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多産DVとは?多産DVが女性に与えるリスクと逃れる方法を弁護士が解説

作成日:
kawahara_LA

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

幸せな家庭の象徴とされる子沢山。 

しかし、その裏に隠された深刻な問題をご存知でしょうか?近年、静かに広がりつつある「多産DV」という言葉をお聞きになったことはありますか? 

多産DVは、一見幸せそうに見える家庭の中で起こる、見えにくい暴力(DV)の一形態です。この記事では、多くの人が気づかないまま苦しんでいる多産DVの実態と、そのリスク、そして被害から身を守る方法について、弁護士の視点から詳しく解説します。 

あなた自身や、あなたの周りの人が知らず知らずのうちに多産DVの被害に遭っているかもしれません。この記事を読むことで、多産DVの正体を理解し、自分や大切な人を守るための重要な知識を得ることができるでしょう。 

この記事を読んでわかること 

  • 多産DVとは 
  • 多産DVの特徴(多産DVを疑うべき4つのケース)とは 
  • 多産DVが女性に与える3つの深刻なリスクとは 
  • 多産DVから身を守る4つの対処法とは 

ここを押さえればOK!

多産DVは、夫が妻の意思を無視して避妊に協力せず、繰り返し妊娠・出産を強要する性的DVの一種です。特徴として、短期間での妊娠・出産の繰り返し、夫の避妊拒否、性交渉の強要、中絶の強要などがあります。

多産DVは、女性に次のような深刻なリスクをもたらします。
・心身への過度な負担
・経済的困窮
・離婚のハードルが高くなる

多産DVを理由に離婚や慰謝料請求が可能ですが、証拠の収集が重要です。

多産DVの対処法として以下の方法が挙げられます。
・家族や知人との相談
・産婦人科医への相談と避妊
・DV相談窓口の利用
・弁護士への相談

多産DVは外からは気づきにくく、被害者自身も気づいていないことがあります。周囲の人々も注意を払い、必要に応じて支援を提供することが重要です。
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

多産DVとは?

多産DVとは、性的DVの一種とされ、夫が妻の意思を無視して避妊に協力せず、繰り返し妊娠・出産を強要する行為を指します。 

妊娠・出産を繰り返すことで妻の心身に大きな負担を与え、妻の自立を阻み、結果的に夫の元から妻が逃げにくくなるともいわれています。 

多産DVの特徴|多産DVを疑うべき4つのケースとは?

多産DVは、一見子沢山の幸せな家族に見えてしまうため、外から気付かれにくい傾向にあります。 

また、妻自身も「夫婦は性交渉に応じなければならない」「子沢山は幸せなこと」などと思い込み、多産DVの被害にあっていると気づいていないケースもあります。 

ここでは多産DVの特徴(多産DVを疑うべきケース)を紹介しますので、あなたやあなたの友人・知人が当てはまるのかをチェックしてみましょう。 

【多産DVの特徴(多産DVを疑うべき4つのケース)】 

  1. 短期間で妊娠・出産を繰り返す: 出産後1年以内の妊娠・出産を繰り返している 
  2. 夫が避妊に協力しない: 妻の意思に反して夫が避妊の協力を拒む 
  3. 妻の体調や意思を無視して性交渉を強要する:夫は妻の体調や意思を考慮することなく、性交渉を強要する 
  4. 中絶を強要される: 妊娠させられ、そのたびに中絶を強要されている 

もちろん短期間に妊娠・出産を繰り返していても、妻も望む妊娠・出産であれば「多産DV」には当たりません。しかし、夫に性交渉を強要されていたり、妻が夫への恐怖心から望んでいるふりをしていたりする場合には「多産DV」を疑うべきといえるでしょう。 

また、子供が少ない夫婦でも、実は繰り返し妊娠をさせられていてその度に中絶を強要されているという場合は「多産DV」に当たります。子供が少ないからといって「多産DV」に当たらないというわけではありません。 

多産DVが女性に与える3つの深刻なリスクとは?

多産DVは女性の心身や人生に深刻なリスクを及ぼす可能性があります。多産DVの被害を受けている場合、場合によってはすぐに多産DVから逃げ出した方がよい場合もあります。 

  • 女性の心身に過度な負担を与える 
    • 連続的な妊娠・出産により、女性の心身がボロボロになります。また子供の育児などにより慢性的な疲労や睡眠不足に陥りやすくなります。 
  • 経済的に困窮する 
    • 短期間での連続的な妊娠・出産は、キャリアの中断や断絶など女性の就労機会を奪い、経済的自立を困難にします。また子育て費用の負担増により、より経済的に困窮することもあります。 
  • 離婚しにくくなる 
    • 育児に追われ、社会との接点が減少し、相談できるような相手がおらず、女性自身が多産DVの被害にあっていることに気づいていないケースもあります。また育児に追われ女性の就労がままならず、男性に経済的に依存する結果、別居や離婚のハードルが高い傾向にもあります。 

多産DVをする男性の中には、「女性を支配したい」「女性を育児に縛り付けることで自分から離れないようにしたい」と考えたり、女性に対しモラハラや暴力を振るったりする男性もいます。モラハラや暴力を受けている場合、上記のリスク以外にもケガや精神的な病気など女性の心身により深刻な悪影響を及ぼすおそれもあります。 

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多産DVで離婚・慰謝料請求できる? 

