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離婚調停で取り決めた養育費が払われない!強制執行で回収する方法を解説

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yamazaki_sakura

「離婚調停で養育費について取り決めしたにもかかわらず、離婚後に養育費が支払われない!」

養育費について強制執行したい場合、強制執行のためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

強制執行は、未払いの相手に対し、預貯金や給料を強制的に差し押さえることができるという強い効果をもつ手続きです。

もっとも、強制執行にはデメリットもありますので、デメリットを踏まえた上で行うのか判断する必要があるでしょう。

この記事を読んでわかること
  • 養育費未払いの場合の対処法
  • 強制執行を行う方法
  • 強制執行による回収のポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

養育費とは?

ここで、まず、簡単に養育費について説明します。

離婚調停で決まった養育費の回収手段とは?

養育費が支払われない時、相手に対してとれる対処法について説明します。
養育費不払いの相手に対して、次のような対処法をとることができます。

  1. 履行勧告・履行命令を行う
  2. 強制執行手続を行う

(1)履行勧告・履行命令をする

離婚調停で養育費について取り決めたにもかかわらず、養育費が支払われない場合には、強制執行のほかに、「履行勧告」や「履行命令」といった手段をとることができます。

履行勧告は、家庭裁判所により、履行状況(養育費の未払いがあるかどうか)を調査し、取り決め通りに支払うよう履行を勧告してもらう制度です(家事事件手続法289条)。

履行勧告に強制力はありませんが、裁判所から直接督促を受けることになるので、一定の効果が期待できるというメリットがあります。

一方、履行勧告によっても養育費が支払われない場合、家庭裁判所が相当と認めると、一定の時期までに支払うよう命令を発してもらうこともできます。これを履行命令といいます(家事事件手続法290条)。

この命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられるという制裁があるので、一定の強制力を有します。

家庭裁判所の履行勧告・履行命令の制度は、家庭裁判所の調停、審判、判決などで養育費の取り決めがなされた場合のみ利用できます。養育費に関する公正証書を作成しただけの場合には利用できませんので注意しましょう。

(2)強制執行をする

離婚調停の際に養育費について取り決めたにもかかわらず、養育費が支払われない場合には、強制執行をすることができます。

養育費が未払いになっている場合において、強制執行とは、相手の給料や預貯金を差し押さえて、そこから未払い分のお金を受け取ることができる手続きのことをいうのが一般的です。

養育費について強制執行力のある書面(債務名義)がある場合には、地方裁判所に対して強制執行の申立てをすることで、(相手に財産があれば)相手の財産から強制的に支払いを確保することができます。

債務名義としては、次のようなものがあります。

  • 確定判決
  • 和解調書
  • 調停調書
  • 審判調書
  • 公正証書(執行認諾文言有)など

調停離婚で離婚した際に養育費について調停調書が作成されていれば、その調停調書を債務名義として強制執行を申し立てることが可能です。

参考:調停・審判などで決まった養育費の支払を受けられない方のために|裁判所- Courts in Japan

なお、強制執行には「間接強制」という方法もあります。
間接強制とは、裁判所が、債務を履行しない相手に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告(決定)することで心理的圧迫を加え、自発的な支払を促す方法のことです。
金銭の支払を目的とする債権については、間接強制の手続をとることはできないのが原則ですが、養育費の支払いを求める権利など、扶養に関する権利については、間接強制の方法による強制執行をすることもできます(※相手に支払能力がない場合には、命令が出されないこともあります。)。

強制執行のデメリットとは?

強制執行手続は強力な手続きであると同時に、デメリットもあります。
例えば、次のようなデメリットがあることが考えられます。

  • 預貯金の差押えをした場合、差押えをした時点で口座に預金がない場合には空振りにおわってしまう可能性がある。
  • 給料の差押えをした場合、相手が差押えを嫌がって仕事を辞めてしまうと、差押える対象の給与自体がなくなってしまう可能性がある。

強制執行を行うには、次に説明するように手続も簡単ではなく、また手数料も必要となりますが、このように強制執行自体が空振り終わってしまう場合もあるのです(※また、強制執行を申し立てる際は対象となる財産を特定する必要がありますので、相手がどんな財産を持っているのか全く分からないという場合には、申立て自体をすることができません。)。

