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祖父母に面会交流は認められる?面会交流の決め方を弁護士が解説

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リーガライフラボ

親が離婚したとしても、祖父母と孫の関係は途切れることはありません。
祖父母が孫に会いたいという気持ちや、親が祖父母にも会わせてあげたいと思うのは当然のことといえます。

しかし、2021年3月、祖父母から面会交流の審判の申立てはできないとの最高裁決定があり、祖父母が孫と面会交流をするのは難しいのが実情です。

ただ、祖父母と孫の面会交流が一切できないというわけではありません。

祖父母と孫の面会交流が認められるためには3つのポイントを押さえておくことが重要です。このポイントを押さえておくことで孫の面会交流を実現できるかもしれません。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 一般的な面会交流の内容や決め方
  • 2021年3月の最高裁判決の概要
  • 祖父母の面会交流が認められるため3つのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

面会交流とは

「面会交流」とは、子どもが離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的、継続的に、会って話したり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。

面会交流というと離婚した後に行われるものという考え方が一般的ですが、離婚まで至らない別居の場合でも、面会交流が行われることもあります。

面会交流の決め方(親と子の場合)とは

祖父母との面会交流を説明する前に、まずは、一般的な親と子の面会交流の決め方について知っておく必要があります。

親との子の面会交流は、まずは夫婦での話し合いで決めるのが原則です。
夫婦の話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所での調停や審判を申立てることで決める流れが一般的です。

【一般的な面会交流の決め方(親との子の場合)】

夫婦間の話し合い

家庭裁判所での調停

家庭裁判所での審判

それぞれ説明します。

(1)夫婦間の話し合い

まずは、夫婦間での話し合いになります。
面会交流の話し合いでは、次のことを決めることになります。

  • 面会交流の場所
  • 子供の受け渡し場所
  • 面会の頻度や時間
  • 面会交流の方法

(2)家庭裁判所での調停

面会交流について夫婦間で話がまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申立てることができます。

家庭裁判所との聞くと、「裁判」のイメージがありますが、「調停」はあくまでも話し合いの手続きになります。

調停をすると、裁判官・調停委員が話し合いの間に入って、夫婦で話合いを行います。夫婦が納得しなければ、調停は不成立ということになります。

参考:面会交流調停|裁判所 – Courts in Japan

(3)家庭裁判所での審判

調停でも話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で審判を行うことになります。

審判では、裁判官が一切の事情を考慮して、面会交流の可否や面会交流の方法について判断することになります。

親子間での面会交流について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

祖父母にも面会交流は認められる?

法律上、面会交流とは離れて暮らす親子が定期的に交流することをいいます。

そのため、法律上では、祖父母には面会交流は認められていると考えるのは難しいのが実情です。実際、2021年3月には祖父母による面会交流の審判の申立ては認められないとの判断が最高裁によってなされました。

最高裁決定令和3年3月29日

ここで、2021年3月の最高裁決定の概要と決定の内容について説明します。

【事案の概要(最判決定令和3年3月29日)】

  1. 平成24年11月、B男とC女が結婚し、平成28年8月、子Aが生まれました。

  2. B男、C女、子Aは、C女の両親である(子Aから見て祖父母)DとEと同居していましたが、平成29年1月頃、B男は家を出て別居するようになりました。

  3. 平成29年3月以降、B男とC女は、1週間または2週間ごとに交互に子Aを養育し、C女の両親である祖父母DとEも子Aの養育に協力していました。

  4. 平成30年6月、C女が死亡し、それ以後、B男が子Aを養育するようになりました。

  5. 子Aの祖父母DとEは、子Aの父であるB男を相手方として、家庭裁判所に対し、祖父母DとEと子Aとの面会交流について定める審判を申立てました。

祖父母DとEが申立てた審判に対する最高裁の決定は、審判の申立てを認めないというものでした。これには、民法766条の内容が関係しています。

祖父母DとEの申立てに対し、最高裁は次のような判断を下しました。

民法第766条1項前段は、父母が協議上の離婚をするときは、父又は母と子との面会交流その他の子の監護について必要な事項は、父母が協議をして定めるものとしている。そして、これを受けて同条2項が「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める、」と規定していることからすれば、同条2項は、同条1項の協議の主体である父母の申立てにより、家庭裁判所が子の監護に関する事項を定めることを予定しているものと解される。

他方、民法その他の法令において、事実上子を監護してきた第三者が、家庭裁判所に上記事項を定めるよう申立てすることができる旨を定めた規定はなく、上記申立てについて、監護の事実をもって上記第三者(「祖父母」のことを指す。執筆者加筆)を父母と同視することもできない。

…以上によれば、民法766条の適用又は類推適用により、上記第三者が上記の申立てをすることができると解することはできず、他にそのように解すべき法令上の根拠も存しない。

