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養育費保証サービスとは?利用するための条件と問題点についても解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「養育費の支払いが滞ったときのための『養育費保証サービス』って、一体どんなもの?」
小さな子どもを連れて離婚する際、まっさきに気になるのが養育費の問題でしょう。

特に、近年は養育費の支払いが途中から滞ってしまうというケースをよく耳にすることから、なんとしても養育費の支払いだけは確保したいと考えるのが親心です。

そのような思いにこたえるものとして、養育費保証サービスがあります。しかし、養育費保証サービスには、利用するための条件や問題点もありますので、自分にとって利用価値があるかどうかを事前に吟味して慎重に判断することをおすすめします。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 養育費保証サービスのメリット・デメリット
  • 養育費保証サービスを利用するための条件
  • 養育費保証サービスの抱える問題点
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

養育費保証サービスとは?

養育費保証サービスとは、離婚した元配偶者が、取り決めた養育費を支払わず、養育費を滞納した場合に、民間の保証会社がその養育費を立て替えてくれるサービスのことを指すのが一般的です。
近年、養育費の未払いが社会問題として話題にのぼるようになったことで、養育費保証サービスも注目されるようになりました。
後でご説明するように、養育費保証サービスの利用には、基本的に保証料がかかってしまいますが、その保証料の一部を補助してくれる自治体も数多く存在します。

参考:養育費の受け取り支援 豊島区養育費保証契約促進補助金事業|豊島区

保証料が余分にかかってしまうのに、このようなサービスが登場するほど、養育費の不払いが多いのですか?

多いと考えられます。厚生労働省の実施した調査によると、下のグラフのとおり、母子世帯のうち一度も養育費を受け取ったことがない世帯は半数以上であり、過去に養育費を受け取っていた(現在は受け取っていない)世帯も、約15%に及んでいます。
(※調査対象には、そもそも養育費の取り決めをしていない場合を含んでいます)

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査|厚生労働省

養育費の不払いについてはこちらの記事もご覧ください。

養育費保証サービスのメリット・デメリット

養育費保証サービスには、メリットとデメリットの両面がありますので、それぞれご紹介します。

(1)養育費保証サービスのメリット

メリットとしては、主に次の2つが考えられます。

(1-1)滞納が生じても立て替えてもらえる

何といっても、養育費保証サービスを利用する主な目的はこれでしょう。
元配偶者と養育費の支払いについて取り決めていたとしても、元配偶者が失業するなどして、途中から支払いが滞ってしまうリスクがあります。

その際、保証会社が代わりに養育費を支払ってくれるため、子どもにかかるお金が支払えず、すぐに困窮状態に陥る心配をせずに済むでしょう。
ただし、多くの場合、保証金額には上限が設定されているため、養育費滞納の心配が完全になくなるわけではない点にご注意ください。

(1-2)元配偶者と関係を断つことができる

養育費を受け取ることで、間接的であっても離婚した元配偶者とかかわりを持ち続けることに抵抗を感じる方もいます。
養育費保証サービスを利用していれば、滞納が生じた場合に元配偶者に督促などをする必要がないのはもちろん、最初の養育費支払いから、保証会社が元配偶者から養育費を受領し、その養育費を送金してくれる、といった形式のサービスもあるようです。

(2)養育費保証サービスのデメリット

デメリットとしては、主に次の4つが考えられます。

(2-1)保証料がかかる

養育費保証サービスを利用するためには、保証会社に保証料を支払わなければならず、保証料は会社によって異なり、高額なところもありますので、事前に保証料を確認しましょう。
もっとも、保証料は、養育費を支払う側の負担とすることが多いようです。
ただし、「保証料は元夫が払うから関係ない」とは言えません。保証料が高ければ保証サービスの利用を合意できないかもしれませんし、「保証料を自分が払うなら、保証料分養育費を減額してほしい」と交渉されることもあるためです。保証料の金額など、条件をよく吟味してから契約するようにしましょう。

(2-2)支払う人の収入等によっては審査に通らない

養育費保証サービスを利用する際には、保証会社による審査が行われることが一般的です。
養育費を支払う人の収入や家計状況のほか、勤務先の業績などの状況によっては、審査に通らない可能性があります。

(2-3)契約前の滞納分は立て替えてもらえない

養育費の滞納が発生してから養育費保証サービスを契約することができたとしても、養育費保証サービスを契約する前に生じた養育費の滞納分について立て替えてもらえることは通常ありません。
保証会社が、立て替えや、代理受領と送金をしてくれるのは、契約後に支払われるべき養育費であると考えておきましょう。

