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重婚的内縁とは?法的保護の対象となるための条件についても解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「夫とは、もう20年以上内縁関係を続けているけれど、夫は、まだ前妻と離婚しておらず、法律上は夫婦のまま…やっぱり私には、何の権利もないの?」

このような状況のことを、「重婚的内縁」といいます。
一般的な内縁関係であれば、法律婚をしている夫婦に準じる法的保護を受けることができる場合がありますが、重婚的内縁の場合、原則として法律上保護されません。

ただし、重婚的内縁であっても、一定の条件を満たした場合、例外的に法律上の保護を受けられる場合があります。

今回の記事では次のことについて弁護士が解説します。

  • 重婚、重婚的内縁とは
  • 重婚的内縁が法的保護の対象となるための条件
  • 重婚的内縁を解消する際の法的保護
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

重婚とは

重婚とは、すでに法律上結婚している人が、さらに別の人とも結婚することをいいます。
日本では、民法732条で重婚が禁止されており、刑法184条には重婚罪についての定めがあり、刑罰の対象となっています。

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

引用:民法732条

配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。

引用:刑法184条

重婚的内縁について

次に、重婚的内縁についてご説明します。

(1)そもそも内縁とは

まず、内縁とは、双方が婚姻の意思を持ちながら婚姻届を出さずに、夫婦の実体を有する共同生活をする関係のことをいい、事実婚と呼ばれることもあります。
つまり、社会的には夫婦同然の生活をしていますが、婚姻届を提出しておらず、法律上の夫婦ではありません。したがって、原則としてお互いの相続人になることはできず、2人の間に生まれた子どもは非嫡出子となり、父が認知しなければ法律上の父子関係が生じない点で、法律上の夫婦とは異なります。

(2)重婚的内縁は、法律上保護されないのが原則

重婚的内縁とは、内縁関係にある男女の双方又は一方に法律上の配偶者がいる状態のことをいいます。

一般的な内縁関係の場合、社会生活上は夫婦同然の生活をしているといえるため、次の点に関しては、法律上の夫婦と同様の権利義務が認められると考えられています。

  • 貞操義務
  • 同居の義務
  • 扶養の義務
  • 婚姻費用(生活費)の分担義務
  • 内縁解消時の財産分与 など

しかし、重婚的内縁の場合、その双方あるいは一方は法律上結婚しており、配偶者が存在します。
そのため、重婚的内縁の場合にも一般的な内縁関係と同様の法的保護を与えると、重婚を法律で禁止した趣旨に反するため、原則として重婚的内縁は法的に保護されません。

重婚のような状態を保護するわけにはいかない、というのは良く分かるのですが、内縁の夫は、長年、法律上の奥さんとは連絡も取っておらず、そもそも住所や連絡先すら知らない状況なんです。
そのような場合でも、私たちのような内縁関係は保護されないのですか?

法律上の夫婦関係が破綻あるいは形骸化しているといえる場合には、重婚的内縁であっても、一般的な内縁関係と同様に法的保護が与えられる可能性があります。

(3)重婚的内縁が法的保護の対象となるための条件

重婚的内縁であっても、法律上の夫婦関係が破綻あるいは形骸化している場合には、例外的に法的保護の対象になる可能性があります。
つまり、法律上の夫婦関係が、事実上離婚しているのと変わらない状態だといえるのであれば、例外的に法的保護の対象となり得るということです。
法律上の夫婦関係が破綻あるいは形骸化しているかどうか判断する際には、例えば次のような点が考慮されます。

別居している期間

別居している期間が長いほど、夫婦関係が破綻・形骸化していると判断されやすくなります。

別居に至った事情

別居前から、現在の内縁の妻または夫(その当時は浮気相手ということになります)との関係が始まっており、別居前から法律上の夫婦関係が円満とはいい難い状況が長期間続いていたような場合には、夫婦関係が破綻・形骸化していると判断されやすくなります。
一方、別居を開始した最初のきっかけが単身赴任などの理由であり、別居後しばらくは良好な夫婦関係が存在したといえる場合には、夫婦関係が破綻・形骸化しているとは認められにくい方向に傾くでしょう。

別居後の夫婦の交流

別居後も、夫婦が定期的に会っていたり、連絡を取り合ったりしているのであれば、その態様や頻度にはよりますが、基本的に夫婦関係が破綻・形骸化しているとは認められにくい事情として考慮されるでしょう。
また、どちらかが関係修復のための行動や努力をしていた場合も、夫婦関係の破綻・形骸化は認められにくい方向に傾く事情となるでしょう。
もっとも、法律上の夫婦間に子どもがいて、子どものことで連絡を取らざるを得ない場合などがありますので、連絡を取り合っていれば必ず夫婦関係の破綻・形骸化が認められないわけではありません。

夫婦双方が経済的に独立しているか

夫婦の一方が経済的に独立しておらず、別居後も経済力のある方の配偶者から仕送りなどの経済的な援助を受けているといった事情があると、夫婦関係が破綻・形骸化しているとは判断されにくいでしょう。

