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年金の差押えとは?未納から財産の没収までの流れを解説

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「年金を払わないと、財産を差し押さえられてしまうの?」

国民年金保険料を滞納し続けると、給料の一部や預貯金などの財産を差し押さえられてしまうリスクがあります。

支払が困難な場合には、早めに免除や猶予を利用できないか、分割払にできないか相談することで、差押えを回避できる可能性があります。

また、借金も抱えている人の場合、債務整理によって借金の返済の負担を軽くしたり無くしたりできれば、その分年金の支払が楽になる可能性もあります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 国民年金保険料の納付率
  • 日本の公的年金制度の概要
  • 国民年金保険料を支払わない場合の3つのデメリット
  • 国民年金保険料の滞納から差押えまでの流れ
  • 国民年金保険料の支払が難しい場合の対処法
  • 将来受け取れる年金を差し押さえされるリスク
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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国民年金保険料の納付率は?

2021年6月末時点における国民年金保険料の納付率は、77%でした。納付率は2011年度から上昇傾向にありますが、年金制度の崩壊が心配されていることなどから、若い世代を中心に国民年金保険料を支払っていない人が少なくありません。

ただし、約2割の人全員が滞納者というわけではありません。未納の人の中には免除制度や猶予制度を利用している人も含まれているので、収入があるのに保険料を納めていない人はもっと少ないといえます。

参照:令和3年6月末現在 国民年金保険料の月次納付率|厚生労働省

日本の公的年金制度について

日本における公的年金は、自分で支払った保険料を老後受け取れる仕組みではありません。
保険料を支払う現役世代がその時代の高齢者の生活を支える仕組みです。

2種類の公的年金の概要は、次の表のとおりです。

国民年金日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
厚生年金厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務するすべての人

日本国内に住所を有する国民は、20~60歳まで国民年金保険料を支払わなければなりません(国民年金法7条1項1号、88条)。
それでは、国民年金保険料の納め方について説明します。

(1)国民年金(第1号被保険者)

自営業者や学生、フリーター、農業従事者などは、保険料を自ら納めなければなりません。
国民年金保険料は年度ごとに変わり、2022年度の国民年金保険料は1万6590円です。
保険料の支払が難しい場合は、免除制度や猶予制度を申請することになります。

参考:国民年金保険料|日本年金機構

(2)厚生年金(第2号被保険者)

厚生年金保険の適用を受けている会社等に勤めている場合には、厚生年金に加入することで、自動的に国民年金にも加入します(65歳以上で老齢年金を受ける人を除く)。
厚生年金の保険料のうち、従業員が負担する分は給料から天引きされることになります。会社に半額負担してもらえる分、従業員の負担は軽減されます。

厚生年金の加入期間は就職から退職までで、基本的に65歳から年金を受け取ることができます。

(3)国民年金(第3号被保険者)

厚生年金や共済組合などの第2号被保険者に扶養されている20~60歳の方は、第3号被保険者となります。扶養している家族が保険料を負担するため、第3号被保険者が自ら保険料を納める必要はありません。受給額は国民年金第1号被保険者と同じです。

第2号被保険者の配偶者であっても、年間収入が130万円以上で扶養となれない人は、第1号被保険者または第2号被保険者として、自ら保険料を納付する必要があります。

国民年金保険料を支払わない場合のデメリット3つ

国民年金の保険料を支払わなければ、次のようなデメリットを被る可能性があります。

  • 将来年金を受け取ることができない、あるいは受取金額が少なくなる
  • 病気やケガをした場合に支給される「障害年金」を受け取れない可能性がある
  • 収入があるにもかかわらず滞納が続くと、財産を差し押さえられる

国民年金保険料「滞納~差押え」までの流れ

国民年金保険料を支払わずにいると、やがて財産を差し押さえられてしまいます。

一般的には、差押えまで次のような流れを辿ります。

(1)催告状が届く

まずは、日本年金機構の委託事業者から滞納分の保険料を支払うように電話や個別訪問、郵送の「催告状」で通知されます(納付督励)。

2021年10月時点で、日本年金機構から委託されている業者は次の2つです。

  • アイヴィジット・東洋紙業共同企業体
  • 株式会社バックスグループ

参照:各委託業者の情報|日本年金機構

正当な権限がないにもかかわらず、日本年金機構から委託を受けていると称して詐欺を目論む業者もありますので、注意してください。

(2)特別催告状

催告状が届いても対処せずにいると、特別催告状が届きます。

特別催告状の封筒の色は、信号のように順に「青→黄→赤」と変化します。段々、事態が深刻になっていることを示しており、赤(ピンク)が最も深刻な状態となります。
赤(ピンク)色の封筒には、「財産の差押え準備に入る」旨を記載した書面が入っています。

特別催告状について詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の保険料が払えない!特別催告状を放置したらどうなるの?