(2-4)倒産や解約のリスクがある

保証会社も民間の会社である以上、契約期間中であっても倒産するリスクがあります。
一概には言えませんが、自治体と連携している保証会社や、経営基盤がしっかりしている保証会社が比較的安全であると考えられるため、養育費保証サービスを選ぶ際には、契約条件のほか、そのあたりも考慮すると良いでしょう。
また、契約内容にもよりますが、契約が途中で解約されるリスクもありますので、契約時には契約書等の書類をよく読み、どのような場合には解約されるリスクがあるのかを把握しておくことをおすすめします。

養育費保証サービスを利用する前提条件

そもそも、養育費保証サービスは、どのような場合にも利用できるサービスではありません。
養育費保証サービスを利用するための前提となっている条件についてご説明します。

(1)養育費の内容を取り決めておくこと

第一に、養育費の支払いについての取り決めがあることが大前提です。
そもそも取り決めがなければ、どのような内容の保証をするのか、契約内容を決定することができないからです。

養育費の取り決め方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

養育費の取り決め方法は?不払い時や増額したいときの手続きも解説

養育費は、いくらくらい請求できるものなのですか?

養育費の金額は、親の収入や子どもの人数などによって異なります。
基本的には、裁判所で用いられている「養育費算定表」を参考にされると良いでしょう。
次のサイトで、養育費の目安を簡単に確認できますのでぜひお試しください。

そして、養育費についての取り決め内容は、書面にしておいてください。

養育費保証サービスを利用するには、養育費の支払いについての書面(合意書や離婚協議書など)が必要なことが多いためです。
また、養育費保証サービスを利用しない場合であっても、養育費の支払いについて取り決めた場合には、その内容を書面にしておくことをおすすめします。
離婚時の書面作成について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚協議書を作る時に知っておきたいポイントと公正証書にすべき理由を解説

(2)配偶者(養育費を支払う人)の同意を得ておくこと

養育費保証サービスの利用には、養育費を支払う人の同意が必要である保証会社がほとんどです。
先ほど述べたとおり、保証料は養育費を支払う側の負担とすることが多いようですが、保証料を誰が支払うのかについても、きちんと話し合っておくべきでしょう。
また、養育費を受け取る人が支払う人に対して、養育費保証サービスの契約を強制することはできませんので、ご注意ください。

養育費保証サービスは弁護士法違反?

養育費保証サービスは、弁護士法72条、73条に違反する可能性が指摘されています。
養育費の取り決めの際の交渉や、離婚協議書等の文書作成は、「法律事務」に該当するため、原則として弁護士以外の者が他人のために仕事として行うことはできません(弁護士法72条)。
そのため、養育費保証サービスの一環として、保証会社がこのようなサービスを行っていれば、同条に違反する可能性があります。

弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用:弁護士法第72条

さらに、他人から債権を譲り受け、それを回収することは、同法第73条で禁止されているため、契約の内容によっては、同条に違反する可能性があります。
(例えば、養育費が滞納した後に、保証契約を締結して保証会社が養育費債権を譲り受けた場合)

弁護士法第73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

引用:弁護士法第73条

養育費保証サービスには弁護士法違反の問題が生じるリスクがあるため、養育費の滞納が心配な場合には、弁護士に相談した方が近道かもしれません。

【まとめ】養育費保証サービスとは、養育費を立て替えてくれるサービスのこと|利用するなら契約内容をよく確認しましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 養育費保証サービスとは、基本的に養育費の滞納が生じた場合に、保証会社がその養育費を立て替えてくれるサービスのこと

  • 養育費を受け取っていない母子世帯は多く、養育費の滞納は社会問題にもなっている

  • 養育費保証サービスには、滞納が生じても立て替えてもらえるため、1.金銭的な心配を軽減できることや、2.元配偶者と関係を断つことができるといったメリットがある
養育費保証サービスのデメリット
  • 保証料がかかる
  • 支払う人の収入等によっては審査に通らない
  • 契約前の滞納分は立て替えてもらえない
  • 倒産や解約のリスクがある
  • 養育費保証サービスの利用には、1.あらかじめ養育費の取り決めをしておくことと、2.養育費を支払う人の同意を得ておくことが必要である

  • 養育費保証サービスは、契約内容によっては弁護士法違反のリスクが指摘されているため、注意が必要

養育費保証サービスは近年始まったばかりのサービスですので、現時点では予測できないトラブルが生じる可能性も否定できません。
養育費が滞納してお困りの方はもちろん、これから養育費について取り決める方も、一度養育費について取り扱っている弁護士に相談しておくことをおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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