重婚的内縁が継続的な関係といえるか

法律上の夫婦の別居期間が長期間に及んでいる場合であっても、それだけで夫婦関係の破綻・形骸化が認められるとは限りません。重婚的内縁の関係がある程度継続しており、安定的・固定的な関係といえなければ、夫婦関係の破綻・形骸化が認められにくいでしょう。
少なくとも、一定期間同居しているだけでなく、重婚的内縁が事実上夫婦としての生活基盤を有している必要があると考えられます。

重婚的内縁を解消するとき

重婚的内縁が例外的に保護される場合であれば、一般的な内縁解消のときと同様の法的保護が与えられます。

(1)慰謝料

正当な理由なく内縁関係を解消された場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
一般的に慰謝料請求の対象となり得る理由は次のようなものです。

  • 不貞行為
  • DVやモラハラ
  • セックスレス
  • 悪意の遺棄(例:一方的に家出して生活費も送らない、など)

悪意の遺棄について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ちなみに、たとえ内縁関係を解消しなくても、一方が他の人と肉体関係を持った場合は、基本的に不貞行為に該当するとして慰謝料請求が可能であると考えられています。
なお、内縁の夫(妻)だけでなく、その浮気相手に対しても、慰謝料請求の余地はありますが、浮気相手に対する請求の場合、浮気相手の故意・過失(不貞行為の時点で内縁の妻または夫がいると知っていたこと、あるいは不注意で知らなかったこと)が必要です。
そのため、法律上の夫婦に比べて、浮気相手の「内縁の妻がいるとは知らなかった」という言い分が認められやすくなる可能性があります。

(2)財産分与

内縁関係であっても、法律上の夫婦が離婚する場合と同様に、財産分与を請求することができます(ただし、重婚的内縁であれば例外的な場合に限られることは、先述のとおりです)。
基本的に、財産分与の対象となるのは、内縁関係が継続していた期間中に、双方が協力して築いた財産です。しかし、法律上の夫婦とは異なり、「内縁関係がいつから始まったのか」を特定することは難しい場合があります。
そのため、財産分与についての話し合いの際に、「何が財産分与の対象となる財産なのか」という点が争いになりやすいといえるでしょう。

なお、内縁関係の場合、財産分与は認められても、互いの相続人になることはできません。
内縁の妻(夫)が遺産を取得するためには、次のような手段が考えられますので、まだお互いが健康なうちに話し合っておくことをおすすめします。

  • 遺言書を作成してもらって遺贈を受ける
  • 生前贈与を受ける
  • 遺族年金を受給する(※重婚的内縁が法的保護の対象になる例外的な場合にかぎり、受給が認められる可能性があります)   など

ただし、法律上の配偶者には「遺留分」といって、最低限度相続できる遺産の割合が法律で定められています。そのため、遺言書で遺贈してもらえば、すべての財産について遺贈が受けられるわけではありません。
また、取得した財産の価額によっては、相続税や贈与税が高額になる可能性がありますのでご注意ください。
特に、内縁の妻には、法定相続人に認められる相続税控除などは受けられませんので、その点についてもご注意ください。

内縁の妻(夫)が遺産を取得する方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

(3)養育費

養育費の場合、父親が認知していれば、子どもを引き取って育てている母親は養育費を請求することができます。
養育費を請求できるかどうかは、認知の有無がポイントであり、重婚的内縁が法的保護の対象となる例外的な場合かどうかは無関係です。

【まとめ】重婚的内縁は、例外的な場合にかぎり法的保護の対象となる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 重婚とは、すでに法律上結婚している人が、さらに別の人とも結婚すること
  • 内縁とは、双方が婚姻の意思を持ちながら婚姻届を出さずに、夫婦の実体を有する共同生活をする関係のこと
  • 重婚的内縁とは、内縁関係にある男女の双方又は一方に法律上の配偶者がいる状態のこと
  • 重婚的内縁は、一般的な内縁関係と異なり、原則として法的に保護されない
  • 重婚的内縁であっても、法律上の夫婦関係が破綻あるいは形骸化している場合には、例外的に法的保護の対象になる可能性がある
法律上の夫婦関係が破綻あるいは形骸化しているかどうかの判断ポイント
  1. 別居している期間
  2. 別居に至った事情
  3. 別居後の夫婦の交流
  4. 夫婦双方が経済的に独立しているか
  5. 重婚的内縁が継続的な関係といえるか
  • 例外的に法的保護の対象となる重婚的内縁であれば、その関係を解消する際に、慰謝料や財産分与など、一般的な内縁解消のときと同様の法的保護が与えられる

法律上の夫婦関係が破綻・形骸化している場合には、重婚的内縁が法的保護の対象になるケースがありますが、その判断には専門的知識が必要となります。
自分たちの場合はどうなのかお悩みの方は、内縁関係を取り扱っている弁護士に相談すると良いでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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