(3)最終催告状

赤色の封筒の特別催告状を放置していると、最終催告状(国民年金未納保険料納付勧奨通知書)が届きます。

(4)督促状

さらに最終催告状を無視すると、より強力な「督促状」が届きます。
そして督促状に記載された期限までに納付しないと、当初の納付期限の翌日から納付が遅れた日数分の「延滞金」も上乗せされます。

参考:延滞金について|日本年金機構

(5)差押予告通知

督促状も無視すると「差押予告通知書」が届きます。
差押予告通知書とは、「保険料の支払をこれ以上待ちません。強制的に回収します」という最後通告です。

(6)差押え

差押予告通知が届いても、なお何もしなければ、実際に財産が差し押さえられます。

例えば、次のようなものが差押えの対象になります。

  • 給料のうちの一定額
  • 銀行預金(定額預金を含む)
  • 自宅などの不動産
  • 自動車
  • 生活必需品以外の動産
  • 有価証券などの債権

一方、年金や生活保護費、家電や家具など生活必需品は基本的に差し押さえられません。

国民年金保険料の連帯納付義務者(世帯主や配偶者)の財産も差押えの対象となる可能性があります(国民年金法88条2項、3項) 。

2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

引用:国民年金法88条2項、3項

つまり、家族で責任をもって国民年金保険料を納める必要があるのです。

経済的に国民年金保険料の支払が難しい場合の対処法

このように国民年金保険料を滞納すると、財産の差押えを受けるおそれがありますが、収入が少なかったり失業していたりして、国民年金保険料を払いたくとも払えないという方もいます。

そこで、経済的に国民年金保険料を支払うことができない方向けに、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度が用意されています。過去2年まで遡って免除の申請をすることが可能です。

例えば次のいずれかに当たる場合には、国民年金保険料の支払を免除される可能性があります(2022年3月時点)。

  • 失業等により納付が困難な場合
  • 新型コロナウィルス感染症の影響により納付が困難な場合

免除には次の4種類があります。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
参照:新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について|日本年金機構

ただし、免除を受けたままにしておくと、将来受け取ることのできる年金の額が下がるので、注意が必要です。働き始めるなどして経済的に余裕が出てきたら、支払っていない分の保険料を追納することもできる場合もあります(ただし、10年以内に免除されたものしか追納できない等、一定の条件を満たないと追納できませんので、注意しましょう)。

参照:国民年金保険料の追納制度|日本年金機構

そのほか産前産後期間の免除制度、学生のための納付特例制度などがあります。
このような制度の申請をしていなければ、病気やけがで障害が残ったときに障害基礎年金を受け取れなくなる可能性があるので、きちんと手続を済ませておきましょう。

主な猶予、免除の制度を表にまとめましたので、利用できそうなものがないかご確認ください。

制度概要
学生納付特例制度20歳以上でも、収入が一定以下の学生であれば在学中の納付について猶予を受けられる
納付猶予制度20~50歳までで、本人と配偶者の所得が一定以下のとき、納付の猶予を受けられる
退職(失業)による特例免除制度退職や失業によって納付が困難になった場合、免除を受けられる
家庭内暴力による特例免除制度配偶者からDV被害を受け、加害者と住居が異なる場合、本人の前年所得が一定以下であれば全額または一部の免除を受けられる
産前産後期間の免除制度出産予定日(出産日)の属する月の前月から4ヶ月間、免除を受けられる(※国民年金第1号被保険者のみ)

参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
参照:配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について|日本年金機構
参照:国民年金保険料の産前産後期間の免除制度|日本年金機構

申請用紙は公式ホームページからダウンロードすることも可能です。
住所登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口か年金事務所で相談・申込みが可能です(郵送対応も可能 ※手続きによって相談・申し込み先が異なりますので、詳しくは各公式ホームページをご覧ください)。
申請が認められなくても特段デメリットはありませんので、国民年金保険料の支払が厳しいのであれば申請を検討しましょう。

また、免除や猶予の制度を利用できない場合でも、滞納している年金については分割払いにできる可能性があります。
年金を支払えるか不安な場合には、差押えを受けるよりも前に、早めに年金事務所などの窓口に相談しましょう。

参考:電話での年金相談窓口|日本年金機構

借金を滞納すると年金をもらう権利は差押えされるのか?

借金を滞納してしまった……。このままだと、年金をもらう権利が差押えされる?

「年金をもらう権利」自体は、基本的に差押えの対象となりません。年金をもらう権利など、生活のために必要不可欠なものへの差押えは法律上禁止されているからです。

ただし、「年金が口座に振り込まれてから」は、要注意です。

どういうことですか?

