離婚を決意した方にとって、離婚届の用紙を入手するという行為は、長年の関係を清算し、新しい人生を歩み始めるための重大な第一歩です。
しかし、多くの方が慣れない作業に「うまく手続きを進められるのか」「手続き上の不備で失敗したくない」という不安を抱えていることでしょう。
このコラムでは、離婚届の入手場所(役所の窓口、遠方の役場、夜間・休日窓口)の基本から、記入ミスを防ぐ訂正ルールなど、失敗しないためのポイントを弁護士がわかりやすく解説します。
ここを押さえればOK!
離婚届をもらいにくい方は、遠方の市区町村役場で受けとるか、もしくは一部の市区町村役場のホームページからダウンロードすることもできます。
離婚届の提出は、夫婦双方が納得していることが大前提となります。夫婦の一方が納得していない場合や離婚条件で折り合いがつかない場合には、早めに弁護士への相談を検討してください。
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離婚届は「どこの役所」でも入手可能!離婚届の入手場所
離婚届を入手することは、長年の夫婦関係を清算し、新しい人生を歩み始めるための重大な第一歩です。夫婦の離婚に向けてまずは、離婚届の入手先を知っておきましょう。
(1)市区町村役場にある市民課・戸籍課での入手できる
離婚届は、市区町村役場にある市民課もしくは戸籍課で入手することができます。
窓口の名称は各市区町村役場によって異なるものの、市区町村役場の入り口近くにある案内で「離婚届の用紙が欲しい」と言えばどこで受けとれるかを教えてくれます。
市区町村役場の窓口で離婚届の用紙を受け取る場合には、記入方法や提出時の必要書類などわからないことを合わせて聞いておくとよいでしょう。
(2)【離婚届がもらいにくい方へ】遠方の市区町村役場でも入手できる
離婚届の書式は全国共通であるため、提出先となる市区町村役場に限らず、全国どこの役場でも入手可能です。
現在の住所地や実家の近くの市区町村役場の窓口では離婚届をもらいにくいという方は、遠方の市区町村役場で離婚届をもらうというのもよいでしょう。
(3)【離婚届がもらいにくい方へ】市区町村のHPからダウンロードで入手できる
市区町村役場に行く時間がない方や市区町村役場で離婚届をもらうのに抵抗がある方は、一部の市区町村役場のホームページから離婚届をダウンロードすることができます。
プリンターが自宅にない場合には、スマートフォンなどに離婚届のデータをダウンロードして、コンビニなどで印刷することも可能です。
ただし、離婚届を印刷する際には、必ずA3サイズで白色の普通紙に鮮明に印刷するようにしてください。
参考:離婚届(協議離婚)|東京都府中市公式ホームページ
参考:法務省|離婚届
土日や夜間に離婚届をもらう方法と注意点
平日の日中に市区町村役場へ行くのが難しい方は、土日や夜間に離婚届をもらうこともできます。
(1)宿直室や夜間・休日窓口でもらえる
離婚届は、役所の閉庁時間である土日祝日や平日の夜間でも入手が可能です。
多くの市区町村役場では、通常の窓口が閉まっている時間帯に対応するため、休日・夜間窓口(宿直室・守衛室など)が設けられています。これらの窓口は、通常は届出の受付や緊急対応を目的としていますが、離婚届の用紙交付も行われています。
(2)事前に夜間・休日窓口の時間や場所を確認する
夜間・休日に対応する窓口の名称や運用体制は、各市区町村役場によって異なります。
無駄足となってしまうことを避けるためにも、訪問前に必ず各市区町村役場のホームページなどで夜間・休日窓口の対応時間や場所について確認しておきましょう。
書き損じても慌てない!離婚届の書き方と訂正ルール
離婚届に少しでも間違いなどがあると、市区町村役場での受理の遅れや受理の拒否につながる可能性があります。
そのような事態を防ぐためにも、離婚届の書き方や訂正ルールを知っておきましょう。
(1)署名欄は直筆で記入する
離婚届の署名欄以外は代筆でも構いませんが、署名欄については、夫婦本人が直筆で記入する必要があります(鉛筆や消えるインクは使用しないようにしましょう)。
ただし、届出人がケガや障害などを理由に直筆で署名することができない場合には、署名欄も代筆でも構いません。しかし、その場合には離婚届を提出する際に、窓口で署名を代筆したことと代筆しなければならなかった理由について伝える必要があります。
(2)修正テープ・修正液の厳禁!二重線で訂正する
離婚届に誤って記載をしてしまった場合には、二重線を引いた上で、その近くに正しい内容を記載すれば問題ありません。修正テープや修正液を使用して訂正しないようにしましょう。
訂正するスペースがない場合には、「その他」の欄を使って訂正することもできます。
(3)提出時に訂正を求められることも
離婚届の記載に不備がある場合には、提出時や提出後に離婚届けの補正(訂正)が求められる可能性があります。
特に、夜間・休日窓口で提出した場合には、訂正(補正)のため開庁時間に再度市区町村役場の窓口に行くことを求められる可能性もあります。
離婚届を出す前に知っておきたい!「離婚届不受理申出」とは
離婚届不受理申出がなされていると、離婚届を提出しても離婚届が受理にされません。
離婚届を出す前に、離婚届不受理申出の制度について知っておきましょう。
(1)離婚届不受理申出とは
