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破産管財人とは?役割から選任理由、費用まで解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

自己破産を考えている方にとって、「破産管財人」という耳慣れない言葉は不安や疑問を抱かせるものかもしれません。 

しかし、破産管財人は実は、中立な立場から、あなたの借金を整理し、経済的再生を支援する重要な役割を担っています。 

この記事では、弁護士の視点から、破産管財人の役割や選任理由、そして破産手続きにおける重要性について、分かりやすく解説します。 

破産管財人について正しく理解することで、自己破産への不安を軽減し、将来の経済的再建への道筋を見出すことができるでしょう。 

この記事を読んでわかること

  • 破産管財人とは
  • 破産管財人の主な役割
  • 破産管財人が選任されるケース
  • 破産管財人が選任された場合の制限事項 
  • 破産管財人の費用

ここを押さえればOK!

破産管財人は、破産手続きにおいて中立的な立場から債務者の財産管理や債権者への配当を行う重要な役割を担う人物です。
破産管財人が選任されるのは、一定以上の財産がある場合、免責不許可事由がある場合、法人代表者や個人事業主の破産の場合などです。
選任後は、債務者に主に以下の制限が課されます。
1、破産管財人の調査への協力義務
2、郵便物のチェック
3、居住地移動や旅行の制限
破産管財人費用は破産申立ての代理人の有無で異なり、地域により異なりますが、弁護士がいる場合は最低20万円、本人申立ての場合は負債総額等に応じて決まります。
破産者と破産管財人の主な接点は、管財人面接と債権者集会です。破産者は破産管財人の調査には誠実に協力する必要があります。
自己破産を自分で行うことは難しいです。自己破産を考えている方は、事前に弁護士に相談するようにしましょう。

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この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

破産管財人とは

破産管財人とは、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」のことです(破産法2条12号)。 

全ての破産手続に破産管財人が選任されるわけではありません。「管財事件」についてのみ選任され、「同時廃止」になる場合には選任されません。 

破産を申し立てた裁判所が、破産手続開始決定を行うときに、通常、破産手続に精通した弁護士を破産管財人として選任します。 

破産手続を公平かつ公正に進める上で、破産管財人の役割は極めて重要です。 

(1) 破産手続における破産管財人の位置づけ 

破産管財人は、破産手続において公正・中立的な立場で、主に次のようなことを行います。 

  1. 債務者の財産の調査・管理 
  2. 負債額の調査
  3. 財産の換価と配当
  4. 破産原因の調査と免責に関する意見
  5. 債権者集会での報告

破産管財人は、裁判所の監督下でこれらの業務を遂行し、中立な立場で利害関係者を調整しながら、破産手続の公平性と透明性を確保します。これにより、債務者の財務状況の改善と、債権者への適切な配当の実現を目指します。 

(2) 破産管財人が必要な理由 

破産管財人は、公正・中立な立場で、免責を求める破産者と、配当を求める債権者の利益の調整を行います。

 例えば、破産を申し立てた人が、借金したお金で華やかな生活を送った結果、「浪費で借金を返せなかったから自己破産したい」といった場合にも直ちに免責を認めてしまっては、債権者は納得ができないかもしれません。 

また、財産をしっかり管理しておかないと、本来であれば手続きの中で債権者に配るべきお金を破産者に勝手にどんどん使われてしまうかもしれません。 

そのため破産管財人は、財産を管理・処分し、免責を認めてよいかを調査するのです。 
破産管財人の業務は、破産手続きにおいて極めて重要です。破産者側も債権者側も、誠実に協力すべきといえるでしょう。 

破産管財人の5つの主要な役割 

破産管財人は、破産手続において次の5つの主要な役割を担っています。 

以下、各役割について詳しく解説します。 

(1) 破産者の債務額の確定 

破産管財人は、破産手続開始前に破産者が有していた債務について、おおよそ次のような調査をします。 

  • 貸金業者からの借入れ
  • 個人的な貸し借りの有無と金額 
  • 家賃 
  • 通信料、光熱費などの滞納の有無と金額 
  • 隠している借金はないか
  • 自己破産の申立て前に一部の債権者だけに弁済をしていないか など 

(2) 債権者と債権額を確定する 

また、誰が債権者なのか、どれほどの債権があるのか、優先的に弁済を受けられる債権者は誰かなどを調査して確定します。 

具体的には、破産者に対して債権を有する人(破産債権者)が、裁判所に、債権の額・種類を記載した書面(債権届)を提出し、破産管財人はその債権の有無や額が正しいかを検討します。 

(3) 財産を換価し、配当を行う 

破産管財人の最も重要な業務は、債権者により多くのお金を配当できるようにすることです。 

破産手続が開始されると、破産者が有していた財産は、「破産財団」(債権者に配当の対象となりうる財産)と「自由財産」(破産者が自分の財産として残すことができる財産)に分類されます。 

破産管財人は、「破産財団」に含まれる財産を管理・処分します。 
他方、自由財産は、「破産財団」に含まれず、破産者が手続後も自由に管理・処分できますので、破産管財人により管理・処分されることはありません。 

