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金銭消費貸借契約とは?契約が必要なシーンや書面の作成方法を解説

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飲食店にて、次のような会話があったとしましょう。
「ごめん、財布をデスクに置いて来ちゃったみたいでさ、ランチ代貸してくれない?」
「わかった。じゃあ1000円貸すね。どーぞ」
「(お金を受け取って)ありがとう」
この2人の間では金銭消費貸借(しょうひたいしゃく)契約が成立しています。
今回のテーマ「金銭消費貸借」について、弁護士が詳しく解説します。

消費貸借契約とは?

民法587条において、消費貸借契約は次のように規定されています。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

引用:民法587条

つまり、消費貸借契約とは、「借主が貸主に対し、種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約束して、金銭その他の代替可能な物を受け取ることで成立する契約」です(民法587条)。

引用:三省堂編修所(編)『デイリー法学用語辞典』三省堂,2020,323p

先ほどの例において借りた1000円はランチ代に消えたので、借主が返すお金はデスクに置き忘れられた財布に入った1000円です。このように消費貸借では、借りたものをそのまま返すのではなく、同等の物を返すのが特徴です。

消費貸借とよく似たものに準消費貸借と呼ばれるものがあります(民法588条)。
売買代金などお金を支払う義務を負う者がそのお金を借りたことにして返済していく契約です。もともと借りていたお金の返済について改めて契約し直すケースもあります。
準消費貸借を締結することによって、契約を一本化するので、バラバラに消滅時効期間が進行するのを防ぎ、消滅時効の管理をしやすくなるメリットがあります。

また、消費貸借とよく似たものに、使用貸借と呼ばれるものがあります。
使用貸借とは、「無償で他人の物を借り、使用収益した後でその物を返還することを約束する契約」です(民法593条)。

引用:三省堂編修所(編)『デイリー法学用語辞典』三省堂,2020,318p

職場などでペンを借りることは、使用貸借に当たるケースが多いでしょう。

金銭消費貸借契約とは金銭の貸し借りに関する契約のこと

消費貸借のうち金銭消費貸借契約とは、お金を対象とした消費貸借契約、つまり金銭の貸し借り(借金)に関する契約のことです。金銭消費貸借契約は、契約書がなくてもお金を受け取れば口約束のみで成立します。もっとも、売買契約のように物の受け渡しがなくても成立するわけではなく、お金が渡されて初めて消費貸借契約が成立します。

金銭消費貸借契約はどのような時に交わすのか?

お金を借りる事情はさまざまですが、代表的な場面をあげてみましょう。

  • 銀行から融資を受ける
  • 消費者金融から借入れをする
  • 奨学金を借りる
  • 住宅ローン、自動車ローンで融資を受ける
  • 家族や親戚、友人・知人からお金を借りる

まとまったお金を借りるとなると、金融機関から借りることが多いのではないでしょうか。
金融機関からお金を借りる際には、通常、金銭消費貸借契約書を作成します。

金銭消費貸借契約書とは

金銭消費貸借契約に際して作成する一般的な書面は、契約書と借用書の2種類です。契約書や借用書に関する法律上の定義はありませんが、商慣習として契約書は借主と貸主が署名捺印した契約書を2通つくり、各当事者が手元で保管するのが一般的であるのに対し、借用書は借主が貸主に宛てて1通作成し、貸主の手元に残します。
どちらも後々争いになったときに証拠として使えますが、同じ内容の書面が両者の手元に残るため、金銭消費貸借契約書を作成することが望ましいといえるでしょう。
借主が自分の手元で契約書を保管することで、貸主が借用書を偽造したために借りたお金よりも多く返さなければならなくなる事態を防ぐことができます。

より安全な方法を選ぶのであれば、公証役場に行き、借用書や契約書を公正証書化しておくのが良いでしょう。公正証書とは、法律に則って契約の条件などを記した公文書です。一定の要件を満たした公正証書があると、裁判手続きを経ずに強制執行されるようになるので、借主からみると公正証書を作成することにはリスクもあります。

金銭消費貸借契約書の作成方法

金銭消費貸借契約書の作成方法や中身について解説します。

(1)金銭消費貸借契約書に記載すること

金銭消費貸借契約書の記載事項について法律上の定めはありませんが、一般的には以下の事項を記載します。

  • 借主の氏名、住所、押印
  • 貸主の氏名、住所、押印
  • 貸借した金額
  • 貸借した日付
  • 契約書を作成した日付
  • 返済方法(一括なのか分割なのか、分割だとすれば月々いくら返済するのか)
  • 返済期日
  • 利息の有無、利率
  • 遅延損害金率
  • 期限の利益の喪失条項
  • 連帯保証人の氏名、住所、押印
  • 合意管轄(争いとなったときにどこの裁判所に訴えを提起するか)

