子供が成人後、いよいよ離婚しようと考えている方は少なくありません。
離婚を決意したら、慰謝料、財産分与、年金分割について理解し、離婚後の生活の準備をしておきましょう。
ここを押さえればOK!
離婚に際しては慰謝料、財産分与、年金分割といった経済的な条件を整理する必要があります。
慰謝料とは精神的苦痛への金銭的賠償のことで、離婚の理由が不倫やDV、モラハラなどであれば請求できる可能性がありますが、単なる性格の不一致などでは請求できません。金額はケースバイケースで、数十万円から300万円程度が相場です。
熟年離婚後の生活設計も重要です。住居確保、生活費、仕事、公的支援などを検討し、経済的な見通しを立てておく必要があります。
離婚問題でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。
子供が成人したら離婚を決意する理由
まず、子供が成人したあとに離婚を決意する主な理由をご紹介します。
(1)長年の我慢が限界に達した
子供が成人するまで、夫婦関係に問題を抱えていても、子供の事を考えて我慢してきたケースは少なくありません。
配偶者のモラハラやDV、借金、依存症など、様々な問題を長年抱えながらも、子供が成人するまでは家庭を維持しようと努力してきた方もいるでしょう。
離婚によって子供に辛い思いをさせたくない、経済的に不安定になることを避けたいといった理由から、離婚を踏みとどまっていたケースは多いです。
しかし、子供が成人し自立したことで、自分の人生を改めて見つめ直し、長年の我慢から解放されたいと考え、離婚という選択をすることがあります。
(2)子供の独立を機に自分の人生を歩みたい
子育てのためにキャリアを中断していた人や、自分の趣味や夢を諦めていた人にとって、子供が独立したタイミングは自分の人生をもう一度歩み始める絶好のチャンスといえるでしょう。
これまで子供のために我慢していた価値観の違いや生活習慣のズレが顕著になり、夫婦間の温度差を感じ始めるケースもあります。
このような状況下で、残りの人生を自分らしく、自由に生きたいという思いが強まり、離婚という選択に至るのです。
(3)経済的な自立が可能になった
長年、専業主婦やパートであった人が、子供が成人し、正社員として就職するなどしたことで、経済的な自立への道筋が見えてくるケースがあります。
これまで経済的な理由から離婚をためらっていた人も、子供が成人し、自身にも収入があると、離婚という選択肢を現実的に考えられるようになります。
また、子供自身が経済的に自立することで、親への金銭的な負担が軽減されます。離婚後の生活費の負担を軽減できる見込みが立ち、離婚へのハードルが下がるのです。
(4)配偶者の不倫が発覚した
残念ながら、子供が成人した後に配偶者の不倫が発覚するケースも存在します。長年連れ添った夫婦間でも、関係が冷え込んだり、すれ違いが生じたりするなかで、配偶者が他の異性と親密な関係を持つ可能性はゼロではありません。子供が独立し、夫婦二人きりになる時間が増えたことで、隠れていた不倫が発覚することもあります。
裏切りによる精神的なダメージ、信頼関係の崩壊などから、離婚を決意する夫婦は少なくありません。
不倫は慰謝料請求の有力な根拠となるため、弁護士への相談も視野に入れるべきでしょう。
離婚慰謝料について知っておくべき基礎知識
次に、離婚時に支払われる慰謝料についての概要をご説明します。
(1)そもそも慰謝料とは
慰謝料とは、精神的な苦痛に対する金銭的な賠償のことです。
離婚時の慰謝料であれば、離婚原因について責任がある側(有責配偶者)が、他方配偶者に支払います。
したがって、離婚の原因が不倫やDV、モラハラといった有責行為に該当すれば慰謝料の対象になりますが、単なる「性格の不一致」などが離婚原因であれば、慰謝料の請求できません。
誤解されていることも多いですが、離婚すれば必ず慰謝料が支払われるわけではないのです。
慰謝料の金額は、精神的苦痛の程度・婚姻期間・有責行為の悪質さなど、さまざまな要素を考慮して決定されます。
(2)離婚時に慰謝料を請求できるケース
前述のとおり、離婚時に慰謝料を請求できるのは、主に一方の配偶者に離婚原因となる責任がある場合です。
代表的なケースは、不倫(不貞行為)、DV、モラハラなどです。
その他、性交渉の拒否やギャンブル、宗教活動への過度な傾倒などが原因で婚姻関係が破綻した場合も、慰謝料請求が認められるケースがあります。
これらの行為が離婚の主要な原因と認められれば請求が可能ですが、どの程度の行為が慰謝料に値するかはケースバイケースです。
証拠の有無や夫婦関係の状況も考慮されるため、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。
(3)慰謝料の算定方法
離婚における慰謝料の算定方法に明確な基準はなく、個々のケースによって異なります。
裁判所は、以下の要素を総合的に考慮して慰謝料額を決定するのが一般的です。
- 有責行為の程度:不貞行為の期間や回数、暴力の程度など。
- 婚姻期間:長いほど高額になる傾向があります。
- 精神的苦痛の程度:具体的な証拠に基づいて判断されます。
離婚時の慰謝料の相場は、一般的に数十万円から300万円程度といわれています。
非常に悪質なケースでは、それより高額な慰謝料が認められるケースもありますが、いずれの場合も証拠が重要になるでしょう。
熟年離婚の慰謝料相場について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
慰謝料以外の離婚条件
離婚の条件は慰謝料だけではありません。子供が成人したあとの離婚で決めておくべき主な離婚条件についてご説明します。
(1)財産分与
財産分与とは、婚姻中に夫婦で築き上げた財産を、離婚時に分配することです。預貯金、不動産、株式、自動車などが対象となります。
財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産(共有財産)であり、結婚前の財産や相続・贈与で得た財産は原則として財産分与の対象外です。
財産分与の割合は、基本的には夫婦それぞれ2分の1ずつです。
ただし、夫婦どちらかの浪費が激しかった場合や、共有財産が増加した原因や元手などを考慮して、割合が調整されることもあります。
財産分与の割合について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)年金分割
年金分割とは、婚姻中に払い込んだ厚生年金記録を分割し、将来受け取る年金額を調整する制度です。
国民年金は分割されないこと、請求期限は原則として離婚した日の翌日から2年以内である点にご注意ください。
参考:離婚時の年金分割|日本年金機構
離婚前に準備すべきことについてはこちらの記事をご覧ください。
熟年離婚後の生活設計
熟年離婚後は、生活環境が大きく変化するため、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。特に経済的な面については、離婚前にしっかりと見通しを立てておきましょう。
住居の確保、生活費や仕事の見通し、公的支援制度の活用など、具体的に検討すべき項目は多岐に渡ります。
また、精神的な面についても、孤独感や不安感に苛まれることもあるかもしれません。
信頼できる友人や家族、役所などに相談し、サポートを受けることも検討しましょう。
新たな人生を前向きに歩み出すために、事前の準備と周囲のサポートは重要です。
離婚後の生活設計について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】
子供が成人した後の離婚は、新たな人生のスタート地点となる一方、慰謝料、財産分与、年金分割など、複雑な問題も伴います。
あなたにとってより良い条件での離婚を目指すためにも、弁護士への相談をおすすめします。
アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)