の提示を鵜呑みにしない:損をしないためには、相手方の保険会社の提示をそのまま受け入れず、個別の事故状況を正しく主張することが不可欠です。
・弁護士基準を活用する: 弁護士に依頼し、過去の裁判例に基づく「弁護士基準」で交渉することで、慰謝料などの賠償金が増額される可能性があります。

過失割合や保険会社からの提示額に少しでも疑問を感じたら、アディーレの弁護士へご相談ください。

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過失割合とは

過失割合とは、交通事故が起きた際に、事故を起こされた側(被害者側)と事故を起こした側(加害者側)それぞれに、どのくらいの原因や責任(例えば、前方不注意、スピード違反など)があるのかを示す割合です。

例えば、過失割合は、次のように示されることになります。

【例1】加害者が100%悪い場合には、加害者:被害者=10:0
【例2】加害者が60%、被害者が40%悪い場合には、加害者:被害者=6:4

そして、過失割合は、被害者が最終的に受けとる賠償金(示談金)の金額に影響します。

例えば、交通事故が発生し、加害者と被害者との間に8:2の過失割合があるとします(交通事故が発生した責任については加害者80%の責任があるのに対し、被害者に20%の責任がある、という意味です)。この場合、被害者に100万円の損害があるとしても、被害者の過失分20%が差し引かれて、加害者が支払うのは80万円となります。

被害者に過失がない場合(過失割合が10:0の場合)には、加害者は被害者に発生した損害100万円を支払うことになりますが、被害者に過失が発生した場合には、被害者の過失分を差し引いた金額を支払うことになります。

交通事故における「過失割合」「過失相殺」とは?納得できない場合の対処法は?

【ケース別】サンキュー事故における過失割合とは

では、サンキュー事故における過失割合(目安)についてケース別で見ていきましょう。

サンキュー事故で過失割合(目安)を決める要素としては、次の要素がポイントなります。

  • 事故の相手方……バイクか、自動車か
  • 事故が起こった交差点に信号があるかどうか
  • 事故が起こった時の信号の色

それぞれ見ていきましょう。

(1)自動車とバイクの事故

まず、自動車とバイクの事故について次のケースの過失割合(目安)を見ていきましょう。

(1-1)信号機がない交差点内での事故

信号機がない交差点内では、主に次のような場合にサンキュー事故が発生します。

ア.右折車両と対向するバイク(直進)が衝突したケース
イ.右折車両と左方にいるバイク(直進)が衝突したケース
ウ.右折車両と右方にいるバイク(直進)が衝突したケース

それぞれのケースの過失割合の目安を見ていきましょう。

(1-1-1)ア.右折車両と対向するバイク(直進)が衝突したケース
自動車(A)バイク(B)
85%15%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【189】
(1-1-2)イ.右折車両と左方にいるバイク(直進)が衝突したケース
自動車(A)バイク(B)
80%20%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【193】
(1-1-3)ウ.右折車両と右方にいるバイク(直進)が衝突したケース
自動車(A)バイク(B)
70%30%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【191】

(1-2)信号機がある交差点内での事故

信号機のある交差点内の事故は、信号の色によって過失割合が変わります。

信号の状況自動車(A)バイク(B)
自動車・バイクともに青信号85%15%
バイク:黄信号・自動車:青信号黄信号
(車の交差点の進入が青信号で右折した時点が黄信号の場合)
40%60%
自動車・バイクともに黄信号70%30%
自動車・バイクともに赤信号60%40%
バイク:赤信号・自動車:青信号赤信号
(車の交差点の進入が青信号で右折した時点が赤信号の場合)
20%80%
バイク:赤信号・自動車:黄信号赤信号
(車の交差点の進入が黄信号で右折した時点が赤信号の場合)
40%60%
バイク:赤信号・自動車:青信号0%100%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【191、175、177、179、181、183、185、187】

(1-3)渋滞中の車両間での事故

渋滞中の車両に右折車が道を譲られ、右折したところ渋滞を抜けようとしたバイクと衝突したというケースです。この場合、右折車が交差点で右折する場合と交差点以外(例えば、ガソリンスタンドや駐車場に入るため)で右折する場合の事故があります。

自動車(A)バイク(B)
交差点内70%30%
交差点以外の場所
(車がガソリンスタンドや駐車場に行くために渋滞間からでてきた場合)
80~75%20~25%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【217】