最低限必要なのは、〇を記した4つです。具体的な記載内容は、貸主と借主が相談して決めることになりますし、ここに挙げたもの以外を記載しても構いません。お金を借りるときには借主のほうが立場は弱いので、貸主の意見が通りやすいといえますが、譲れない点は借主としてもきちんと主張するのが良いでしょう。

(2)金銭消費貸借契約書に印紙代を貼る

金銭消費貸借契約書や借用書には貸借する金額に応じて、収入印紙を貼る必要があります。

収入印紙代は、次の表のとおりです。

貸借した金額(記載金額)収入印紙代
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1000円
100万円を超え500万円以下2000円
500万円を超え1000万円以下1万円

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

収入印紙を貼り忘れても、契約が無効になることはありませんが、支払義務のある税金を納めていないとみなされ過怠税(かたいぜい)を支払わなければなりません。過怠税とは、印紙税を納付しなかったことによる罰金のような税金で、印紙税の額とその2倍に相当する金額の合計額を支払います。

(3)金銭消費貸借契約における期限の利益の喪失

お金の貸し借りをしたときには分割払いに応じたとしても、貸主が後々借主の返済能力に疑問を感じて一括で返済を求めたくなることがあるかもしれません。そのような場合に備えて、分割払いとするときには、「期限の利益の喪失条項」を入れておくのが一般的です。
期限の利益とは返済期日まで支払いを待ってもらえる利益のことで、期限の利益の喪失条項とはどのような場合に期限の利益を失うのかを記載した条項です。

契約書に別途定めなくても、期限の利益を失う場合が規定されています(民法137条)。

  • 借主が破産手続開始の決定を受けたとき
  • 借主が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき
    「期日に返済しなければ、この絵画をあげる」など借金の返済ができなかった場合に備えて、別途何らかの担保を差し入れるケースがあります。
    その場合、貸主は「お金を返してもらえなくてもその絵画をもらえるならいいか」と考えます。
    それにもかかわらず借主が不注意によって絵画を壊してしまったら、貸主は借金の当てにしていたものが奪われたことになります。
    この場合、期日まで待たなくても一括で返済を求めることができるのです。
  • 借主が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
    借主が担保を提供する義務を負っているにもかかわらず、まったく担保を提供しない場合や実質的にみて担保にほとんど価値のない場合には、貸主はお金を回収できないと考えるでしょう。そのため、借主が担保を喪失等させたケースと同様に、期限の利益が喪失します。

民法で規定されているのは、上記3つのケースだけです。
しかし実務上、貸主がお金を払ってもらえないのではないかと考えるケースは多くあります。そのため、「期限の利益喪失条項」として広く期限の利益を喪失するケースが定められています。

契約書に、次のような文章がないかを確認してみましょう。
乙(借主)が前項各号(解除事由)のいずれかに該当した場合、乙(借主)は、当然に期限の利益を失い、甲(貸主)に対して本契約に基づいて負担する一切の金銭債務を直ちに弁済するものとする。

そのような文章があれば、そこに書かれていることが期限の利益を喪失するケースです。
では、期限の利益喪失条項として定められていることの多い条項を2つご紹介します。

  • 分割払いの返済に遅滞があった場合
    法律上返済が遅れても直ちに期限の利益を失うとは定められていません。しかし、貸主が最初に慌てるのは「約束どおりに返済されない場合」でしょう。1度遅れた人がその後きちんと返してくれる保証はありません。
    そこで、一般的な契約では「一回でも支払いを怠ったとき」に期限の利益を喪失するとされています。もっとも、何らかの手違いで数日遅れただけであれば一括請求しなくてもいいと考えるケースは多いはずです。事情次第で、そのまま分割払いが完済まで続くこともあります。
  • 財務状況の悪化や虚偽が発覚した場合
    貸主は、お金を貸したときの借主の経済状況を参考に、お金を貸しています。
    そのため、収入が大幅に減ったケースや申告した状況が虚偽であるケースでは、期限の利益を喪失するとされています。

(4)金銭消費貸借契約書の作成が不安な場合は弁護士に依頼する

金融機関からお金を借りる場合には定型の契約書があるので、それを利用するのが一般的です。一方、個人間でお金の貸し借りをする場合には、自分たちで契約書を準備します。
その際、インターネットで「消費貸借 契約書」と検索するといくつもひな形が見つかります。もっとも、利息や条件を付ける場合にはきちんと対応できているのか不安に感じることもあるでしょう。その場合には、弁護士に契約書の作成を依頼することをおすすめします。

【まとめ】金銭消費貸借契約でお困りの方はアディーレ法律事務所へ

金銭消費貸借契約とは、お金の貸し借りに関する契約のことです。個人間でお金を貸し借りする場合でも契約書を作成するのが望ましく、1万円を超える場合には収入印紙を貼らなければなりません。
金融機関からお金を借りて返せなくなったなど借金でお困りの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。