したがって、父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として上記第三者と子との面会交流について定める審判を申立てることはできないと解するのが相当である。

引用:最判令和3年3月29日決定|裁判所 – Courts in Japan

つまり、最高裁が下したこの決定は、法律上、民法766条で

  1. 面会交流の話し合いの主体は父母であると定められていること
  2. 家庭裁判所に面会交流の調停や審判の申立てをすることができるのは父母だけであると定められていること

からすれば、法律を無視して、祖父母が面会交流の審判の申立てを許すことはできないと判断したのです。

今回の最高裁の判断によって、現行法による限り(法律が変わらない限り)、祖父母には家庭裁判所に対し、面会交流の審判を申立てることはできないということになりました。

孫に会えないわけではない!会うためにはどうすればいい?

もっとも、祖父母の面会交流が絶対に許されないというわけではありません。

父母が家庭裁判所に対し面会交流調停の申立てを行い、その調停での話し合いの中で、祖父母の面会交流について話し合うことができます。

ただ、これまで説明したとおり、調停はあくまでも話し合いの手続きです。そのため、面会交流を行うには、子を養育している親の同意が必要になります。

ここでは、親から面会交流の同意をもらうためのポイントについて説明します。

親に面会交流の同意をもらうための3つのポイント

祖父母の面会交流について親から同意をもらうためには、親が抱く懸念を払しょくすることが重要です。

そこで、祖父母の面会交流について、親から同意を得るために次の3つのポイントを意識するとよいでしょう。

  1. 親と子(孫)の生活にできる限り配慮する
  2. 高額なプレゼントやお小遣いは渡さないようにする
  3. 親が祖父母との面会をしてもいいと思えるような環境をつくる

それぞれ説明します。

(1-1)親と子(孫)の生活にできるかぎり配慮する

親は祖父母と子(孫)と会わせている間に、祖父母から親の悪口を言われるのではないか、親との生活に口を出してくるのではないかということを懸念している可能性があります。

子(孫)にはすでに親との生活がありますので、子(孫)の生活を心配する気持ちはわかりますが、親の悪口を子(孫)の前で言うことは控えて、さらに、生活に口を出すようなことも控えるようにしましょう。

また、子(孫)にとっては親である以上、子(孫)の生活を心配する気持ちであっても、親の悪口や親との生活に口を出されるといい気分はしません。子(孫)から祖父母との面会交流を拒まれしまう可能性もあります。

なお、面会交流の日時や頻度についても、親と子(孫)の生活に配慮して決めるとよいでしょう。

(1-2)高額なプレゼントやお小遣いを渡さないようにする

親は祖父母と子(孫)と会わせている間に、高額なプレゼントやお小遣いを渡すのではと懸念している可能性があります。

祖父母から子(孫)に対して理由もなく、あまりにも高額なプレゼントやお小遣いを渡すことは、親の教育方針と矛盾してしまい、子どもが混乱する可能性もありますので、控えましょう。

高額なプレゼントやお小遣いを渡す場合には、事前に親に相談をしてから渡すようにしましょう。

(1-3)親が祖父母との面会に同意してもいいと思える環境をつくる

親が祖父母との面会に同意してもよいと思える環境や関係作りも重要です。

定期的に親と祖父母で連絡を取るなど、親と祖父母との関係が良好な場合には、親も祖父母との面会に同意してくれる可能性があります。

親が祖父母との面会交流に消極的な場合には、監護親が何を懸念しているのかについて、監護親から聞いたりして、監護親の懸念事項を払拭してあげることが重要です。

一方、監護親が祖父母との面会交流に同意している場合には、監護親との間で祖父母と子の面会交流の頻度や方法についてもきちんと決めて、書面に残しておくとよいでしょう。

【まとめ】祖父母の面会交流も親の同意があれば可能!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 一般的に、面会交流は夫婦間の話し合いか家庭裁判所の調停や審判で決める。

  • 祖父母には法律上面会交流が認められていないため、家庭裁判所に面会交流の審判を申立てることはできない。

  • 祖父母の面会交流については子どもを育てる親との話し合いの上、親の同意をあれば可能。

  • 親の同意を得るための3つのポイント
    1. 親と子(孫)の生活にできる限り配慮する
    2. 高額なプレゼントやお小遣いは渡さないようにする
    3. 親が祖父母との面会をしてもいいと思えるような環境をつくる
  • 祖父母の面会交流について親の同意を得ることができれば、面会交流の頻度や方法についてきちんと書面に残しておくのがおすすめ!

親同士が離婚したとしても、祖父母と孫の関係が変わるわけではありません。
しかし、実際は、祖父母の面会は親が認める限りしかできません。

もっとも、祖父母と親の交渉が難しいケースも多いです。

弁護士が親との交渉の間に入ることで、親も冷静になり、交渉がスムーズに進むこともあります。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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