このケースの場合、交差点内の事故は、バイク側も右折車がくるかもしれないことは予測できるため、バイク側も右折車への注意もすべきだったとして、過失が認められやすい傾向にあります。

一方、交差点以外の場所での事故は、バイク側に右折車がくるかもしれないとの予測が難しくなるため、過失が小さくなる傾向にあります。

(2)自動車どうしの事故

次に、自動車どうしの事故について次のケースの過失割合(目安)を見ていきましょう。

(2-1)信号機がない交差点内での事故

信号機がない交差点内では、主に次のような場合にサンキュー事故が発生します。

ア.右折車両と対向する直進車両が衝突したケース
イ.右折車両と左方にいる直進車両が衝突したケース
ウ.右折車両と右方にいる直進車両が衝突したケース

それぞれのケースの過失割合の目安を見ていきましょう。

(2-1-1)ア.右折車両と対向する直進車両が衝突したケース
右折車(A)直進車(B)
80%20%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【114】
(2-1-2)イ.右折車両と左方にいる直進車両が衝突したケース
右折車(A)直進車(B)
70%30%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【116】
(2-1-3)ウ.右折車両と右方にいる直進車両が衝突したケース
右折車(A)直進車(B)
60%40%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【115】

(2-2)信号機がある交差点内での事故

信号機のある交差点内の事故は、信号の色によって過失割合が変わります。

信号の状況右折車(A)直進車(B)
右折車・直進車ともに青信号80%20%
直進車:黄信号・右折車:青信号黄信号
(右折車の交差点の進入が青信号で右折した時点が黄信号の場合)
30%70%
右折車・直進車ともに黄信号60%40%
右折車・直進車ともに赤信号50%50%
直進車:赤信号・右折車:青信号赤信号
(右折車の交差点の進入が青信号で右折した時点が赤信号の場合)
10%90%
直進車:赤信号・右折車:黄信号赤信号
(右折車の交差点の進入が黄信号で右折した時点が赤信号の場合)
30%70%
直進車:赤信号・右折車:青信号0%100%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【107~113】

(2-3)駐車場など路外から進入した場合の事故

駐車場など道路外から右折しようとした車が、右折を譲られたことから右折したところ、直進車と衝突したケースです。

右折車(A)直進車(B)
80%20%
参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【147】

過失割合は絶対ではない!過失割合が変わるケースとは

これまで紹介した過失割合は、絶対ではありません。実際の事故の状況(例:道路の幅や優先道路かどうか、事故時の速度、双方の過失の程度など)により過失割合があなたに有利な形に変わる可能性があります。

例えば、バイクが15キロ以上スピード違反していた場合には、バイク側の過失が増え、車側の過失が減ることになります。

これまで説明したサンキュー事故の場合、バイク・直進車側の過失が加算されるケースとしては、例えば次のようなものが挙げられます。

【バイク・直進車側の過失が加算される要素】
  • バイク・直進車が15キロ以上スピード違反していた場合
  • 直進するバイク・直進車が交差点に進入する時点で右折車がすでに右折していた場合
  • バイク・直進車が前方車両の状況(例:渋滞)により、交差点に入ると通行の妨害になる場合(例:交差点内で停止するなど)には、交差点に入ってはならないとされているにもかかわらず、進入した場合
  • バイク・直進車が携帯電話を利用しながら運転していた場合
  • バイク・直進車が飲酒運転をしていた場合    など

一方、バイク・直進車側の過失が減算される要素としては、例えば次のようなものが挙げられます。

【バイク・直進車側の過失が減算される要素】
  • 右折車の徐行がなかった場合
  • 右折車が右折の合図をしなかった場合
  • 右折車が直進車の至近距離で右折をした場合(例:対向直進車が通常の速度で停止線を超えて交差点に入る付近まで来ている場合に右折を開始したケース)(「直近右折」といいます)
  • 右折車が交差点の中心の直近の内側を進行しないで右折をした場合(「早回り右折」といいます)
  • 右折車があらかじめ道路の中央に寄らないで右折をした場合(「大回り右折」といいます)
  • 右折車が携帯電話を利用しながら運転していた場合
  • 右折車が飲酒運転をしていた場合    など

