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托卵とは?親子関係はどうなるの?離婚・慰謝料・養育費を徹底解説

弁護士 林 頼信

監修弁護士:林 頼信

(アディーレ法律事務所)

特に力を入れている分野:現在は離婚事件をメインに扱っているほか、不貞慰謝料事件もこれまでに多数の解決実績あり。

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「長年、ご自身のお子さんとして愛情を注いできたお子さんとの間に、血縁がないかもしれない…」

誰にも言えず、お一人でその事実を抱え込み、「これからどうすれば良いのだろう」と深く悩んでいらっしゃるかもしれません。

このコラムでは、「托卵」がどのような状況を指すのか、また、それが判明するきっかけにはどのようなものがあるのかを解説します。

そして、万が一、血縁関係がないという事実が判明した場合に、ご主人が取るべき行動や法律上の親子関係を解消するための手続、さらに、離婚や慰謝料請求が可能かどうかについて、弁護士が分かりやすくご説明します。

この記事を読むことで、不安な状況のなかであなたがどのような行動をとるべきか適切な対処法を見つけるきっかけとなれば幸いです。

ここを押さえればOK!

「托卵(たくらん)」とは、妻が夫以外の男性の子どもを夫の子として育てさせることをいいます。

もし血縁関係がないことが判明したとしても、法律上の親子関係がなくなるわけではありません。法律上の親子関係を解消するには裁判所の手続きが必要になります。特に「嫡出否認」の手続きには時間制限があるため、不安を抱えている方は早めの行動をおすすめします。

托卵されていた場合には、離婚・慰謝料を請求することもできます。しかし、このような状況で奥様と冷静に交渉を進めることは難しいかもしれません。弁護士であればあなたに代わり奥様と交渉いたします。離婚・慰謝料に関するお悩みはアディーレへご相談ください。

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托卵の意味と読み方とは

「托卵(たくらん)」とは、妻が夫以外の男性との間にできた子どもを、あたかも夫の子どもであるかのように装って出産し、夫に育てさせる行為の俗称です。カッコウなどの鳥が自分の卵を他の鳥の巣に預けて代わりに育ててもらう、という生物学上の習性に由来します。

血縁のない子どもを、夫に自分の子だと信じ込ませて養育させる妻または女性のことを「托卵妻」や「托卵女子」と呼ぶこともあるようです。

托卵女子・托卵妻の目的や特徴とは

托卵女子の目的は、多くの場合「安定した収入を持つ夫に、夫と血縁のない自分の子どもを育ててほしい」という点にあるといえるでしょう。例えば、不倫相手とでは子どもと安定した生活を維持できない場合などが挙げられます。

【例】

  • 不倫相手には安定した収入がない場合
  • 不倫相手にも家庭があり、不倫相手との結婚は望めない場合
  • 妻だけの収入では子どもとの安定した生活を維持できない場合 など

このような目的を前提とすると、托卵女子の特徴には「旦那さんに経済的に頼りたい」、「今の結婚生活は続けたい」という強い意思を持っている点が挙げられます。

托卵は発覚するの?疑いが生まれるきっかけとは

「托卵」は、妻にとって墓場まで持っていかなければならない重大な秘密といえます。なぜなら、夫や家族に「托卵」であることがバレてしまったら、妻が望む「経済的に安定した生活」が崩壊してしまうおそれもあるからです。

しかし、生涯隠し続けることは難しく、思わぬところから「托卵」がバレてしまうケースもあるようです。妻側は完全に隠し通せているつもりでいても、妻の無意識な行動から不倫が発覚し、托卵もバレるというケールも少なくありません。

【托卵がバレる主なきっかけ】

  • 事故やケガの治療で子どもの血液型が判明した
  • 妊娠期間や予定日が夫婦の性生活とかみ合わない
  • 子どもが成長したが、夫とは全く似ていない
  • 妻の不倫が発覚した など
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托卵を疑っている場合に夫がとるべき最初の行動とは

もし妻に「托卵」の疑いが生まれたとしたら、夫が受ける精神的なショックは、言葉では言い表せないほど大きいでしょう。

しかし、感情的になって行動してしまうと、かえって事態を不利にしてしまう可能性があります。いったん冷静になり、最初にとるべき行動について見ていきましょう。

(1)妻に直接聞く

「托卵」なのかどうかを妻に聞くというのが、一番簡単な確認方法といえます。

しかし、妻にとって「托卵」であることは隠しておきたい秘密ですので、簡単に「托卵」であることを認める人は少ないでしょう。血液検査の結果(子どもの血液型が夫婦から生まれるはずのないものだった)など証拠がある場合には、証拠を突き付けて聞いてみてもいいかもしれません。

