母子手当とは、両親が離婚、死別した場合等に支給される手当です。
正式には「児童扶養手当」と呼ばれており、支給金額は、扶養児童の人数や受給者の所得等によって異なります。
よく似た手当に、児童手当というものがありますが、これと母子手当は異なる公的扶助制度であり、ひとり親世帯では、要件を満たせば児童手当と児童扶養手当の両方を受給することができます。
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すべての子育て世帯を対象とする児童手当とは別の制度ですが、要件を満たせば両方を受給できます。
この手当の支給には、受給者本人だけでなく、同居する扶養義務者などにも所得による制限があります。所得額は、給与所得控除後の金額に元配偶者から受け取っている養育費の8割相当額などを加算し、各種控除額を差し引いて計算されます。所得が基準を超えると、全部または一部が支給停止となりますが、2024年11月からは所得制限限度額が引き上げられました。
支給額は、扶養児童の人数や受給者の所得によって異なり、2025年4月分からは、児童1人目の全部支給額は月額46,690円となっています。支給は、年6回、奇数月に2ヶ月分がまとめて行われます。
受給するためには、住所地の市区町村役場への新規申請が必要で、認定された翌月分から支給が始まります。さかのぼっての支給はできません。また、受給資格を継続するには、毎年8月に現況届の提出が必須です。再婚や事実婚など、受給資格に変化があった場合は速やかに届け出が必要であり、不正受給には罰則があります。
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母子手当(児童扶養手当)とは?
「母子手当」とは、正式には「児童扶養手当(じどうふようてあて)」と呼ばれる、ひとり親世帯等の生活の安定と自立を助け、子どもの福祉の増進を図るために支給される公的扶助制度です。
両親の離婚、父または母の死亡、あるいは重度の障害や生死不明などの場合に、18歳になる年度末までの子どもを養育している父または母、もしくは養育者に支給されます。
よく「児童手当」と混同されますが、児童扶養手当と児童手当は別の制度で、ひとり親世帯では、両方の要件を満たせば併給が可能です。
養育者の所得金額や児童の人数によって受け取れる金額が異なりますので、詳しくみていきましょう。
児童手当と母子手当(児童扶養手当)の主なちがい
児童手当と母子手当(児童扶養手当)別の制度です。
ひとり親世帯は両方の手当を受け取れる可能性がありますが、2024年に児童手当の制度が改正されたこともあり、次の点で違いがあります。
| 母子手当(児童扶養手当) | 児童手当 | |
|---|---|---|
| 目的 | ひとり親世帯の生活安定・自立支援 | 子育て世帯全般の生活安定・子どもの健全育成 |
| 対象者 | ひとり親世帯等(所得制限あり) | 全ての子育て世帯 |
| 支給対象期間 | 18歳になった後の最初の3月31日まで | 18歳になった後の最初の3月31日まで (2024年10月以前は中学3年生までの児童) |
| 所得制限 | 所得超過で支給停止 | 所得制限なし (2024年10月以前は所得制限あり) |
| 支給方法 | 年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月) | 年6回(2月、4月、6月、8月、10月、12月) (2024年10月以前は年3回) |
日本政府の「こども未来戦略」に基づき、児童手当は2024年12月支給分から大きく改正されました。
具体的には、所得制限が撤廃され、支給対象が高校3年生(18歳になった後の最初の3月31日)まで延長され、支給方法が月3回から6回に変更されるなど、これまでの制度と大きく変わりました。
母子手当(児童扶養手当)の支給対象者
児童扶養手当は「母子手当」と呼ばれることもありますが、父子世帯や両親以外が養育している場合も支給対象となり得ます。また、国籍が日本以外の場合であっても、一定の在留資格があれば受給できます。
(1)支給対象となるケース
- 父母が離婚した
- 父または母が死亡した
- 父または母が重度の障害を有している
- 父または母の生死が不明である
- 父または母に1年以上遺棄されている
- 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けている
- 父または母が法令により1年以上拘禁されている
- 婚姻によらないで生まれ、父または母に扶養されていない
(2)支給されないケース
- 両親や子どもが日本国内に住所を有しない
- 子どもが児童福祉施設等(母子生活支援施設などを除く)に入所している
- 子どもが父又は母の配偶者(事実上の配偶者を含み、政令で定める障害の状態にある者を除く)に養育されている、もしくは生計を同じくしており、一定以上の所得がある
母子手当(児童扶養手当)の申請方法と継続のための手続
離婚や死別などの自由が生じても、自動的に支給が始まるわけではありません。受給するには手続きが必要です。
(1)新規の申請手続
- 申請窓口: 住所地の市区町村役場(担当部署の名称は自治体によって「子育て支援課」「福祉課」など異なります)。
- 支給開始: 申請し、認定を受けた翌月分から手当が支給されます。さかのぼって支給はされません。
- 必要書類: 戸籍謄本、預金通帳など口座を確認できる資料、本人確認書類、マイナンバーなど、多くの書類が必要です。事前に役所の窓口やホームページで確認し、不備がないように準備しましょう。
(2)継続のための手続
- 現況届の提出: 毎年8月に、継続して手当を受け取れるかどうか審査するため、子どもの養育状況や所得状況を届け出る「現況届」の提出が必要です。
提出を怠ると、手当の支給がストップします。
また、現況届を提出せず2年間経過すると、時効により受給権を失うことがあります。
(3)受給資格喪失時の手続
児童扶養手当の対象児童が18才になったあとの最初の3月31日で受給資格を失う場合には、届出は不要です。
一方で、再婚(事実婚含む)、子どもが施設に入所したなど、受給資格に変化が生じた際は、速やかに役所に届け出る必要があります。
