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法定利率とは?民法改正で変更された内容やそれに伴う影響についても解説

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銀行にお金を預けても全く利息がつかない……、これは日銀がマイナス金利を導入したいまや世間の常識でしょう。2020年時点で預金の金利が0.001%である金融機関も珍しくなく、そうすると1年間100万円を預けても10円にしかなりません。
そんな中、2019年3月31日まで民法がベースとしていた金利は5%です。1年間100万円を預けたら利息が5万円、もはや怪しい取引の話のように聞こえてきますが、改正前の民事法定利率を前提にすると実際にこのような計算になっていたのです。ここでは、法定利率の民法改正に関して、法定利率とは何かを中心にお伝えします。

法定利率とは?約定利率との違い

借りたお金を返すときには利息を付けて返すと考えている人が多いかもしれません。
しかし、民法上借りたお金はそのまま返せばよいとされており(消費貸借、民法587条)、利息を支払う約束をしていなければ、利息を払わなくても構いません。
逆にいえば、利息を受け取るには別途契約の中に利息に関する定めを置かなければなりません。
このとき、具体的にどのような割合で利息が発生するかをあらかじめ決めておくこともできますし、特に約束をしなくても民法に則った割合で利息が発生します。
この割合のことを利率といい、当事者が自由に決める割合を約定利率(やくじょうりりつ)、法律で決められている割合を法定利率(ほうていりりつ)といいます。
つまり、「年10%の利率で返す」と約束するのが約定利率、単に「利息を付けて返す」と約束すると法定利率が適用されます。改正前の民法は法定利率を年5%としていましたので、利息の割合を決めずに利息を支払うことだけ約束して1年間100万円を貸すと、100×0.05(5%)=5万円の利息が発生していたというわけです。

約定利率を定めた場合には、法定利率よりも約定利率が優先します。約定利率は、当事者間の合意によって自由に定めることができますが、利息制限法の上限を超えることはできません。
利息制限法で定められている利率の上限は次のとおりです(利息制限法1条1項)。

元本上限利率
10万円未満20%
10万~100万円未満18%
100万円以上15%

法定利率とよく似た言葉に「法定利息」という用語があります。これは契約ではなく法律に基づき発生する利息のことです。過払い金請求のように悪意の受益者に不当利得返還請求をする場合には、法定利息が発生します(民法704条)。法定利息は法定利率に基づいて計算します。

民法改正で法定利率が変更された

2017年5月26日に民法の一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日に施行されました。これにより、市場金利とかけ離れていた法定利率が変更されることになったのです。

法定利率の変更点

法定利率は、次の5点で変更されました。

  1. 2020年時点の法定利率は3%(民法404条2項)
  2. 商事法定利率の廃止・民事法定利率での一本化(整備法3条、改正前商法514条)
  3. 変動利率の導入(民法404条3~5項、附則15条2項)
  4. 法定利率の基準時の明文化(民法404条1項)
  5. 中間利息控除に法定利率が適用されることが明文化(民法417条の2、722条1項)

これから詳しく解説しましょう。

(1)民法の法定利率が3%になった

民法404条2項では、法定利率に関して、次のように定められています。

法定利率は年3パーセントとする。

引用:民法404条2項

つまり、単に「利息を付けて返す」との約束で100万円を1年間借りた場合、3万円の利息を支払う義務が生じます。

(2)商法の法定利率は廃止になった

従来、民法と商法では異なる利率が定められていました。
民法では5%であったのに対し、企業間の取引等商行為によって生じた債務に関しては年6%の利率が定められていたのです。2020年4月の改正により、商法の法定利率は廃止され、3%に統一されました。

(3)法定利率が変動制になった

市場金利と大きくかけ離れたことが今回の法定利率改正のきっかけなので、今後は3年に1度法定利率が見直されることになりました(民法404条3項)。

民法404条3項には、次のように規定されています。

前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

引用:民法404条3項

変動のルールは明文化されており、変更されるかの予測は立ちやすくなっています。
国内の銀行が短期で貸しつけた際の利率を過去5年間分遡って、その平均値(基準割合)を指標とします。そして、前回の変動時の利率と比較して1%以上の差が開いた時に、1%刻みで加減します。1%未満しか変動していない場合には、利率を変えません。
ポイントは、日銀が公表している市場金利を参考に、法定利率が3年ごとに変わっていくということです。また、法定利率は常に整数となるため、煩雑な計算をせずに済みます。

(4)法定利率の適用時期(基準時)が明文化された

法定利率が変動制になったことで、いつの法定利率が適用されるのかに関して、当事者間で争いが生じかねません。
そこで、当事者が特に取り決めをしていない限り、利息が生じた最初の時点の法定利率が適用されることになりました(民法404条1項)。
「利息が生じた最初の時点」は、契約の性質などから具体的に判断しなければなりません。たとえばお金の貸し借りであればお金を貸したときから利息が発生するので、2020年3月31日までにお金を貸したのであれば年5%の利息が発生します。不法行為に基づく損害賠償請求であれば、不法行為時の利率が適用されます。

(5)中間利息控除にも法定利率が適用

不法行為による損害賠償請求においては、将来受け取るはずのお金を先に受け取ります。
この場合、お金の受取時期を早めることによる当事者間の不公平をなくすために調整をします。それを「中間利息控除(ちゅうかんりそくこうじょ)」といいます。
改正前の民法には中間利息控除に関する規定がありませんでしたが、民法改正により中間利息控除に法定利率が適用されることが明文化されました(民法417条の2、722条1項)。

法定利率の変更による影響

今回の民法改正により、法定利率は次の3つのケースで適用されることになりました。

  1. 利息を支払う合意はあるが、約定利率の定めがない場合の利息の算定
  2. 約定利率の定めがない場合の遅延損害金の算定
  3. 逸失利益の損害賠償の額を定める際の中間利息控除

具体的に2や3のケースでどのような影響があるかをみていきましょう。

(1)遅延損害金に関する影響

企業間の取引では、一般的に利息に関して約定利率の定めを置くでしょう。
一方、遅延損害金については約定利率の定めを置いていないケースも珍しくありません。
そうなると、法定利率が下げられたことにより、遅延損害金として受け取れる金額は少なくなります。
あるいは、企業間では取引基本契約を締結した後、個別取引契約を交わすケースが多くあります。もし取引基本契約と個別取引契約のいずれでも遅延損害金を定めていない場合には、どちらの契約日を基準として遅延損害金の利率を定めるのか争いが生じかねません。このようなトラブルを避けるため、遅延損害金の利率に関する規定をあらかじめ契約書に明記しておきましょう。

(2)中間利息控除が少なくなることによる影響

少なくとも2020年4月1日~2023年3月31日までの法定利率は3%です。
これにより、中間利息控除額は減り、反対に交通事故の際に受け取る保険金(逸失利益)が増額します。
そうなると、損害保険料の掛け金が増額する等保険実務への影響が見込まれます。

【まとめ】契約書のチェックは弁護士に相談するのがおすすめ

民法改正により、法定利率は5%から3%に引き下げられました。
また、固定制から変動制へ変わり、適用時期(基準時)も明文化されました。
遅延損害金については個人間・企業間でも契約書に盛り込んでおいた方が良いでしょう。将来トラブルが生じないように、あらかじめ契約書のチェックを弁護士に頼むことをおすすめします。

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