(2)事実確認のためのDNA鑑定を検討する

「托卵」かどうかを確かめるには、子どもと父親のDNAを比較するDNA鑑定をするのが確実といえます。

ただし、DNA鑑定を行う際には、子どもの検体の提供に妻の協力が必要な可能性があります。妻の協力を拒まれた場合には、拒む理由について聞き、拒む行為自体が「托卵」を疑う理由になることを伝えましょう。

托卵された子と親子関係を解消したい場合にとるべき行動とは

DNA鑑定によって血縁がないことが判明したとしても、法律上の親子関係が自動的に否定されるわけではありません。なぜなら、「婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子どもは、夫の子どもと推定される」という法律のルールがあるからです。

法律上の親子関係を否定するためには、別途、裁判所を通じた法的な手続が必要になります。

(1)婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子は、夫の子と推定されます

日本の民法では、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子は、夫の子と推定することになっています。これを「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」制度といいます。

嫡出推定によって法律上の親子関係が生じると、父親にはその子どもに対する扶養義務(子どもを養う義務)が発生し、その子どもは父親の財産を相続する権利があることになります。

もしDNA鑑定によって血縁がないことが判明したとしても、次に紹介する手続によってこの推定を覆さない限り、法律上の父子関係は継続します。

つまり、次に紹介する手続を取らない限り、その子どもに対する扶養義務(子どもを養う義務)も、子どもが父親の財産を相続する権利も継続することになります。

【弁護士監修】夫以外の子を妊娠したら、法律上だれが父親になる?

(2)嫡出推定がある場合:嫡出否認

嫡出推定による法律上の親子関係は、あくまで「推定」です。夫が生まれた子との親子関係を争った場合には「嫡出否認(民法774条)」の手続をすることで、その親子関係の推定を覆すことができる可能性があります。

嫡出否認の手続をするには、まず家庭裁判所に「嫡出否認の調停」を申し立てる必要があります。これは、裁判官や調停委員を交えて、話し合いで解決を目指す手続です。

調停による話し合いの結果、「托卵による子どもである」との夫婦で合意ができた場合には、必要な調査(DNA鑑定)を行い、裁判所が合意は正当と判断すれば、合意に相当する審判を行います。

もし、この調停で話し合いがまとまらず、解決できなかった場合には、「嫡出否認の訴え(裁判)」を起こすことになります。

ただし、この嫡出否認の手続には、「戸籍上の夫がお子さんの出生を知った日から3年以内(※)」に手続を始めなければならないことに注意が必要です。

この期間を過ぎてしまうと、嫡出否認の手続ができなくなってしまいます。親子かどうか不安な方は、早めに行動を起こすようにしましょう。

※ 2024年4月1日民法が改正されて、「出生を知った日から3年」となりました。2024年3月31日以前に生まれた子どもについては出生から1年以内です。

(3)嫡出推定が及ばない場合:親子関係不存在確認の訴え

親子関係を解消するもう1つの方法が「親子関係不存在確認の訴え」です。

この「親子関係不存在確認の訴え」は、「嫡出否認」と違い出生から3年以内というような時間制限がありません。そのため、「嫡出否認の手続の期間が過ぎてしまったとしても、この手続を使えばいいのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、ここには大きな壁があります。

「親子関係不存在確認の訴え」を起こすためには、「嫡出推定(ちゃくしゅつすいてい)」という法律のルールが及ばないことが条件とされているのです。

【親子関係不存在確認の訴えが使えるケース】

  • 婚姻期間中に生まれた子どもではない
  • 長期の海外出張、服役、長期の別居など夫の不在期間に妊娠した子どもである場合
    (夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明らかな場合)

つまり、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子どもの親子関係を否定するためには使えないのが原則です。仮にDNA鑑定で生物学上父親ではないことが明らかな場合でも、親子関係不存在確認の訴えによって父子関係を解消することはできません。