(4) 破産に至った経緯・原因の調査と意見の報告 

破産管財人は、債務者の破産に至った原因を詳細に調査し、免責の可否について裁判所に意見を述べます。 

免責不許可事由とは、破産法という法律に規定されている、免責が不許可とされる事由です。 

免責が不許可とされると、借金についての返済義務が免除されません。 

しかし、免責不許可事由があっても、悪質なケースでなければ、裁判官の裁量によって免責が認められることも多いです(裁量免責)。 

ギャンブルや浪費などの免責不許可事由があっても、直ちにあきらめずに、自己破産を扱っている弁護士に相談するようにしましょう。 

(5) 債権者集会で経過を報告する 

債権者集会とは、管財事件で債権者の意見申述の機会を保障するために開催される裁判期日です。 
破産者は、債権者集会に出席しなくてはいけません。 

個人の自己破産の場合には、債権者集会に債権者が出席することは少ないですが、まれに金融機関以外の個人の債権者などが出席することもあります。 

 
債権者集会では、破産管財人が財産・収支の報告と免責についての意見申述を行い、通常5分~10分程度で終了します。

1回の債権者集会までに破産管財人の調査や業務が完了し、そこで債権者集会の手続が終了することも多いです。 

しかし、破産管財人による不動産の売却や、売掛金や過払金等の回収が終わっていない場合、また、引き続き破産者の生活態度を観察する必要がある場合など、管財人の業務がまだ終わっていない場合には、2回目以降の債権者集会が開催されることもあります。 

破産管財人が選任される3つのケース 

破産管財人は全ての破産事件で選任されるわけではありません。主に以下の3つのケースで選任されます。 

(1) 一定以上の財産がある場合 

破産管財人は、債務者に一定以上の財産がある場合に選任されます。裁判所によってその基準は異なりますが、具体的には以下のような状況が該当します: 

  1. 換価可能な不動産を所有している(※) 
  2. 価値のある動産(車、貴金属など)を所有している(※) 
  3. 価値のある有価証券を保有している(※) 
  4. 一定以上の価値のある財産がある 

(※現金以外の財産の総額が20万以上ある場合)

 管轄の裁判所の運用等にもよりますが、債務総額がかなり高額で、現金が一定額(20万円から50万円など、裁判所によってまちまちです。)以上、また一定額以上の価値のある(大体20万円が一つの目安とされます。)現金以外の財産がある場合には、破産管財人が選任される可能性が高くなります。 

