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自己破産で管財人に嘘はNG!免責不許可事由・詐欺破産罪に要注意

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嘘をついたことのない人は、おそらく、この世にいないでしょう。誰しも自分はかわいいものですから、「バレないのであれば些細な嘘くらいいいだろう」と安易に考えてしまうこともあるはずです。しかし、自己破産手続きにおいて裁判所や破産管財人に嘘をついてはいけません。その嘘はバレる可能性が高く、また、些細な嘘では済まない可能性が高いからです。
そこで、今回は弁護士が「自己破産手続きにおける”嘘“」について解説します。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

破産管財人が選任されるのはどんなとき?破産管財人の業務内容や対応も解説

そもそも自己破産とは

自己破産とは、財産、収入が不足し、負債を返済できなくなった場合に,債務者の一定の財産をお金に換えて債権者に公平に分配する手続です。 これに併せて裁判所から免責許可決定を得ると、一定の負債の返済義務を免れることができます(ただし、税金など一部の支払義務は自己破産をしても帳消しにはなりません)。

自己破産の手続きは2種類

自己破産の手続きには、同時廃止事件と管財事件の2種類があります。同時廃止事件とは、目立った財産や浪費等がなく管財人による調査を経ずに自己破産を認めても特に問題のない人に関して、破産手続きの開始決定と同時に破産手続きが終了(廃止)するという手続きです。

管財事件とは

管財事件では、破産管財人と呼ばれる弁護士が裁判所から選任され、財産の調査(資産調査)・管理・処分、債権者への配当などを行い、さらに、免責を認めても問題ないかの調査(免責調査)を行います。同時廃止と異なり、最終的に免責が認められるまでの間に半年~1年程度を要するケースも少なくありません。

管財事件となる可能性が高いのは、次のようなケースです(東京地裁の場合)。

  • 住宅ローンを除いた借金の額が400万円を超えるようなケース
  • 33万円以上の現金のあるケース
  • ギャンブルなどで収入に見合わない多大な浪費行為が借金の原因となっているケース
  • 不動産、自動車、保険の解約返戻金など現金以外で20万円以上の価値のつく財産を持っているケース
  • 隠し財産があると疑われるケース
  • 法人の代表者や自営業者のケース(かつてこれらの立場だった者も含まれます)
  • 弁護士に自己破産を依頼した後一部の人にだけ借金を返済してしまったケース

これらは一例にすぎず、破産を申立てる裁判所の運用によっても異なります。そのため、自己破産を依頼するときには自分の状況を正直に弁護士に伝えて、どちらの手続きになる可能性が高いかの見通しを教えてもらいましょう。

こんな場面で嘘をついてはダメ!質問には正直に答えよう

自己破産手続き全体を通して、嘘をついてはいけません。
特に注意をしなければならないのは次の2つの場面です。

(1)申立書・陳述書には真実を書こう!

自己破産の依頼を受けた弁護士(申立代理人)は裁判所に提出する申立書・報告書(陳述書)を作成するため、依頼者から自己破産に至った経緯などをくわしく聴取します。また、預金通帳や給料明細、家計表などを毎月依頼者に提出してもらい、疑問点があればその都度解消していきます。
申立代理人である弁護士が疑問を抱いた点は、自己破産を申立てた後で裁判所や破産管財人も同様に疑問を抱く可能性が高いといえます。もし申立代理人に嘘を吐くと、後々つじつまが合わなくなって真実が裁判所などにばれてしまったときに、裁判所や管財人に対して説明義務を果たしていないと見られ、最悪のケース、後述のように免責に影響(免責不許可=負債の返済義務が帳消しにならない)が出てきてしまったり、刑事罰が科される可能性すらあります。
さらに、申立代理人との信頼関係が失われることにもなりかねません。申立代理人に辞任をされて手続きに支障が出るリスクもありますので、絶対に嘘を吐かないようにしてください。
依頼者としては「バレてはまずい、嘘を吐かなくては」と考えてしまうような内容でも、正直に話してさえいれば大きな問題にならない可能性の高い事情であることも多いので、まずは申立代理人に素直に打ち明けましょう。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

