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自己破産の陳述書の書き方を例文付きで解説

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自己破産に至るほどの借金を抱えるまでには、さまざまなドラマがあったはずです。
必死に頭を悩ませて借金から脱出しようとしたのに叶わず、利息によってさらに借金が膨れ上がっていくという負のスパイラルに陥ってしまった人もいるでしょう。
本来であれば裁判所は、全件についてその自己破産を認めてよいのかについて、破産者の話を口頭で直接聞いて判断したほうがいいのかもしれませんが、裁判官の数も限られているため、現実的ではありません。そこで、自己破産に際しては自己破産に至る経緯などを記載した陳述書を申立書に添付します。今回は、「陳述書の書き方」について弁護士が解説します。

自己破産手続きにおける「陳述書」とは?

「陳述書」が何かを把握していただくためには、「陳述書」の書式を見てもらうのが早いでしょう。例えば新潟地方裁判所で使われている「陳述書」は次の通りです。

(1)事実を端的に陳述書に記載する

自己破産を申立てる裁判所によって書式は異なるものの、一般的には空欄を埋めていくだけで陳述書は完成します。「破産申立てに至った事情」と「裁量免責を相当とする事情」(新潟地方裁判所の書式でいえば、最後の「第10今後の見通し、生活を改善すべき点、今までに反省すべき点」の部分)の2つの欄を除いて、一般的には書くスペースも狭く端的に事実を記載していく必要があります。

大きく分けると、陳述書に記載することは大体次のようなものです。

  • 職歴
  • 家族関係など
  • 現在の住居の状況
  • 破産費用の調達方法
  • 破産申立てに至った事情
  • 免責不許可事由
  • 裁量免責を相当とする事情

多くの人が書くのを戸惑うのは「破産申立てに至った事情」と「免責不許可事由」でしょう。

免責不許可事由とは?

個人の自己破産手続きにおける破産者の最終的なゴールは、借金の返済義務を免除してもらうことです。これを「免責(許可)」と呼びます。
そのため、自己破産手続きの開始を申立てると同時に、破産者が反対の意思表示をしない限り、免責許可の申立てをしたものとみなされることになります(破産法248条4項)。簡単に言えば、自己破産を申立てると同時に「借金の返済義務を免除する許可をください」と裁判所にお願いしているということです。ただ、反対の意思表示もできますよ、と。
裁判所は、免責不許可事由のない限り、免責許可の決定をしなければなりません(破産法252条1項)。
つまり、「基本的に自己破産を申立てれば借金の返済義務は免除されるけれども債権者に酷な行為をしたケースなど例外的に借金の返済義務が免除されない場合があります」ということです。

例えば次のような事情があると、原則として免責不許可事由として記載することになります。

  • 収入に見合わない過大な支出(買い物、ギャンブル、株式投資など)
  • 換金行為
  • 一部の債権者に対する返済(偏頗弁済)
  • 収入を偽ったうえでの借入れ

免責不許可事由について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

免責不許可事由とは?該当すると自己破産できないって本当?

偏頗弁済について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

偏頗(へんぱ)弁済とは?問題となるケースとその回避方法や注意点などについて解説

(2)陳述書と反省文は違う

陳述書に記載する「破産申立てに至った事情」では、あくまでも客観的事実と照らし合わせながら、負債の増大していった経緯を書きます。自己破産をしようとする以上、陳述書も提出しなければならないので、連帯保証人となったところ主債務者が逃亡して行方不明になった場合のように、借金の原因が自らにない場合でも陳述書を提出しなければなりません。
陳述書には、債権者に対する謝罪の気持ちや借金をしたことに対する罪悪感など心情面を記載する必要はありません。

一方、ギャンブルで借金をしてしまった場合など自己破産することについて本人にとってどうしてもやむを得ない理由があったとまではいえない場合、破産の申立てをしたあとに、裁判所や破産管財人から「反省文」の提出を求められることがあります。反省文には「なぜ借金をしてしまったのか」「どのように生活を再建していくか」「債権者に対する気持ち」などを記載します。反省文には自分の気持ちを素直に書いてもらって構いません。

具体的なケースを想定して陳述書を書いてみよう!