破産管財人は、これらの財産を適切に管理・換価し、債権者への公平な配当を行います。

  (2) 免責不許可事由がある場合 

破産手続において、債務者に免責不許可事由がある場合、破産管財人が選任される可能性が高くなります。主な免責不許可事由には以下のようなものがあります。 

  1. 浪費や風俗、パチンコ・競馬・投資などが理由で多額の借金を負った 
  2. 財産隠しをした
  3. 特定の債権者にだけ返済している など

例えば、ギャンブルで多額の借金を作った場合や、会社や親など特定の債権者にだけ返済したような場合などが該当します。 

破産管財人は、これらの事由の有無を詳細に調査し、裁判所に報告します。 

(3) 法人の代表者や個人事業主の破産の場合 

法人の代表者や個人事業主の破産では、事業に関連する複雑な財産関係や債権債務関係があるため、破産管財人が選任される可能性が高いです。

 破産管財人選任後の3つの制限事項 

破産管財人が選任されると、債務者には一定の制限が課されます。 

これらの制限は、破産手続の公正性を確保し、債権者の利益を保護するために必要なものです。 

(1) 破産管財人の調査への協力が必要 

破産者は、破産管財人の調査に積極的、真摯かつ誠実に協力する義務があります。 

<具体例> 

  • 財産や借金などについて説明を求められたら正直に回答する 
  • 財産や借金などについて資料提出を求められたら、できる限り早急に提出する 

破産者は破産管財人と少なくとも1回は面接する必要がありますので、その場で管財人から直接質問事項等を聞かれることもあります。 

このような質問に対する回答、指示された資料の提出等に協力しない場合、免責の判断に関して不利益な判断がされるおそれがあります。 

逆に浪費など免責不許可事由があっても、破産管財人の調査に自主的に誠実に対応していると、裁量免責するかどうかの判断でその姿勢が有利に考慮されるでしょう。 

(2) 郵便物が破産管財人によってチェックされる 

破産手続開始決定後、手続き終了までの間、破産者宛ての郵便物は破産管財人に転送され、その内容をチェックされます。これには以下のような目的があります。 

  1. 未知の財産や債権の発見
  2. 債務者の経済活動の監視 
  3. 重要な通知の確実な把握 

この制限は、債務者のプライバシーを一部制限するものですが、破産手続きの公正性を確保するために必要な措置とされています。 

破産管財人が郵便物の内容を確認したあと、返還されることになります。 

(3) 居住地の移動や旅行に制限がかかる 

破産手続開始決定後、手続が終了するまでの間、債務者の転居や出張・旅行は、原則として事前に破産管財人の同意と裁判所の許可を得ることが必要です。 

例えば、仕事の都合で転居が必要な場合や、宿泊を伴う出張や親族の冠婚葬祭への出席が必要な場合は、事前に裁判所の許可を得る必要があります。 

宿泊の予定がある場合には、早めに代理人の弁護士や破産管財人に連絡しましょう。 

破産管財人にかかる費用と支払い方法 

破産管財人の業務には、当然報酬が発生します。この報酬は、破産者が負担する必要があり、予納金として裁判所に納めます。 

以下、費用の額や支払時期、方法などについて説明します。 

(1) 費用は代理人がいるかいないかで異なる 

弁護士に個人の自己破産手続を依頼し、代理人がいる場合の破産管財人の報酬(予納金)は、一般的に最低20万円です。 

本人が自己破産を申し立てる場合、予納金額は負債総額等によって異なりますが、最低でも40万円から50万円以上が必要になるケースがほとんどです。

業務の内容などの事情で、破産管財人の報酬金額が増額されて決定されることもあります。その場合、破産財団から管財人報酬が支払われます。 

(2) 費用の支払い時期と方法 

破産管財人にかかる費用の支払い時期と方法は以下の通りです。 

  1. 支払い時期: 
  • 原則として破産申立て時に予納金として支払う 
  • 一括支払いが困難な場合、一部を申立て時、残りを手続き進行中に分割して支払うこともある 
  1. 支払い方法: 
  • 弁護士に依頼した場合は基本的に弁護士に預けて、弁護士が納付する 
  1. 費用の捻出方法: 
  • 申立て前に計画的に貯蓄する
  • 親族や知人からの援助 

破産するにも費用が掛かります。弁護士費用と予納金を合わせれば、50万円を超えることも少なくありません。そんな大金支払えないと思うかもしれません。 

しかし、弁護士が債権者に通知を出せば、基本的に返済はストップしますので、返済に回していた分を破産費用としてためることができます。

生活を見直して、節約することも必要でしょう。弁護士費用も分割で支払える法律事務所もありますし、家計のやりくりも、弁護士が親身になって検討します。借金を返せない方は、1人で悩まず一度弁護士に相談してみるようにしましょう。 

自己破産における破産管財人との主な接点 

自己破産手続きにおいて、破産者が破産管財人と直接接する機会は主に2つあります。

(1) 管財人面接 

管財人面接は、破産管財人が破産者から直接話を聞く重要な機会です。 

破産者にとっても、破産管財人の調査に真摯に協力する姿勢を示すという点で重要です。 

面接では、代理人の弁護士が裁判所に提出した申立書を踏まえたうえで、破産管財人が疑問に思う点や、もう少し詳しく聞いておきたい点等について質問を受けることがあります。 

質問される主な内容は以下の通りです。 

  1. 財産状況の確認 
  • 預金、不動産、動産などの資産 
  • 給与、年金などの収入 
  • 借金の詳細(金額、債権者、借入理由など) 
  1. 破産原因の聴取 
  • 借金が膨らんだ経緯 
  • 事業失敗の原因(個人事業主の場合) 
  1. 生活状況の確認 
  • 家族構成、扶養者の有無 
  • 月々の生活費 
  1. 今後の生活プランの聴取 
  • 就労状況や今後の就労予定等 

管財人面接では、誠実に、嘘なく回答することが重要です。 

虚偽の申告や情報の隠蔽をすると、免責不許可となるおそれがあります。 

(2) 債権者集会での破産管財人の役割 

債権者集会は、通常は裁判所で行われ、破産手続の進捗状況を債権者に報告する場です。 

破産者にも出席義務がありますので、その場でも破産管財人と会うことになります。 

個人の破産事件であれば、債権者集会は1回で終わることが多いです。 

債権者集会で報告される主な内容は、下記の通りです。 

  1. 財産状況の報告 
  • 発見した財産の内容と価値
  • 破産に至った事情
  • 破産財団の内容や換価の進捗状況 
  1. 収支計算の報告 
  1. 免責についての意見陳述 
  • 免責許可・不許可、裁量免責についての意見 

債権者も出席できますが、個人の破産の場合、出席しない債権者が多いです。 

弁護士に破産手続きを依頼すれば、通常その弁護士も代理人として債権者集会に同席します。 

【まとめ】破産管財人の役割は破産手続きで極めて重要|自主的に真摯に協力すること 

破産管財人は、債務者の財産管理や債権者への公平な配当を行い、破産手続きの公正性を確保する重要な役割を担っています。 

破産者が、破産管財人の調査に対して積極的に協力することは、将来の免責許可につながる可能性を高めます。 

自己破産を検討されている方は、自己破産を扱っている弁護士に相談し、自身の状況に合わせた適切なアドバイスを受けることをおすすめします。 

アディーレ法律事務所では、自己破産についてのご相談は何度でも無料です。 

また、万が一免責不許可となってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2025年1月時点)。 

借金が返済できず自己破産をお考えの方は、個人の破産を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。