(4)不正受給には罰則あり
もし、母子手当(児童扶養手当)を受給できる要件を満たさないにもかかわらず受給している場合には、不正受給に該当し、現地調査や面談など調査が行われた結果、資格喪失の手続きが行われます。
不正に受給したお金を返さなければなりませんし、悪質なケースだと判断されると、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられることがあります(児童扶養手当法35条)。
離婚した後、別の人と事実婚状態になった等受給資格に変化が生じたら、まず市役所に連絡をしましょう。ばれないだろうと考え、不正受給をするのは絶対にやめましょう。
引っ越しの際には改めて申請することが必要なので、忘れずに手続きを行ってください。
母子手当(児童扶養手当)の給付サイクルと最新支給額【2025年】
母子手当の給付サイクルと支給額を説明します。
(1)母子手当(児童扶養手当)の支給サイクル
年6回、奇数月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)に2ヶ月分まとめて支給されます。
例えば、1月に支給されるのは、11月と12月分の手当になります。
支給日は自治体によって異なりますが、支給日が土日祝日と重なれば直前の平日に支払われることが多いようです。
(2)母子手当の給付金額【2025年】
2025年4月分以降の支給額は、次のとおりです。
毎年、物価の変動に応じて、多少の変動があります。
| 児童数 | 全部支給 | 一部支給 |
| 1人 | 4万6690円 | 1万1010円~4万6680円 |
| 2人 | 1万1030円を加算 | 5520円~1万1020円を加算 |
以前は、3人目以降の加算額が2人目の加算額より低額だったのですが、児童扶養手当法等の改正により、2024年11月から2人目以降の加算額が2人目の加算額と同額になりました。
一定以上の所得がある場合には、全部または一部の支給を受け取ることはできません。
母子手当(児童扶養手当)の所得制限
児童扶養手当には、受給者本人だけでなく、受給者の配偶者・扶養義務者(同居している両親・兄弟姉妹など)にも、所得制限があります。
所得制限限度額は次の表のとおりです(2024年11月~)。
| 扶養親族等の人数 | 全部支給 | 一部支給 | 扶養義務者等の所得 |
| 0人 | 69万円未満 | 208万円未満 | 236万円未満 |
| 1人 | 107万円未満 | 246万円未満 | 274万円未満 |
| 2人 | 145万円未満 | 284万円未満 | 312万円未満 |
| 3人 | 183万円未満 | 322万円未満 | 350万円未満 |
2024年11月から、全部支給と一部支給の所得限度額が引き上げられました。扶養義務者等の所得限度額は変わりありません。
配偶者等の所得が基準額を上回る場合には、一部であれ手当を受給することはできません。
(1)所得額の計算方法のポイント
所得額は「年収」から自動的に計算されるわけではなく、特定の控除が適用されます。
所得額は、次の計算式で求めます。
所得=収入金額-諸経費(給与所得控除額)+養育費の8割相当額(養育費×0.8)-諸控除額(医療費など)-80000円(一律)
2024年11月~2025年10月分の支給については、2023年の所得が基準となります。
2025年11月~2026年10月分の支給については、2024年の所得が基準となります。
元配偶者から受け取っている「養育費」の8割相当額が所得として加算される点には注意が必要です。
養育費とは、次の条件をすべて満たすものです。これらの条件を満たせば、現金に限らず、小切手や株券など有価証券であっても養育費にあたります。
- 子どもの父または母から、子どももしくは受給者に支払われたもの
- 手渡し、郵送、受給者または子ども名義の銀行口座への振り込みであること
- 子どもの養育に関係のある経費として支払われていること
養育費にあたるのか判断に迷う場合には、役所の担当窓口に相談しましょう。
また、主な控除は、次のとおりです。
- 社会保険料(一律8万円)
- 特別障害(40万円)
- 普通傷害(27万円)
- 勤労学生(27万円)
- 配偶者特別控除(控除相当額)
- 小規模企業掛金(控除相当額)
- 雑損(控除相当額)
- 医療費(控除相当額)
- ひとり親(35万円)※
- 寡婦(27万円)※
※受給者が父母のときは、ひとり親控除・寡婦控除は適用されません。申請者が、児童の父母を除いて、児童を養育している場合(祖父母など)で、ひとり親控除がある場合にはそれを差し引きます。
所得金額から、該当する控除を引いた金額について、所得制限限度額以下であれば、全部又は一部支給を受けることができます。
計算については複雑な面もありますので、役所の窓口で相談するとよいでしょう。
(2)一部支給の場合の計算方法
一部支給額の場合の手当月額は、次の計算式(2025年4月分から)で求めます。
1人目手当月額=46680円-(受給資格者の所得額-全部支給所得制限限度額)×0.0256619
2人目加算月額=11020円-(受給資格者の所得額-全部支給所得制限限度額)×0.0039568
イメージ的にいえば、収入が基準を上回る分だけ、受取金額が少なくなっていきます。
【まとめ】母子手当(児童扶養手当)や公的扶助制度を活用して賢く生活!
ひとり親世帯であれば、所得額にもよりますが、児童手当と母子手当(児童扶養手当)の両方を受け取れる可能性があります。
さらに、お住いの地域によっては、児童育成手当など、ひとり親世帯を助ける手当があります。
仕事と家事・育児を並行して行うことは簡単ではありません。
思うように働けずに、お金の工面に苦労することもあるでしょうが、借金に頼る前に、可能な限り公的扶助制度を活用しましょう。
また、元配偶者の不倫などが原因で離婚したが慰謝料を受け取っていない方は、慰謝料の請求を、養育費を受け取っていない方は養育費の請求を検討しましょう。
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