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自己破産の陳述書の書き方を例文付きで解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「自己破産の陳述書って、どうやって書けばいいんだろう?」

自己破産の裁判所への申立ての際には、「陳述書」(裁判所によっては、報告書)を提出する必要があります。陳述書とは、借金や家計の状況、自己破産の申立てをするに至った事情などを書くものです。

基本的には裁判所のホームページなどから入手できる書式の空欄を埋めていけばよいのですが、次の2つの項目については自分の言葉で事情を分かりやすく記述する必要があります。

  • 自己破産の申立てに至った事情
  • 裁量免責を相当とする事情

どのように書けばよいのか、具体例を通して見ると分かりやすいかと思います。

そこでこの記事では、

  • 自己破産における陳述書の意義
  • 陳述書の記載例

について弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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自己破産の手続きにおける「陳述書」とは?

自己破産の手続きにおける「陳述書」とは、借金や家計の状況、自己破産の申立てをするに至った事情などを書くものです。

それでは、

  • 陳述書とはどのようなものなのか
  • 陳述書にはどのようなことを書くのか
  • 陳述書では「反省していること」を書く必要があるのか

について説明します。

(1)陳述書ってどんなもの?

「陳述書」がどのようなものかをイメージしていただくためには、「陳述書」の書式を見てもらうのが早いでしょう。

例えば新潟地方裁判所で使われている「陳述書」の1枚目は次の通りです(全部で10ページあります)。

(2)事実を端的に陳述書に記載する

大きく分けると、陳述書に記載することは大体次のようなものです。

  • 職歴
  • 家族関係など
  • 現在の住居の状況
  • 破産費用の調達方法
  • 破産申立てに至った事情
  • 免責不許可事由
  • 裁量免責を相当とする事情

自己破産の申立て先の裁判所によって書式は異なるものの、一般的には空欄を埋めていくだけで陳述書は完成します(※基本的に債権者一覧表に記載した債権者についてはすべて借入れのきっかけ・使途を書くことになりますので、債権者が多い人ほど陳述書を書くのは大変になる傾向があります)。

「破産申立てに至った事情」と「裁量免責を相当とする事情」の2つの欄を除いて、一般的には書くスペースも狭く端的に事実を記載していく必要があります(※)。

※新潟地方裁判所の書式でいえば、それぞれ次の項目が対応しています。

自己破産の申立てに至った事情:「第5 債務の発生原因・増加の事情」と「第6 借入等をした際の事情」、「第7 返済等に関する状況」などが該当

裁量免責を相当とする事情:最後の「第10今後の見通し、生活を改善すべき点、今までに反省すべき点」の部分が該当

参照:陳述書例|裁判所 – Courts in Japan

空欄を埋めるだけでは足りず、数行の空白を埋める必要がある「破産申立てに至った事情」と「裁量免責を相当とする事情」については、書くのに苦慮される方も少なくありません。この2つの項目については、後ほど例文とともに書き方を解説いたします。

「裁量免責」「免責不許可事由」とは?

個人の自己破産の手続きにおける最終的なゴールは、原則全ての借金の返済義務を免除してもらうことです(税金など一部の支払義務は残ります)。これを「免責(許可)」と呼びます。

自己破産の申立て

免責許可
免責不許可事由がなければ出る
免責不許可事由があっても、「裁量免責」となる可能性はある

裁判所は、免責不許可事由のない限り、免責許可の決定をします(破産法252条1項)。

つまり、「基本的に自己破産を申立てれば借金の返済義務は免除されるけれども、免責不許可事由があると、返済義務が免除されない場合があります」ということになります。
例えば次のような事情があると、原則として免責不許可事由として記載することになります。

  • 収入に見合わない過大な支出(買い物、ギャンブル、株式投資など)
  • 換金行為
  • 一部の債権者に対する返済(偏頗弁済)
  • 収入を偽ったうえでの借入れ

免責不許可事由について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

免責不許可事由があっても、裁判所が免責許可決定を出すケースは少なくありません。これが「裁量免責」です。

裁量免責となるケースが少なくないことについて、詳しくはこちらをご覧ください。

偏頗弁済について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

偏頗(へんぱ)弁済とは?偏頗弁済の3つのリスクとその回避方法

換金行為について詳しくはこちらをご覧ください。

カードのショッピング枠で現金化は危険!換金行為に潜む3つのリスク

(3)陳述書は必ずしも「反省文」ではない

陳述書は、必ずしも「借金を抱えた事情についての反省の気持ち」を書く書面ではありません。

陳述書に記載する「破産申立てに至った事情」では、あくまでも客観的事実と照らし合わせながら、負債の増大していった経緯を書きます。
自己破産の手続きををしようとする以上、陳述書も提出しなければならないので、連帯保証人となったところ主債務者が逃亡して行方不明になった場合のように、借金の原因が自らにない場合でも陳述書を提出しなければなりません。

陳述書には、債権者に対する謝罪の気持ちや借金をしたことに対する罪悪感など心情面を記載する項目が設けられていないことも少なくありません(先ほどよりご紹介している新潟地裁の書式では、「第10」のところで反省点についても書き込めるようになっています)。

参考:申立て等で使う書式例|裁判所 – Courts in Japan

場合によっては「反省文」の提出も必要?

