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プチ整形が思い通りにいかずに失敗!?実は多い美容整形トラブル

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

二重にしたり、ほくろを取ったり、しわをなくしたりするプチ整形。
シミを薄くしたり、脱毛したりする美容医療。
コンプレックスを解消して、「やってよかった!」と幸せな毎日を送る人もいます。
しかし一方で、思い通りにいかずに失敗だと感じ、「こんなはずじゃなかった!やらなければよかった!」と後悔する人も少なくありません。

全国の消費生活センターに寄せられる美容整形トラブルは、1年に2000件程度で推移しています。
厚生労働省も、トラブルが多いことから、美容整形を受ける前に、施術の内容について慎重に検討するように注意喚起をしています。
今回の記事では、美容整形の法的トラブルについて弁護士が説明します。

参考:美容医療サービスの消費者トラブルサービスを受ける前に確認したいポイント|政府広報オンライン
参考:確認してください!美容医療の施術を受ける前にもう一度!|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

プチ整形・美容医療のトラブルって?

プチ整形や美容医療のトラブルは、契約内容についてのトラブル(説明義務違反など)によるものと施術の失敗によるものの2つに大きく分けられます。

(1)契約内容についてのトラブル

  • シミ取りの年間契約をした。中途解約したいが、返金しないと言われた。
  • 説明にのせられて3年間の脱毛契約をしたが、やはりやめたい。クーリング・オフできるのか?

といったトラブルが考えられます。
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律で、継続的にサービスを提供する脱毛等の契約を規制しています。
特定商取引法に基づいて、中途解約及び返金を請求できたり、クーリング・オフできたりする場合もあります
また、副作用のある薬剤を使用する場合や、特定のリスクが存在する施術であるのに、その点について説明がなかったのであれば、クリニックや医師からの説明が不十分であるといえ、説明義務違反があると考えられます。

クリニックが真摯に対応してくれないようであれば、消費生活センターや弁護士に相談するとよいでしょう。

(2)施術の失敗により危害を受けるトラブル

美容医療の施術により、副作用や、やけどの症状等を負い、身体に危害を受ける場合があります。
平成29年消費生活センターが発表した報道発表資料によれば、美容医療の施術によって実際に危害を受けたという相談は、毎年度、相談全体の21~25%を占めています。

主な施術内容としては、美容外科手術を伴うものや、レーザー脱毛等です。
危害を受けて、治療が必要とされるケースの約61%が実際に治療を受けており、そのうち28%が治療に1ヶ月以上を要しています。
美しくなるために施術を受けたのに、かえって傷を受けてしまう場合もあるのです。すぐに治療で治癒すればまだよいですが、1ヶ月以上治療しても治癒しないケースもあります。

トラブルの解決が困難な場合もある

(1)クリニックが失敗したことを証明するのは困難

施術により身体的な危害を受けた場合でも、クリニックが施術の失敗を認めない場合があります。
そのような場合、自分で、クリニックが施術に失敗したことを、証拠をもって示さなければなりません。
それはたいていの場合、困難を伴います。
「失敗」なのかどうかは、法的に「過失」があったかどうかの判断になりますが、専門的な医療知識・技術を踏まえて、「具体的にこうすべき義務があったのにしなかったから過失があった」と示す必要があるからです。
また、カルテ等の証拠資料もクリニック側が確保しており(カルテの開示を求めることはできます)、証拠入手も簡単ではない場合があります。

(2)傷が治らないことがある

クリニックが施術の失敗を認めて、すでに支払った代金の返金に応じたり、損害を賠償してくれたりすれば金銭的な補償は受けられます。
しかし、一度受けてしまった身体的な傷は、治癒しない可能性もあります
プチ整形に失敗して容貌が変わってしまったが、身体的特徴から再手術は医学的に不可能と判断されるケースもあるためです。
このように、プチ整形・美容医療に失敗した場合には、根本的な解決が困難な場合もあります

【まとめ】美容整形トラブルを避けるためにも、施術内容は事前にしっかりと確認しましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • プチ整形・美容医療トラブルには、次のようなものがある
    1. 契約内容についてのトラブル
    2. 施術の失敗により危害を受けるトラブル

プチ整形・美容医療トラブルは、クリニックが失敗したことを証明するのが困難であるだけでなく、受けてしまった身体的な傷は治癒しない可能性もあるため、根本的な解決が難しいといえる

  • 返金やクーリング・オフを求める場合には、消費生活センターや弁護士に相談するとよい

美容整形等の施術は、通常人生でそう何度も受けるものではないうえ、容貌に変化を与えるものであるため、重要な決断を伴います。
プチ整形・美容医療等の契約をする前には、中途解約や返金はできるのか、副作用は生じるのか、手術が失敗したらどうなるのか等、納得できるまで質問してください。
少しでも理解できない部分があったら、すぐに決断することはせず、いったん持ち帰ってゆっくり考えるようにしましょう。

例えば、使用する薬剤について、副作用も含めて自分でも把握できているでしょうか。
また、施術の効果だけでなく、想定されるリスクについて納得できたでしょうか。
施術の前には、なるべくこれらのことを意識して説明を受けてください。
それでもトラブルにあってしまったら、消費生活センターや医療訴訟に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。