サンキュー事故における慰謝料とは|慰謝料額の決まり方

サンキュー事故の被害にあった場合に受けとれる可能性のある慰謝料と慰謝料額の決まり方を説明します。

(1)受けとれる可能性のある3つの「慰謝料」とは

サンキュー事故の被害にあい、ケガをした場合、被害者は加害者に対し慰謝料を請求できます。

慰謝料とは、事故の被害を受けたことにより被った精神的損害(「痛い」「辛い」といった苦痛)を償うための賠償金をいい、治療費や車の修理費用とは別に請求できます。

交通事故における慰謝料には、主に、次の「入通院慰謝料」「後遺症慰謝料」「死亡慰謝料」の3つの慰謝料があります。

交通事故の慰謝料|相場と計算方法をアディーレの弁護士が解説

(2)慰謝料の金額が変わる!?3つの基準とは

交通事故の慰謝料の金額は、法律で決まっているわけではありません。

実は、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」の3つの基準で決められます。どの基準を使うかで金額が大きく変わってくるため、同じような事故で同じようなケガをした場合でも、慰謝料額が数十万~数百万円以上違うというケースも少なくありません。

慰謝料で損をしないためには、3つの基準について知り、少しでも高額になりやすい基準を使うことが必要です。

算定基準内容
自賠責の基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、基本的には、慰謝料の基準額は3つの基準のうち最も低くなります。
任意保険の基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険基準をもとにして慰謝料を提示してきます。慰謝料の基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。
弁護士の基準
(裁判所の基準)
弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士に示談交渉を依頼した場合や裁判をした場合などに使われる算定基準です。
弁護士の基準による慰謝料の基準額は基本的には3つの基準のうちで最も高額となりやすくなります。

このように、保険会社が提示する慰謝料額は、自賠責の基準や任意保険の基準を使っているため、弁護士の基準の慰謝料額よりも低いことが多いです。

弁護士の基準での示談を目指すのであれば、弁護士が交渉することが必要になります。弁護士が訴訟も辞さない態度で交渉することで、初めて保険会社側も弁護士の基準での慰謝料額に応じることが多いのです。

「保険会社から提示された過失割合に納得いかない…」この場合の対処法とは

保険会社から提示された過失割合に納得ができない場合には弁護士への相談がおすすめです。

そもそも加害者側の保険会社は、加害者が支払うべき賠償金(示談金)を支払う立場ですので、あなたに支払う金額を少しでも減らしたい立場です。そのため、あなたにも事故の発生について過失があったなどと、なんとかして賠償金(示談金)を減額する主張してくることがあるのです。

例えば、事故当事者の主張(信号の色など)が異なる場合には、被害者の主張ではなく、加害者の主張する事実に基づいて過失割合を提案してきている可能性があります。

このような場合に、過失割合について検討せずに示談を成立させてしまうと、本当は過失割合10:0で賠償額全額を受けとるべきであったにもかかわらず、過失割合8:2であるとして賠償金額の80%分しか受け取れなくなるおそれがあります。

交通事故の経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼したりすると、弁護士は、道路状況や車の損傷部分や程度などのさまざまな証拠をもとに正しい事故状況を検討します。そして、弁護士はその結果を基に保険会社と交渉します。これにより、妥当な過失割合で保険会社と示談できる可能性が高まります。

 
 

【まとめ】サンキュー事故の過失割合は、直進車に有利な傾向

サンキュー事故の過失割合は、基本的には直進してきた車やバイクが優先される傾向にあります。しかし、「信号は何色だったか」「一時停止はしたか」といった細かい事情によって、その割合は大きく変わることがあります。

そのため、保険会社からの提示をそのまま受け入れる前に、「修正されるケースかどうか(事故当時の具体的な状況)」を正しく主張することが、適切な賠償を受けるためにはとても大切です。

また、慰謝料の計算には、過去の裁判例に基づいた「弁護士基準」というものがあります。この基準を使って交渉することで、受け取れる賠償額が増額される可能性もあります。

もし、提示された過失割合や金額に少しでも疑問や不安を感じたら、一度弁護士へご相談ください。アディーレの弁護士が、あなたに代わって適切な過失割合や慰謝料を主張し、納得のいく解決に向けて全力でサポートいたします。

交通事故の被害にあったら弁護士への相談がおすすめ!賠償金を増額できる可能性も