(4)親子関係が解消できない場合の養育費への影響

嫡出否認の手続ができる期間を経過してしまうと、嫡出推定が及ぶ子どもとの親子関係を解消することは法律上できません。

つまり、たとえその子どもと生物学上の親子関係でないことが明らかであっても、法律上の親子関係は継続し、養育費の支払い義務が発生することになるのです。

しかし、次のような事情がある場合には、養育費(監護費用)の支払いを請求することは「権利の濫用」に当たるとして却下すべきとした判例もあります。

  • 法律上の親子関係を否定する手段がない
  • これまで十分に養育費を十分に負担してきた
  • 離婚によって多額の財産分与を妻が受け取るため、妻に養育費(監護費用)を負担させても問題ない
養育費(監護費用)の負担を求めることを却下すべきとした判決 (最高裁平成23年3月18日判決)
もはや上告人が二男との親子関係を否定する法的手段は残されていない。…上告人はこれまでに二男の養育・監護のための費用を十分に分担してきており,…上告人に離婚後も二男の監護費用を分担させることは,過大な負担を課するものというべきである。さらに,…相当多額の財産分与を受けることになるのであって,離婚後の二男の監護費用を専ら被上告人において分担することができないような事情はうかがわれない。 …以上の事情を総合考慮すると,被上告人が上告人に対し離婚後の二男の監護費用の分担を求めることは,…権利の濫用に当たるというべきである。

托卵女子の末路とは?托卵されたら離婚・慰謝料請求はできる?

托卵が発覚した場合、夫は妻に対し離婚請求や高額な慰謝料請求をすることができます。

(1)托卵されていたら離婚することができる

「托卵」には、夫以外の男性と性的関係を持ったことも含まれます。婚姻期間中に夫以外の男性と性的関係を持つことは法律が定める離婚事由である「不貞行為」に当たります。

妻が離婚を拒んだとしても、妻の「不貞行為」があったことを理由に裁判所が離婚を認めてくれる可能性が高いといえるでしょう。

もし婚姻期間中以外に性的関係を持った場合(不貞行為には当たらない場合)でも、血縁関係のない夫の子どもであるかのように装って出産する行為は、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、裁判所から離婚が認められる可能性が高いといえます。

(2)托卵されていたら慰謝料請求をすることができる

婚姻期間中に夫以外の男性と性的関係を持ち、子どもを妊娠・出産したことは、慰謝料請求の根拠にもなります。

托卵をした妻はもちろんのこと相手の男性にも慰謝料を請求することができます。

一般的な不貞行為の慰謝料の相場は数十万円から300万円程度ですが、夫以外の子どもであることを隠して出産する行為は、通常の不倫よりもより悪質な裏切りだと判断され、通常の慰謝料相場もより高額になる可能性があります。

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離婚は弁護士へご相談ください!弁護士に相談・依頼するメリットとは

わが子として育ててきたお子さんとの間に血縁がないという事実は、計り知れない精神的なストレスともたらしていることでしょう。このような中で、冷静にかつ正確に離婚に向けて話し合っていくことは難しいかもしれません。

このような状況だからこそ、弁護士へご相談ください。
ここでは弁護士に相談するメリットについて紹介します。

(1)妻との交渉を任せることができます

托卵の事実が発覚した直後の夫婦お二人での話し合いは、感情的な対立が激しくなるなど冷静な解決が難しくなるかもしれません。

弁護士にご依頼いただければ、夫側の代理人として奥様や場合によっては不倫相手との交渉窓口を全て担います。弁護士が間に入ることで当事者の精神的な負担を軽減し、かつ、当事者同士の話し合いでは難しかった冷静な話し合いを進めることができるでしょう。

(2)有利な条件で離婚できる可能性が高まります

離婚の際は、お金のことやお子さまのことなど、離婚条件の適切な取決めが必要です。
しかし、相手のペースに巻き込まれて不利な条件で合意してしまうケースも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、あなたの希望や主張を適切に伝え、将来を見据えた有利な条件で取決めができる可能性が高まります。

(3)離婚後のトラブルを防止できます

托卵問題においては、将来の養育費など新たなトラブルの火種が残る可能性があります。

弁護士に依頼すれば、離婚後にトラブルが起きないよう気を配りながら離婚協議書を作成してもらえます。適切な書面を作成しておけば、将来のトラブルを防止し、万が一にも備えることが可能です。

【まとめ】托卵とは夫以外との子どもを夫の子どもとして育てさせること

もし、托卵だったことが発覚した場合、夫が受ける精神的なショックや苦痛は計り知れません。信頼していたパートナーの裏切りに加え、長年自分の子どもだと信じてきた事実が覆されるため、心身ともに不安定になってしまうケースがほとんどです。

もし托卵が事実である場合、離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。しかし、このような精神的に非常に不安定な状況で、奥様と冷静に交渉を進め、ご自身にとって有利な離婚条件(財産分与、慰謝料など)を取り決めるのは、大きな負担となってしまいます。

托卵を理由に慰謝料や離婚を検討される場合には、ぜひアディーレの弁護士へご相談ください。アディーレの弁護士が奥様との直接の交渉窓口となり、あなたにとって適切な形で解決できるようサポートします。

スムーズに離婚するなら弁護士へご相談を!離婚で後悔しないため!

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