口座に振り込まれた年金は、「預金」という扱いになります。

「預金」は基本的に差押えが可能ですので、もらった年金について差押えをされるおそれがあるのです。

それでは、借金を滞納した場合年金をもらう権利がどうなるのか、詳しくご説明します。

(1)年金は基本的に差押えされない

年金は65歳以降の自分の生活を支える経済的基盤となります。
退職後、借金を抱えると、場合によっては債権者から財産を差し押さえられるかもしれません。
そのような場合でも、定期的に受け取る年金については差押えが禁止されています。年金を差し押さえられてしまうと最低限の生活費が不足するためです。

国民年金法24条では、受給権の保護に関して次のように定められています。

給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押える場合は、この限りでない。

引用:国民年金法24条

同様の規定は、厚生年金保険法41条1項、国家公務員共済組合法48条、地方公務員等共済組合法51条などにもあります。

公的年金以外でも、例えば次のものは基本的に差し押さえられません(税金を滞納した場合を除く)。

  • 確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条)
  • 企業型確定拠出年金(確定拠出年金法32条)

なお、これら以外の自分が保険会社で積み立てた私的な年金は差し押さえられてしまう危険性があるので、注意しましょう。差し押さえられるかどうかは、法律に記載されています。心配な方は、地域により市区町村役場などで弁護士による無料相談が行われていますので、その機会を利用するなどして弁護士に相談しましょう。

(2)年金が口座に振り込まれてからは、要注意!

ただし、公的年金が差し押さえられないとはいっても、これらの年金が預金口座に入金された時点で預金扱いとなり、原則として差押え対象になります。しかし、年金が手に入らないとなると、債務者が最低限の生活を維持できなくなるおそれがあります。

年金が債権者に取り立てられる(払われる)ことを防ぐため、裁判所に「差押禁止範囲変更」の申立てをするという方法があります。

次の3つの条件を満たしていると差押禁止範囲変更の申立てが認容されやすくなります。

  1. 口座を年金受給のみに使用している
  2. 年金が入金された口座を差し押さえられると、生活を維持することができない
  3. 裁判所が、差押禁止範囲の申立てを認容する、との決定を出す前に、差し押さえられた預金が債権者に取り立てられていないこと(※3の条件を満たしていないと、申立ては却下されてしまいます)

でも、差押禁止範囲変更の申立てについて審理されている間に、預金を取り立てられてしまったら水の泡ですよね?

差押禁止範囲変更の申立てだけでは、審理中に預金を取り立てられてしまうおそれがあります。

そこで、差押禁止範囲変更の申立てと同時に、「支払の一時禁止の申立て」も行う必要があります。

銀行に差押命令が届いてから1週間で債権者は取立てが可能となります。差押禁止範囲変更の申立てを認容するとの決定がでる前に取立てが終われば、申立ての意味がなくなってしまいます。

こうした事態を防ぐために、差押禁止範囲変更の申立てと合わせて

支払の一時禁止の申立て

も行う必要があります。

支払の一時禁止の申立てが認容されれば、預金差押えによる取立てを一時的にストップしておくことができます。

参考:差押禁止債権の範囲変更申立てQ&A|裁判所 – Courts in Japan

支払督促や差押予告通知が届いた段階で、直ちにその後の対応を弁護士に相談することをおすすめします。

また、借金を抱えている場合には、根本的解決のために債務整理をすることも別途検討しましょう。債務整理をすれば、借金の返済の負担が軽くなったり無くなったりする可能性があるうえ、差押えのリスクを下げられる可能性もあるためです。

【まとめ】国民年金保険料の滞納で財産が差し押さえられる前に生活の基盤を整えよう!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 国民年金保険料を納めないと、次の3つのデメリットを被る可能性がある。
    • 将来年金を受け取れなくなったり、受け取れる額が減ってしまう
    • 病気やケガの際に、障害年金を受け取れなくなってしまう
    • 滞納し続けていると、財産を差し押さえられてしまう

  • 滞納から差押えまでは次のような流れをたどる。
    催告状→特別催告状→最終催告状→督促状→差押予告通知→差押え

  • 国民年金保険料の納付が困難な場合には、免除や猶予の制度を利用できないか確認する。

  • 借金を滞納したとしても、国民年金をもらう権利は基本的には差押えの対象とはならない。もっとも、国民年金が、口座に入金された後は、ただの預貯金として差押えを受けるリスクがある。

国民年金の保険料を支払えない理由が、借金の返済に追われていることあるなら、債務整理を検討することをおすすめします。

債務整理をしても、滞納してしまった国民年金の保険料など公租公課の支払義務は、免除されません。しかし、消費者金融等からの借金に関する負担は債務整理で軽減される可能性があります。借金が軽減されれば、その分年金の支払が楽になる可能性があるのです。

アディーレ法律事務所では、債務整理を取り扱っており、債務整理についての相談は何度でも無料です。アディーレ法律事務所では、ご依頼いただいた所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。

また、債務整理手続きをするなかで、完済した業者への過払い金が発生していれば、過払い金の返還請求ができる可能性があります。
完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2022年3月時点)

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