空振りになってしまう場合もあるということを念頭に置いて、強制執行を行うかどうかを考えるべきでしょう。

調停調書を債務名義として、養育費について強制執行手続を行うためには

養育費について、調停調書を債務名義として強制執行を行うには、養育費を支払うべき人の住所を管轄する地方裁判所に申立てることになります。

強制執行は、次の必要書類を地方裁判所に提出することで申立てることができます。

【必要書類一覧】

必要書類 備考
1 申立書 ・申立書の書式や作成方法については申立先である地方裁判所にお問い合わせください。
2 養育費について定めた調停調書の正本 ・紛失した場合であっても、書類の作成者である家庭裁判所に再交付を求めることができます。
3 送達証明書 ・調停調書が養育費を支払う側の元夫(妻)に送付されたことを証明する書類です。調停調書を作成した家庭裁判所に申請して受け取ることできます。
4 申立手数料(収入印紙) ・通常は、4000円の収入印紙を申立書に貼ることが必要となります。 収入印紙は郵便局で購入することができます。
5 郵便切手 ・通常は、未使用の郵便切手(3000円程度)の提出が必要になります。いくらの郵便切手が何枚必要になるか指定されていることがありますので、申立先である地方裁判所にお問い合わせください。
6 第三債務者(法人)の資格証明書(登記事項証明書または代表者事項証明書) ・会社からもらう給料や預貯金を差押える場合、会社や金融機関の商業登記事項証明書または代表者事項証明書の提出が必要になります。これらの証明書は法務局で取得することができます。(取得には手数料が必要)
7 住所・氏名に変更がある場合の必要書類 ・調停調書に記載されている当事者の住所や氏名に変更がある場合には、変更があったことがわかるように住民票や戸籍謄本もしくは戸籍の附票が必要となる場合があります。

参考:養育費に関する手続|裁判所- Courts in Japan

強制執行手続を行う場合のポイント

養育費が未払いの場合に、養育費を回収するためのポイントは次のとおりです。

  1. 滞納があればすぐに対処する
  2. 相手の住所や連絡先を把握しておく
  3. 相手の財産状況(預金口座、勤務先)を把握しておく

(1)滞納があればすぐに対処する

滞納があれば放っておかずに、すぐに対処するようにしましょう。相手に「支払わなくてもよいかもしれない」と思わせてしまう可能性があります。
さらに、長く放っておくことで、請求ができなくなってしまう場合もあるのです。

(2)相手の住所や連絡先を把握しておく

強制執行は相手の現在の住所地を管轄する地方裁判所に申立てる必要があります。そのため、強制執行の手続きを行うには、相手の住所や連絡先を把握しておく必要があるのです(申立書には、相手の現住所を記載する必要があります)。

(3)相手の財産状況(預金口座、勤務先)を把握しておく

強制執行を申し立てる際は、まず、対象となる相手の財産を特定する必要があります。
例えば、預金口座であれば、基本的には銀行名と支店名まで必要になります。また、給与の差押えをするためには勤務先を把握しておく必要があります。

もっとも、以前は、強制執行するためには、未払いで苦しむ側が相手の財産を調べて特定する必要があり、特定できない場合には強制執行することができないという事態が生じていました。

しかし、2020年4月1日に施行された民事執行法改正により、調査によっても相手の財産を特定できない場合には、一定の要件を満たせば、裁判所の「第三者からの情報取得手続」という制度を利用することで、相手の勤務先や、銀行口座について把握することができるようになりました。

具体的には、養育費等の未払いの場合で、勤務先が不明なときは、裁判所は、市区町村、日本年金機構や国家公務員共済組合などの厚生年金保険の実施機関に問い合わせて、相手の勤務先の情報を取得できる可能性があります。

この改正民事執行法により、法制度上、以前より養育費の回収がしやすくなりましたので、養育費受給世帯の増加につながることが期待されています。

参考:第三者からの情報取得手続を利用する方へ|東京地方裁判所

【まとめ】離婚調停で決めた養育費が支払われない場合、強制執行を申し立てることができる!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 親が離婚した場合、子どもを直接育てる親(監護親)は、子どもと離れて暮らす親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができ、その費用のことを「養育費」という
  • 調停で決めた養育費が支払われない時、相手に対してとれる対処法
    • 強制執行を行う
    • 履行勧告・履行命令を行う
  • 強制執行を行う場合のポイント
    • 滞納があればすぐに対処する
    • 相手の住所や連絡先を把握しておく
    • 相手の財産状況(預金口座、仕事先)を把握しておく

離婚調停で取り決めたにもかかわらず、養育費の支払いを滞納されてお困りの方は、養育費を含む家事事件を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年2月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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