次に、多産DVを理由とした離婚や慰謝料について見ていきましょう。 

(1)多産DVで離婚できる?

夫婦で離婚の合意ができれば、どんな理由であれ離婚することは可能です。 

ただし、多産DVを理由とした離婚は、妻から離婚を切り出しても離婚を拒否されるケースが多いです。このケースの場合には、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。 

家庭裁判所での離婚調停とは、調停委員という第三者を交えて夫婦の話し合いを行う場で、夫と直接顔を合わせずに話し合いを行うことができます。夫婦での話し合いが難しい場合や夫に離婚を拒否された場合には、家庭裁判所の離婚調停手続きを利用しましょう。 

離婚調停で離婚できず、引き続き離婚を望む場合には、離婚裁判を起こすことになります。離婚裁判では、夫側がいくら離婚を拒んでも、裁判官が「離婚」と判断すれば離婚することができます。 

裁判官に離婚を認めてもらうためには、多産DVがあった証拠があるとより有利に裁判を進めることができます。多産DVがあった証拠を事前に集めておくとよいでしょう。 

(2)多産DVで慰謝料請求できる?

多産DVを理由に慰謝料請求できる可能性があります。 

DVが理由でもらえる慰謝料の金額は、法律で基準が決まっているわけではありません。 

 裁判を起こした場合は、個別の事情を考慮しながら最終的に裁判所が慰謝料の金額を決定します。DVの慰謝料の裁判上の相場は、数十万〜300万円の範囲内と言われており、事案の内容によっては相場以上の金額が認定されることもあります。 

慰謝料請求する場合にも、多産DVがあった証拠の有無が重要となります。慰謝料請求が認められるのか、認められるとして慰謝料がいくらになるのかは、「あんなことがあった」「こんな事情もある」と第三者である裁判所に理解してもらえるような主張・立証ができるかどうかが重要だからです。 

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多産DVから身を守る4つの対処法とは?

最後に多産DVから逃れて、多産DVから身を守るための相談先と逃れる方法について紹介します。 

(1)家族や知人と話し合う

夫に何か言うとさらに怒らせてしまうから怖くて何も言えないという方は、友人や親族に相談してみてもいいかもしれません。 

友人や親族の第三者に相談することで、あなたの夫が客観的に見て「多産DV夫」といえるのかどうかを判断するきっかけとなるでしょう。また、夫も第三者からの意見であれば聞き、改心してくれるきっかけになるかもしれません。 

ただ、友人や親族に相談したことがわかれば、「俺に恥をかかせたな」などと夫がさらに怒る可能性もあります。また、友人や親族が夫の味方となって、さらにあなたを苦しめることになるかもしれません。友人や親族に相談する場合は信頼できる人物を選ぶなどの注意が必要でしょう。 

(2)産婦人科医への相談と避妊をする

産婦人科医に相談し、避妊の相談をしてみるのも1つの選択肢です。ピルやIUDなど夫に気づかれにくい避妊法もあります。 

いずれの方法も女性の体に負担を与えるものであるため、産婦人科医と相談しながらリスクについて十分に理解した上で行いましょう。 

(3)DV相談窓口に相談する

行政や民間のDV相談窓口に相談する方法もあります。これらの窓口では、安全な避難場所の提供や法的支援の情報など、具体的な援助を受けられます。 

【行政や民間のDV相談窓口】 

  • DV相談ナビ(男女共同参画局) 
    • 配偶者からの暴力に悩んでいる方向けの相談窓口です。全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、お近くの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつなげてくれます。 
  • DV相談プラス(内閣府) 
    • あなたが配偶者やパートナーから受けている様々な暴力(DV)について、専門の相談員が一緒に考えてくれます。365日24時間対応してくれます。 
  • 配偶者暴力相談支援センター(各都道府県)  
    • 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等を図るため、相談や相談機関の紹介、カウンセリング、被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護などを行ってくれます。 
  • 民間シェルター 
    • 民間によって運営されているDV被害者が緊急一時的に避難できる施設です。現在民間シェルターでは、被害者の一時保護だけに止まらず、相談への対応、被害者の自立へ向けたサポートなど、被害者に対する様々な援助を行ってくれます。 

(4)弁護士に相談する

多産DVで離婚を考える場合には、弁護士に相談しましょう。 

多産DVをする夫は離婚を拒むことが多く、また対等な話し合いが難しいケースがほとんどです。弁護士であればあなたに代わって夫と交渉してくれますので、離婚のみならず慰謝料や養育費についても夫と対等な話し合いが可能になります。 

【まとめ】多産DVから自身と子どもを守るために

多産DVは、女性の心身に深刻な影響を与え、経済的自立を阻害する危険な行為です。その特徴を理解し、早期発見・対処が重要です。被害者は産婦人科医やDV相談窓口、弁護士などの専門家に相談し、適切な支援を受けることが大切です。離婚や慰謝料請求も選択肢の一つとなります。 

あなたや周りの人が多産DVの兆候に気づいたら、一人で抱え込まず、すぐに行動を起こしましょう。専門家に相談し、安全で健康的な生活を取り戻すための第一歩を踏み出してください。あなたと子どもの幸せな未来のために、勇気を出して助けを求めることが大切です。 

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