それでは、「破産申立てに至った事情」と「裁量免責を相当とする事情」について例文をみてみましょう。実際のケースでは、破産者の状況に応じてもっと詳しく書くことになります。
基本的に債権者一覧表に記載した債権者については、すべて借入れのきっかけ・使途を書くことになりますので、債権者が多い人ほど陳述書を書くのは大変になる傾向があります。

今回、自己破産を申立てるに至ったのは次のようなケースです。

飲食店でパート勤務をしていたAさんは、2005年12月、ポイントをくれるというDMに惹かれて、X社のクレジットカードを作成しました。それから数年間、収入の範囲で利用していたのですが、2014年7月離婚したのをきっかけに、パチンコをするようになりました。なお、Aさんに子どもはおらず、また慰謝料などの取り決めもしませんでした。
最初は月々5000円程度パチンコに費やすだけでしたが、2019年4月頃から、ついにはY社からの借入金もパチンコの原資に回すようになりました。この頃には1月5万円を使うようになっていました。
その後、2020年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業してしまったAさんは、2020年8月、弁護士に自己破産を依頼しました。パチンコは失業と同時にやめました。
なお、Aさんの給料は2005年12月~2020年5月まで手取り20万円だったとします。

(1)破産申立てに至った事情

Aさんのケースで、破産申立てに至った事情として記載するのは次の5つの事情です。

  • 初めてクレジットカードを利用したのは2005年12月、ポイントに惹かれたから
  • 2014年7月に離婚した(養育費や慰謝料の取り決めはなし)
  • 離婚するとまもなく、パチンコをし始める
  • 2019年4月ころ、Y社からの借入金をパチンコの費用にし始める
  • 2020年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業、支払不能に陥る

陳述書の「破産申立てに至った経緯」には定型の書き方がなく、自分の言葉で文章化することが求められますので、必ずしも次のとおりに書く必要はありません。

この文章は、あくまでも一例です(裁判所に提出する書面では、和暦を使用します)。

私は、平成17年12月、申し込むとポイントを付与するというキャンペーンに惹かれて、X社のクレジットカードを作り、ショッピングに利用するようになりました。このとき、キャッシングの利用はなく、収入の範囲で利用することができていました。
平成26年7月、当時の夫と離婚し、一人で生計を立てなければならなくなりました(なお、養育費や慰謝料の取り決めはありません)。このころから趣味としてパチンコをするようになりました。
平成31年4月、パチンコをすることで生活費が不足する月などもあり、Y社から借り入れをするようになり、そのお金の一部をパチンコに使うようになりました。
令和2年5月、新型コロナウィルスの影響によって失業した私は、返済を継続していくことができない状態に陥ってしまったため、弁護士に依頼して自己破産を申立てるに至りました。

報告書である場合には、「私」を主語にせず「申立人」などと記載します。

(2)裁量免責を相当とする事情

Aさんは、2014年7月~2020年5月まで、パチンコをしていました。
パチンコに費やしたお金を計算してみましょう。2014年7月~2019年4月まで月々5000円、2019年4月~2020年5月まで月々5万円利用していたとすると、その金額は93万5000円です。

月々5000円の利用はともかく、当時既に生活費も不足しがちな状況下でY社からの借入れを利用してまでパチンコをしていたことは、免責不許可事由(破産法252条1項4号)にあたると判断される可能性が高いでしょう。裁判所に判断を委ねるため、免責不許可事由として書く必要があります。

このような事情を踏まえると、裁量免責を相当とする事情は、例えば次のような文章になります。

私は、妻と離婚したことで一人でいることに寂しさを感じて、パチンコを始めてしまい、その結果、自分の身の丈を考えずに、パチンコに100万円近いお金を費やしてしまいました。今回の手続きによってお金を貸していただいた方々にご迷惑をおかけしてしまうことになったことについて深く反省しており、もう二度とパチンコをしない所存でおります。実際、新型コロナウィルスの影響によって失業してからはパチンコに使えるお金もなくなりましたし、これまでの反省も踏まえてパチンコ店の近くには立ち寄ることも一切しなくなりました。何卒寛大なご判断をよろしくお願い申し上げます。

【まとめ】自己破産の手続きでお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談ください

自己破産を認めるかどうかの判断に際して、陳述書はとても重要な資料です。陳述書のうち「破産申立てに至った経緯」「裁量免責を相当とする事情」は自分の言葉で書かなければなりませんが、初めて書く場合には何が重要な事情なのかわからないでしょう。うまくまとめられなければ、裁判所にもどのような経緯で自己破産に至ったのかが伝わりません。
自己破産手続きについてお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談ください。