自己破産の陳述書の書き方を例文付きで解説

(2)1時間が勝負の場!?緊張の管財人面接

自己破産を裁判所に申立てた後、管財人面接が行われます。
管財人面接の場では、破産管財人(あるいは、その候補者)から、通帳履歴の使途不明金や自己破産に至る経緯などさまざまなことを尋ねられます。東京地裁で申立てたケースなどでは、申立代理人が管財人面接に同席することはあるものの、基本的には、申立て代理人ではなく申立人本人が主体となって、破産管財人からの質問に回答します。ここで嘘を吐いてしまうと、上述のように免責不許可などになりかねませんので、正直に答えるようにしてください。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

弁護士が解説!管財人面接に関するQ&A

管財人についた嘘で免責不許可事由になるケース

弁護士費用や手続き費用を払って自己破産を申立てるのは、負債返済のプレッシャーから解放されたいと願うためでしょう。しかし、自己破産手続きにおいて嘘をつくと、その願いが叶えられないこともあるのです。

なお、破産法上、免責を認めることができないケースが定められています。
嘘を吐くことが次の行為に該当する場合には、免責不許可事由にあたる可能性があります。

  • 債権者を害する目的での財産を隠匿・損壊等すること(破産法252条1項1号)
  • 帳簿などを隠滅・偽造等すること(同項6号)
  • 虚偽の債権者名簿を提出すること(同項7号)
  • 裁判所への説明を拒絶したり、うその説明をしたりする行為(同項8号)
  • 管財業務を妨害する行為(同項9号)
  • 破産法上の義務違反行為(同項11号)

実際に免責不許可となった事例をご紹介しましょう。

2500万円余の借金を抱え、自己破産を弁護士に依頼したAさんは、父親の死亡時、定期特約付養老保険に係る死亡保険金1566万1654円を受け取ったにもかかわらず、入金口座の存在や受け取りの事実に関して自己破産を依頼した弁護士に伝えず、自己破産を裁判所に申立てた際にも、その口座に関して裁判所に伝えませんでした。その後、破産管財人の調査により、受領口座の存在が発覚し、口座から出金した現金につき裁判所による引渡し命令が出されましたが、Aさんは従わないままで、さらに管財人からの呼び出しにも応じず、債権者集会にも出頭しなくなり音信不通になりました(神戸地裁伊丹支部決定平成23年12月21日判例タイムズ1366号246頁)。

このケースは資産隠しに加え、裁判所や破産管財人の指示に従わず、行方もくらませていることから、免責は認められなくても当然といえる事案でしょう。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

免責不許可事由とは?該当すると自己破産できないって本当?

嘘をつくと詐欺破産罪になる可能性も

自己破産時に財産を隠すと、負債の返済義務を帳消しにしてもらえないばかりか、詐欺破産罪(破産法265条)で起訴される可能性があります。実際、Aさんは在宅起訴され、懲役2年、4年間執行猶予の有罪判決を受けました。

(1)詐欺破産罪とは

債権者を害する目的で以下の行為をすると、詐欺破産罪が成立します。

  • 債務者の財産を隠匿または損壊する行為(破産法265条1項1号)
  • 債務者の財産の譲渡または債務の負担を仮装する行為(同項2号)
  • 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)
  • 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、または債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)

破産手続きの開始決定が出ていること、または保全管理命令が発せられていることを知りながら、債権者を害する目的で財産隠しに関与した者も処罰されるおそれがあります(破産法265条1項後段、2項)。

(2)詐欺破産財の罰則

有罪判決が確定すると10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方に処せられるおそれがあります。仮に実刑を免れても、有罪が確定すれば前科となり自身の経歴を汚すことになります。

【まとめ】管財人に嘘をつくと、負債の返済義務が免除されなかったり、刑事罰を受けることも

 以上の通り、管財人に嘘をつくと、破産しても負債の返済義務が残ってしまったり、詐欺破産罪に問われることもありますので、嘘は禁物です。

破産手続きをするにあたり悩んでいることがあれば、まずは、弁護士に正直に事情を話して今後の見通しなどを相談してみるとよいでしょう。
借金問題でお悩みの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。