一方、ギャンブルで借金をしてしまった場合など自己破産について本人にとってどうしてもやむを得ない理由があったとまではいえない場合(後ほどご説明する「免責不許可事由」がある場合など)、自己破産の申立てをした後に、裁判所や破産管財人から「反省文」の提出を求められることがあります。

反省文には「なぜ借金をしてしまったのか」「どのように生活を再建していくか」「債権者に対する気持ち」などを記載します。反省文には自分の気持ちを素直に書いていただいて構いません。

具体的なケースを想定して陳述書を書いてみよう!

それでは、「破産申立てに至った事情」と「裁量免責を相当とする事情」について、具体的なケースや例文に基づき書き方をご説明します(※実際のケースでは、破産者の状況に応じてもっと詳しく書くことになります)。

今回、自己破産の申立てに至ったのは次のようなケースです。

飲食店でパート勤務をしていた(仮称)Aさんは、2005年12月、ポイントをくれるというDMに惹かれて、X社のクレジットカードを作成しました。それから数年間、収入の範囲で利用していたのですが、2014年7月離婚したのをきっかけに、パチンコをするようになりました。なお、Aさんに子どもはおらず、また慰謝料などの取り決めもしませんでした。

最初は月々5000円程度パチンコに費やすだけでしたが、2019年4月頃から、ついにはY社からの借入金もパチンコの原資に回すようになりました。この頃には1月5万円を使うようになっていました。
その後、2020年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業してしまったAさんは、2020年8月、弁護士に自己破産を依頼しました。パチンコは失業と同時にやめました。
なお、Aさんの給料は2005年12月~2020年5月まで手取り20万円だったとします。

(1)破産申立てに至った事情

Aさんのケースで、破産申立てに至った事情として記載するのは次の5つの事情です。

  • 初めてクレジットカードを利用したのは2005年12月、ポイントに惹かれたから
  • 2014年7月に離婚した(養育費や慰謝料の取り決めはなし)
  • 離婚するとまもなく、パチンコをし始める
  • 2019年4月ころ、Y社からの借入金をパチンコの費用にし始める
  • 2020年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業、支払不能に陥る

これらの事情を文章にすると、次のようになります(※)。

※この文章は、あくまでも一例です(裁判所に提出する書面では、和暦を使用します)。陳述書の「破産申立てに至った経緯」には定型の書き方がなく、自分の言葉で文章化することが求められますので、必ずしも次のとおりに書く必要はありません。また、時系列などを分かりやすくするために箇条書きなどを用いることも基本的に自由です。

私は、2005年12月、申し込むとポイントを付与するというキャンペーンに惹かれて、X社のクレジットカードを作り、ショッピングに利用するようになりました。このとき、キャッシングの利用はなく、収入の範囲で利用することができていました。
2014年7月、当時の夫と離婚し、一人で生計を立てなければならなくなりました(なお、養育費や慰謝料の取り決めはありません)。このころから趣味としてパチンコをするようになりました。

2019年4月、パチンコをすることで生活費が不足する月などもあり、Y社から借入れをするようになり、そのお金の一部をパチンコに使うようになりました。
2020年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業した私は、返済を継続していくことができない状態に陥ってしまったため、弁護士に依頼して自己破産を申立てるに至りました。

報告書である場合には、「私」を主語にせず「申立人」などと記載します。

(2)裁量免責を相当とする事情

Aさんは、2014年7月~2020年5月まで、パチンコをしていました。
パチンコに費やしたお金を計算してみましょう。2014年7月~2019年4月まで月々5000円、2019年4月~2020年5月まで月々5万円利用していたとすると、その金額は93万5000円です。

月々5000円の利用はともかく、当時既に生活費も不足しがちな状況下でY社からの借入れを利用してまでパチンコをしていたことは、免責不許可事由(破産法252条1項4号)にあたると判断される可能性が高いでしょう。裁判所に判断を委ねるため、免責不許可事由として書く必要があります。

このような事情を踏まえると、裁量免責を相当とする事情は、例えば次のような文章になります。

私は、夫と離婚したことで一人でいることに寂しさを感じて、パチンコを始めてしまい、その結果、家計の状況を考えずに、パチンコに100万円近いお金を費やしてしまいました。今回の手続きによってお金を貸していただいた方々にご迷惑をおかけしてしまうことになったことについて深く反省しており、もう二度とパチンコをしない所存でおります。実際、新型コロナウィルスの影響によって失業してからはパチンコに使えるお金もなくなりましたし、これまでの反省も踏まえてパチンコ店の近くには立ち寄ることも一切しなくなりました。何卒寛大なご判断をよろしくお願い申し上げます。

【まとめ】陳述書には、借金を抱えるに至った経緯などを書く

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自己破産の手続きにおける「陳述書」(裁判所によっては報告書)とは、借金や家計の状況、自己破産の申立てをするに至った事情などを書く書面。

借金を抱えたことについての反省よりも、むしろ借金を抱えた経緯など、客観的な事情を記述するのがメイン。

  • 陳述書は、基本的には文中の空欄を埋めていけばよいが、次の2つの項目では事情を分かりやすく記述する必要がある。
    〇破産申立てに至った事情
    〇裁量免責を相当とする事情

免責許可を出すかどうかの判断に際して、陳述書はとても重要な資料です。陳述書のうち「破産申立てに至った経緯」「裁量免責を相当とする事情」は自分の言葉で書かなければなりませんが、自力で書く場合には何が重要な事情なのか判断が難しい場合も少なくありません。

うまくまとめられなければ、裁判所にもどのような経緯で自己破産を申立てるに至ったのかが伝わりにくくなってしまいます。
「どんなことを書けばいいんだろう」とお悩みの方は、まずは気軽に法律事務所に相談してみることがおすすめです。

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