離婚届不受理申出とは、夫婦の一方が他方に無断で離婚届を作成・提出し、受理されてしまう事態を防ぐために設けられている制度です。
あなたの配偶者がこの申出を市区町村役場に対して行っている場合、たとえ形式的に完璧に作成された離婚届であっても、その離婚届は受理されません。
(2)離婚届不受理申出がされているか確認するには
あなたの配偶者から離婚届の不受理申出がされているかどうかを、離婚届を提出する前に確認する方法はありません。
離婚届を提出して市区町村役場から離婚届の不受理されたときに、はじめて配偶者から離婚届不受理申出がされていることを確認することができます。
(3)離婚届不受理申出がなされていても、離婚するには
離婚届不受理申出がされている場合に離婚する方法は、配偶者に申出を取り下げてもらい、再度離婚届を提出することが原則になります。
夫婦で離婚に向けて話し合い、配偶者に離婚届不受理申出を取り下げてもらうように説得するしかありません。
しかし、配偶者との話し合いがうまくいかず、どうしても離婚届不受理申出を取り下げてもらえない場合には、家庭裁判所での調停や裁判で離婚を目指すということになるでしょう。
離婚届を出す前にチェックしておきたい3つの項目
離婚届は、あくまでも夫婦双方が離婚に同意をして提出する必要があるものです。
どちらか一方が離婚に納得していなかったり、その後の生活や子どものことで不満を抱えたりしたまま離婚してしまうのは、その後のトラブルの元となってしまいます。
離婚届を出す前に次の3つの項目について確認しておきましょう。
(1)配偶者は離婚に納得していますか?
離婚届を提出するのは、夫婦双方が離婚に納得していることが大前提となります。配偶者に無断で離婚届を出すことはできません。
配偶者が離婚に納得してくれず、離婚届を出せない場合には、弁護士に間に入ってもらうのも1つの方法です。夫婦だけの話し合いでは埒が明かない場合でも、弁護士が間に入って話し合うことで、離婚に向けた話し合いがスムーズに進む可能性もあるからです。
配偶者が話し合いの席にすらついてくれないなど、離婚に向けた話し合いが進まない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることもできます。
(2)財産分与や慰謝料は話し合いましたか?
財産分与や慰謝料などのお金の問題は、離婚前に話し合っておくことが大切です。
離婚届を提出した後でも、これらの話し合いを進めることはできますが、離婚後に話し合いを進めようと思っても、配偶者が話し合いに非協力的になるなど話し合いがスムーズに進まないケースも少なくありません。
離婚前に財産分与や慰謝料などの話し合いを進めておくことをおすすめします。
話し合った内容は、離婚協議書にまとめておきましょう。離婚協議書を作成しておくことで、離婚後に「言った・言わない」などの水掛け論になることを防ぐことができます。
さらに、離婚協議書を執行認諾文言付きの公正証書で残しておくと、財産分与や慰謝料などの支払いがなされなかった場合に強制執行を行うこともできるようになります。
(3)親権者は決まっていますか?
未成年の子供がいる場合、離婚届の「親権者」欄の記載をする必要があります。親権者が決まっていない離婚届は受理されません。
話し合いで決められればよいですが、話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所での調停や審判などでどちらが親権者として相応しいかを判断することになります。
親権者が決まったら養育費についても忘れずに話し合いましょう。養育費は離婚後の子どもの生活を支える大切なお金になります。
離婚届に関するよくある質問(Q&A)
最後に、離婚届の入手や提出に関してよくある質問についてまとめています。
(1)離婚届の提出先や提出方法はどうすればいいですか?
離婚届の提出先は、「夫婦の本籍地がある市区町村役場」もしくは「夫または妻の所在地にある市区町村役場」になります。
本籍地以外の市区町村役場に離婚届を提出する場合には夫婦の戸籍謄本が必要とされていましたが、2024年3月1日より戸籍謄本がなくても離婚届を提出できるようになりました。
(2)離婚届を提出するのは1人でもいいですか?
離婚届を提出するのは、夫婦のうちどちらか1人だけで行うことができます。
ただし、提出時に市区町村役場に来なかった配偶者に対しては、後日役所から届出が受理された旨の受理通知が送付されることになります。
(3)離婚届の証人は誰に頼んだらいいですか?
夫婦以外の成人(18歳以上)であれば、誰にでも頼むことができます。
家族や親しい知人・友人などに頼む人が多いです。
(4)離婚届をもらうのにお金はかかりますか?
離婚届をもらうのに、お金は必要ありません。
離婚届は市区町村役場で、無料で配布されています。
【まとめ】離婚届は全国どこの市区町村役場でも入手可能!
離婚届の用紙は全国どこの市区町村役場でも、土日夜間でも入手可能です。離婚届の記入を間違えても正しい訂正方法で訂正すれば、問題なく提出することができます。
離婚届の準備や離婚届を書くための話し合いに不安がある場合には、アディーレの弁護士へご相談ください。弁護士に依頼すれば、配偶者との話合いや書面の作成などを任せることができます。























